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【レッドドラゴンサイド】四話「武の在り方」Aパート
【市街地】
「グルオオオオオオオ!!」
「ハアッ!」
「すごい…あれが達人同士の…」

ヴェイトとブレードライオンの剣戟戦は熾烈を極め、お互いの剣が激突と鍔迫りを繰り返し火花を散らす。
ディードはそんな二人の戦いに完全に魅入っていた。
そして幾度か激突した後、二人は間合いを取って睨みあう。

「やるなヴェイト…その剣技…天然理心流か…」
「この流派を知っているとは…貴様…元地球人か?」
「違う…俺は強敵を求め、世界中を流離う剣豪だ。だから地球の流派も全て頭にある。」
「何?」

【ブレードライオンの回想】
俺が住んでいた世界は治安が悪く…戦争が絶えなかった…
物心付いたころから殺戮の世界で生きていた俺は、剣の才能に恵まれ、手に入れた日本刀と、自分の卓越した剣腕を振るい…多くの敵を切り殺してきた…
(日本刀を振るい、沢山の軍人を斬る少年(ブレードライオン))

そして一ヶ月前…俺の前にAAMONのドクトルGと出合った。
奴は…
「お前を最強の剣士にしてやる。その代わり、我々の指定した人間を斬るのが条件だ。」
とな…

そして俺は改造手術を受け、愛刀とライオンの合成怪人となった…
………

「俺は最強の剣士になった!何もかも切り捨てることができる最強の剣士に!俺はこれからも俺自身の強さと剣の為に人を斬る!俺が最強であるために…」
「違う!」
「ん?」
「剣術は、剣士同士が切磋琢磨するためにあるもの…己の愉悦や憎しみというくだらない個人的な感情のために剣を振るい人を斬るなど言語道断!この私が…「仮面ライダー」の名の下に貴様を切り捨てる!!」
「(龍が…あんなに熱く…)」

ディードは、凶剣を振るうブレードライオンに対し、怒りを剥き出しにするヴェイト=龍の姿に驚く。

「面白い…貴様の言葉と俺の言葉…どちらが正しいか証明してやる…ライダーヴェイト!貴様に決闘を申し込む!」
「何!?」
「二週間後の午後0時!煉獄山の頂上に来い!そこが決闘の場所だ!待っているぞ!」

ブレードライオンはそう言い残し、姿を消した。

「…」

ヴェイトは変身を解除し、龍に戻る。

「龍…」
「…」

龍は持っていたツインブレイズをディードに返す。

「龍、どうしたんですか?」
「今の俺では…奴には勝てない…」
「え?しかし…」
「奴は本気を出していなかった…もし本気で戦っていたら…俺は負けていたかもしれない…」

龍の額から一筋の冷や汗が流れる。
ディードはこんな龍の姿を見るのは初めてだった。

「(龍が…怯えている?)」
「こうなったら…あれを会得するしかない…」
「あれ…とは?」
「天然理心流・無明剣だ!」

天然理心流・無明剣…
篭手、胴、面と三回に渡って素早い突きを繰り返し、引く度に横に払う、別名「三段突き」と呼ばれている剣技。
見ている者には、あわせて一つの突きにしか見えないほど素早い。
これを会得した人物は、新撰組一番隊組長・沖田総司のみと言われている。

「だが、俺は無明剣を会得した人間をもう一人知っている。」
「え?」
「俺の剣術の先輩である、霧山流という人だ。」
「龍の、先輩?」
「百年に一度の天才といわれた剣術家で、無明剣を会得した二人目の人間だ。
だが、今は…」
「今は?」
「…なんでもない。とにかく戻るぞ。」
「はい!」

【陸士部隊支部訓練所】
「ああ!?決闘を申し込まれただ!?」

口を大きく開けて驚くノーヴェ。

「ああ。」
「決闘なんて、変わった怪人もいるもんだね。」
「そうっスねぇ~」

セインとウェンディは感心する。

「俺は無明剣を会得するため、暫く山に篭る。」
「シャッハ、悪いが俺が不在の間、皆の面倒を頼むぞ。」
「はい!この身にかけて!」
「龍!」

胸に握り拳をあて、体育座りから立ち上がるディード。

「何だ?」
「私も…付き合います。」
「駄目だ。」

即答だった。

「!?」
「お前はお前の腕を磨け。」
「…分かり…ました…」

数時間後、龍はテント、毛布、食糧、そして流から貰った名刀「長曾根虎徹」を持ち、煉獄山の隣にある山である地獄山に向かった。

【三日後 陸士部隊支部食堂】
「…」
「ノ~ヴェ~、最近あんまり食べないっスけど、どうしたんスか?」
「なんでもねぇよ…」
「分かった!龍が三日も帰ってこないから寂しいんスね!」
「だーかーら!違う!あたしはあいつが大嫌いなんだよ!」
「そのツンデレがいつまで続くか…」
「…ねぇ。」

