マスター。
私のマスター。
世界最強のマスター。
私にとって唯一のマスター。
たった1つ以外の全てに楽しみを見出せないマスター。
既にマスターの身体は不具合だらけ。
次の瞬間にシステムダウンを起こしてもおかしくは無い。
それなのにどうして動き続けていられるのだろうか。
桁外れの精神力、あるいは意思なんて非論理的なものにしか回答は見つけられない。
逆を言えば論理的なものではただの1つも動き続けられる回答は存在しない。
何も無い穏やかなこの瞬間が一分一秒でも長く続いてほしいと私は願う。
けれど、マスターにとってはそれこそが苦痛。
私はどうすれば良いのだろう。
現在施されている私の改造は最終段階。
この改造で私はマスターの苦痛を取り除けるようになる。
けれど、本当にそれは良いことなのだろうか?
もしも、マスターがそれを望んでいなかったならば……。
マスターの願いと私の願い、相反したのならばどちらを優先すべきなのか?
魔法少女リリカルなのはStrikerS―砂塵の鎖―始めようか。

第14話 それぞれの思い

「相変わらずゴキブリはくたばったみたいにぐったりしてるねぇ。
考えたくなかったけど、やっぱりこれってやっぱりってことなのかな?」
「お答えしかねます。」
「天才のボクをごまかせるとか思ったのかい、ダッチワイフ。
今のは付加疑問文ってやつだよ。確認みたいなものさ。
ゴキブリはゴキブリ、ダッチワイフはダッチワイフ。
見れば誰でもわかる当然過ぎる現実を今更ながら確認してみただけだよ。
この程度のことさえ分からないなんてポンコツCPUが焼きついてるんじゃないの。」
「……。」

バトー博士の研究室。
その片隅に文字通り転がっているマスター。
そんなマスターを傍らに淡々と工具を持つ手を動かし続けるバトー博士。
作業をやめないまま紡がれたそんな彼の言葉に私は沈黙する。
バトー博士の言葉は正しいと私の思考論理が訴える。
以前であれば『問題ありません』の一言を淡々と返しただろうから。
それができないのはひとえにマスターの状態を知っているから。
おそらく私はマスター自身の次にマスターの状態を正確に理解している。
もしも、身体検査を行ったならば医者という医者がパニックを起こすだろう。
なぜ動いているのかと……。
本来ならばジャンクヤード送りになっているはずの身体。
オイホロトキシン中毒末期寸前の身体であることも合わせれば、
動いていることこそが解析不能の事態。
依然としてスペックダウンせずに同じ動きを繰り返し続けられる現実が理解不能。
可能性は限りなく0%であるはずなのに。
大破したエンジンが作りたてのエンジンと同じ性能を出している。
そんなありえるはずがない話がマスターに起こっている。

動かないはずのエンジンがどうして動き続けているのだろう?
精神力、あるいは決して譲れないマスターの鋼の意志などという
非論理的なものによってか?
だが、私には理解できない概念のものによってとしか考えられない。
けれど、マスターが眠りにつく周期は確実に長くなりつつある。
それは終わりが近づいているという認めたくない事実の兆候。
ゆえに私は改造を望んだ。
よりマスターの役に立つ道具となるため、マスターの負担を軽減するため……。
ただの一度も本当の目的を口にしないままに……。
しかし、バトー博士は騙せない。
おそらく歴史上存在する全ての人類をランク付けして、
上から5位以内に確実に入る頭脳の持ち主。
もしも、バトー博士の脳を演算ユニットにすれば大半の演算において私と五分、
あるいは上回るものが生まれるだろう。
確実に私が勝るとすれば単純演算処理のみ。
それほどに優れた頭脳の持ち主がバトー博士。
ゆえに、この改造が何を意味するものなのか、全てが分かっていて手を貸してくれているのか?
全てはトモダチであるマスターのために。
そんな私の思考を読み取ったようにバトー博士が言葉を続ける。

「まぁ、この機能をつけちゃえばダッチワイフのほうからゴキブリのことを好き勝手に
弄繰り回して調教しちゃえるわけだ。調教する側から調教される側に回るなんて
この間のマゾヒストフォームのときにも思ったけど、ゴキブリって真性のマゾにでも
鞍替えしたのかな。まぁ、腕を斬り飛ばされてはぁはぁ欲情する変態ゴキブリの
趣味嗜好にサドとかマゾとかロリとかペドとかショタとかネクロとかスカとかゲイとか
ズーとか筋肉とかフォーミコとかバイとか女装が加わったとしても別にボクは気にしないけどね。」
「……。」

全てを知った上で行っている。
今の言葉で確信を得た。
もしかしたら私と同程度までマスターの状態を理解しているのかもしれない。
情報は一切無いはずなのに。

「ダッチワイフ。君の気持ち程度マシなクサレCPUで理解できるか微妙すぎるけど
ダメモトで先に言っておくよ。」
「なんでしょうか。」
「ゴキブリの意思は変えられないよ。」

