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Red Rock


「24時間誰も死ななければ一斉にお前たち全員の首輪を爆破する。
6時間毎に放送でそれまでの死亡者と禁止エリアの発表。
禁止エリアに入った場合、警告音の30秒後に首輪は爆破される。」
淡々と告げる男の声を、ただ黙って聞き入れる男が一人。ギラギラと輝く瞳で、主催者であろう二人を睨んでいた。
「(殺し合い……バトルロワイアルって奴か……?)」
さすがに目の前で人が死んだ事には少々驚いたが、今更それに動揺するまでも無い。
何故なら、彼は何度も死んで行く人間を見て来たから。青い炎に焼かれ、灰になって行く仲間達を見て来たから。
そして、その男が反応したのは、最後の勝利者に与えられるという、いわば優勝賞品。

「好きな願いを叶えてやろう」

その言葉は、男を動かすには充分な言葉だった。
ゲームの説明が終わると同時に、会場の人々が消えて行く。そんな中で、男―『草加雅人』―はニヤリと、口元を吊り上げた。


「……神崎……!」
淡々とルールを告げる男を睨みながら、拳を握り締める男が一人。
彼には、主催者であろう男の一人……神崎士郎に、確かな見覚えがあった。
「カードデッキ」を造り出し、自分を含めた13人の人間にそれを配り、ライダーバトルを仕込んだ男。
彼―『城戸真司』―の知る神崎という男は、何を企んでか13人のライダー達を殺し合わせていた。
真司は、神崎が仕込んだ馬鹿げたゲームに乗り、消えて行った男達を知っている。
だからこそ、誓ったのだ。

――これ以上、こんな犠牲を増やしはしない。人を守るためにライダーになったのなら、ライダーを守ったっていい。

そう誓った筈なのに。そう宣言した筈なのに。
二人もの人間が、真司の目の前で、いともたやすく命を落としてしまった。
これは神崎達からの脅しだろうか。
「戦わなければ生き残れ無い」と、そう言いたいのか?
だが、真司には逆効果だった。それはまた、真司の決意を固める原因となる。

さっきまでゲームの説明を聞いていた大勢の人々が消えて行く。そんな中で、真司は神崎へと鋭い眼光を向けた。
「……こんな戦い、絶対に止めさせてやるからな……! 神崎!」


「さて……どうしたものかな」
川辺に佇む雅人。デイバッグを下ろし、周囲を見渡す。
誰も居ない。周辺も特に変わった所は無く、生い茂る木々の間を流れる川しか見受けられない。
「こういう所には出来れば居たくは無いんだけどなぁ……」
低い声で、唸る様に言う。森の中の川……雅人にとってあまり思い出したくは無い記憶まで蘇りそうになってくるからだ。
「はぁ」と、小さなため息をついた雅人は、すぐにデイバッグに手をかけた。
まずは何が入っているのか確認する事だ。殺し合いをする以上、何らかの武器が入っていなければ困るからだ。

「なんだコレは?」
まず、雅人が取り出したのは、白い配色の奇妙な機械。どうやら腕に嵌める様になっているらしく、調度いい具合の穴が開いている。
次に雅人は、その機械の説明書であろう小さな紙切れを発見。
「デュエルディスク……デュエルモンスターズのカードをセットすることで様々な効果を発動させる……」
雅人は、「フン」と鼻で笑い、それを地面に置く。別に捨てるつもりは無いが、今はまだ必要無い。
それは現実的な雅人にとって、あまり理想的な武器では無かったのだろう。
そもそもカードが無ければ使えないとなると、あまり期待する事も出来ない。
雅人は、次の支給品を出す為、再びデイバッグの中に手を入れた。


茂みの中で横たわっていた真司は、ゆっくりと目を開いた。
「ここは?」と呟きながら、茂みの中から体を起こす。次に、眉間にしわを寄せながら、周囲を見渡す。
「どこかの森……?」
見渡す限りの木々達に、真司はそう呟いた。
自分はさっきまで、どこかのホールに、大勢の人間と共に集められていた筈だ。
それなのに、どうしてこんなところに居るんだろう?
そんな疑問が過ぎり、立ち上がる。
静かに、耳を澄ますと、どこからか聞こえる川のせせらぎ。そう遠くは無い。近くに川があるのだろう。
こんな夜中に、こんな誰も居ない森に居たって仕方が無い。
気付けば真司は、音の聞こえる方向へと歩を進めていた。
もちろん宛て等ある筈も無いのだが。