楽しそうにノーヴェをからかうウェンディにオットーが話しかける。

「何スか?」
「ディードは?」
「ああ、ディードなら…」

【地獄山ふもと】
「…」

ディードは重箱を両手で持ち、黒い長袖を着、ジーパンを履いていた。
ディードは昼食を自分で作り、龍に届けようとしていたのだ。

「(ちゃんと、龍の口に合うかな?)」

そんなことを考えながらディードは山に登り始める。

【地獄山河原】
ディードは二十分ほど歩き、テントが張られ、焚き火が燃えている河原に着いた。
辺りを見回すと、胴着を纏い、虎徹を正眼に構えた龍の姿を見つけた。

「居た…りゅ…!」

ディードが声をかけようとした瞬間、彼女は龍の姿に驚いた
龍の道着はボロボロになり、体は泥に塗れ、刀の柄には血が滲んでいたのだ。

「龍!」

ディードは急いで龍の傍に駆け寄り、重箱を地面において龍の刀を彼の手から強引に奪い取り、刀身を傷つけないようにそっと重箱の隣におく。
そして彼女は刀を放した彼の掌を見る。

「ディード…」
「…!」

龍の掌は無数の血豆が潰れ、見るからに痛々しい。
ディードは思わずハンカチを取り出して二つに裂き、龍の両手に巻きつけた。

「こんなになって…」
「気にするな…俺は改造人間だ。」
「でも…」
「俺は無明剣を会得しなければならない。休んでいる暇はないんだ。」
「…」
「…だが。」
「え?」
「飯を食う暇はある。」

龍はディードが持ってきた重箱を見つめる。

「流石に、三日連続で蛇やムカデは飽きてきた。」
「蛇?ムカデ?」
「今度演習する時、食わせてやる。」
「あ…はい…」

………
四十分後、二人はテントの前で重箱の中身を全て食べ終えた。

「ふう…中々美味いな。初めて作ったとは思えん。」
「本当…ですか?」
「ああ。」
「龍は声がとても低いから…分かりにくいです。」
「そうか…」

少しの間黙る二人。
三分ほど経った後、流石に何か気まずいと思ったのかディードが口を開く。

「そういえば…」
「ん?」
「流と言う人は…どういう人だったんですか?」
「そうだな…三十一歳の若き天然理心流指南免許、奥義「浮き鳥の位」の域に達し、沖田総司しか会得し得なかった無明剣を会得…絵に描いたような剣術の天才さ。」
「今は、どうして?」
「…」

龍はうつむき、目を細める。

「…龍?」
「死んだよ。」
「え?」

【龍の回想 病院 流の病室】
流さんは、心臓に病を持っていた…そして…病が悪化した二週間後、流さんは…

「流さん!流さん!」
「龍…武のあり方を…忘れるな…」

(目を閉じ、安らかな顔で眠りに付く流)

「流さん!流…さん…うわあああああああああああああ!!」

………

「流さんは…師範や俺を含む同門の仲間たちに見守られながら…亡くなった…」
「…ごめんなさい。」
「フン…珍しいこともあるもんだな。冷徹なお前が謝るとは。」

龍は立ち上がり、地面に置かれている虎徹を手に取る。

「無明剣…未完成だが見てみるか?」
「!、はい、喜んで。」
「よし…」

龍はテントに後ろのテントに入り、焚き火用の薪を一本もって中から出てくる。
そしてディードから離れると、手に持った薪を空高く投げ、即座に剣を正眼に構える。
そして薪が目先の高さまで落ちてきた瞬間、「でやぁーーー!!」という掛け声と共に三段突きを放った。
三段突きを受けた薪は三つに切断され、地面に落ちる。

「ふう…」
「すごい…三撃の突きをあそこまで速く…」
「それじゃあ駄目だ…」
「え?」
「無明剣の剣閃は、見ているものには見えないほど素早いんだ。どんなに速かろうが、三段の突きが他人の目に見えるようでは不完全だ。ブレードライオンには勝てない。
俺はもう暫くこの山に篭る。」
「そう…ですか…」
「ただ…」
「え?」
「我侭を言えば、これから食事は届けて欲しい。蛇とムカデだけでは、持たない。」
「…!、分かりました。」

