以下注意書きに、一つでも嫌悪感を抱く方は見ないことを強くおすすめいたします。
なお、この注意書きは投下の最後にも記述しておきます。これはレスの性質上、後に投下したものが最初に目に触れるため。

1)「studio e・go!」レーベル『夏神楽』『鬼神楽』『月神楽』『天神楽』とのクロスオーバー。すべて成人指定のSLGです。

2)上記のシステムを踏襲しているため、SSの内容は人外モノ、触手モノ、妖怪モノ、陵辱モノ他の要素が混ざりあっています。

3)エロいので成人していない方は見てはいけません。みやがったら、目からバイドに感染していくぞ……。

4)時期的にはAsエピローグ時からすこし時間が経過したころの夏です。

いくつかの注意点をあげました。どれか一つでもひっかかる方はブラウザを閉じるなり、戻るなりをご選択ください。

 このさきは、注意書きを見、それでも読み進める方を対象にします。
 読み進める方が途中で気分を害しても、一切責任を負いませんのでご承知ください。


 まえがき

 さて……小難しい注意はここまでにいたしましょうか。簡単に言えば、気に入らなければ読まずに捨ててください、と。
 神楽シリーズのギミックを利用したいがために書いています。
 神楽シリーズのキャラクタやストーリーは遠くに反映されるだけになっていますが……。
 ウロスレ、クロスレあわせても、そんなにプレイ人口はいないはず。知っているとにやりとするかもしれませんが。

 では、先にルールを紹介します

1、
 基本は陣取り合戦。敵は妖怪です。妖怪を駆逐するには、霊脈という霊力のふきだすスポットの『穢れ』をはらうことで完了します。
 これは『穢れ』ている霊脈から妖怪は発生するため、『穢れ』をなんとかしなければ妖怪はどんどん発生してきます。

2、
 次が重要。出てくる妖怪は、男はそのままなぐりころし、女はさらっていきます。
 さらわれた女は、卵を身体にうみつけられ(卵というのは比喩で、実際には妖怪の霊気の塊だそうですが)、ほうっておけば妖怪の子を産み落とすことになります。

3、
 このままでは卵を産みつけられた女性は、妖怪の子を産むのをまつだけですが、救済措置があります。
 男性の精液は卵をうちけす力があり、うみつけられた場所に精液をぶつけることで卵を壊すことができます。
 もっと詳細に言えば、女性と妖怪は『陰』の霊気をもっているため、男性の持つ『陽』の霊気とうちけしあいます。
 この場合の『陰』の霊気は妖怪の卵であり、男性の『陽』の霊気とは男性が陰茎から発射する精液だということです。
 妖怪の卵をうちけすためには、卵を産み付けられた部分に直接精子を打ち込まなくてはいけない。

 さて、実のところ注意事項は二重になっています。先の三つと、後の三つです。どちらも気分を害するには十分なものなので、すこしでも嫌悪を感じた方は、読み進んではいけません。

 最後に申し上げるのは、この作品は決して皆様方の気分を害そうとして書いたものではない、ということです。最初にやろうとしたのはクロノと幹也の声優ネタで――あれやこれややっている間に、エロくなりました。

 ま、まあ文句とか、穴とかありそうですが、とりあえずはじめて見ます。


 第97管理外世界『地球』の再調査が命じられたのは、なのはやフェイト、はやてが最後の夏休みを過ごしていた、夏の初旬のこと。管理局と『地球』を行き来する、多忙な日々を、彼女達なりの朗らかさと明るさで楽しんでいる頃合のことだった。

 新暦71年の今日までに、『地球』は幾度かの調査を受けている。
 一度目の調査は二十余年ほどまえ山奥の学園でおきた『震源のない地震』を、管理局観測室が補足。物理的被害はなかったものの、小規模の次元震がみとめられたことから、管理局は調査隊を派遣するが原因は不明のまま、捜査はうちきりとなった。

 つい数年前にも、同じ山奥の学園で再び発生した『震源のない地震』の調査がおこなわれた。こちらもまた成果が上がらなく、判明したのは、『震源のない地震』の震紋が、転移ゲートを使うときに観測されるゆらぎや、結界を作動させたときの反応に似ている、という検証結果のみだった。

 どの調査も穴はなく、局員は自分の職務を全うした。
ただし時間が限られていたこともあり、『地球』土着の文化や土着の信仰には触れられず、調査は終了することとなった。
 しかし、調査員たちは自分達の使う魔法とは別系統の魔法が、『地球』に存在していることをわずかに探り当てていた。

