リリカルZOIDS第1話

注意
  • クロス元はアニメ版ZOIDS(無印)です
  • 新暦67年(なのはが大怪我をする)スタートです
  • 捏造設定があります

新暦67年。
その日、高町なのはとヴィータは、とある遺跡に捜査任務に来ていた。
その遺跡はすでに調査が済んでおり、危険なトラップや貴重な出土品なども特になかったのだが・・・。
「うぅ~、寒ぃ寒ぃ。ったく、なんだってこんな遺跡に潜らなくちゃいけねーんだか・・・」
「にゃははは。でも仕方ないよ、ヴィータちゃん。いきなりあんな大きな魔力反応が発生したんだし」
「分かってるよ、そんくらい。あぁ~、さっさと捜索終わらせて早く帰りてーな」
「そうだね~」
そう言いながら二人は遺跡の深部へと進んで行く。
「で、何か見つかったのか?」
「ううん。今の所、WASでは何も見つからないね」
「そうか。おっと、10分経ったな」
そう言うと、ヴィータは空間ディスプレイを開き、通信を開始した。
「こちら、ヴィータ。各班、状況を報告せよ」
「A班、異常なし」
「B班、異常なし」
「C班、こちらも異常ありません」
「D班、異常なしです」
どうやら、なんの問題もないらしい。
その報告を聞いて、なのはは胸を撫でおろした。
(このまま、何も起こらなければいいんだけど・・・)


なのはは、自身の不調を自覚していた。
最近、眠っても疲労があまり回復せず、疲れを残したまま任務に就くことが多くなってきているのだ。
もちろん、そのことを友人達には気づかれない様にしているが、それもそろそろ限界だろう。
(今日の任務が終わったら、シャマルさんに診てもらおうかな)
そう考えていた時の事だった。

「こちら、B班!!小型の飛竜と遭遇!!」
切迫した声に、なのはの意識は現実に引き戻された。
「・・・っ、こちら高町です。B班、現在位置は!?」
「ポイントX-150、Y-1000!」
「・・・っ、そんな所に」
「くそ!遠すぎっぞ!」
なのはの隣でヴィータが悪態をつく。
隊員のいる地点までは、どれだけ急いでも10分はかかるからだ。
しかし・・・
「こちらB班。高町隊長、ヴィータ副隊長、飛竜は何もしてきません。こちらを窺っているだけです」
「「え!?」」
その報告になのはとヴィータは顔を見合わせた。
お互いに怪訝な表情が広がっているが、それも無理からぬことだろう。
なぜなら、彼女たちの所属する武装隊のテキストによれば、飛竜とは竜種の中でも1、2位を争う程、凶暴な竜のはずなのだ。
「おかしーな。飛竜ってのは、凶暴性が売りのはずなんだけどな・・・」
「そうだよね。そもそも、こんな遺跡に飛竜がいる時点でおかしいし」
二人はそう言いながらも、その飛竜への対応を考え始める。
「とりあえず、現状維持で待機かな?飛竜さんが何もしてこないなら、無理に戦ったり、捕獲しようとするのも良くないと思う」
「そうだな。下手に怒らせたら、大変なことになっちまいそうだしな。つーわけだ。とりあえず、B班は・・・」
と、決定した内容をヴィータが伝えようとしたその時、WASにある人影が写った。
「・・・っ!待ってヴィータちゃん!WASに反応!誰かがB班の所に向かってる!」
「!!なのは、そいつの特徴は!?」
「待っててね・・・。長い黒髪を後ろで束ねてて、顔に刺青みたいなのをしてる。私と同い年くらいの男の子だよ」
なのはは、冷静になりながらWASから得た情報をヴィータに伝えていく。
ところが、その人物が懐から取り出した物を捉えた瞬間、なのはの顔から血の気が引いた。
「ヴィータちゃん!この子、拳銃――質量兵器を持ってる!」
「っんだと!!」
さらになのはには、WASに向かって拳銃を構え発砲している映像が飛びこんできた。
そしてそれを境にその人物を映していた映像は途切れてしまった。


その事実をヴィータに伝えるべく、なのはは顔をあげた。
「最悪だよヴィータちゃん。この男の子、WASを破壊してB班の所に向かってる」
「・・・つまり、敵ってことか?」
「そこまでは分かんないよ。でも、もしかしたらあの飛竜さんは・・・」
「そいつの使い魔かもしれねぇって事か」
「うん」
「だとしたら、飛竜の実力も分からない分、B班の奴らだけじゃ危ないな。いったん出口まで下がらせるか?」
「そうした方がいいと思う。その人の現在位置は、ポイントX0Y0で私たちはX0Y1000だよ。この速さだと、私たちより3、4分は早く着いちゃう。それに今回の魔力反応の原因もこの人かもしれない!」
「よし、B班聞いていたな!そこは危ない、出口まで引き返せ!」
「了解しました!」
「ヴィータちゃん、私たちも急ごう!」
「ああ!」
そう言いながら、ヴィータが通信を切ろうとした時だった。
「っ!!こちらB班!飛竜が通路を塞ぐように、移動し・・・、いえ襲ってきました!くそ!B班交戦開始(エンゲージ)!」
その叫び声と共に通信画面が途切れてしまった。
「おい!どうした、B班!応答しろ!」
しかし、返事はなく、その事実がなのはとヴィータに嫌な想像を抱かせる。
その想像を振り払うようになのはは、大声をあげた。
「急ごう、ヴィータちゃん!レイジングハート!!」
「分かってるよ!アイゼン!!」
二人は、デバイスを起動させると最大スピードで、B班の元へと向かった。