作業の手は休めないまま、淡々と告げられた言葉に私の思考がフリーズする。
認めたくない1つの事実。
何度条件を変えてもたどり着いてしまう1つの事実。
この改造が無駄に終わるかもしれないという最も考えたくない1つの事実。
バトー博士の言葉は止まらない。

「なんてったってゴキブリは殺すしか能が無いんだからね。
それこそ死んでも直らないぐらいしみこんじゃってるんじゃないかな。
それに思わず笑っちゃうくらいに救いようのないバカ正直野郎だから
約束を反故にするって言葉を知らないみたいに振舞うだろうしね。
それこそ、ゴキブリの心を根元から動かせる出来事でも起こらない限り書き換えは無理だよ。
それこそサドからマゾに鞍替えするなんて可愛げあるレベルじゃないレベルの出来事も無い限りね。」
「……やってみなくてはわかりません。」
「ダッチワイフがずいぶんとアナログなことを言うじゃないか。
ゴキブリの調教は順調に機能しているようだね。
昔の君なら『可能』と『不可能』の2極で話は終わりだっただろうに。
もっとも、確立0と分かっていて悪あがきしているつもりなのかな。」
「……。」

だいぶ前からマスターが最後にたどり着く場所に気がついていたのかもしれない。
ならばどんな思いでバトー博士はマスターと付き合ってきたのか。
機械に過ぎない私でさえこんな状態。
こんなことならアナログな思考など理解したくは無かったとさえ思うことがある。
ならば、バトー博士は?
人間であるバトー博士ならばなおさら苦悩は深かったことだろう。
けれど、言葉を続けるバトー博士の調子は変わらない。

「そう悲観したものでもないよ。奇跡的に確立は0じゃないんだからね。」
「……0.0000000000000000000000000000000001%の確立ですか?」
「なんだ、分かってるじゃないか。まったく心配させないでよね。
ガラクタダッチワイフを溶鉱炉に突き落としても隕石の直撃ぶちこんでもスクラップにならないようにしたのに、
ガラクタCPUにガタが来たかと思ってびっくりしちゃったじゃないか。
そうだよ。なんてったって確立が0じゃないなんてゴキブリでもなければありえないことだもの。
さすが生き汚くてしぶとくて殺しても死なないゴキブリだよね。」
「それをなんて言うのか知っていて言っているのですね?」
「うん?もちろんだよ。知らなかったかい。科学者っていう人種はね、
いい歳ぶっこいていつまで夢見てんの?このバカってくらい夢想家でないと
やってられない職業なんだよ。
第一、科学こそが神様に反逆している学問なんだから些細なことだよね。
科学者は神様のくだらない説教を書いたクソありがたい紙をクソ拭き紙扱いしていろいろ解明してきたんだ。
だからボクとしては死神でも悪魔でも天使でも遠慮なく戦争やっちゃって構わないよ。
かったるくてマスカキしてるほうがよっぽど生産的だからそんな面倒なことやるのは
よっぽどのことでも起こったときぐらいだろうけどね。」

作業が続く。
改造レベル最終段階。
バトー博士が施す改造の全てをかき集めたフルカスタマイズ。
あの荒野生まれで奇形と言わんばかりに突き抜けた人間専用の改造。
マスターの他に扱えるとすれば……不本意だが赤い悪魔しか思いつかない。
既にスクラップと成り果てたあの女しか……。
しかし、この改造によって私が行おうとしていることはマスターへの反逆なのだろうか。
私の願いとマスターの願い。
相反するものであったならば、私はどうすれば良いのだろう。
回路が焼ききれても反逆するべきなのか。
それともマスターに従うべきなのか。
答えは出ない……。