 そしてつい最近、観測室は『地球』の弓状列島で、膨大なエネルギー反応を観測する。
 世界を一つ二つ簡単に破壊する危険指定級のロストロギア――それには劣るものの推定されるエネルギー量は、『地球』の一地域を灰に変えるほど凶悪なシロモノ。
 しかも報告では、PT事件や闇の書事件のように、ロストロギアが『地球』に流入したのではなく、『地球』で発生したロストロギア級の物体、ということ。

 事態を重くみた管理局上層部は『地球』に深く因縁のあるスタッフを再び結成し、対応に当たらせた。
 それぞれの役職や仕事状況をすべて無視する大規模な任務に批判もあったが、上層部は人事を強行し、最高のスタッフチームをつくりあげた。
 『地球』製ロストロギア<便宜上>の反応は、かつて調査員たちがおぼろげにしかつかめなかった『地球』の魔法が、絡んでいると推測されたからだ。

 形を大きくたがえていても、魔法が『地球』に存在しているか、存在していないかでは、対応が大きく違ってくる。
 管理世界か? 管理外世界か? 判断を確実にするために、上層部はいま動かせる最良の手を選んだのだ。

 L級次元航行艦アースラ艦長、クロノ・ハラオウンを中心に『地球』を故郷とする高町なのは、八神はやてはいうまでもなく、一時期『地球』にすんでいたフェイト・T・ハラオウンが選出され。さらにはアシスタントとしてユーノ・スクライアが同行。という具合に、管理局最強をなのってもおかしくない面子がそろっていた。

 期限は――無制限。だがそれは、完全に調査が終了するまで、戻ってくるなという暗黙の指令でもあった――。


 のち、ユーノ・スクライアの調査によって、そのロストロギア級の物体の正体が明らかにされる――。


 名称、『殺生石』

 場所、水杜神社。


 血が沸き立っているのではないかと錯覚する、うだるような暑さがユーノ・スクライアのまわりを囲んではなさない。すでに帳が落ち、月は昇っているというのに。
ふところに入れていたハンカチを手にし、顔ににじんだ汗をふくものの、暑さだけは去ってくれない。
 完全に空調を管理された次元航行艦から外に放りだされれば、恒温機能に支障をきたすのは当然だ。

 さらに日々、無限書庫にこもるユーノのこと。日焼けということばが縁遠くなってから、どれだけの日がたっただろうか、と思う暇こそあるものの、実際に日焼けをする暇はない。ユーノの肌は深窓の麗人をおもわせるほどに白かった。
 自然、蒸し暑い『地球』の夜に耐性があるわけがなく、首筋をつたいはじめた汗をぬぐった。
改めてまわりを見る。
 アスファルトには皹がはいり、道路の脇には背の高い雑草、むかし事故があったのかガードレールは大きくひしゃげて本来の目的を失っている。ユーノの足元には、名もわからない若草が葉をこすりあわせていた。
 地元住民も見捨てて久しい、緩やかな傾斜をもつ道路にユーノは一人で立っていた。

 いや、一人――ではなくなる。

 ユーノは背負っていたデイ・バックを地面におろして追随者の到着を待つことにした。

 ほどなくして、拳大の白い球体がユーノの目の前に浮かんだ。光のディティールは時をかさねるごとに広がっていき、程なく、ダチョウの卵ほどの大きさになると一気に直径を広げた。

 大気圏外、『地球』の衛星軌道上で待機するクラウディアから、友人二人と――知り合いが一人、転送されてくる。光の正体は簡易転送ポートだ。クラウディアの転送ポートから今まさに人間が転送されてくる。
 人がなにもない空間から出てくるという現象は『地球』に住む人々にとって、どんな光景にうつるだろうか。
 人気がない場所を選んだのは、管理外世界に余計な影響をあたえないためだ。

 光のなかに、人影がうつる。重力から切り離されているのか浮かび上がった三つの人影は、宙に浮いていた。完全な球体だった光球は、卵の黄身のように形をくずし、やがて消え去った――。

 転送ポートの恩恵が消え去り、三人の重力が、『地球』の重力に縛られて数十センチほど落下する――。

 ユーノの傍に転送されてきた少女が、地面に足をつくなりバランスを崩した。緩やかとはいえ、傾斜している地面に足をすべらせたらしい。
 少女の腕がなにかをつかもうとして泳いだ。しかしつかむのは空気だけで――その間にも身体は地面にむかって落ちていく――。サイド・ポニー・テールの髪先がふわりと軽く広がる。

