―Lylycal Nanoha StrikerS × SIREN ~Welcome to Hanyuda vil~―

 キャロ・ル・ルシエ  蛇ノ首谷/折臥ノ森
             初日/0時27分45秒

 じりじりと歩み寄ってくる……目から赤い液体を流したバケモノ。
 わたしは思わず両手で自分の顔を覆った。

 ぶんっ!

 振り下ろされた鎌は……空を切って……わたしの真横にある木に深々と突き刺さった。
 そいつは突き刺さった鎌をふらふらとしながらも、懸命に抜こうとしながら……わたしをじっと見ていた。
 にたりと……不気味な笑みを青白い顔に浮かべたまま。

「いやあああああああ!」
 その瞬間、わたしは悲鳴をあげて、一目散にその場から立ち去った。
 まるで金縛りが解けたかのように。

 後ろを振り返らずに、わたしはただ全力で走り出していた。
 行く当てなんて全く無い。
 でも、とにかく……ひたすら走った。

 ふと目をつぶった時に……また、ノイズの混じった風景が見えた。
 そこに映っていたのは……。

 異様なまでの息遣いで、ふらふらしながらも……ある一点をめがけて走っていた。
 わたしの後姿をじっと見つめて!

 そこで再び、目に映る光景がが元に戻る。
 ふと、後ろをふと振り返ると……。

「……こらこらぁ……待でええええ!」
 あのバケモノが鎌を振り上げながら、わたしを追いかけてきていた!

 ひ、ひぃ……。
 わたしは思わず悲鳴をあげそうになりながらも、前を向きなおした。

 目の前には茂み。
 すかさず、その中に潜り込んで、さらに前へ進んだ。

 ――!!
 その先には地面が無かった。
 急な斜面になっていたのか、わたしの体は勢いよく転がり落ちた。
 気付いた時にはすでに遅かった。

 高さはそんなに無かったものの……斜面の下の潅木の茂みに体が突っ込み、全身に痛みが走る。
 体を動かすことすら出来ない。

 気絶しかけたものの……そこでまたあのノイズの混じった画像が。

 異様なまでの息遣いで、ふらふらしながらも……ある一点をめがけて走っていた。
 わたしの後姿をじっと見つめて!

 そこで再び、目に映る光景がが元に戻る。
 ふと、後ろをふと振り返ると……。

「……こらこらぁ……待でええええ!」
 あのバケモノが鎌を振り上げながら、わたしを追いかけてきていた!

 ひ、ひぃ……。
 わたしは思わず悲鳴をあげそうになりながらも、前を向きなおした。

 目の前には茂み。
 すかさず、その中に潜り込んで、さらに前へ進んだ。

 ――!!
 その先には地面が無かった。
 急な斜面になっていたのか、わたしの体は勢いよく転がり落ちた。
 気付いた時にはすでに遅かった。

 高さはそんなに無かったものの……斜面の下の潅木の茂みに体が突っ込み、全身に痛みが走る。
 体を動かすことすら出来ない。

 気絶しかけたものの……そこでまたあのノイズの混じった画像が。

 そこで視点はわたしのものに戻る。
 慌てて、後ろの方を見る。

 わたしのマントが……茂みからはみ出ているようだった。
 しかも動いた時に、がさがさと木の葉の音が立ったものだから……。

「せんせー……いるの……」
 遠くから……あのしわがれた声がした!

 視線が切り替わり……わたしがいる茂みが映る。
 白いマントがはみ出た箇所にじっと視線を集中させて!

「……せんせー……大丈夫でずがぁ……」
 そいつは、ものすごくゆっくりとした動きで……茂みとの距離を縮めていく!

 視線が元に戻り……耳を済ますと、なにか金属のようなものを引きずる音がした。
 恐らく手にしているシャベルを引きずっている音。

 不規則に立てるがらがらという音は……着実に大きくなっていく。
 さらには荒い息遣いまで……!

 もう……いや……許して……。
 わたしはただ……じっとそいつが近づいてくるのに何も出来ず……じっと息を殺して固まっているだけだった。

 ※※※※

 セイン  蛇ノ首谷/折臥ノ森
       初日/0時18分36秒

 本当にどうなってるの……マジでわけわかんない!

 あたしはただ、木陰に身を隠しながら、目の前にいる奴が通り過ぎるのをじっと待つしかなかった。
 手には猟銃らしきものを持って、ボロボロの服を着た……目から赤い液体を流した奴。
 あたしを探しているのか、しきりにキョロキョロしながらふらふらと歩いていた。

 あのサイレンが鳴ってから、なぜか地面に突き落とされて……目が覚めたら、こいつに銃口を向けられていた。
 とっさにISのディープダイバーを使って、その場はやり過ごしたけど……正直気分のいいものじゃない。
 おまけにものの数分で息苦しくなって、地中に潜りきれなかったし。
 おかげで、奴には速攻で見つかってしまって、銃を乱射されながら追い回される羽目に。
 なんとかここまでは逃げ切っているけど……異様に体が疲れてロクに走れなかったし。

 今までこんなことはなかった。
 マジでロクでもないよ。
 あたしは訳がわからず……ただひたすら逃げるしかなかった。

 トーレ姉やクア姉にセッテ、さらにはルーお嬢様も心配だけど……正直それどころではない。
 レリックや管理局の連中なんて、どうでもよくなってきた。
 とにかく、今は目の前の奴から逃げるのが先決!