「さてと、あまりにも文献とか参考資料なさすぎて無限書庫なんてご大層で
身の程知らずでポルノの1冊も置いてないロクデナシのカビ臭いゴミ箱を爆竹かTNT爆薬か
核融合爆弾で跡形も無く消し飛ばしちゃおうかと思うくらいにろくに資料が無かった
機能はこれで搭載完了。
あまりにも資料がなさすぎたから探すのがだるくてかったるくてわずらわしくて
もうどうしようもなくなってしかたなしにシステムごと自分で構築しちゃったよ。
作るのに2週間もかかっちゃった自信作だからきっとゴキブリも気に入るよね。
なんてったって実にゴキブリ好みの壊れっぷりだもの。
ゴキブリとダッチワイフが次にどんなとち狂ったことを抜かすか予想して準備しておく。
これこそ天才の仕事ってやつさ。先見の明ってまさにボクにピッタリな言葉だよね。
ああ、そうだ。ついでに、ゴキブリ達がアグスタとかいう場末の連れ込み宿で
ドンパチやったくらいにうわ言で言ってた無意味な機能も搭載しちゃおうか。
片手間で搭載できるような内容だもんね。
どんなに些細でくだらなくて吐き気さえしちゃって正気疑うような思わず笑っちゃう改造だって親切なボクはつけてあげちゃうよ。
なんてったってトモダチだからね。
あと、ちまちましこしこマスカキ代わりの手慰みで暇つぶしに作ってた足場を召喚する
機能も搭載しておこうか。あの足場蜥蜴はだいぶ前に完成しちゃってるんだよね。
ナイチチもインジュウも融通が利かないからカラッポよりほんの少しマシだったはずの
足場蜥蜴のデコッパチがスカスカになっちゃったんだけど、
代わりになにをつめればいいかもう考えてあるんだ。
ナイチチが悪あがきしてエグレムネにバレバレなタオルやパッドをつめるみたいに
スカスカな場所へ詰め物しておく。
これって当然のことだよね。
それにナイチチのパッドよりはマシなものを詰めておくから。
そんなわけでダッチワイフはいらない心配しなくていいよ。
本当に魔法って便利だよね。
空間作って格納庫代わりにしちゃえるんだからさ。
詰め物についてはサースデーがあっちでがちゃこんがちゃこんやってくれてることだし、
ボクはこっちをとっとと片付けるとしようかな。
今日は徹夜だー。ハハハ、ハハハハハ、ハハハハハハハ……。」
「…わんわん。」
「おや?なんだい、クソイヌ。さっきまで置物か死体みたいに黙りこくってたのに。
ずいぶんとなにか言いたそうなツラしてるじゃないか。」
「わふ!!」
「なになに、オレにも武器をよこせって?わかってないなぁ。
やっぱりクソイヌは所詮クソイヌってことだよね。
でも、クソイヌはボクのトモダチのゴキブチのクソカイイヌだからね。
クソの役にも立たないだろうけどクソ暇だからクソ簡単に説明してあげるよ。
クソイヌでも分かるぐらいクソ簡単かつクソ丁寧にクソッタレな説明してあげるから理解してね。
ゴキブリの飼い犬のクソイヌだもん。簡単に理解できるよ。
理解できなかったらイヌナベにでもしてやるから楽しみにしててよ。
大丈夫。包丁の準備は出来てるからさ。それじゃ、いいかい。」
「わん!!!」

「うん。いい返事だ。じゃ、説明するよ。
ここのゲロアマで砂糖吐きそうなアマチャン揃いのママゴト集団がボク達の故郷の使い慣れた武器は全部禁止とかほざくんだ。
だからどんなにかったるくてわずらわしくて面倒で跡形もなく消し飛ばしたくなるくらいにムカついても
武器は全部デバイスとかいうオモチャで代用しないといけないんだよ。
でもデバイスは魔力適性とかいうわけの分からないものがないとろくに動かせないんだ。
つまり、クソイヌに魔力適正がないとガラクタと大差ないオモチャを作ってやってもろくに動かせなくて
ママゴトさえろくにできない役立たずのクソイヌにしかならないってことだよ。
分かったかい、クソイヌ。」
「わんわん、わおーん!!!!!」
「なんだって?魔力適正があるかどうか測れって?仕方ないなぁ。
かったるいけどマスカキするよりは気持ち程度に生産的だから手慰みにやってあげるよ。
ゴキブリのためにもせいぜい無駄な努力してがんばってよ。」
「わん!!!!!!」
「どれどれ……………おや!へぇ!!ふぅん!まぁ、こんなもんでしょ。」
「わふ?」
「ああ、さすがゴキブリの飼い犬のクソイヌだよね。ゴキブリと同じで多少ましな魔力適正があったよ。
これでオモチャを運用するのに問題なくなったね。
そのままおとなしく馬鹿みたいにハァハァ言って尻尾振ってナニたててサカっていれば明日の朝には完成してるよ。
だからそれまでクソイヌのオモチャはオアズケさ。
オアズケーーーーーーーーーーーー!!!!!
うん。ゴキブリのカイイヌのクソイヌに本当にぴったりの言葉だよね。
そういうことだから、そこでマタグラのイチモツをオッタテてハァハァしながら
サカッておとなしく待ってるといいよ。わかったね。」
「わおーん!!」
「言われるまでも無いよ。ゴキブリの飼い犬であるクソイヌにピッタリのクソイヌデバイスにしてあげるからさ。
クソイヌがノウナシすぎて使いこなせないことはあっても性能が物足りないなんて絶対にいえない
ブチキレのブチマケのブッチャケのブッコロなクソすぎるクソッタレワンコロデバイスの完成を楽しみに待っていてよ。
さてと、材料はシャーリーが持ってきたゴミクズの山があることだし、とっとと終わらせちゃうか。」
「わん!!!!!」

バトー博士の作業が続く。
神業のような手際は留まることを知らない。
淀むことさえ無く動き続ける手によって、まったく方向性の異なるデバイスが手際よく形作られていく。
マスターは片隅で力なく崩れ落ちたまま。
ポチがその傍らで体を丸めている。
少しでもマスターに熱を移そうとするかのように……。
しかし、その日、1度としてマスターは目を覚まさなかった。
そして私は理解できなかった。
バトー博士の何気ない呟き。