雅人が手に取っているのは、青い長方形の物体。真ん中には虎らしき紋章が描かれている。
「これは説明無しか。不親切なもんだな」
言いながら、それをすぐにポケットにしまい込む。こんな訳の解らない物を、まじまじと見詰めていても仕方が無いからだ。
早速、次の支給品へと手を伸ばす。
「拡声器、か……」
雅人は次にメガホンを手に取り、黒い笑みを浮かべた。これが3つ目の支給品だ。
こんな状況でメガホンを使えば、ゲームに乗った奴らがうじゃうじゃと集まって来るだろう。そんなことは、雅人にも一瞬で解った。
「これは……使えるなぁ」
言いながら、口元を気持ち悪いくらいに吊り上げる雅人。メガホンというアイテムは予想以上に使える代物だと踏んだのだ。
それというのも恐らく、このメガホンは色んな事に使える。
そして、人を集める事もその用法の一つ。他にも、使い方次第では様々な応用が利くだろう。雅人はそれを利用するつもりだ。

一通りデイバッグの中身を調べた。後は水と、地図・名簿。それくらいだ。
用意周到な雅人にとって、この2枚の紙はとても重要な物だった。今後の行動を決める為にも、今ここでじっくりと見ておくに越した事は無い。

一通り名簿に目を通した雅人は、何人か知っている名前を発見した。
「高町なのは……フェイト・T・ハラオウン……天道総司……」
読み上げて行くが、乾の名前は無い。真理も、啓太郎も……雅人が良く知る人物は居ない。
真理が居ない事に関しては、むしろ安心だが。
だが、この3人……なのは・フェイト・天道の3人は間違いなく利用出来る。雅人は、そう直感した。
何に利用するか……それは勿論、雅人が得意とする話術だ。他人の心を揺さぶる雅人の言葉は、何よりも心強い武器となる。
しかも、フェイトは既に雅人に傾いている……と、少なくとも雅人はそう思っいる。
雅人にとってこの3人はそれほどの脅威では無い。天道の実力は未知数だが、未来さえ欺く雅人に、恐怖感を与えるまでもない。
雅人が最後に目を落とした名前は……

――北崎。

「……北崎……!」
途端に、雅人の目に怒りが宿る。
それは、流星塾の皆を……そして、自分を殺した相手。
雅人の中の、排除するべき人物にこの名前を追加。この男だけは、自分の手で殺さなければ気が済まない。
そしてその為に障害となる可能性のある者。雅人にとって、邪魔なノイズとなり得る者は消してしまえばいい。
雅人は、再び笑みを浮かべた。黒い、殺意を感じる笑みを。


「(誰か居る……?)」
流れる水の音に導かれ、真司は川の近くまで近寄っていた。そんな時、真司の目に入ったのは何者かの人影。
迂闊に飛び出る訳にも行かなかった。もしも男がゲームに乗っていたら、真司の命は一気に危険に曝されるからだ。
木の陰から、そっと顔を覗かせる。どうやら男はデイバッグを漁っているらしく、真司に背中を向けていた。
「(顔は見えないけど……地図でも見てんのか?)」
目を細め、男に見入る真司。相手はこちらには気付いていないらしい。
このまま立ち去るか、声をかけてみるか。二つに一つ。
あの男が自分と同じ、対主催側ならばいいのだが……
もしもあの男がゲームに乗っていれば、自分は死ぬかもしれない。
「(あ~……もう……!)」
試行錯誤する真司。どうしたものか……と悩んだ真司は、自らの頭を掻きむしる。その長髪は、まるで真司の心の動揺を表しているかの様に乱れる。
しかし、それは致命的なミスだった。
ガサッ……という音が、静かな森に響く。真司の肘が、隠れていた木の枝に当たってしまったのだ。
「(しまった……ッ!?)」


