最終話 遥かなる時の魂への凱歌



 ソルグラヴィオンはゼラヴィオンと対峙する。ソルグラヴィオンの手には超重剣が握られていた。

「のんびりしてられない、一気に決めよう。スバル!」
「はい! 皆行こう!」
『了解! うおおおおおおおおお!!』

 ソルグラヴィオンは背中のブースターのロケットを動かしゼラヴィオンに斬りかかる。
 しかしゼラヴィオンは自分の胴体をいくつものパーツに分離し、超重剣の攻撃を避ける。

「なら、なのはさん!」
「わかった、ソルグラヴィトンノヴァーーーーーーー!!」

 ソルグラヴィオンの前に見えないレンズを展開させ、肩のキャノンから重力子エネルギー波を発射させ、レンズで拡大させそのエネルギー波はゼラヴィオン全体を覆いつくす。
 そのエネルギーの爆発で光が広がり皆思わず目が眩む。

「やった?」

 スバルが確認しようとすると、前には無傷のゼラヴィオンが存在していた。

「まだ頑張らないとね」
「全然効いてないんだね」

 なのはとアリシアがゼラヴィオンの無傷を見て気を引き締める。

「ここからが本番ですね」
「でも急がないとヴェロッサさんが……」

 ヴェロッサがカリムのいる部屋に突入した事は既にグランナイツの皆は知っている。ここでゼラヴィオンに時間を食われてはヴェロッサの援護に行けない。
 なら早く倒させねばならないのだがゼラヴィオンは強い。何とかしないといけない。


 その頃ヴェロッサは何とかはやてに刺された傷口を塞ぎ、慣れない剣でカリムと生身で剣での決闘をしていた。しかしヴェロッサとカリムはあまりそう言った武器を持って戦うのをした事が無い。
 しかしその割にはカリムの剣捌きはなかなかのものであった。ヴェロッサは何とかつば競り合いに持ち込んでいた。

「人類は穢れた存在よ。欲望と争いにまみれた歴史に今こそ終止符を打つのよ」
「あなたはジェノサイドロンシステムに心を汚染されている。人間はあなたが思っているほど醜い存在じゃない!
はやての姿を模したアンドロイドをそばに置いているのは、カリム! あなたも人の魂を失っていない証拠だ!」

 ヴェロッサはつば競り合いでカリムを後ろに退け自分も一旦後ろに下がる。

「ロッサ!」

 カリムは走りながらヴェロッサに斬りかかり、ヴェロッサは一歩手前で避ける。しかし剣は避けたもののその次にカリムは左手でヴェロッサの顔を殴り、片足をヴェロッサの腹にめり込ませる。
 ヴェロッサはその勢いで思わず伏せこんでしまう。

「はやての名前を口にしないで。あなたがもっとはやてを気遣っていればはやての病に気付いていたはずよ。はやてを死なせたのはあなたよロッサ!」


 ソルグラヴィオンはゼラヴィオンの強さに苦戦を強いられてしまう。

「こうなったら、ティアナいくよ!」
「はい、アリシアさん!」

 ソルグラヴィオンは両手を合わせる。そして両手が高速回転を始める。

「「ソルグラヴィトン、スパイラルクラッシャーーーーーーナッーーーーーーーーークル!!」」

 大回転した拳がゼラヴィオン目掛けて飛んでいく! ゼラヴィオンは何とその攻撃を片手で受け止め、攻撃を完全に防ぎきる。
 飛んでいった両手はきちんとソルグラヴィオンの元の位置に帰っていった。

「効かないなんて…」
「何かないかな、一気にあいつをバァーって倒すすごい方法が……」

 スバルのその言葉でリインは思い出す。いつか遊園地の島でゼラバイアがゴッドグラヴィオンを侵食した際、自分の認識して崩れ落ちた事を…。

「私が行きます」
「え?」
「ジェノサイドロンはリインを感知すれば停止します。騎士カリムが私を守るためにそうプログラムしてるです。
私が姿を見せればあのジェノサイドロンの動きも止まるかもしれないです」

 しかしそれはある意味無謀である。武器を持たない自分の姿を敵にさらすというのは自殺行為に等しい。

「でもそんな事させられないよ」
「プログラムが書き換えらていたらどうするの?」

 スバルとティアナが心配する。

「騎士カリムにリインを思う気持ちが残っていたらプログラムはそのままのはず…、リインはカリムさんを信じたいです。
どんな姿になっても騎士カリムには人の心が残ってるって……」

 リインはそう言うと、Geoキャリバーのコックピットから外に出て、ゼラヴィオンの前に姿をさらし出す。
 しかしゼラヴィオンはリインの姿を見ても攻撃を止めず、ソルグラヴィオンに攻撃を仕掛ける。
 その攻撃は幸いにも直接当たらなかったため、リインも怪我はしなかった。それでもゼラヴィオンは次の攻撃を仕掛けようと手に剣を形成する。
 流石にまずいと判断したなのはがGeoミラージュから出てきてリインを連れ戻そうとする。

「リイン! 中に入って!」

 なのはが走るもゼラヴィオンは剣を振り下ろす。その時リインは叫んだ!