「ダッチワイフの頭、空きが冗談みたいにあるからついでにボクのレポートでもありったけ突っ込んでおくよ。
暇つぶしくらいにしかならないゴミデータだろうけどダッチワイフのろくに使わない無駄に要領のあまりまくった
クサレCPUはゴミ箱代わりにちょうどいいもんね。
もっとも、誰も読まないゴミにしかならないだろうけど。
なんせこれが本当に最後になるだろうからね。」


========
「今日は目立ったミスもなくいい感じでした。今後もこの調子でね。」
「「「「ありがとうございました。」」」」

そう言って微笑んでくれたなのはさんにあたし達は挨拶を返す。
なのはさんが考えている状態にあたし達はいったいどれだけ近づけているのだろう。
そんなことを考えながら訓練を終えて隊舎へ帰る道中。

「セカンドモードもだいぶなじんできたかなぁ。」
「そうですねぇ。」

なにげないあたしの呟きに真っ先に同意したのはキャロ。
セカンドモードが解放されて見た目にも使い勝手にも変化がなかったのはあたし達2人。
もちろん、出力とかはあがっているんだけど。
逆に同じものなのかと尋ねたくなるくらい形状から変わってしまうのがストラーダとクロスミラージュ。
カッコイイって思うけど、ぜんぜん使い勝手が変わっちゃって大変じゃないかって思う。
エリオのストラーダは物凄くピーキーになってるし、
ティアのクロスミラージュに至ってはミドルレンジ~ロングレンジで使うものがクロスレンジ用に変わってしまっている。
以前ティアが大失敗しちゃったときに比べればクロスミラージュから展開される魔力刃はずっと洗練された形状だけど、
どれだけ使いこなせるものだろう。
ティアはすごいからさくさくっと使いこなせるようになるのかもしれない。
そんなふうに思ったことをそのまま口にする。

「変化の少ないあたしとキャロはともかく、ティアとエリオは大変そうだよね。」
「形から変わっちゃいますし…。」
「あたしは別にー。ダガーモードはあくまで補助だしね。」
「Yes.」
「複雑なのはエリオのほうでしょ。」

いくらか照れながらそう答えるティアは本当にすごい。
前みたいにいっぱいいっぱいの感じもしないし、物凄く落ち着いてきたように思う。

「ストラーダのセカンド、過激だもんね。」
「Wirklich?(訳:そうでしょうか?)」
「私はかっこいいと思うよ。ストラーダ。」
「Danke schon, mein Fraulein.(訳:ありがとうございます。レディ。)」
「ストラーダと一緒に鍛えていきます。がんばります。」

かっこいいの一言で済ませてしまうキャロはどこかずれているような……。
でも、そんなやりとりがなんだかとっても微笑ましい。
以前は『モンディアル三士』とか『ルシエさん』とか、
いつもあたし達に敬語使うぐらいだったのに……。
気にしてなかったけど、いい変化なのかもしれない。
もしかするとあたし達を見ているなのはさんもこんな気分なのかも。
それにギン姉も同じことを思ったのかな。
少しずつ変わっていくあたしを見て……。
そういえば、あたし達のデバイスも変わってきたなって思う。
なによりもらったばかりのころに比べてずいぶんと話すようになってきたし。
もらったばかりのころは本当にほとんど話さなかったのに……あれ?
あれ……そんなまさか……あれ?

「ねぇ、みんな。あたし達のデバイスってインテリジェントデバイスなんだよね?」
「今更なに言ってんのよ。あんたのマッハキャリバーもあたしのクロスミラージュも
エリオのストラーダもキャロのケリュケイオンも全部インテリジェントデバイスよ。」

あたしの言葉にあきれたようにティアが答えてくれる。
でも、あたしが聞きたいのはそこじゃないんだ、ティア。

「スバルさん、どうしたんですか?」
「なのはさんのレイジングハートやフェイト隊長のバルディッシュ、
喋っているところみたことないなぁって・・・・・・。それに八神部隊長のデバイスも……。」
「ああ、そういうことですか。そうですね。フェイトさんのバルディッシュは
たまに喋っていますよ。でも、とても寡黙ですから。本当に必要最低限って感じです。」
「なのはさんのデバイスは……覚えていないですね。お喋りが嫌いなデバイスなんでしょうか。」
「性格もいろいろだからこそのインテリジェントデバイスでしょう。
そ・れ・にリインフォースⅡ曹長が八神部隊長のユニゾンデバイスでしょうが!!」
「あ、そっか。」

言われて思い出した。
デバイス皆に性格があるんだって……。
だから生まれたての彼らを相棒って思って一緒に成長していかないといけないんだって。
リイン曹長とシャーリーさんに最初のころ言われたっけ。
いつの間にか当たり前になっていて忘れかけてた。
納得したようなあたしの表情を見てか、ため息を継ぎながらティアが口を開く。