名簿に続き、地図を眺めていた雅人。
「(ここはどこだ……? 川……ということは……)」
表情を険しくする。周囲に特に変わったシンボルが何も無い今の状況、現在地を割り出す事は至難の技だ。
川がある事から、大体の場所は絞れる。が、それではあまりに不確定過ぎるのだ。
周囲が森である事から、現在地が地図上の右半分に位置する川であることが予想される。
ふと雅人は、支給品に含まれていたコンパスを取り出した。赤い磁針は北を指しており、雅人もそちらを見る。
川がどこまでも続き、その終わりは見えない。ほぼ真っ直ぐ、直線で。
左を向けば、森の向こうには山が見える。そして右側に広がる景色は、どこまでも森。
「……なるほどな……」
雅人は、フッ一瞬、鼻で笑った。その時であった。
ガサッ……。音が聞こえる。
背後から、何者かが立てた物音が。
マズイ。今は、武器と呼べる物は何一つ持っていない。せめてカイザギアさえあれば応戦出来る物の、今はそれも叶わない。
まだここで終わる訳には行かない。
「仕方が無い」。雅人はそう感じ、ゆっくりと背後を振り向いた。
「誰かな? そこにいるのは」


男がゆっくりと振り向く。暗闇のせいで解りにくいが、それなりに整った顔立ちだ。
「誰かな? そこにいるのは」
「(………………)」
息を止め、隠れる真司。
どうする? 逃げるか……いや、そんな事をして何になる。逃げているだけじゃ、戦いを止める事は出来ない。
しばし考える。流れる沈黙が、随分と長く感じられる。いつまでもこうしていて仕方が無い。
……決めた。こうなったら、一か八かに賭けてみるしかない。

真司は、勢い良く飛び出した。男がまともな男であることを祈りながら。


「あ、怪しいもんじゃ無い! 俺は、こんな馬鹿げたゲームには乗ってない!」
「……ッ!?」
両手を挙げながら飛び出した真司に、身構える雅人。
……いや、どうやら身構える必要は無かったらしい。相手は両手を上げ、バカ正直な面でこちらを見据えていた。
「(……バカかこいつは……? ……いや、もしかしたら罠かもしれない……)」
雅人には、真司の思考が理解出来なかった。無防備にも程がある。こんな場合は、たいてい罠だと考える物だ。
だが、一つ引っ掛かる。「ゲームに乗っていない」という言葉だ。罠とも取れるが、それが本当なら……
それはつまり、敵意は無いという事か? この表情から察するに、その可能性が高い。そして、そう考えた次の瞬間には、雅人は笑っていた。
「(……こいつは使えるかも知れないなぁ……?)」
次の瞬間、雅人の表情は一気に緩んだ。緊張感が抜けた、敵意の無い表情だ。

「そうか……良かった……。君が俺と同じ考えで」
「え……?」
キョトンとした表情で、雅人を見詰める真司。
「俺もこんなゲームには乗って無い。ここから脱出する為に、どうすればいいか考えていたんだ」
「え……ほ、本当ですか!?」
真司は、雅人の言葉に、その表情を一気に明るくする。どうやら、真司の賭けは当たったらしい。この男はまともだ!
「俺は草加雅人。良ければ、俺と少し話をしないか?」
「あ、ああ……勿論!」
手を差し延べる雅人に、真司は嬉しそうに駆け寄った。

こうして二人はお互いの名を名乗り、様々な情報を交換した。
神崎という男がライダーバトルを仕込んだ事。雅人も真司も、戦いを止める為に動こうとしていた事。他にも、名簿に入った知り合いの名前等……だ。
真司が言うには、なのは達ならばきっとこんな馬鹿げたゲームには乗っていない……という事らしい。
もちろん、名簿に書かれた「高町なのは」は真司の知るなのはでは無いのだが、そんな事を知る筈も無いのであった。

「――いや~良かった! あんたがいい人で。もしあんたが悪人ならどうしようかと思っててさぁ」
「……ああ、それは俺も同じさ。俺も、城戸君が善人で安心したよ。
俺も城戸君も、こんな馬鹿げた戦いは一刻も早く終わらせようと思ってる。なら、話は早い」
「解ってるって。皆でここから脱出する為にめ、一緒に頑張ろう!」
「ああ、もちろんそのつもりさ。」
ガッツポーズを取る真司。雅人は真司の拳に、軽く自分の拳をぶつける。
草加がまともな人物であったという安心感で、真司の表情は完全に緩んでいた。
草加と協力して、仲間を増やして行けば、こんな戦いは止められるかも知れない。

