『ファイナル!! フュゥゥゥゥゥジョォォォォォォン!!』
凱の叫び声と共にステルスガオーがガイガーの背中に、ライナーガオーが両肩に
ドリルガオーが両脚と合体する事でファイナルフュージョンが完了され、
GGGの誇るスーパーメカノイド「ガオガイガー」が誕生するのである。
『ガオ!! ガイ!! ガァァァァ!!』
「今度は合体した!!」
「だからこんな物に私達の税金を使うな!!」
ヴィータはもう完全に呆れてしまっていたが、他の勇者ロボ達も合体を開始した。
『シンメトリカル!! ドッキング!! 超竜神!!』
『三位一体!! ビッグボルフォォォッグ!!』
氷竜・炎竜の合体して超竜神、ボルフォッグを中心にガンドーベル・ガングルーの
二体の支援メカの合体してビッグボルフォッグとなった。
「うわ! こっちも合体した!」
「もう突っ込む気にもならないよ…。」
ヴィータはもう文句さえ言う気力も無くなっていたが、ガオガイガー・超竜神・
ビッグボルフォッグ・ゴルディーマーグの4体はフェレットゾンダーへ向けて攻撃を開始した。
『一点集中攻撃行くぞ!! ブロゥゥクンマグナム!!』
『ダブルガン!!』
『4000マグナム!!』
『マーグキャノン!!』
各ロボットの武装による一斉発射がフェレットゾンダーに襲い掛かった。
これならば如何に強力なゾンダーバリアであろうとも突破は容易い…と思われた。
『ゾンダ~!』
『何!?』
何と言う事か、4体の一斉攻撃を弾き返したでは無いか。しかし…これは
通常のゾンダーバリアとは少し様子が違う様だった。
『何だあのバリアは…何と言うか…魔方陣の様にも見えたが…。』
「あれはミッド式防御魔法!!」
「何故フェレット怪獣があんな事出来るんだ!?」
フェレットゾンダーはユーノがベースとなっている。そしてミッド式魔導師でもある
ユーノの防御魔砲がゾンダーとなった今も使用可能だったのだが、その様な事を
GGGもなのは達も知る由もなかった。
『こうなったら肉弾戦だ! 取り押さえろ!』
『よっしゃ! うぉぉぉぉ!!』
勇者ロボ軍団が一斉にフェレットゾンダーに飛びかかった。が、その時だ。
フェレットゾンダーの足元に魔方陣が現れ、そこから光り輝く鎖が飛び出して
勇者ロボ軍団の動きを封じてしまったのである。
『ゾンダ~!』
『うっ! 何だこれは!?』
「これは! ディレイドバインド!? こんな事まで出来るの!?」
これもやはりミッド式のバインド魔法の一つである。そして勇者ロボが
動けなくなった今、フェレットゾンダーは再びなのはに向けて突き進むのみ。
『ゾンダ~!』
「キャァァァ!! 何で私ばっかり追い駆けられるの!?」
「なのはー!!」
『くそぉぉ!! このままでは子供の命が!! 俺は子供一人の命も救えないのかぁ!?』
もう滅茶苦茶だ。勇者ロボ達は動けず、後を追うフェイト&ヴィータも間に合わない。
恐怖の余りなのははフェレットゾンダーに最大出力のディバインバスターを撃ち込むが、
フェレットゾンダーの強力なゾンダーバリアとミッド式防御魔法の二重の防御を破れない。
そしてついにはその手に捕まってしまった。本来のフェレットの前足は物を掴める様には
出来ていないが(?)ゾンダー特有の変形能力によって前足を人間の手の様に変形させ、
なのはを掴んでいたのである。
「キャァァァァ!!」
「なのはー!!」
『やばい! 子供が捕まった!』
『と言うかさっきあの子供が何かビームみたいなの撃たなかったか!?』
魔法の存在を知る由も無いGGG勇者ロボ達は思わずなのはのディバインバスターに突っ込みを入れていたが、
このままではなのはの命が危ない。握り潰されるか…喰われてしまうか…取り込まれてしまうか…
いずれの内の一つかと思われたが…意外な事にフェレットゾンダーの取った行動はそのどれでも無かった。
『ゾンダ~! ゾンダ~! ゾンダ~!』
「キャァ! 何!? くすぐったい! くすぐったいよぉ!」
「え…?」
フェレットゾンダーは嬉しそうになのはに頬擦りを始めたのである。勿論なのはを傷付けない様に
上手く手加減して…。これにはその場にいた全員が唖然としてしまうが、その間も