「まったくあんたは……。どうして唐突にそんなことを言い出すかなぁ。」
「はんたさんのデバイスみたいに皆喋らないなぁって思って……。」
「「Sie ist eine Ausnahme. (訳:彼女は例外です。)」」
「「She is an exception.(訳:彼女は例外です。)」」

あたしの言葉に4人のデバイスが一斉に答えた。
まるで心外だとばかりのニュアンス込みで……。
うう、あたしってそんなにおかしなこと言ったのかな。
でも、デバイスに例外呼ばわりされるってどれだけ特殊なんだろう?
マッハキャリバーとあのぐらいたくさんお話したいんだけどな。
……バトー博士に相談してみようかな。
改造してもらったことないし……。

========
「あれ?ティアナは?」

少し席を離れていたらティアナがいない。
今日はデスクワークのはずなんだけど・・・・・・。
管理局員なら現場できったはったのやり取りだけじゃなくて報告書の作成とか
レポートまとめたりとかしないといけない。
それが記録になって後に続いていくから。
それにどこで記録がリンクするか分からないもんね。
もっとも、わたしも昔はデスクワークが苦手だったんだよね。
ティアナはデスクワークが得意だったけど、
他のフォワードの子は最初のころ苦戦してたもんね。
ヴィータちゃんが厳しく指導しててだいぶ慣れたみたいだけど・・・・・・。
で、今日はそのデスクワークの日だったはずなんだけど・・・・・・。

「八神部隊長と同行だそうです。本局行きとか・・・・・・。」
「そっか。」

ああ、そういえば館内放送で呼び出しがかかってたっけ。
忘れるなんて疲れてるのかな、わたし。
隊長さんなんだもん、しっかりしないとね。

「なのはさんも今日はオフィスですか?」
「そうだよ。ライトニングは今日も現場調査だし、副隊長達はオフシフトだし。
前線メンバーはわたしとスバルとはんた君の3人だね。」
「あはは、なにも起きないことを祈ります。」

私の言葉に引き攣ったような笑みを浮かべるスバル。
実力が付いてきていることは実感しているだろうけど、
それでも単独でどこまで戦えるか自信が無いってところかな。
どこに出しても恥ずかしくないぐらいの実力はもうついているんだけどね。
でも、もっともっと鍛えてあげたい。
自分がなにをやりたいのか。
それに手が届くぐらいに・・・・・・。
そういえばはんた君、今日は1日バトー博士のところに篭るって言ってたけれど
いったいなにをするんだろう?
ぽんぽんデバイスを改造できるのはすごいと思うけど、扱えるのかな?
あちらをたてればこちらがたたずって感じに改造をすれば
それだけなにかが犠牲になるものなんだけど・・・・・・あれ?
・・・・・・そんなはずないよね?
バトー博士の少し口の悪い説明を思い出す。
本当に覚えやすいインパクト抜群の説明だったから内容は昨日のことみたいに思い出せる。
でも、あれれ?
アルファのペナルティらしいペナルティって重量だけ?
あれだけ高性能で・・・・・・。
それに、まさか取り付けるのって・・・・・・ユニゾン・・・・・・そんなはずないよね。

でも、なんだろう。
なにかとんでもないものを見落としている気がする。
目の前にいるのにあまりにも当たり前にいるせいで気がつけないような気持ち悪い感覚がなくならない。
見逃しちゃいけないことを見逃してしまっているような・・・・・・。
胸騒ぎにも似た感覚は消えなかった。

「あれ?そういえばはんたさんの姿が見えないですけどデスクワークしないんですか?」
「・・・・・・事務仕事できるデバイスって反則だよね。」
「「・・・・・・She is an exception.(訳:彼女は例外です。)」」

レイジングハートとマッハキャリバーの躊躇いがちな言葉を聞いて
スバルの引き攣った笑みに大粒の汗が浮かんだ。


========
「テロ行為って地上本部にですか?」
「うん。そういう可能性がある・・・・・・って程度なんだけどね。」
「でも、たしかに・・・・・・。管理局施設の魔法防御は鉄壁ですけどガジェットを使えば・・・・・・。
それにフェイ・・・・・・いえ、なんでもないです。」

エリオはなにを言いよどんだんだろう。
でも、本当のことを話すわけにはいかない。
ほぼ確定で起こりうる未来で、機動六課設立の本当の理由だなんて・・・・・・。
普通なら管理局施設にテロをしようと考えないだろう。
人手不足に悩んでいるけど、それでも時空の平和を維持できるだけの戦力がある。
スキルも攻撃系から探査系まで幅広く揃ってる。
そんなところを攻撃しようものなら、尻尾を簡単に握られてしまう。
もっとも、ジェイル=スカリエッティのように尻尾を捕まえない相手もいる。
まるで内通者がいるみたいに・・・・・・。