「カリムさーーーーーーん! やめてください!」

 その叫びがカリムかゼラヴィオンに届いたのか、ゼラヴィオンの剣はリインの目の前で止まった。そして剣はたちまち消滅した。
 リインは剣が自分の目の前までにあったせいかその場で意識を失い倒れそうになるも、なのはが何とか受け止める。

「スバル、今だよ!」

 なのはがスバルにゼラヴィオンに攻撃を指示する。

「わかりました! 超重剣!!」

 ソルグラヴィオンは地面に刺さっていた超重剣を持ち、ゼラヴィオンの胸に突き刺した! スバルは叫ぶ!

「エルゴ、ストーーーーーーーーーーーーーーーム!!」

 超重剣の先端から現れる重力の渦がゼラヴィオンを巻き込み、ゼラヴィオンは跡形も無く完全に消滅した。
 その際ゴーマから光が飛んでいくように見え、その光からグラヴィオゴラス司令室の方でもゼラヴィオンの消滅を確認した。

「ゴーマ内部に爆発確認!」
「敵のエネルギー波が消えていく!」

 その様子は映像を通じてグラヴィゴラスの中にいる人達だけでなくミッドチルダにいる人達にも届く。そして皆が歓喜の声を上げた。


 カリムのいる部屋では未だにヴェロッサとカリムが戦っていた。

「カリム……」
「まさかリインを助けるためのプログラムが命取りになるなんてね……」

 カリムはあざ笑うかのように言うがその言葉でヴェロッサは確信した。

「やはりあなたには人の心が残っていた。どれだけ否定してもあなたも人間だ」
「くだらないわ。こうなったらこのゴーマあの世界に完全に送り込んで消滅させてあげるわ。それだけも十分おつりが来るわ」
「そうはさせない!」

 ヴェロッサがカリムを斬ろうとするもヴェロッサの剣はカリムの剣に弾かれてしまい、ヴェロッサは剣を手放してしまった。

「くっ!」

 ヴェロッサは思わず地面に手を付いて伏せてしまう。

「私達の因縁に決着を着けるときが来たようね。はやての元で罪を償いなさい、ロッサ!!」

 カリムが剣を振り下ろそうとしたその時!

「カリム、やめてな」
「「?!」」

 突然のはやての声に二人は驚きはやての名を口にした。

「「はやて」」
「カリム、その人をこれ以上傷つけるのはやめてえな」

 そのはやての顔は哀しそうな顔であった。

「まさか、コピーしたはやての人格が…意識を持ったの!?」

 ヴェロッサはカリムが動揺している隙を見て、何とか剣のところまで戻り剣を握る。

「永い時をあなたと過ごしているうちにあのはやては人の魂を宿したんだよ」
「……そうね………」

 二人は剣を構える! そして勝負は一瞬で決まった!
 カリムが振り下ろす剣をヴェロッサはカウンターのように受け止めながら想いを込めた剣がカリムの剣を叩き折った!

「流石ね、ロッサ……」

 剣が折れたのと同時にカリムは倒れてしまい、ヴェロッサは倒れるカリムを支える。
 そしてヴェロッサはカリムを寝かせようとするとカリムの左目部分にあった機械的なものを消えていき、憎しみに満ちた顔がヴェロッサの知っている優しい顔に戻っていった。

「カリム」
「ロッサ、ごめんなさい。ジェノサイドロンシステムが停止して、思考コントロールから解放されたわ」
「カリム義姉さん」

 ヴェロッサの目には涙が溜まっていた。

「こうやって人の心を取り戻す時が来るのを私は待っていたのかもしれない…。ありがとう……ロッサ…………」

 そしてカリムは目を閉じ息を引き取った。

「義姉さん! カリム義姉さん!!」

 カリムが息を引き取るのと同時にアンドロイドのはやての体も青い炎に包まれた。はやては炎に包まれながら倒れているカリムのそばに立つ。

「はやて……」
「ロッサ、カリムの魂は私が連れてく。その方が幸せやと思う。だから……さよならや、ロッサ………」

 はやてはカリムを抱く。その時のはやての顔は哀しみもあったがどこか嬉しそうな顔していた。そのはやても心のどこかでこうなる事を望んでいたのかもしれない。そしてカリムとはやては一緒に消滅した。