フェレットゾンダーはなのはへの頬擦りを続ける。
『ゾンダ~! ナノハ~! ナノハ~!』
「え!? こ…この声は!」
なのはは気付いた。若干電子的な音声に変換されてはいるがフェレットゾンダーの泣き声は
ユーノの物であり、その上魔力パターンもなのはの知るユーノのそれだったのである。
「ユーノ君!? もしかしてユーノ君なの!?」
『ゾンダ~…。』
「ゾンダ~じゃ分からないよ! ユーノ君なの!? 違うの!? どっちなの!?」
『ゾンダ~…。』
『ど…どうなってるんだ?』
状況が飲み込めない他の皆は唖然とするばかりだったが、なのはを掴んだ途端に
フェレットゾンダーが大人しくなったのは事実だった。
「一体どうしたの!? どうしてこんな酷い事するの!?」
『ゾンダ~…。』
「だからゾンダ~じゃ分からないよ!」
フェレットゾンダーの正体がユーノであると悟ったなのはは何とか説得しようとしていたが、
それによって勇者ロボ達を縛っていたバインドが緩み、脱出する事が出来た。
『奴が大人しくなった今がチャンスだ!』
「あのフェレットのバケモノからなのはを助けないと!」
勇者ロボ達とフェイト&ヴィータが同時にフェレットゾンダーへ突っ込んだ。
そしてまずはフェレットゾンダーに捕まったなのはの救出だとばかりに
フェイトとビッグボルフォッグが先行する。
「バルディッシュザンバー!!」
『ムラサメソード!!』
『わー! あの子供も何かビームの剣みたいなの出したー!』
フェイトのバルディッシュザンバーに勇者ロボ達はやはり驚きを隠せなかったが、
とりあえずバルディッシュザンバーとムラサメソードのダブル攻撃が
フェレットゾンダーの前脚を切り裂き、なのはを引き離す事に成功した。
『ようし今だ! 行くぞゴルディマーグ!』
『おう! システムチェェェンジ!!』
今度はゴルディマーグがガオガイガーの右腕となるマーグハンドと武器となる巨大ハンマー、
ゴルディオンハンマーへと分離変形した。
『ハンマーコネク…。』
ガオガイガーがマーグハンドを装着し、今度はゴルディオンハンマーを握ろうとした時…
『ゾンダ~!』
『うおっ!』
引き離されたなのはを再び取り戻さんばかりにフェレットゾンダーが突撃して来たのである。
そしてその進路上にガオガイガーがいたばかりにゴルディオンハンマーを握りそこねて
弾き飛ばされてしまった。
『うわぁぁぁぁ!!』
『隊長!』
「このぉぉぉぉぉグラーフアイゼン!!」
ガオガイガーをフォローする為に超竜神が、なのは救出の為にヴィータが突撃した。
しかしこれも逆に弾き飛ばされてしまい、フェレットゾンダーの再生した前足によって
再びなのはは囚われてしまった。
『ゾンダ~! ナノハ~! ナノハ~!』
「やめて! ユーノ君やめて! どうして!? どうしてこんな事するの!?」
フェレットゾンダーはなのはを掴んだまま移動を始め、海鳴市にさり気なく存在した
超高層ビル「海鳴タワー」へ上り始めた。
『うわ! あいつあの女の子を掴んだまま海鳴タワーに登り始めたぞ!』
『もう勘弁してくれ! キングコングじゃないんだからさ!』
さながらキングコングを連想させる光景に勇者ロボ軍団もちと呆れていたが、
このままではなのはが危険な事に代わりは無い。しかし高層ビルに登られてしまったら
ガイガイガーしか飛行手段を持たない勇者ロボにとってキツイ状況だと言える。
特になのはが人質に取られたも同然の状態である為、人命救助もまた重要な任務である彼等は
なのはを傷付ける事を恐れて手出しが出来なかった。せめてもの幸いはフェレットゾンダーが
なのはを大切にしており、別に取り込んだり食い殺したりと言った事はしていない事であろう。
『くそっ! あんな高いビルに登られてしまったら手が出せない!』
『ゾンダ~!』
海鳴タワーの頂上まで登ったフェレットゾンダーはまるで自らの勝利を誇るかのように鳴く。
そしてその様子を遠くから見たゾンダリアンボロネズがかすかな笑みを浮かべるのである。
「さて…そろそろですね…。」
最終更新:2007年08月14日 13:02