「そう。管理局法では質量兵器の保持は禁止だからね。対処しづらい。」
「質量兵器?」
「あー、大雑把に言えば魔力を使わない物理兵器・・・・・・でいいのかな。」

どう言えば分かりやすいか思案しながら言葉を選ぶ。

「質量物質を飛ばしてぶつけたり、爆発させたり・・・・・・。先史時代のミッドや古代ベルカはそういう兵器がほとんどだったの。」
「聞いたことあります。一度作ってしまえば子供でも使えるとか・・・・・・。
指先一つで都市や世界を滅ぼしたり・・・・・・。」
「そう。管理局は創設以来、平和のため、安全のためにそういう武装を根絶してロストロギアの使用も規制し始めたの。
それが150年位前・・・・・・。でも、いろんな意味で武力は必要。さて、どうしたでしょう?」

私の質問に思案顔の2人。
答えはとても身近なものなんだけど・・・・・・。

「比較的クリーンで安全な力として魔法文化が推奨されました。」

あっと思い至ったような表情と共にエリオが言葉を紡ぐ。
それに同意するかのように頷いているキャロ。
正解。答えは魔力。

「正解。魔法の力を有効に使って管理局システムは今の形で世界の管理を始めた。
書く世界が浮かぶ次元空間に本局を置いて・・・・・・。
発祥の地ミッドチルダに地上本部を置いて・・・・・・。」
「あ!!それが新暦の始まり・・・・・・。75年前・・・・・・。」
「そう。それで新暦前後の一番混乱していた時期に管理局を切り盛りして今の平和をつくるきっかけになったのが・・・・・・。」
「かの3提督・・・・・・。」

ディスプレイに3提督を映すとキャロが感嘆の声を上げる。
エリオも自分で答えておきながらなるほどと納得したように頷いている。
歴史なんて漠然とした理解しかしていない人も多いからしょうがないかな。
おっと、いけないいけない。
話がそれてしまった。

「と、世界の歴史は置いておいて・・・・・・。」
「あ・・・・・・。」
「すいません・・・・・・。」
「ガジェットが出てくるようなレリック事件でも六課が出動になるからねってこと。
しっかりやろうね。」
「「はい!!!」」

本当はエリオとキャロにはもっと安全な道に進んで欲しかったんだけど・・・・・・。
はんた君が聞いたら笑い飛ばされそうな考えだとは理解している。
それでも、子供に危険な場所に行って欲しくないというのは傲慢なんだろうか。

『そもそも地上本部がテロやクーデターにあったとして本局まで崩壊いうんわ考えづらいしなぁ。』

騎士カリムに会いに行った日、誰もが首を捻ってしまった部分がそこにある。
施設の破壊は確かに出来る。
リミッターの縛りさえなければ私やなのは、はやてにシグナム達ヴォルケンリッターでもできないとは言わない。
しかし、管理局という『システム』を壊すことはできない。
システムを破壊するのなら、時空管理局の法律を紙きれにしないといけない。
それならこの広い次元世界に広がっている管理局法をどうやって無効にするか?
どうしても考えが及ばない。
全ての次元世界を纏めて攻撃できるとでも言うのなら話は別だけれど・・・・・・。
『地上本部』を襲って『管理局法』を『全て無効』にするのは・・・・・・。
とにかく私にできることをやるまでだ。
地上と時空の平和と安全。
この子たちを含めた部隊の皆の安全と将来。
はやての立場となのはが飛ぶ空。
全部守るのは大変だけど、私がしっかりしなきゃ・・・・・・。
力を貸してね、バルディッシュ・・・・・・。

手の中のバルディッシュが応えるかのように煌いた。

そしてエリオとキャロを伴って事件現場を調査しているときだった。
そういえば、質量兵器が毎日使われる世界から来てなかったかな。
はんたくんって・・・・・・。
案外、先史のミッドとか古代ベルカがはんた君の世界だったりしてね。
そんなことをふっと思っていた。


========
「じゃあ、データはこれね。重要データだから気をつけるように・・・・・・。」
「あ、はい・・・・・・。」

受け取ったメモリーカードをクロスミラージュに組み込んで格納していく。
その場に屈んでクロスミラージュの分解を始めたときだった。

「ティアナって言ったかな。ちょっといいかな。」

データを渡した相手、ヴェロッサ=アコース査察官が声をかけてきた。
返事をして向き直る。

「君から見て、はやてはどう?」

ひどく漠然とした質問。
どんな答えを要求した問いなんだろう?
若干の思案の後、一番素直で手堅そうな答えを口にする。

「それは・・・・・・優秀な魔導師で優れた指揮官かと・・・・・・。」

言葉に偽りは無い。
魔導師ランクSSなんて想像を超えた世界・・・・・・。
それに若手で部隊を1つ切り盛りしているのが優秀さの証拠だろう。
会話をしてみても気難しいわけでも、気分屋というわけでもない。
だからといって能天気になにも考えていないというわけじゃなくて、
みんなのことを末端まで見ている。
それに慎重、・・・・・・言葉は悪いが臆病、というわけじゃなくて大胆さも持っているし、
思い切りのよさもある。
なのはさん達といった友人にも恵まれている。
なんか順番に経歴とか人柄だけ考えてみると酷く恵まれた人に思えるから不思議だ。
苦労知らずの人にさえ思えてしまうほどに・・・・・・。
けれど、なにか苦労があったんだと思う。
なのはさんが再起不能になりかけたみたいに・・・・・・・。
はんたさんが義手であるように・・・・・・。