Another View

とりあえず、今の状態を一言で表すなら最悪の一言につきる。
薬草をとりに相棒のオーガノイドと山に入ったまではよかった。
しかし、薬草を採取しているといきなり光に包まれ、気がつけば、どことも知れぬ遺跡の中。
おまけに体は子供時代――おそらく14歳くらいの時だろう――にまで退化している始末。
(誰だって、こんな状況におかれたら最悪だと思うだろうさ。)
独り呟きながら、通路を進んでいく。
先ほど撃ち落した赤く光る球体の事も気にかかるが、今は相棒が足止めしているであろう人物達と接触する事の方が先決だ。
そう思いながら、手元の拳銃を確認する。
先ほど、自分を尾行していた赤い球体に一発撃ったので残弾は23発だ。
その他に自分の持っている武器と呼べるものは、スローイングダガー4本しかない。
(なんとかするしかない・・・か。)
そう呟きながら、彼は相棒の待つ遺跡の一室に到着し、その光景を見た。

Another View End

なのはとヴィータは、急いでいた。
通信が途切れてから、もう5分が経っている。
二人とも、何が起こっているかなど想像したくもなかった。
「A班は現状維持で待機して下さい。C班はB班の救援へ!D班はA班と合流し、同じく待機!!」
「A班了解!」
「C班了解!B班との合流まで15分!」
「D班了解!A班まで10分です!」
「おい!応答しろB班、聞こえねえのかよ!」
なのはは冷静になるよう努めながら、各班へ指示を出す。
その傍らでヴィータは、なんとかB班と連絡を取ろうとしていた。
しかし、相変わらず返事が返って来ることはなく、その事実が二人を更に焦らせていく。
「くそ!なのは、まだかよ!」
「もうすぐだよ・・・っ。そこを右に!!後は、B班の所まで一本道だから!」
「分かった!」
そう言いながらも、二人は周囲を注意することも忘れない。
もしかしたら、あの黒髪の少年が使い魔の竜と合流し、通路のどこかで自分達を待ち伏せているかもしれないからだ。
自分たちの存在に気づかれている様子はないから、その可能性は低いだろう。
だが、可能性は低くとも、それは決して無視できない事態の一つだ。
飛竜1匹に、訓練された武装隊全員が敗れているかもしれないことを考えれば、当然といえるだろう。
それに相手は、一人ではない。
少年とはいえ、質量兵器を持っているのだ。油断はできない。


だが、そのような事態に陥ることはなく、なのはとヴィータはB班のいた地点まで、あと300mの地点という所まで来ていた。
「急ごうぜ、なのは。後少しだ!!」
ヴィータはそう言いながら、グラーフアイゼンを両手で握り直す。
「うん!皆を助けなくっちゃ!!」
なのはも大声を張り上げる。
その音量の大きさに思わずヴィータは、顔をしかめた。
「なのは、声でかすぎ・・・」
「はにゃ!ご、ごめんヴィータちゃん。私・・・」
「ったく!ほら行くぞ!!」
そう言うと、ヴィータは一気に突進していった。
「ま、待ってよ、ヴィータちゃん!」
遅れて、なのはも飛び出していく。
(・・・・?)
そのことにヴィータはどこか違和感を感じながらも、その正体を考える余裕もなく、B班のいた地点にたどり着いた。

目の前には多くの隊員が倒れていた。

等間隔に、仰向けになって

「「・・・?」」
なのはとヴィータは怪訝そうに顔を見合わせる。
辺りを警戒しつつ近寄って確認してみるが、死んでいるのではなく、ただ気絶しているだけのようだった。
「どーなってんだ?」
「分かんないよ。報告にあった飛竜も、あの男の子もいない」
周りを確認すれば、砕かれた地面、陥没している壁面など戦闘の痕はあちこちに残っているが、戦闘を行った隊員達は誰かに介抱されたかの様に、横たえられている。
この不測の事態に二人は戸惑うしかない。
「どうしよっか?」
「とりあえず、C班の奴らが到着するまで待つしかねーな」
「だよねぇ、とりあえず連絡しないと・・・」
「それは困るな」
「「・・・!?」」
突然会話に割り込んできた声に、二人は驚きながらも声の主の方に向き直る。
そこには、WASに映っていた、拳銃を構えた少年と・・・
「“黒い”・・・飛竜」
自分たちを警戒しているのか、獰猛な唸り声をあげる竜がいた。

タグ:

+ タグ編集
  • タグ:
最終更新:2008年04月21日 22:51