JS事件から暫くした機動六課・・・
怪我をしていた隊員も全員復帰し隊舎も復旧した頃・・・全隊員が会議室に集められた。
「スカリエッティのラボが地球に!?」
思わず、なのはは大声をあげた。
「どういう経緯で、ということはようわからんけど・・・
スカリエッティが万が一のための保険を残していたらしいんや」
はやても困惑の色を隠せなかった。
おそらく作戦に失敗し自分が捕まった後でも逃げ延びたナンバーズ誰かがそこに行き、
自分のクローンが活動できるよう保険をかけておいたのだろう。
「まさか私達の世界に・・・スカリエッティ・・・!」
特に最終決戦の時、スカリエッティと戦ったフェイトは怒りを僅かに表していた。
「それでどうするの?」
「どうするもこうするも決まってるやろなのはちゃん・・・うちらで片付けるんや」
こうして機動六課はJS事件の残務処理として第97管理外世界、地球に出向く事になった。
そして舞台は、地球の日本、笹鳴町にあるお屋敷に変わる。
「お姉ちゃん、大丈夫?」
「大丈夫よヒロ・・・ちょっと頭がボーっとするだけよ」
このお屋敷で住み込みで働く日和見紗和々はその日、風邪で倒れた。
その姉を気遣うのは、唯一の肉親である弟のヒロである。
「今日一日寝てれば良くなるわよ、だからヒロ、心配しないで」
「う、うん・・・でも仕事は?今日の食事だって・・・」
メイドである紗和々はもう1人のメイドと共に家事の全てを任されていた。
食事はここ最近は紗和々に任せっきりである。
「心配しないでヒロ、今日の晩御飯はカレーにするつもりだから・・・
あなたやフランちゃん、リザさんと一緒にやれば出来るわよ」
「姉さん・・・」
紗和々はぎゅっとヒロの手を掴んで言った。
バァン!
その時、部屋のドアが大きな音を立て開いた。
「ヒロ!居るか!?」
現れたのは、この屋敷に居候しているリザ・ワイルドマンである。
「どうしたのリザ?今日の晩御飯はカレーだから僕たちでも用意できるよ」
「そんな次元の低いレベルの話してる場合じゃない!姫が大変なんだ!」
「ど、どうしたの?まさか刺客でも来たの!?」
魔法少女リリカルなのはStrikers×怪物王女クロスオーバー
「魔法王女」第1話 ふが
ともかくヒロはリザと共に走った。
「大変って、何があったの?」
「とにかく来い!」
そして二人は、姫の部屋に着いた。
部屋の中には・・・
黒いドレスを纏い、金色の髪とティアラを付けた女性が・・・
床に仰向け倒れていた。
彼女がこの屋敷の主である「姫」である。
「これって、何があったの?」
「あたしもわからないんだ・・・でも部屋で倒れる物音がしたから来てみたら・・・」
「どうしよう・・・まさか・・・」
「心配するな、私は平気だ」
すると、姫はゆっくりと起き上がる。
「姫!?大丈夫なの!?」
「ああ、体が重いが心配するな」
確かに、体を起こすのにも一苦労している様子だった。
「フランドル、ベッドに私を運んでくれ」
「ふが」
姫の傍らで直立不動だったメイドのフランドルは返事をすると軽々と姫を持ち上げベッドに運んだ。
子供、それもかなり身長の低い彼女とは思えない力だった。
「どうなの姫?体の具合は?」
ヒロはベッドに移された姫に今の具合を聞いた。
「・・・わからない・・・だが、これは兄弟の誰かが仕組んだものではない・・・
そうだな、してい言えば魔法だな」
「魔法?」
姫の口から出た魔法という言葉にヒロはきょとん、としてしまった。
「魔法って、どういうこと?」
「おそらく、私の体の中に何か魔力の強いものでも入り込んだ・・・それが私の体内でうごめいてる、ただそれだけだ」
淡々と説明するが、息を荒くし苦しそうだった。
「魔法か・・・」
とぼとぼとした足取りで学校に向かっていくヒロ。