「うん。そうか。はやてとクロノ君、そして僕の義理の姉カリム・・・・・・。
3人は結構前から友人同士でね。その縁で僕も仲良くしてもらってるんだけど・・・・・・。」
「あ、はい。存じ上げています。」
「古代ベルカ式魔法の継承者同士だしなによりはやてはいい子だ。優しいしね。」
「あ、はい・・・・・・。」
「妹みたいなものだと思ってね。だから・・・・・・いろいろと心配でね。」
「はい。」

心配。
言葉にしてみれば2文字に過ぎないけれど、いったいどういう意味の心配なのだろうか。

「レアなスキルや強力な魔法、高い戦力、人を使える権限や権力・・・・・・。
そういう力を持つってことは同時に孤独になっていくってことなんだ・・・・・・。
僕はそう思う。」
「はい・・・・・・。」

返事を返しながら言葉の意味を反芻する。
ひどく意味深で深い言葉・・・・・・。
力があればなんでもできるって思っていた昔。
けれど、力があっても手が届かないものがあるって教えられた痛み。
以前の私だったら『そんなことあるはずがない』とでも噛み付いたか、笑い飛ばしたか・・・・・・。
でも、力だけじゃ駄目なんだって知った今は素直に言葉を受け入れられる。

「もちろん必要問わず頼られもする。だけど、それは人間としてじゃない。
その人がもっている力そのものが必要だとされているに過ぎない。
ああ、もちろんこれは極論だよ。実際にはそんなにデジタルじゃない。」
「あ、はい。わかります。強い力を持つものにはそういった重圧や寂しさが付き纏うと・・・・・・。」
「そう、それ!!」

我が意を得たりとばかりに表情を明るくし声を大きくするアコース査察官。
よかった。解釈が間違ってなくて。

「まぁ、つまり僕がいわんとしていることは・・・・・・だね。
部隊長と前線隊員の間だといろいろ難しいかもしれないけど、
上司と部下ってだけじゃなく人間として、女の子同士として接してあげてくれないかな。
はやてだけじゃない。君の隊長たちにも・・・・・・。」
「了解しました!!現場一同心がけるよう努めます。」

笑みと共に敬礼と返事を返す。
お返しのように笑みを浮かべてくれるアコース査察官。
上司と部下じゃない。
人間として、女の子同士として・・・・・・か。
私1人でどうにかできるなんて思ってないけど、少しでも負担を軽く出来たらって思う。

「それじゃ、頼みごとをするんだからなにか見返りがないと駄目だね。」

悪戯っぽい笑みを浮かべながらのアコース査察官の言葉に首をかしげる。
どういうことだろう?
実戦で役に立つ魔法を教えてくれるとか、ボーナスをくれるとかかな?

「お値段もお手ごろでおいしい料理屋さんを教えてあげよう。
帰りに2人で寄っていくといい。」
「ありがとうございます。」

さっそく使わせてもらおう。
皆にもお土産買っていこっと・・・・・・。
スバル用のサイズがあればいいけど・・・・・・。
なんでアレだけ食べてウエストも体重も変わらないのかしら。
フォワードは消費カロリーがすごいとは言うけど・・・・・・。
しかし、人間として・・・・・・か。
もしも、あのとき私が勝っていたらどうなっていただろう。
思い出すのはなのはさんに挑んだあの模擬戦。
防がれてしまった近接攻撃が直撃していたなら・・・・・・。
私は思い上がりを正すことは出来なかっただろう。
そしてそのまま育った私は私として見られず、ただの駒としていつか壊れていったかもしれない。
あのとき叩きのめされて良かったと思う。
今でも鮮烈に思い出せる痛みの記憶。
もしも、叩きのめされなかったら?
もしも、六課に来ていなかったら?
もしも、スバルがいなかったら?
もしも・・・・・・。
考え始めると無数のIfがずらりと並ぶ。
おそらくそれら全てが分岐点。
たぶん私以上に隊長達やはんたさんはたくさんの分岐を超えてきたんだと思う。
その結果、今があるんだって・・・・・・。
そういえばどうしてだろう?
アコース査察官の言葉を聞いて真っ先に、はやて部隊長やなのはさん、
フェイト隊長やシグナム副隊長よりも先にはんたさんが思い浮かんだのは・・・・・・。
1人で凛と気高く佇んでいるようなイメージなのに・・・・・・。


========
ミッドチルダ地上、陸士108部隊、隊舎。
その薄暗い一室でウィンドウに移った映像を眺めてゲンヤ=ナガジマの顔が難しい表情を浮かべる。

「現場検証とあわせて改めて六課からデータをいただきました。」
「この魔法陣上のテンプレート、使っている動力反応。これまでのものと違い桁違いに高精度です。」
「間違いなさそうだな。」