 ユーノは無意識のうちに腕をのばしていた。空中を掻いている少女の手首をつかまえ、支える。

「――と」

 すぐさま体勢をたてなおせるあたり、訓練のたまものか。
 運動があまり得意でなかった少女は訓練と努力によってそれを克服しようとしている。まだ完全克服とまでいかないのは、転びそうになったことから見てとれるが、過去をしるユーノからみれば、十分及第点だ。

「ありがと、ユーノ君……」
「どういたしまして」

 少々バツ悪げに言うのは、久しぶりの再会に格好悪い姿をみせてしまったからだろう。少女ははにかんだ笑いをユーノにむけた。ユーノは、胸の内側にくすぐったさを感じておもわず視線を伏せた。

 少女は高町なのは。管理局につとめながら、『地球』の中等部に通っている魔法少女。
 それほど急いで出てきたのか――着ているのはそちらの制服だった。夏服――ではなく、以前ユーノが見たことのある明るいオリーブ色の上着に、同じ色のプリーツ・スカートの姿は、どこにでもいる少女のようだ。
 しかし、服の内側からあふれんばかりの瑞々しい生気や、時折みせるけわしい表情を見れば、その印象は一変する。この小柄な体に内包する魔力や技術は、ユーノと比較できないほど高い。

「あの、ユーノ君……手」
「え……あ……ご、ごめん!」

 つかみっぱなしだった少女の手首から、脈の鼓動がつたわってきて、あわてて指を離す。

「……」
「……」

 無言の空気が二人の間をふきぬけるころ、少女とともに転移してきた後の二人が十秒はためこんだ息をはきだした。

「おいしいな、フェレットモドキ」
「こんばんわ。ユーノ。久しぶり」

 ユーノは眉をひそめて、にらみつける。殺気を孕んだ視線を、夜にあってもなお明るい金髪の少女に、ではなく少女のうしろでいやらしく嗤う黒髪の青年に叩きつける。
 そんなユーノの殺気もどこ吹く風。にんまりと嗤う彼は、知り合いであり、宿敵であり、友人の友人であり、友人の義兄でもある――クロノ・ハラオウン艦長兼執務官兼提督。
 であったころからあまり変化のないバリアジャケットを装着したクロノ――艦長である彼が、船を留守にすることはほとんどないが――今回ばかりは別だった。クラウディアの指揮は副長にまかせ、自身はこうして実働部隊を指揮するべく、降りて来ている。

「あの、クロノ。さすがにもうフェレットモドキはかわいそうなんじゃ……。ユーノはユーノだよ」

 美しく整えられた眉をよせて、困ったように笑うのはクロノの義妹にして、閃光の戦斧フェイト・T・ハラオウン執務官。月の表面をなぞる金色の絵の具のようにあまやかな金髪が、ゆるい風に遊ばれてひらひらと舞う。

「まあ、それはいいや……久しぶり。フェイト、なのは」
「うん。もう一ヶ月くらいあってないもの」

 フェイトがうなずきながら言った。

「……クロノに関しては二日ぶりだったりするんだけどね。不本意ながら」
「そんな邪気眼でみないでくれ。書庫での仕事を無理やり切りあげてもらったことは謝罪する。それはともかく。で、本当にこのあたりでいいのか?」

 クロノの声が途端に真面目なものになる。責任を求められる立場の人間特有の、きりかえの速さ。一分一秒でもはやい解決を望まれる任務だからなおさらだ。

「うん。この場所で間違いない……。あそこだよ」

 ユーノは夜の黒一色で塗りつぶされている山をゆびさした。山の天頂近くに、紅い鳥居がそびえている。ミッドチルダの人間には縁遠い構造物だったが――鳥居を染める鮮やかな朱色が鮮やかで、どこか神秘的なものを感じさせる。

「あそこで間違いないよ。名前をしらべるのに苦労したけど、それだけ曰くつきだというのは理解できた……」

 ユーノはいちど言葉を切り、三人に向きなおった。

「殺生石。『地球』の日本と中国をまたにかけた、大妖怪のなれの果てだよ。とりあえず言ってみよう。先方にはもう話はつけて――」

 ユーノの言葉は途中でかき消された。耳の奥、鼓膜を太鼓バチで直接叩いたかのような轟音が当たり一面を覆いつくした。
 音の出先は――。件の神社の、傍からだった。
 圧力を持つ音をかわせなかったのは、ユーノだけだったらしい。
 痛みに耳を押さえている間に、フェイトとなのはがすばやく自らの愛機をとりだした。
 普段はなのはの胸元に吊るされ、管理局制服に花をそえる緋色の宝玉レイジングハート・エクセリオンが、本来の姿に構成されていく。
 おなじく、月明かりを金の装飾に反射させるバルディッシュ・アサルトが、戦斧の姿を取り戻し、バリアジャケットを展開したフェイトの手に収まる。