あの後ヒロは姫に「お前が心配してどうこうなる問題ではない」と言われ学校へと行った。
確かに、自分ではどうこう出来る問題ではないが・・・
「でも、魔法って・・・」
「どうしたのヒロ?」
「れ、令里さん!?」
そんなヒロに声をかけたのはヒロが通う学校の先輩である嘉村令理であった。
ヒロから今日の出来事を聞いた令理は
「あら、姫様が倒れてしまったの?それは大変ね」
「ええ・・・でも姫の倒れた原因が、魔法だなんて・・・」
「あら、あなたの周りには、吸血鬼も獣人も人造人間も居るのに・・・ましてあなた自身半不死身でしょう?」
「そ、それはそうですけど・・・」
そう―自分の周り、そして自分自身も人知を超えた存在である。
たとえ人間のように生活できても・・・
「大丈夫よ、姫様ならすぐに良くなるわよ」
「令理さん・・・」
いつもと違い、自分を心から励ましてくれる令理にヒロは感謝した。
「でも万が一姫が死んだら私が吸血鬼にしてあげるわよ」
「え!?」
最後の一言にヒロは凍りついた。
機動六課自体、レリック事件の解決を目的としていたのであっさりとこの第97管理外世界での捜査の許可が下りた。
最もなのは、はやてが地球出身であったのも大きかった。
今回の任務に派遣されたのは―
なのは、フェイト、スバル、ティアナ、エリオ、キャロとフリード、医療担当シャマル、補助担当ザフィーラ、そしてはやて。
(シグナムとヴィータ、リィンフォースⅡは六課で待機、これでも過大戦力らしい)。
本部を海鳴市のハラオウン家に置き、六課メンバー全員が揃って会議を行うことになった。
「さて、スカリエッティのアジトやけど・・・捜査の結果、日本の笹鳴町近辺にあるらしいで」
この時、なのはとフェイトは海鳴市になくてよかった、とほっと胸をなでおろした。
「はやてちゃん、敵の戦力は?」
そしてなのははすぐに仕事の顔に戻りはやてに聞いた。
「わからんけど・・・情報によるとかなり大掛かりな規模で、おそらくガジェットが多数収納されている可能性もあるかもしれへん
しかも、その中にはレリックがあるかもしれんのや・・・」
レリック、その言葉にメンバー全員が言葉を失った。
「これは先に発見されたスカリエッティのアジトからレリックが回収されたことを踏まえて・・・
これだけの規模のアジトなら、あってもおかしくない、そう見解したんや」
だとすれば、この任務はかなり危険なもの、そう考えてもおかしくないだろう。
「それにや・・・今日の調査で、日本の笹鳴町のはずれでロストロギア反応があったんや。
スカリエッティに深いかかわりのある物が・・・」
「それって・・・レリック?」
フェイトの問いに、はやてはうなづいた。
一方
学校を終えたヒロは・・・
「はぁ、はぁ、はぁ」
駆け足で屋敷へと向かっていく。
結局、今日の授業はまったく身が入らず先生に怒こられる始末だった。
「姫・・・大丈夫かな・・・」
必死に走り、1分1秒でも早く屋敷に辿り着こうとする。
「ヒロ、どうした?」
その時、後ろから声がした。
振り返るとバイクに乗ったリザが居た。
「リザ!?どうしてここに?」
「紗和々がビデオを借りて来て欲しいって言うから、レンタルビデオ屋に行って来た。
レンタル半額券があったらしいし、あたしも借りたかったからな」
手に持ったレンタルビデオの袋をひらひらと見せた。
「姫が苦しんでるのに・・・よく借りられるね」
「姫が心配するなって言ってるしな、別になんとも思わねぇよ」
リザと共に屋敷に帰ってきたヒロは一目散に姫の部屋に駆け込んだ。
「姫っ」
「ヒロ・・・少し静かにしろ」
姫の容態は悪くはなっていないようだが・・・
「姫、体の具合は?」
「大丈夫だ・・・心配するな・・・」
「心配するよ!だって・・・姫は、僕の・・・」
最終更新:2008年03月23日 18:27