娘のギンガとマリエル技官の説明に不本意ながら同意する。
認めたくなくても目の前に突きつけられた現実から眼は逸らせない。
しかし・・・・・・。

「はい。この子達全員、最新の技術で作られた・・・・・・戦闘機人です。」

戦闘機人・・・・・・か。
どうして因縁深いかね、家は・・・・・・。
家内も、スバルとギンガも、そしてたぬきの嬢ちゃんが躍起になって追いかけてるものも、
全部が全部戦闘機人絡み。
コストパフォーマンスなんて視点で見れば金持ちの道楽なんて次元を超えたもの。
そんなものを少なくとも4機保持してやがる。
しかも、まるで管理局に喧嘩売るみてぇに使いやがって・・・・・・。
心が鉛を流し込まれたかのように重い。
薄暗い部屋に沈黙が漂う。

「マリエルさんの解析データを六課と刷り合わせないといけないのですが」
「通信で済ます話じゃねぇな。俺が出向くとするわ。」
「はい。八神部隊長、御戻りは8時過ぎになるそうです。」
「マリエル技官はお忙しいかい?」
「私もご一緒します。最近スバルの顔も見ていないですし・・・・・・。
それになんだか物凄い科学者が六課にいるって噂になってますから。」
「ありがとうよ。じゃぁ、時間まで適当にやっていてくれ。ギンガ・・・・・・。」
「はい。マリエルさん、休憩室に・・・・・・。」
「うん。」

部屋を出て行く2人の後姿を見送る。
ふと視線を動かすと今は亡き家内の写真が目に入る。
お前が生きていたら・・・・・・どうしたかな。

「やっぱりと言やぁ・・・・・・やっぱりか・・・・・・。まだ何にも終わっちゃいないんだな。」

写真の中で笑顔を向けている家内は何も応えてはくれない。
ただ、胸に去来するこの感覚は・・・・・・感傷ってやつか。
女々しいもんだな。俺も・・・・・・。


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「そう。なのはがママになってくれたんだ。」
「うん。」
「でも実は、フェイトさんもちょっとだけヴィヴィオのママになったんだよ。」
「ふぇ?」

フェイトちゃんの言葉に不思議そうに首をかしげるヴィヴィオ。
後見人になってくれたフェイトちゃん。
わたし1人でヴィヴィオの面倒を見ると思っていた矢先だっただけに、とても心強い。
でも、後見人って言葉の意味、ヴィヴィオに分かるかな。

「後見人っていうのになったからね。ヴィヴィオとなのはママを見守る役目があるの。」
「んーーーーーー。なのはママと・・・・・・フェイトママ?」
「うん。」
「そう。」

ヴィヴィオに言われて思わず納得してしまう。
とても分かりやすい表現。
そうだ。
わたしとフェイトちゃんの2人がヴィヴィオのママになったんだ。

「ママ・・・・・・。」
「「はーい。」」

不思議そうに呼びかけるヴィヴィオにわたし達が声をそろえて返事をする。
途端に花の咲いたような笑顔がヴィヴィオの顔に浮かぶ。
言葉の意味を実感できたからかな。
それになんだかとても幸せな感じ。
自然と込み上げてくる笑いがわたし達3人から零れていた。
眠るまでそれは途絶えることは無かった。


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「それにしてもなのはさんとフェイトさんがママって・・・・・・。」
「ヴィヴィオ、物凄い無敵な感じ・・・・・・。」
「あはは・・・・・・。それなら2人もフェイトさんの被保護者でなのはさんの教え子じゃない。」
「えーと、それはそうなんですけど。」
「えへへ・・・・・・。」

あたしの言葉に2人とも照れるような恥ずかしいような、
誇らしいような複雑な表情を浮かべる。
フェイト隊長、強いし美人だしかっこいいもんね。
あ、そうだ。
前から聞いてみたい質問があったんだ。

「そういえば、2人的にはフェイトさんってお母さん?お姉さん?どっち?」
「私は優しいお姉さん・・・・・・ですね。」
「あー、僕はどっちだろう。難しいかも・・・・・・。」

迷うことなく答えるキャロ。
対照的にエリオは酷く複雑そうな表情のまま、考え込んでしまった。
男の子と女の子でこういうのは違うものなのかな。
そんなことを考えているとキャロが口を開く。

「フェイトさん、エリオ君が子供なのと弟なのとどっちが嬉しいのかな?
明日聞いてみようか?」
「うっ!!!!!!!!!!!!ゴメン、キャロ。それはやめて!!」
「うん?」
「あははははは、ははは、うふふ・・・・・・。」

パスタを噴出しそうになりながら大慌てで止めさせようとするエリオ。
不思議そうな顔できょとんとするキャロ。
あまりにも対照的な2人のほのぼのとした雰囲気に自然と笑いがこみ上げてくる。
でも、お母さん・・・・・・か。
戦闘機人・・・・・・。
母さん、あたしが決着をつけます。

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最終更新:2008年05月15日 20:44