~おまけ~
此処はあらゆる時間・次元・事象を超越した世界セラフィックゲート。
そして此処に一つの犬小屋が存在する、これはあらゆる次元の中で起こりえる一つの可能性が詰まった小屋である。
だが決して…興味本位で覗くこと無かれ……
此処青く光る海の上空では、なのはとフェイトが一騎打ちの決闘を行っていた。
互いの魔法が交差し合い両者共に疲弊している中、
フェイトの最大の一撃であるフォトンランサー・ファランクスシフトがなのはに向けられ撃ち抜かれる。
「あいたたた…撃ち終わるとバインドってのも解けちゃうんだね」
良いことを学んだといった表情を表しながらフェイトの一撃を受けきったなのはは、反撃とばかりにバインドをフェイトにかける。
そしてレイジングハートをバスターモードに切り替えると魔法陣を展開、その中心に桜色の魔力が星のように集っていく。
「次は私の番!これが私の全力全開!スターライトブレイカー!!」
撃ち出されたなのは桜色の収束砲はフェイトを飲み込み海に深く突き刺さるのであった。
そして撃ち込まれた海の上空には黒こげでこんがりな犬フェイトが宙に浮いていた。
しかし既に意識を失っている為か手に持っていた杖を手放すと、力無く落ちていき水面へと落ち
それを目撃した犬なのはは犬フェイトを助けるべく海へと飛び込む。
…暫くして水面に二つの波飛沫と悲痛な叫び声が辺りに木霊する。
「がばばばっ!たっ助けてぇ!!わっわばじおよ゛げな゛い゛!!」
「あばばばっ!わ゛だじも泳げな゛かったの!……がばぁ!死を感じる……の!!」
お互い水面を叩き助けを求めている上空で、なのはとフェイトが今までの状況を見守っていた。
そしてなのはは二匹の縋るような目に思わず手を差し伸ばそうとする。
「なのは?!」
「やっぱ、可愛そうかなって思って……」
なのはの優しさに頬を掻きながらも賛同し、それぞれ真似していた犬に手を伸ばし助ける。
「ふぅ……助かったの……」
「あははっ!でももうこんな事しちゃダメだよ?」
なのはの忠告に二匹は頷くとなのはは笑みを浮かべ足場のある場所へと運び後にする。
それを見送った二匹はお互いを見つめると口の端がつり上がり始める。
(……なんつってな)
それから暫くして…世間ではジュエルシード事件を呼ばれる事となる大きな戦いが終わり、
なのはとフェイトは海が見える場所にて風を感じていた。
そして二人はお互いに向き合うと照れくさそうに見つめ、別れを惜しむように抱き合うとなのはは髪を縛っているリボンに手を伸ばす。
「思い出に出来るのこれ位しかないけど…」
「じゃあ私も…」
フェイトもまた結んであったリボンに手を伸ばし、友達の証拠として手に持ったリボンを交換し合う。
そして犬なのはと犬フェイトは手にしたリボン握り締めるとお互い笑みを浮かべ笑い始める。
「これで私の嫁ね、フェイトちゃん」
「それはお互い様だよ、なのは」
そう言って互いに握手を交わすと、二匹はまたもや互いの温もりを確認するかのようにを強く抱きしめる。
そして見つめ合うと、目を閉じ徐々に二匹の顔が近づいていき、唇が触れるギリギリの所で、チラリとある方向を見つめる。
その方向にはなのはとフェイトか静かに佇んでおり、前髪をだらりと垂らし表情が見えない状態になっていた。
しかし二人からは圧倒的な威圧感がひしひしと伝わってきており、二匹は鳥肌を立たせているとなのはの口がゆっくりと動き出す。
「おかしいな…どうしちゃったのかな?」
その声は小さく囁くように呟くがはっきりとした怒気と殺意が込められていた。
そしてゆっくりと二匹の下へ歩き出しながら言葉を続けるなのは達。
「感動な場面は遊びじゃないんだよ?反省しているフリだけして、
すぐにこんな事していたら…反省の意味…無いじゃない…」
なのは達から発せられる威圧感は益々大きくなりなのは達が一歩踏み出す度に、鉛の固まりが両肩にのしかかる印象を受ける二匹、
そしてその重たい空気に耐えきれず脱兎の如く逃げ出すが、目の前には真・ソニックフォームの状態で
ライオットザンバー・カラミティを肩に構え見下ろすフェイトがおり、
思わず後ずさりすると後ろにはなのはが光を一切放たない眼で見下ろし、静かにこう述べた。
「死ぬほど…頭冷やそうか…」
すると二匹の周囲をブラスタービットが囲みフェイトが二匹の間を閃光のように駆け抜け、二匹の肉体には稲妻が走り何度もその身を跳ね上げ、
間髪入れず、なのはは6基のブラスタービットとレイジングハートに魔力が収束させて、スターライトブレイカーを撃ち放つのであった。
そしてなのは達はその場を後にすると、スターライトブレイカーが撃ち放たれた場所は大きく円形に削られ、
その中心では二匹が寄り添うようにこんがり焼け倒れており、
友情の証であるリボンも灰となり風に乗って空に舞い散るのであった……
最終更新:2009年08月24日 20:37