 管理局本局で名うての実力者ふたりと実力と、若輩ながらすでにかずかずの現場を渡り歩いてきた指揮官で構成されるチーム。
 これほど安心感のあるほかの部隊をユーノは知らない。
 どんな部隊の部隊長も、のどから手が出るほどほしい存在。圧倒的な保有魔力と、その魔力を生かせる才覚をもった天才、三人。

 ユーノの耳の痺れがとれたころ、四人は同時にうなずき、神社に向かってはしりはじめた――。


 鳥居へのびる石段を――飛行魔法で十段飛び――一気にかけぬける。


 フェイトが先頭、クロノが二番手。なのははそのあとで、ユーノが最後尾。事前にきめていたポジションだった。

『……みんな。鳥居の影のあたり……』

 先頭のフェイトが精神通話を送る。ユーノは視線をあげ、鳥居の片はしらのあたりに人影があるのに気がついた。
 月の影になっているためはっきりとは見てとれないが、影は人間のシルエットとは明らかにちがっていた。

『あれ? なんか、ちょっと――』

 しっぽみたいなものがでているんですけど!?
 あと微妙に耳のかたちがおかしいような!?

『アルフに似ている……かな?』

 石段の途中で足をとめたフェイトたちはその異様な風体の人物をあおぎ見る。さきほどよりも近づけたおかげで、人物の輪郭がはっきりしてきた。
 ユーノの違和感は正しかった。やはり普通の人間にはじゃない。身長から見れば少女というよりは童女という表現が正しい。
 特徴としてはアルフやザフィーラとおなじ種類の、しなやかな尻尾と、三角形の耳。どちらもやわらかそうな毛が生えている。
 鳥居と同じ色の袴が目にあざやかだった。

「……ここの神社の関係者ですか?」
「――!!!!!!」

 クロノが声をかけた刹那。童女は神速のそれで鳥居のはしらに隠れてしまった。が、頭かくしてなんとやら。柱から尻尾だけがはみだしている。

「……」
「子供の扱いが苦手……と。子供ができたら大変そうだね、クロノは」
「黙っていろ淫獣――。こわがらせたのなら申し訳ない。だが、この神社に危険がせまっている――」

「ナツは……へいき」

 少女はクロノに答えた、のか? ナツというのが、この小動物のような少女の名前らしい。

「それよりも――あっち。初花と桂香たちがいる」
「この神社の娘さん……かな?」

 なのはの問いに、ナツはこくんとうなずいた。

「ユーノ。君は――」
「わかっている。この子と一緒にここでまっているよ。残念だけど、いまの僕じゃ三人のコンビネーションを壊しかねない。もうすこし時間があればよかったんだけど……」

 言いたいことがわかったのかクロノは黙ってうなずいた。フェイトとなのはは淋しそうな顔をしてくれていた。
 一緒に戦うには――ブランクが長すぎる。
 いまだに最前線にでているクロノたちと、いまは無限書庫に詰め戦闘からはなれているユーノでは実力に違いができている。
 へたにコンビネーションへ介入するよりも、適材適所でできることを探したほうがいい。守ることに関してだけなら、ユーノは三人に引けをとらない自信があった。
 ユーノはナツのそばまで石段を登ってく。さきほどのように逃げ出してしまわないか心配はしたが、ナツはどこにもいかなかった。ちいさな鼻をくんくんとゆらし――なぜかユーノの服袖をにぎりしめた――。

「ユーノ君……」

 なのはの声には、わずかな険がこもっているのを――残念ながら、ユーノは聞き逃した。

「ナツ……ちゃん? これからこの三人が君の仲間をたすけに行くから……僕とここで待ってよう。いや、もともと待っているつもりだったんだっけ?」
「ん……」
「じゃあ、クロノ」
「ああ。たのんだぞ」

