前述の通りゾンダーは人間のストレスをエネルギーとする。そして元になった人間の
欲求が全て満たされた時、ゾンダーロボはゾンダー胞子の苗床と化して素粒子Z0を放出、
有機生命体をゾンダーに、無機物をゾンダーメタルプラントの基盤へと変えてしまう。
無論そこでゾンダー化した者からさらにゾンダーへ変質させられるゾンダー化の連鎖も起こり、
元がたった一体のゾンダーロボであろうとも、ゾンダー胞子の苗床として完成した時、
地球全体を機界昇華させられる力を持っているのである。しかし…
「どうして!? どうしてなの!? どうしてユーノ君そんな悪い事するの!?」
『ゾンダ~!』
「だからゾンダ~じゃ分からないよ! 正直に答えてよ!」
なのははフェレットゾンダーがユーノであると完全に悟り、説得しようとしている様であった。
しかし、ゾンダーに何を言っても無駄であり、ただ『ゾンダ~!』と返って来るのみであり、
その様な事情の分からぬなのはを怒らせてしまう事は必然だった。
「もう! こんな悪い事する上に聞き分けの無いユーノ君なんか…大っ嫌いっ!!」
『ゾ…。』
なのはが涙を流しながらそう叫んだ瞬間、フェレットゾンダーの動きが止まった。
まるで己の全てを否定された様な…その様な顔になっていたのである。
そしてなのはを掴む前足が緩み、なのははフェレットゾンダーから脱出した。
『おお! 何か分からんが女の子が脱出したぞ!』
『でも何か空飛んでる様に見えるのは気のせいか?』
なのはの脱出によって勇者ロボ達にも勝機が見えて来たのだが、一方その頃、
ヴィータは先程フェレットゾンダーに吹っ飛ばされた際、ギリギリの所で防御魔法で
身を守った為に致命傷は免れたが、それでもごくわずかな時間気を失っており、
そして目を覚ました時、自分の帽子のウサギが汚れていた事に気付いたのである。
「あ…はやてに買ってもらったウサギが…うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」
ヴィータは帽子のアクセサリーとしているウサギのぬいぐるみを汚される事を
何よりも嫌う。それによって怒り狂ったヴィータはグラーフアイゼンを拾い上げて
フェレットゾンダーへ再度突撃をかけようとしていたのだが…
『ちょっと待てぇ! 俺を持って何をするつもりだ!? と言う以前に何故俺を持ち上げる事が出来る!?』
ヴィータが拾い上げた物はグラーフアイゼンでは無く、何を勘違いしたか、先程ガオガイガーが
ハンマーコネクトに失敗したゴルディオンハンマーを拾い上げていたのである。
しかもそれを持ち上げたまま海鳴タワー上のフェレットゾンダーに向けて飛び上がっている。
確かにグラーフアイゼンにはヴィータ本人の何倍ものサイズの巨大ハンマーに変形するモードがあるが、
ゴルディオンハンマーの重量は300トンに及ぶ。はっきり言ってこれは異常事態である。
「うおおおおおおおお!!」
『ちっ小さな女の子がゴルディオンハンマーを持ち上げて飛んでるぞ!』
『私達は夢を見ているのでしょうか…。』
無理も無い。推定小学校低学年程度の外見のヴィータがゴルディオンハンマーを持ち上げて飛ぶ光景は
明らかに普通では無く、勇者ロボ達も呆れてしまうのは仕方の無い事だった。
「うおおおおお!! 死にくされぇぇぇ!!」
ここで説明しよう! ゴルディオンハンマー。
正式名称「Gravity Shooc WaveGenerating Tool」
重力場の中に活断ウェーブを作り出し、あらゆる物質を光エネルギーに変換する地上最強の…
「うぉりゃぁぁぁぁ!!」
大発明…であるが…理解出来ない人間にとっては全くの無意味であり、ヴィータもまた
単なるハンマーとしてフェレットゾンダーを殴り飛ばす事しかしていなかった。
『こらぁ! 活断ウェーブが出る前にぶん殴るんじゃねぇ!』
「ってうわぁ! こいつグラーフアイゼンじゃない! いつ入れ替わったんだ!?」
ヴィータもやっと気付いていたが、これでフェレットゾンダーも海鳴タワーから叩き出され、地に落ちた。
『よし今だ! ダブルトンファー!!』
地面に叩き付けられて体勢を崩したフェレットゾンダーを超竜神がダブルトンファーで滅多打ちにする。
だが、それだけでは無かった。
「ユーノ君!! こんな悪い事する子にはお仕置きだよ!!」
『わー!! あの女の子が何か光ってるぞ!!』
