クラナガンの街を巨大なガジェットⅣ型が襲撃した。ガジェットⅣ型は名称でこそ四番目扱いにされているが
実際はガジェットⅠ~Ⅲの基となった物であり、古代ベルカ…下手をすればアルハザードの技術が関わっている
かもしれない非常に強力な代物であった。しかしそれもあくまで人間と同じ位の大きさである。
だが、今クラナガンを襲うガジェットⅣ型は数十メートル級の巨大サイズであり、しかもガジェットⅣ型の
特徴である魔力探知さえ防ぐ強力なステルス機能と巨体から繰り出される強力な破壊力によって管理局を翻弄していた。
「無限書庫のユーノ=スクライア先生が探して来た文献によると、敵の名は巨大ガジェットⅣ型と言うそうです。」
「そのまんまだな。」
「何でも古代ベルカの時代にガジェットⅣ型をそのまま巨大化して作れば強力な戦力になるのでは?
と考えた者がおり、安易な発想ながらに実際に作ってしまった代物なのだそうです。」
「うん。そのまんまで安易過ぎるな。」
「ですが強力な敵である事に変わりありません。」
現場で事を対処していた武装局員達がその様な事を言い合っている間にも、巨大ガジェットⅣ型が
姿を消した状態で街を斬り崩して行く。それ故にぱっと見だけなら大規模ポルターガイスト現象にしか見えず
その不気味さも相まって現場の士気は落ちていた。
「このままじゃいけない…。」
あんまり現場の局員が不甲斐ないので、助っ人として前線に駆り出された高町なのは一等空尉の姿が
ちゃっかり存在した。彼女は最前線で勇猛に戦う振りをして、こっそりと建物の陰に隠れた。
そして周囲を見渡し、誰も見ていない事を確認するなり服の中から小型懐中電灯の様な怪しげな
機械を取り出し、空中にかざしつつスイッチを入れた。
その直後だった。眩い光がなのはの全身を包み、次の瞬間その身体を銀色の巨人へと姿を変えていた。
「あ!
リリカルマンだ!」
「おお! リリカルマンが来てくれたぞ!」
銀色の肌に赤い模様、胸部にはクリスタル状の物が付いた異様な巨人。眩い輝きと共に街中に突如姿を
現した巨人に対し人々は恐れを抱くどころかむしろ誰もが歓迎していた。そして巨人は構える。
巨大ガジェットⅣ型に戦いを挑むつもりであった。
『ヘアァ!』
「リリカルマーン! 頑張ってー!」
さっきまで巨大ガジェットⅣ型に果敢に攻撃していた局員も戦闘を中止し、巨人と巨大ガジェットⅣ型の
対決に観戦を決め込む始末。おまいら働けと。しかし、巨大ガジェットⅣ型は依然姿を消したままであり
巨人も戦い難そうであった。
『ジェァ! ジュァァァ!』
巨大ガジェットⅣ型の鋭く巨大な鎌が巨人の背中に直撃した、忽ち巨人の背中から火花が散り
思わず巨人も悶えてしまう…が…その身体を切り裂かれるには至らない。ビルも容易く切断する威力を持つ
巨大ガジェットⅣ型の鎌をモロに受けているのにも関わらずにである。何と強固な身体であろうか。
『ヘァ!』
体勢を立て直した巨人は目から光を放つ。その直後だった。先程まで完全に姿を消していた巨大ガジェットⅣ型が
姿を現したのである。巨人の目から放たれる光線にはステルスを無効化する力があるのだろうか? いずれにせよ
姿を現した時点で巨大ガジェットも単なる巨大メカとなってしまう。巨人は巨大ガジェットⅣ型に掴みかかり…
『ジェアアアア!!』
甲高い雄叫びと勢い良く持ち上げ、地面に投げ落としていた。この激しい投げ技の前には重金属の塊である
巨大ガジェットⅣ型も忽ちひしゃげ、内部メカがショートしていく。そして巨人は巨大ガジェットⅣ型から
一歩下がると共に腕を十字に組んだ。
『ジュア!』
巨人の十字に組んだ手から眩い光線が放たれた! 光線は巨大ガジェットⅣ型を跡形も無く吹飛ばしていたのである。
恐るべき威力。勝利が決すると共に巨人は飛び上がり、天高く去って行った。
『シュワッチ!』
「リリカルマーン! ありがとー!」
「よし! 撤収!」
巨大ガジェットⅣ型は巨人の力によって倒され、武装局員達が撤収して行く中、何食わぬ顔で一緒に撤収して行く
なのはの姿がそこにあった。
この巨人とは? リリカルマンとは? 一体高町なのはの身に一体何が起こってしまったのだろうか?
事は数ヶ月前に遡る事になる。
最終更新:2010年09月15日 13:02