【一週間後 夜】
【陸士部隊支部 食堂】
「ねぇ…ディードは?」
「ああ、龍にご飯届けに言ったっスよ。」
「…」
「…」

眉をひそめるオットー、そして面白く無さそうな顔をするノーヴェ。

「ノーヴェ~、ノーヴェもご飯作って持ってったらどうスか?」
「だっかっら!そんなんじゃねぇ!?」

【地獄山 河原】
「…うん、このマリネは美味かった。また作ってきてくれ。」
「はい。」
「…ふっ。」
「?」
「お前は…笑うようになったな。」
「はい…自分でも驚いています…」
「これも剣術のおかげか?」
「それと…」
「ん?」
「龍の…おかげです…」
「…」

龍はマグカップに入ったコーヒーを飲む。

「おだてても、給料は上がらないぞ。」
「私は…」
「まぁいい、今日は遅い。泊まっていけ。毛布はもう一枚ある。」
「…え?ええ!?」
「とって食いはしない。安心しろ。」
「は…はい…それは信じてます。」

【テント内】
テントの中。
二人は毛布に包まり、眠っている。
いや…ディードはそうでもなかったが…

「(なんだろう…ドキドキする…)」

ディードは頬を桜色に染めながら隣で眠っている龍の顔を覗き込む。

「(そういえば…龍はまだ十八歳…寝顔がまだ…幼い…)」

結局、龍を意識してディードは一睡も出来ず、徹夜してしまう。
夜が明け、少し眠そうに支部に戻った後、ウェンディ達に誤解されたのは言うまでもない。

【決闘一日前】
決闘一日前の夕方…

「…」
(薪を空中に投げ、剣を正眼に構える龍。)

「でやあああああーーーーーー!!」
(そして目前に薪が落ちてきた後、三段突きを繰り出す。今度は近くで見ているディードの目にも突きは一段にしか見えない。その完璧な無明剣を受けた薪は、粉々に砕け散った。)

天然理心流・無明剣が完成した。

「龍!」
「ああ、手応えはあった!俺が三人目の無明剣の会得者だ!後は…明日の決闘を待つのみ…!」
「明日は、私も付いていきます。貴方の特訓の成果…この目で見て見たい。」
「分かった。頼むぞ。」

【決闘当日 煉獄山頂上】
煉獄山頂上。
既にブレードライオンが右手の大きな刀を研ぎながら、龍を今か今かと待ち構えていた。

「…来たか。」

ブレードライオンは龍の剣気を察し、立ち上がる。
そしてブレードライオンが見つめている地平線の向こうから、剣道着を身につけ、愛刀・虎徹を腰に差した龍とナンバーズスーツを着たディードが現れた。

「久しぶりだな、ブレードライオン。」
「ん?」

ブレードライオンは傷だらけの龍の姿に驚き、龍の体から発せられる未知の力を感じ取った。

「ヴェイト…貴様、なにか技を身に付けてきたな?」
「…変身。」

龍はブレードライオンの台詞を無視し、ディードを後ろに下がらせてヴェイトに変身した。
ヴェイトは虎徹を鞘から抜き、正眼に構える。

「…」
「戦えば分かる…か…面白い。」

ブレードライオンも右手の刀を構え、刃が冷たく光る。

「ブレードライオン、一騎打ちだ。剣術家同士の戦いに、余計な小競り合いは入らない…!」
「面白い…我が奥義・獅子ノ麗牙(ししのれいが)で貴様を殺してやる…!」

それだけ会話をした後、二人は膠着状態に入る。
そして五分後、木々に止まっていた小鳥の群れが一斉に飛びだった瞬間、二人は一斉に駆け出した。

「獅子ノ麗牙!グルオォォォォォォオ!!」
「天然理心流…無明剣…でやああああああーーーーー!!」

二人はすれ違いざま、お互いの必殺技を振るいあった。
結果…

「ぐっ…あ…!」

ヴェイトが胸部に強烈な斬撃を受けて膝を着き…

「…クックックック…「己の愉悦や憎しみというくだらない個人的な感情のために剣を振るい人を斬るなど言語道断!」…か…」
「ああ。武術は人と人とが切磋琢磨するもの…武のあり方を間違えた貴様に剣を持つ資格はない!」
「見事だ…皇…龍…!」

ブレードライオンの体が三つに分断され、爆発する。
ヴェイトの勝利だ。

「…」
戦いを終えたヴェイトは龍に戻り、そんな龍の傍に離れていたディードがやってくる。。

「帰るぞ、ディード。」
「はい。」

二人はそれだけ言葉を交わすと、ノーヴェ達が待っている陸士部隊支部へと帰っていった。

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最終更新:2008年02月02日 09:39