「終わった……」


 ソルグラヴィオンはゼラヴィオンを倒してヴェロッサの捜索にあたっていた。

「ヴェロッサさんどこですか? もう脱出したんですか?」

 スバルが呼びかけるとヴェロッサから通信映像が入った。

「リイン…」
「ヴェロッサさん」
「すまない、リインお別れだ」
『え!?』

 全員が驚愕した。ヴェロッサはゴッドΣグラヴィオンのコックピットの中でこう続けた。

「全ては終わった。僕に残されているのは自分の罪を償う事だ」
「何を言ってるんですか!? ヴェロッサさんはもう充分罪を償ってるです!」
「あたし達や教会の人達を放り出す気ですか!?」
「ヴェロッサがいなくなったら教会のシスターは失業しちゃうよ!」
「そう言う事言ってる場合じゃないでしょ!」

 アリシアのちょっとした冗談をティアナが突っ込む。

「ヴェロッサ、教会の人達だけじゃない。シグナムさんやシャマルさん、それにヴィータちゃんも君の帰りを待ってるんだよ!」
「僕は何千年もの時からこの時を待ち続けていた。一人の人間に戻れるときを…。安らぎに包まれる時を…。タナトスが呼んでいるもう眠らせてくれ……」
「そう言うわけにいかんな!!」

 突然ヴァイスが通信に割り込む。どうやらGNフラッグがゴーマに向かっているようであった。

「え? ヴァイス陸曹?」
「お前は本当に罪を償ったのか? いやそうじゃない! お前はまだ罪を償っていない!
グラヴィオンの圧倒的な性能に俺は心奪われた。この気持ちまさしく愛だ!」
『愛!?』

 ヴァイスのとんでもない発言に皆唖然とした。

「だが愛を超越すればそれは憎しみとなる。そして俺はお前いやグラヴィオンとの対戦を望んでいる! お前は俺が抱く愛の憎しみの抹殺と対戦の約束を放棄して罪を償ったとは言えんぞ! ヴェロッサ・アコース!!」
「すまない……、それでも僕は……」
「ヴェロッサさん……、ふざけないで下さい!」

 スバルがぶちきれた。

「スバル……」
「一人だけバックれて虫が良すぎです! グラヴィオンに無理矢理乗せられたのは別にいいですけど、あたしはまだギン姉の居場所を聞いてないんですよ!
一人だけ中途半端に逃げるなんてそうはいきませんよ!」
(仕方ないな…)

 ドゥーエは最後の切り札と思う事を考え口にした。

「ギンガ、ギンガ聞いてる!?」
「え? ギン姉?」

 ドゥーエが突然ギンガの名を口にしたのでスバルは戸惑った。

「とりあえずシスターシャッハを連れて行きなさい! ヴェロッサを止められるのはあなた達だけよ」
「ギン姉、どこに?」
「うおおおおおおおおおおお!!」

 それと同時にグラヴィゴラスの先端部分がゴーマに突撃をかけ、GNフラッグも少し遅れて突撃した。
 GNフラッグからヴァイスが降りようとする前にグラヴィゴラスの先端部分が展開され、そこにはクロノとシャッハの姿があった。
クロノは何故か大きなフードの付いたロングコートを着ていた。
彼が普段防寒目的だけで着ている無骨なデザインのそれは明らかに季節外れでフードを深く被りボタンを全てとめられ体型もわからない。
クロノはすぐ右手でコートの胸元を乱暴にグッと掴んだ。

「仮面は置いてきた…もうこんな変装で正体を隠す必要もない!」

 そしてクロノ…いやギンガは決別とばかりにその男物のロングコートをバッと脱ぎ捨てる。
とめられたままのボタンがブチッブチッ!と嫌な音を立て弾け飛び乱雑に投げ捨てられ強風に一瞬で吹き飛ばされ消えていくロングコートの下からバリアジャケットを着たギンガが姿を現し、シャッハと共にヴェロッサの方に跳んでいく。

「「(ヴェ)ロッサ!」」
『えーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!?』

 ドゥーエ以外の皆が驚きを隠せなかった。それはGNフラッグにいたヴァイスも同じだった。

「おいおい、あいつがギンガだったのか…」
「ギンガ、シャッハ!」

 ヴェロッサが二人を受け止めようとしたら、二人からもろに鉄拳制裁をくらった。

『あれ?』

 てっきり普通に受け止められると思ったのにその予想とは大きく違ったので皆リアクションに困った。

「ロッサ、勝手に逃げる事なんて許しません! あなたと会ってから私の人生観は変わったんですよ。あなたがここに残るのなら私は無理矢理でも連れて帰ります!」
「ヴェロッサさん、私はね、そう言う所を認めて一緒に居たんじゃないわよ。あなたのミッドチルダを思う気持ちに感応して居たの。これ以上そんな事言うのなら……」