 じっと息を殺して……ふと目を閉じると……いきなりノイズが走った。

 え?何?
 何が起こったかまったく理解できないまま、映像が切り替わった。

 そこに映っていたのは……猟銃を手にして、やたらと周囲を見回している誰かの視線。

「……バケモノはどこだ……撃ち殺してやるぞぉ……」
 荒い息を立てながら、そんな事をしわがれた低い声で口にしている。

 恐らく……あたしを追いまわしている奴の!
 奴が目にしている景色の中には……あたしが身を隠している木も映っていた。

 再びノイズが走り……あたしの視線に戻る。

 い、今のは……一体何なんだよ……。
 あたしはさっき自分の身に起こったことが何なのかを思い起こす。だが、一瞬で訳がわからなくなってしまい、考えるのをやめた。

 てか、バケモノはどっちだよ!
 思わずツッコミたくなるものの、今はただじっとしているしかない。

「……あっちか……」
 奴がそう呟くのが聞こえた。
 思わず体を小刻みに震わせるものの、すぐにじっとする。

 やがて、奴はあたしがいるのとは別の方向へ歩き出していった。

「…………」
 しばらくはそのまま身動きせず、奴の姿が完全にいなくなったのを確認して、あたしは木陰から身を乗り出した。
 そして、すかさず奴が行ったのと正反対の方向へと、駆け出していく。

 とにかく、まずはルーお嬢様を探して……。

 そう思っていた、その時。

 ボコッという音ともに。
 脇の地面が盛り上がり出して……人の手が突き出した!

「ひぃっ」
 情けない声を上げながら、すかさず近くの木陰に身を隠す。

 ち、ちょっと待ってよ……どこかの下手なホラー映画じゃないしさ……勘弁してよ!

 さらに、地面から突き出た手の周囲の地面が勢いよく盛り上がったかと思うと……中から人の体が勢いよく突き出てきた!
 青いシートが頭からかぶさっていたものの、そいつは手でそれを手で撥ね退ける。

 そこから出てきたのは……人間の女のようだった。
 土にまみれた白いワンピース状の服に角張った帽子……そう病院なんかにいる看護師の服装の……女だった。

 ただ、顔や肌は青白く……目からは赤い液体を流していた!
 半そでの服から突き出た腕や、靴が片方脱げている足も、まるで死体のように生気がない。

 さっきの奴と同じじゃない……てことは何?
 こいつらゾンビか何か?
 そんなのが堂々といるなんて……何て世界に来ちゃったんだろ。
 マジでレリックどころじゃないよ、これ。

「……せんせー……どこですかー……ひどいですよぉぉ……」
 そいつはしわがれた声で、叫びながらしきりに周囲を眺め回す。
 しばらくはそれを繰り返していたが、やがて近くに突き刺さっていたシャベルを手にすると、自分が出てきた穴を掘り返し出した。

「せんせー……中にいるんですかぁぁ……」
 そいつはのんびりとした動きで、ふらつきながらも延々と地面を掘り返していた。

 こ、こいつマジでバカ?
 あたしは少し唖然としながらも、なんとか逃げ出す隙をうかがっていた。

 やがて、そいつは掘り返す手を止めて……周囲を眺め出した。
 その中にはあたしが隠れている箇所も含まれていて、思わず視線が合いそうになったのでとっさにしゃがみこんで、身を隠す。

 ああ……なんていうか心臓に悪いよ……。

「……わかった……病院に帰ったのね……行かなきゃ……」
 やがてそんなことを呟き出すと、そいつはふらつきながらも、シャベルを手にしたままどこかへ歩き出していった。

 姿がなくなったのを確認して、あたしは動き出した。
 木陰から出て、そいつが行った方向とは別の向きに歩き出す。

 ――!?
 まもなく、道の上に何かが落ちているのを見つけた。

 薄汚れた……白い靴……?
 あたしは何気なくそれを拾った。

 ま、まさかこれってさっきの奴の?
 そいつが片方の靴を履いていないのを思い出し、思わず投げ捨てようとした。

 が。

「……いやあああああ……」
 どこからか、女の甲高い悲鳴が聞こえた。
 それにびっくりしてしまい……あたしは一目散にその場を後にした。
 靴を手にしたままで……。

 ―to be continiued―

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最終更新:2007年08月14日 17:04