デジモン・ザ・リリカルS&F
第一話
「龍使いと希望の龍」
「ハァッ、手がかりはないか。」
「諦めないで。もっと良く探しましょう。」
「そうね。」

キャロはその日、エリオ、アルフと共に無限書庫で調査をしていた。
本来は室長であるユーノの仕事を何故、彼女らがしているかというとそれはここ最近の失踪事件が原因である。
1ヶ月程前から続く、この事件は只の失踪と思われたが時空管理局機動6課部隊長、八神はやての命令により、調べる事となったのだ。
一件目の失踪者は無限書庫室長、ユーノ・スクライア
二件目の失踪者は時空管理局次元航行部隊クラウディア艦長にして二人の保護者、フェイト・T・ハラオウンの兄、クロノ・ハラオウンとその妻エイミィ
三件目の失踪者はJ・S事件において、保護された、ナンバーズⅤ、チンクと二人と親しい召喚師、ルーテシア・アルビーノ
四件目の失踪者は、八神はやての守護騎士、ヴィータと守護獣ザフィーラ、そして、その近くにいた、高町ヴィヴィオである。
全ての失踪に共通する点は、パソコンなどの電子機器を使用していたというだけで証拠は何も残っていなかった。
その為、無限書庫で調査をしているのである。

「フェイトさん、泣いてたな。」
「お兄さんがいなくなってさらに、ヴィヴィオちゃんまで…。」
「だから、早く探して見つけてあげよう。」「そうだね、エリオ君。」

そんな事を話ながら、探していた、その時!
「あった、これだよ!」

アルフがそう言って二人を呼んだ。

「これだ、これだよ。前に話した本。」

アルフが探し出したその本は、十年程前に書かれた本であった。

「えっと、『デジタルワールドについて』著者DrJ・S、『デジタルワールドとは、電脳世界の発展と共に誕生した、次元世界である。』電脳世界?」
「インターネットのことじゃないかな。」
「そんな所よりここが重要なのさ『デジタルワールドとこのミッドチルダはつながっており、電子機器を通して迷い込む可能性がある』」
「じゃあ、ヴィヴィオちゃんやルーちゃんはそのデジタルワールドにいるってことですか?」
「ま、そうなるかな。」
「じゃあ、その入り口さえ見つければ。」
「皆、見つかるんですね。」

そう言って二人が喜んでいると突然、目の前のパソコンの画面が光輝いたかと思うと、キャロ達はその世界から消えた。

「う~ん。ハッ、ここは!イタッ!」

キャロはそう言って飛び起き、洞窟の天井に頭をぶつけ、うずくまった。そこへ声が響いた

「やっと、起きた。大丈夫!」
「ハイッ、だい、じょうぶ、です。」

キャロは驚いた。そこには両手にグローブをはめた、恐竜のような生物がいたからだ。自らも龍を使役するが喋る龍など聞いたことがないからだ。(使い魔は別だが)

「もしかして、オイラにビックリしてるのか。大丈夫、オイラはあんたを食ったりしないよ!オイラの名前はアグモン。あんたの事はこのちっちゃい龍が教えてくれたんだ。」
「フリード!無事だったんだ。そうだ、エリオ君!あのこの近くで10歳ぐらいの男の子を見ませんでしたか。」
「う~ん、オイラは知んないなぁ。そう言えば、あんたの名前は?」
「あ、私はキャロ・ル・ルシエて言います。」
「フ~ン、じゃあ、キャロで良いよね。」
「ハイ!良いですよ。」
「じゃあキャロ、オイラはちょっと、外に出てくるね。ここら辺は危険だから。」

そう言うとアグモンは外へと歩いていった。ふと、キャロは自分のデバイスがないことに気づく。焦って探して見るとそこにデバイスはなく、代わりに変な機械《デジヴァイスic》があっただけであった。

「どこ、いったんだろう?」

そう言って、デバイスを探す為、デジヴァイスicをポケットに入れ、外へと探しに行くキャロ。すると、その時アグモンの叫び声が聞こえたのである。

「この、放せよ!」
「黙れ、俺の縄張りに入った奴は皆殺しだ。」
「アグモン!大丈夫!」
「きゃ、キャロ来ちゃダメだぁ!」

そこには、シードラモンに襲われているアグモンの姿があった。

「お前、こいつの仲間か、お前、旨そうだ。こいつの後に、食ってやる。」
「やらせない。」

そう言うとアグモンを抱きしめ、自らの体を盾にした。シードラモンは容赦なく自らの尾を連続で叩きつけた。

「クッ、ガハッ、ァ、カッ、ハァハァ。」
「止めろよキャロ。オイラなんてほっといて逃げてよ。死んじゃうよ。」
「嫌だ。私が逃げたらアグモンが傷つく。誰かが傷つくのを見るのは嫌なの!」
「キャロ…。」
「いい加減にくたばれ。ウォーターブレス!」
「キャアァッ!」

そう言うと、一回転し水流を放ちキャロを吹き飛ばした。
「これで邪魔はねぇ、くたばれ!」

そう言ってアグモンに向けて攻撃しようとした。

(助けたい、アグモンを助けたい。)

すると、その意志に応えるかのようにデジヴァイスicが光始めた。そして、キャロの体を大量の赤いデジソウルが包んでいったのだ。そして、頭にはその使い方が浮かんでいった。

「デジソウル、チャージ!」

そう言うと大量の赤いデジソウルはアグモンへと向かっていった。
『アグモン進化ぁ!ジオグレイモン!』

その場には荒々しき巨大な龍、ジオグレイモンの姿があった。

「キャロ、いや、姉御。必ず、守るぜ!」
「ゴタゴタ抜かすんじゃねぇ!くらうアイスアロー!」
「メガバァースト!」
シードラモンはジオグレイモンに向けて氷の矢を放ったのをみるとジオグレイモンは超高熱の炎を極限まで溜めると、シードラモンに向けて放った。
そして、氷の矢ごとシードラモンを消し去った。

「やった、倒した!やったぜ姉御!」
「う、うん。でも、死んじゃったのかな。」
「大丈夫、デジタマに戻るだけさ。」
「あ、元に戻ってる。」
「それより、これから、どうするのかな。オイラは姉御について行くけど。」
「皆を探そうと思うの。後、姉御は。」
「じゃあ、出発しようよ!」
「まっ、いっか!いこうフリード、アグモン。」
「キュウゥ!」
「おう!」

こうして、一人と二匹の冒険は始まった。

次回第ニ話
「幼き少女と赤き龍」
お楽しみに。

タグ:

+ タグ編集
  • タグ:
最終更新:2008年02月08日 20:35