 シャッハとギンガは指を鳴らして、また殴る体勢に入ろうとしていた。

「ごめん、今ので目が覚めた。僕にはまだやることがあるようだね…」
「「そうそう」」
「え? クロノさんがギン姉って何で?」

 その経緯はソルグラヴィオンとゴッドΣグラヴィオンとGNフラッグが合流してゴーマ脱出の際にゴッドΣグラヴィオンにいるギンガが教えてくれた。

「あの仮面には最初のクロノから繋がる今までのクロノさん記憶が受け継がれるの。仮面をつけてる間は私もクロノさんの一人だったの」
「でも何で声や性別まで?」
「あの仮面は昔聖王が性別を偽るために使っていたものをアレンジして作られたもので女性が男性、男性が女性になる事もできるもの。そしてあの仮面はクロノさんをベースにしてたの。
それとあの仮面はティア、あなたのお兄さんから受け継いでたの…」
「兄さんが……」

 ティアナはその時の兄の姿を思い浮かべてみる。きっとミッドチルダの為に懸命に戦ったのだろうと…。

「じゃあ、あたしはずっとギン姉と一緒にいたって事に……」
「黙っててごめん。でもあの仮面をつけてる間はクロノさんにならないといけなかったの。許してくれる?」

 スバルは笑顔で答えた。

「うん!」
「俺は許したくないけどな」
「あなたに言ってないわよ、ヴァイス陸曹」

 ヴァイスの言葉にギンガが突っ込む。

「あの思ったんだけどギン姉ってヴァイス陸曹と知り合いなの?」
「まあ、知り合いと言えば知り合いね」
「ためしに一度付き合ったことがある仲だよ」
「え!?」
「でも付き合ってすぐに陸曹は違う子を口説いてたでしょ」
「あの時のパンチは痛かったぜ。まさか妹に同じパンチをくらうなんてな……」

 ソルグラヴィオン、ゴッドΣグラヴィオン、GNフラッグのコックピットからしばらく笑い声が絶えなかった。

「ところでヴァイス陸曹、さっきグラヴィオンに愛だとか言ってましたけど…」
「あれ本気ですか?」
「いや、本気と言うかなんと言うかな…。憎しみってのは嘘だよ。ああでも言わないと死にに行きそうだったからな…」
「それはすまなかったね」
「でも圧倒的な性能に心を奪われたってのは本当だな。そんでももって戦ってみたいってのも本音だ」
「ならいつか戦ってあげるよ…都合がいい時にね…」

 ヴェロッサは笑いながらヴァイスに答えた。そしてようやく出口が見えた。

「……皆帰ろうか」
『うん(はい)!』

 全員がゴーマから脱出し終えた直後突如とアラート鳴り響く! アラートが示す方向ではゴーマに異変が起こる。
 ゴーマが星状の形をしていたのがバケモノのような姿へと変化していったのだ!

「ゴーマが超巨大ジェノサイドロンに変形してる!?」
「嘘! まだ終わってなかったの!?」
「システムが完全暴走してるんだわ」

 アルト、ルキノ、シャーリーも驚きを隠せない。ゴーマは腹部周辺にゴーマ内全てのエネルギーを溜め込む。

「ゴーマはありったけのエネルギーをグラヴィゴラスにぶつけた後転移させてミッドチルダにぶつける気だわ!」
「回避は……間に合わない!」
「どうすれば……」

 スバル達にも緊張が走る! ヴェロッサは少し黙り込み最終手段を取る事を決意した。

「グランナイツの皆、最終合神をする!」
「最終合神?」
「そんなものまであるの……?」

 ティアナやドゥーエは突然の発表で少し困惑した。

「ソルグラヴィオンとゴッドΣグラヴィオンでの合神、グラヴィオンの最終形態…、スバル、エルゴフォームだ!」
「わかりました! エルゴ、フォーーーーーーーーーーーム!!」

 スバルの掛け声と共にソルグラヴィオンの胸から赤いエルゴフィールドが展開され、ソルグランディーヴァが一時グランカイザーと分離し、
 ゴッドΣグラヴィオンの方も一部が分離してグランΣが変形を行う。そして分離した部分とグランΣの変形した部分がグランカイザーと合神し、ここに真の最強のグラヴィオンが誕生した。

『最強合神!! アルティメーーーーーーーーーーーット、グラヴィオーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン!!!」
「おいおいおい、マジかよ……」

 隣に居たヴァイスはグラヴィオンの合神を真直に見ていたためにその無茶ッぷりのある合神で戸惑いを隠せないでいた。

「グラヴィゴラス、中央のボタンを押してくれ。シールドに使っていたエネルギーを全て放出する。グラヴィゴラスの最後の手だ!」
『了解しました! 重力子エネルギー照射!!』

 グラヴィゴラスの先端のドリルの中心から重力子エネルギーがアルティメットグラヴィオンの背中目掛けて照射され、アルティメットグラヴィオンのエネルギーは限界を越える!