対する雅人も、真司が「バカ正直」な人間である事に安心していた。
武器も無く、仲間も居ないこの状況。真司を引き込んでおくに越した事は無い。
いざとなればこの男を捨てればいい話だ。それに、完全に自分を信じさせてしまえば、トドメを刺すのも楽に済む。
信頼などと言う脆い感情を信じてる以上、この男に勝ち目は無い。早くも大勢の敵の一人を落としたも同然だった。
そんな事を考えている雅人からは、笑顔が絶えなかった。表向きには明るい笑顔。内面では、悪魔の笑顔。

「城戸君……俺はこれから北へ行こうとしてる。君はどうする?」
「北ァ? 何かあんのかよ?」
「ああ、見てくれ」
言いながら、地図を開く雅人。同時に、コンパスを見せる。
訳が解らないといった表情の真司は、雅人の顔を覗き込む。
「これが何なんだよ?」
「恐らくここは……H-8か7。東に山が見えるからな」
「あぁ……ホントだ」
「このまま北へ進めば……病院がある。まずは病院を目指すんだ。ここで薬や食料、それから簡単な装備を補給する」
「なるほど!」と、大きく頷く真司。どうやら雅人の言い分をそれなりに理解したらしい。
「ここから歩いて1、2時間といった所だろうな。そうだな……病院で一度休息を取って、明朝すぐに市街地へ向かう。どうだろう?」
「ああ、もう全然オッケー! ちょっとずつでも仲間を増やして、絶対脱出しよう!」
真司の笑顔に、雅人も笑顔で返す。
取りあえず、最初の行動は決まった。

「見たか神崎……! このゲームにもまだまともな奴はいるんだ。
絶っっっ対にこんな馬鹿げた戦い、止めさせてやるからな!」
真司は、どこかで見ているであろう神崎に向かって、言った。力強く、自信に満ちた表情で。
大変かも知れないが、雅人と一緒に、仲間を集めてこのゲームを潰す。参加者の皆も、守って見せる。
きっと出来る筈だ。真司の心には、少しずつだが脱出への希望が見え始めていた。

「(城戸は確実に俺に傾いてる……まずは一人、しばらくは手を組んでおこう……。
そして……証明してやる。辿り着くのは……最後の一人は俺だけだって事をなぁ……!)」
一方の雅人は、静かに笑っていた。声にならない小さな声で、真司に悟られないように……ドス黒い、悪魔の様な笑顔で笑っていた。

【一日目 現時刻AM0:35】
【現在地:H-8 川】

【草加雅人@マスカレード】
[参戦時間軸]ACT.14終了後くらい。
[状態]健康
[装備]特に無し。
[道具]支給品一式・デュエルディスク@リリカル遊戯王GX・カードデッキ(タイガ)@リリカル龍騎・拡声器(メガホン)・ウェットティッシュ
[思考・状況]
基本 利用出来る物は全て利用し、最後の一人になる
1.まずは病院に行くか……
2.城戸はバカだ
3.何であろうと俺の邪魔をする者は許さない
4.カイザギアも探さないとなぁ
5.北崎は俺が殺す

備考
※メガホンは何かに使えると考えています
※ゲーム中盤くらいまでは演技を続けるつもりです。
※名前は知りませんが、草加は地獄兄弟……特に「影山瞬」を多少なりとも怨んでいます
※草加からすれば、天道総司も同様に邪魔者です。
※ウェットティッシュは市販の使い捨ての物。元々草加のポケットに入っていた。
どうやら手を拭くくらいしか用途が無いウェットティッシュは、没収対象にはならなかったらしい


【城戸真司@リリカル龍騎】
[参戦時間軸]第二十話~第二十一話あたり。オーディンを殴った後
[状態]健康
[装備]特に無し
[道具]デイバッグ(中身は未確認)
[思考・状況]
基本 神崎の思い通りにはさせない。絶対にこんな戦い止めさせてやる!
1.病院を目指そう
2.雅人はいい奴だよな。頼もしいしまともだし
3.なのはちゃん達と合流したい

備考
※名簿のなのはやフェイトを自分の良く知るなのはやフェイトだと勘違いしてます。

共通の備考
※まだ草加は、自分がなのは達の知り合いである事は明かしていません。
故に真司は、草加がなのは達の知り合いである事は知りません

010-2 本編投下順 012

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最終更新:2008年02月19日 21:35