 言うがはやい。クロノはきびすを返してナツの指した方向へと走っていく。

「ユーノ! しっかりね!」
「ユーノ君……。がんばってね!」
「了解。ふたりもがんばって!」

 フェイトとなのはもクロノに続いてはしっていく。

 ついていけばよかった、と後悔するのはわずかに、後。


 ユーノはかなり長い時間、ナツとともに神社で待機することになった。
 無口なナツから事情を聞きだすには、かなりの困難がつきまとっていたが、それでもいま進攻している事態のディティールは捉えることはできた。
 そうこうしているうちに、神社につめている住人たちと、クロノたちがもどってきた。
 様子がおかしかった。とくに、フェイトの。意識をうしないだらりと身体を弛緩させ、制服のところどころを破損させ、クロノに抱きかかえられる、フェイト。

「みないで……みないであげて……おねがい……」

 なのはが泣き叫んでいた。
 事態がまったくのみこめないユーノは呆然とするしかない。
 なのはと二人の巫女さん――音羽桂香と音羽初花――がクロノからフェイトをうけとり、神社の階段を上がっていく。ナツも、四人のあとに続いて神社へとむかった。

 その場にのこされたのは、ユーノとクロノ。それにクロノと同じ年かさの青年に、どこか得体の知れない雰囲気をもつ女性――。
 前者の男性は滝峰幹也という名で、もともとこの神社の住人ではないらしい。
 後者の女性は音羽葉子。さきほどの巫女さんとおなじ苗字だが、血のつながりはないという。
 クロノはぽつりぽつりと、ユーノに説明をはじめてくれた。砂を噛んだような、苦々しい顔をしながら。
 そこではじめて、ユーノは事態の深刻さにきがついたのだ。
 妖怪に襲われる――という言葉の意味と、フェイトが――妖怪に襲われた――ことの意味を。


 ユーノはそこまで報告書を書き上げて、思考をとめる。ここから先はなんて書いたらいいのだろうか。
 客間が準備できるまで、と通された水杜神社の居間で、ユーノはため息をついた。
 テーブルに肘をつき記憶装置に走らせていた指をとめた。視線を報告書からすべらせ、畳に横たわったなのはを見た。
 座布団を布団かわりに、寝息を立てているなのはが見える。
 安らかな寝息をたてて眠っているものの――目の端から涙をながしつづけている。
 頬を伝って流れた涙が、畳に染みをつくっていた。

 フェイトが運ばれてきたときに気がつくべきだった。
 あのとき、フェイトはすでに妖怪に襲われ妖怪の生殖行動の犠牲になっていたのだ。
 妖怪に襲われると、男はなぶりころされ、女はその体内に卵を産みつけられる。
 陵辱にちかい生殖行為は、女性に多大な負担をかける。そればかりか、治療が行わなければ襲われた女性は妖怪の子を産んでしまうのだ。
 その治療――というものにもかなりの問題がある。だが、妖怪の子どもを産み落とすよりは――と、治療を望む女性は多いという。
 フェイトはいま、クロノによって治療を受けているはずだ。

 こうなった理由に、なのはとフェイトとクロノの不調が挙げられる。
 滝峰幹也と音羽姉妹がたたかっていたのは、大蜘蛛という妖怪で、これは読んで字のごとく巨大な蜘蛛の妖怪だという。
 戦闘に介入したクロノたちの協力もあり、大蜘蛛を退散させることには成功したが、その後がまずかった。
 大蜘蛛は撤退する前に、その場にいた人間の『霊力』をうばいとっていった。
 彼らのいう『霊力』と魔力にはある程度共通するものがあるようだった。クロノ、フェイト、なのはの保有魔力量は、いまやBランク以下にまで落ちている。
 さらに妖怪の近くでは、どうやら魔法が使いにくくなるようだ。
 悪いことはさらにつづく。三機のデバイスが先の戦闘『以外』の場所で破損した。
 机の上に載っているレイジングハートとバルディッシュ、デュランダルは自己修復中だ。

「音羽桂香さん、ねえ……。触れただけでデバイスをこわすほどの機械オンチ、か」

 聞くところによると、桂香は極度の機械オンチらしい。電子レンジをつかえば爆発し、パソコンをいじればメモリが飛ぶ、という具合に。
 本人も機械との相性悪をしっていたが、杖の形態をとったデバイスをまさか精密機械などとは思いもしなかったらしい。

 こんなことが立て続けに起これば、どんな魔導師だって混乱する。
 なのははいつものように発動しない魔法にあせり、妖怪「木霊」におそわれた。
 硬直するなのはをフェイトはかばい――その結果、木霊につれさられてしまった。