「重力子エネルギー限界突破!」
「行くぞ! 皆!」
『おお!!!!』

 ゴーマからエネルギーが放たれると同時にアルティメットグラヴィオンも炎を纏い、炎はまるで大きな鳥のような姿を形取りゴーマのエネルギーに正面から立ち向かった!
 そしてぶつかる二つの力はアルティメットグラヴィオンが勝ちアルティメットグラヴィオンはゴーマの中心に向かって手に持つ剣を振り下ろした!

『超重炎皇斬!!!!!!!!』

 そのすさまじい力はゴーマの中心を突き破っただけでなくゴーマそのものを完全に斬った!

「エルゴ」
「エンド」

 スバルとなのはの言葉と同時にゴーマは斬られた中心部分に体が収束されるかのように崩壊していき、そして完全消滅した!
 ここにゼラバイアもといジェノサイドロンシステムはこの世から完全に姿を消した。

『やったーーーーーーーーーーー!!!』

 ゴーマの完全消滅はモニターされており、グラヴィゴラスにいるシスター達だけでなくミッドチルダに住む皆も歓喜の声を上げた。

「チンク姉、あいつら本当にやりやがったぜ!」
「ああよくやったな、スバル」
「もうすごかった!」
「グラヴィオン、最高ーーーーーーーーーッス!!」

 ノーヴェ、チンク、セイン、ウェンディも喜んだ。
 次元航行空間で近くに見ていたグラントルーパー部隊の皆もただ喜んでいた。

「やったね、オットー」
「彼らのおかげだよ」
「ありがとう、グラヴィオン」
「ヴェロッサ、やったな……」

 ヴィータも笑顔で喜んだ。

「あそこまで合体されたら勝てるかな……」

 先ほど戦おうと言ったヴァイスだがあそこまですさまじい力を見せ付けられると少々困惑してしまう。

「中将、やりましたな」
「最後まであいつらに頼ってしまうとはな……」
「しかしこれは皆の勝利であると思います」

 秘書でありレジアスの娘のオーリスが喜びながらもいつもの態度でレジアスに進言した。

「ふ、そうだな」(ありがとう、友よ……)


(この世界にあらゆる存在、そしてあらゆる人の心、すべては美しく輝いている。皆健やかにそしてどこまでも美しくあれ)

 ヴェロッサは帰還する中、世界中の皆に向かってそう思った。


 そして機動六課は、ゼラバイア消滅を気に解散。皆それぞれ別々の新しい生活に入ることになった。
 シグナムとシャマル、ザフィーラはヴェロッサの元には帰ってきたりするものの自分達の力を生かすためにシグナムは正式に地上部隊、シャマルは医療隊、ザフィーラは監査官をする事になった。
 エリオ、キャロはルーテシアの母が見つかり、ルーテシアと共に自然保護官としてやっていく事にした。
 シャーリー、アルト、ルキノはそれぞれ自分達の能力を生かすために様々な役職を転々とした。
 ドゥーエはスカリエッティの元に帰り、管理世界にある黒の組織に潜入捜査官として活動、ギンガもそれに付き合うことにした。
 ティアナは前々から志望していた執務官への道を歩むために執務官研修から始めた。
 アリシアは世界を見て回りたいとの事で小さいながらも旅に出た。
 なのはは正式にヴィヴィオを引き取り、戦技教導官への道を歩む事し、その間にヴィータと仲直りし、ヴィータと共に歩む事になった。
 そしてスバルは古巣に戻った途端、スバルが最初っから希望していた自然災害救助隊への転属が叶い、一部隊の隊長として活躍する。

 機動六課のメンバーがいなくなった聖王教会では静かな時が長く続いた。

「静かだね」
「そうですね…」

 ヴェロッサとシャッハはコーヒーを飲みながらその静かなひと時を過ごしていた。

(この静かで美しい日々が続くように……)









 超魔法重神グラヴィオンStrikerS           Fin



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最終更新:2021年08月19日 00:29