なのはが海鳴タワーよりもさらに高い所から周囲の魔力の集束を行っていた。そして…
「スタァァライトォォブレイカァァァァァァ!!!」
『うわぁぁぁ!!』
『た…退避ぃぃぃぃ!!』
『何か良く分からんけどプロテクトシェェェド!!』
ついになのはの内に眠れる悪魔が目を覚まし、これはやばいと本能的に悟った勇者ロボ達はその場を退避。
そして放たれたスターライトブレイカーはフェレットゾンダーのゾンダーバリアと防御魔法の
二重防御を容易く突破し、吹き飛ばしていた。
『何だ!? 何が起こったんだ!?』
『まったく何て子供だ…。』
「とにかくなのはが無事でよかった。」
勇者ロボ達は呆れるしか無かったが、これでフェレットゾンダーは大きなダメージを受けた。
それを確認したガオガイガーはゴルディオンハンマーへと走る。
『よし! 再度ハンマーコネクトォ!! ゴルディオン!! ハンマァァァァ!!』
「わー! あの黒いロボットが金ピカ成金になったー!」
ついにハンマーコネクトに成功したガオガイガー。ガオガイガーはゴルディオンハンマーを
装着する事で、風さえ光に変える金色の破壊神となるのである。
『うおぉぉぉぉ!! ハンマーヘル!!』
「うわー釘成金ロボが釘刺したー!」
マーグハンドのタイヤの部分から飛び出た光の杭をフェレットゾンダーの頭部へ突き刺した。
『ハンマーヘブン!!』
「中から丸いの抜き出したー!」
そして釘抜き状の部分から光の杭と共にゾンダー核を抜き取る。
『ゾンダーよ!! 光になれぇぇぇぇぇぇ!!』
「わーフェレットゾンダーが光になったー!」
ゾンダー核を抜き取った後、フェレットゾンダーの体はゴルディオンハンマーの一撃によって
忽ち光へと変換されて行った。
「クーラティオー! テネリタース…セクティオー…サルース…コクトゥーラ!」
「ああ…ありがとう…ありがとう…。」
「やっぱりユーノ君だったの…。でもどうしてあんな酷い事を…。」
『あの子にただゾンダーに寄生されていただけで、非は無いんだ。そう責めないでやってくれ。』
フェレットゾンダーが光にされた後、ゾンダー核はGGG特別隊員「天海護」少年の手によって
浄解される。ギャレオンの手によって地球に運ばれた異星人でもある彼はゾンダー化した人を
浄解によって元の人間に戻す事が出来る。そしてゾンダーから解放されたユーノは
ガオガイガーの左手の上で両手を合わせ、これ以上無い程に嬉しそうに涙を流していた…。
ゾンダーメタルは元々、異星人が己のストレスを消す為に作られた物である。
だからこそ強いストレスを持った人間をゾンダーへ変えていたのだが、天海護少年によって
浄解された後、ゾンダーへ変えられた人のストレスは完全に消滅し、心晴れやかとなる。
これによって凶暴さで有名だった悪役レスラーが正義の善玉レスラーへ変貌するなど、
様々な変化があったのだが、ユーノもまたストレスが消え、素直になのはに告白するに至っていた。
「なのは!! 僕は君が好きだ!!」
「私もだよユーノ君。」
『あのさぁ…そういうのって…もっと場の空気を考えてやろうな…見てるこっちが恥かしくなるよ…。』
ユーノの大告白劇に勇者ロボ達も本当に呆れていたが、これで事件は解決。
破壊された街もGGGの力と大人の事情によって来週辺りには完全復興しているからその辺も無問題。
恋愛に関して鈍感ななのははユーノの好きだと言う告白を、「LOVE」としての好きではなく
「LIKE」としての好きだと勘違いしていたのだが、それでも以前より二人きりで
いてくれる時間が増え、ユーノはとても嬉しかった。そして休日には復興した街に
二人で遊びに行ったりもしていたのだが、それを快く思わぬ者がいた。
「ユーノ…許さない…。」
その者こそフェイト=テスタロッサ=ハラオウンその人である。そしてユーノに
憎悪を燃やす彼女の放つ強烈なストレスがゾンダリアンを招き寄せるのは当然の事だった。
『ゾンダ~!』
『行くぞゾンダー!! ガオガイガーが相手だ!!』
バルディッシュに手足の生えたようなゾンダーロボと化したフェイトとガオガイガーの
壮絶な格闘戦が繰り広げられ、そこからさらに浄解された後、
フェイトは盛大になのはをベッドに押し倒したりなんかしたりしなかったりするのだが
それはまた別のお話と言えるだろう。
おわり
最終更新:2007年08月14日 13:03