 持ってきてもらってそのままになっていた毛布を、なのはの肩にかぶせながら、ユーノは何度目かわからないため息をついた。


 うすぐらい畳敷きの部屋にあって、あきらかな光源は、わずかに空いた戸からさしこむ月光ばかり。
 フェイト・T・ハラオウンという少女は、尻部を高くつきあげ、四つんばいの格好で布団にひれ伏していた。

「――ッ――ハッ――!」

 声にならない悲鳴をあげながら。

 差し込んだ光は、水面のようにゆれつづける豊かな金髪と、肌にひたり、と張りついたうすい白衣を克明にうつしだした。
 白衣の下には襦袢がなく、フェイトがゆれるたびに胸元の女性が揺れ袂を崩していく。
 下半の白衣は胴帯の部分までまきあげられ、日ごろの訓練や実務でつちかわれた脚線が、布団の上にほうりだされていた。
 そんなあられもない姿の義妹を――クロノ・ハラオウンは、意識を凍りつかせながら抱いていた。
 ただし、正しい位置への挿入ではなかった。
 金色の草むらは既に湿り気を帯びていた。鮮やかなサーモンピンクの淫花は、しとどにぬれているものの、クロノの肉棒はそこを突いてはいなかった。
 彼はいま、四つんばいになったフェイトのうしろの穴を犯している。心を凍りつかせながら。
 ただ機械的に腰をうごかし、ただ精をはなつのみとしたい。
 だが視覚にはいってくるフェイトの姿は、すでに義妹のそれではなく、色気をもった一人の女性としてうつっている。
 突くだびに帯がゆるんで、白衣は自然と着崩れしていった。後ろ襟がさがりまろやかな肩が露出する。髪が肩にながれ――肌にはりついた。肩から流れた豊富で綺麗な髪は、シーツに金色の波をつくっている。

「あ……や、やだっ……」

 衣が肩からぬけたのに気がつき、フェイトは自分の肩を抱いた。露出していた肌が一気に高潮する。

「く――ッ――ツ――」

 声をおしころしながら指先をえりにまわし、それ以上ずり落ちるのをさけようとした。
 いじらしく恥辱にゆがむ表情も、男にとっては欲情をそそる材料となってしまう。
 それが彼にとって腹立たしい。治療といいきかせた自分が、これだ。理性より本能が、性欲がさきばしっていた。

 クロノがだしいれするたびに、後穴にぬりたくった油や軟膏もひきだされてきた。
 いちど強制的に開かれてしまったが、本来ものを出しても挿入できるようにはできていない菊蕾は、クロノの男根をきつくしめつける。
 成長期にあるとはいえ、クロノと比べると小柄なフェイトのそこはやはり小さく、婚約者の膣道や直腸ではあじわえない締めつけと男根への刺激があった。
 腰のあたりからふつふつと湧きあがる欲情の念が、クロノの理性を飲み込もうとしている。すでに頭の半分が真白で、視線は衝撃に耐える彼女だけをとらえていた――。

 ねちゃねちゃに塗れた菊蕾が淫猥にひかり、突きこむたびにたわわな胸がゆれている。

――治療だ。これは治療だ。

 クロノは自身にいい聞かせる。

――治療……なんだ、から……。

 フェイトは自身にいい聞かせる。
湧きあがる欲情に必死で耐えていた。
 体の内側をすべっていくクロノの肉鉾は、いつしか不気味な感覚をともなっていた。
 痛みはほとんどない。治療をするまえ、クロノが丹念に軟膏をぬりこんでくれたこともあり、苦痛は最小限ですんでいる。フェイトは体から力がぬけていくのを感じていた。
 二度目――快楽を享受する準備を済んでしまっていたのだ。フェイトの意思とは、ほとんど関係なく。
 クロノがモノを出し入れするたびに感じる背徳的な快楽で、尾てい骨のあたりがしびれている。
 フェイトは勝手に口をついてでていってしまう、悲鳴と喘声をおさえるため布団に顔をおしつけた――。
 直腸内に存在している男根が奮え、同時に、体の中に熱いものが叩きつけられた。

「あ――あぁ――ぁ!」

 ピストン運動がゆっくりと止まり、フェイトは行為の終わりを感じて脱力した。布団につっぷす。
 クロノから放出された精子は熱く、フェイトの直腸を焦がしていた。
 わすれたい。だが、生涯、フェイトを一生さいなみつづけるだろう記憶が、ふたを開けてしまった。

(後編はこちら

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最終更新:2008年03月10日 17:25