For the Answer (×アーマードコアFA)
plan1-1

「…カラードのリンクス。マクシミリアン・テルミドールだ。
 君がこれを聞いているのであれば、私は既に死亡している。おそらくは、アルテリア・クラニアムに倒れたのだろう
 メルツェルも、ビックボックスから生きては戻れまい。…ORCAは、君ひとりになったということだ。
 頼む、私に代わり、クラニアムを制圧してくれ。
 クラニアムが停止すれば、クレイドルは最後の支えを失い、すべての人は大地に還る。
 衛星軌道掃射砲は、クレイドルを支えたエネルギーを得てアサルト・セルを清算し、宇宙への道を切り拓くだろう。
 ……全てを君に託す……
 人類と、共に戦ったORCAの戦士達の為に……」

これは、万が一の時の為に、彼宛てに用意したビデオレターだ。無論、これを送ることになるつもりは毛頭なかった。
だが、現実はそうではなかった。私は敗れた。私の乗機「アンサング」の機能停止と同時に彼に送信されただろう。
…おかしい。そうであるならばなぜ私に意識があるのか?私は死ぬことになるはずだが…。

「あ、目ぇ覚ましたん?」

そこで、私の意識は覚醒した。

「…ここは…君は何者だ?」

私はつい思ったことをそのまま口にしてしまった。口にしてから改めてあたりを見回してみる。…医務室…か?
どうやら私はベッドに横たわっていたようだ。あたりは小奇麗に掃除されていて大型の機材も確認できる。
眼前には、幾人かの姿がある。

「ここは時空管理局古代遺失物管理部、通称機動六課の医務室や。んで、うちはそこの隊長・八神ハヤテや。よろしくな?」

「時空…管理局…機動六課…」

目の前の少女が何を言っているのか、皆目理解することはできなかった。だが、今こうして生きている以上、取り乱すわけにはいかない。
ORCAの旅団長として、相応の態度で臨まなくては…

「すまないが、君が何を言っているのか私には理解できない。詳しく話を聞かせてはもらえないだろうか?」

「まぁ、そうやろうなー。見たところあなたはこの世界の人やないみたいやしね。さて、まずはどこから話したらええものやろなぁ…」

…あいた口が塞がらないとはまさにこのことか。時空世界、管理局、魔法、デバイス、etc…ここは、私が闘ってきた世界とは全く異にする別世界だというのだ。
そして更に私を驚嘆させたのは、目の前の3人の少女の出身世界だった。
第97管理外世界・地球。だが、しかし、それは私の知る地球とは似ても似つかない、決して平穏とは言えないまでも。安定と繁栄を享受する姿。

「あの、よかったら貴方の住んでいた世界の呼称を教えていただけませんが?そこから貴方が元々いた世界が特定できるかもしれませんし…」

いままでハヤテという少女の後ろに控えていた長い金髪の少女が訪ねてきた。ハヤテの紹介によると彼女はフェイトという名前のようだ。
私は、素直に答えるべきか、幾分か悩んだが、ここでそれを伏せることに意味はあるまいと考え、答えることにした。

「私の出身世界は…「地球」、そうよばれている世界だ」

私の知る地球の姿を話したときの彼女らの表情は。なんとも形容しがたい、不安・恐怖・怒りといったものが混ざったとでも言うべきものであった・
コジマ技術・ネクスト・国家解体戦争・リンクス戦争・アームズフォート・コジマ汚染…
まぁ、当然か。誰しも自分の住んでいる世界が人の住めない世界に変わろうと・壊死へとむかおうとしている姿を想像すれば、程度の差はあれ何かしらの想いを
もつものだろう。尤も、彼女たちの地球とは、おそらくは別物なのであろうが。

その後、殺風景な医務室でいつまでも話をするのもどうかということで、場所を移して続きを話す運びとなった。どうやら隊長・八神ハヤテの執務室のようだ。
どうやら私は時空漂流者という扱いになり、しばらくはここで保護下に置かれる段取りのようだった。現状では私の住んでいた地球を特定することは極めて困難、
ということだ。…元の世界に送り返されたところで、困るのだがな…

For the Answer plan1-2

執務室では初めに、追加で幾人かの人物を紹介された。副隊長・シグナム、フォワード・スバル・ナカジマ、メカニック・シャリオ・フィニーノ…面倒なので、以下は省略させてもらおう。
「実はですね。あなたに見て頂きたいものがあるんです」

シャーリーと呼ばれるメカニックの女性が私の前に差し出したものは、ピラピッドのミニチュアを半分削り取ってその空間に無数の支柱を突き刺したような形状のオブジェ。
回りくどい言い方はよそう。一言で言ってしまえば、私の古巣・レイレナード社の本社施設をそのまま縮小したものだった。
どうやらこれが私がこの世界に出現したときに所持していたデバイスらしい。私はデバイスなど所持した覚えはないと言ったが兎にも角にも見てくれとのことだった。

「これが管理AIを搭載したデバイスであることは分かっているんです。ですが問題は中身でして…
 デバイスの詳細なデータを確認しようと解析してみたのですが、
 このAIがとんでもなく強力なプロテクトをかけていて、全く手が出せない状態なんです。」

「そんなものを私に見せられたところでどうしろと「当然だ。かつてレイレナード本社の全システムを統括していた私の能力をなめてもらっては困るな」」

「え?…いま、初めて喋りましたよね?私たちがあんなに呼びかけても一切応答しなかったのに…」

「まぁ、最初の挨拶くらいはこれの持ち主の立ち会いのもとでしたいものだからな」

彼女たちは面食らったかのように驚いていたが、本当に驚いたのはむしろ私のほうだった。
なぜこいつがこんなオブジェの中にいるのか?こいつはビッグボックスへ単身赴いて破壊されたはずの…

「なぜ、おまえがそんなものに納まっているんだ、メルツェル?」

「やぁ、またおまえの下に戻ることができてうれしいよ、テルミドール」

plan1 終

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最終更新:2008年05月04日 18:54