リリカルマンとなったなのはは様々な敵との戦いを繰り広げて行くわけだが、その全てのエピソードを
一つ一つ細かく紹介して行く事は非常に困難であろう。故にその中の幾つかの物語をダイジェストで紹介する事とする。


           『侵略者を撃て』 次元忍者バルタン次元人 登場

 バルタン次元人なる者達が時空管理局に対してミッドへの移住を希望して来た。彼等の世界は戦争によって
滅んでしまい、たまたま次元旅行に出ていた事で運良く生き残る形となった彼等が安住の地を求めて
放浪の末にミッドに流れ着いたのだった。

 困った時はお互い様。管理局も管理局の定める法を守るならば余剰の無人世界を与えるのも構わないと考えていたが、
ここでバルタン次元人はミッドチルダと言う世界が気に入ってしまったのか突如として侵略行動を開始。

 管理世界における生物の常識を超えた恐るべき超能力を持ったバルタン次元人の力はなのはすらも
翻弄されてしまう程であったが、リリカルマンに変身する事でどうにか撃退する事が出来た。


             『時空管理局出動せよ』 透明怪獣ネロンガ 登場

 その昔、さる高名な大魔導師によって妖怪が封じ込められたと言う言い伝えの残る古井戸がミッドの奥地に存在した。
誰もが単なる言い伝えに過ぎないと考えていたのだが、古井戸に封じ込められたと伝わる妖怪は実在した。
そして長き時を経て透明怪獣ネロンガとして蘇った妖怪はエネルギー源となる電気を求めて発電施設を襲う。

 ネロンガは透明怪獣なだけに普段は透明であるが、電気を吸収する事によって姿を現す。
その特性を利用し、電撃系魔法を得意とするフェイトがまずネロンガに電気を与え、姿を現してから
一気に攻撃をかけると言う作戦に移る。

 作戦は成功したかに見えた。しかしネロンガの耐久力は管理局の計算を超えており決定打にならない。
ここでなのはは、ネロンガの電撃を逆に受けて気を失ってしまったフェイトを救出して後退する様に
見せかけてこっそりとベーターカプセルを点火、リリカルマンに変身した。

 リリカルマンの身体はネロンガの電撃を真っ向から受けてもビクともしない。それどころか
ネロンガの巨体を楽々と持ち上げ地面に投げ落とし、大きなダメージを受けて動けなくなった所を
スペシウム光線によって木っ端微塵にしてしまうのだった。

 特に細かく考えずに肩の力を抜いて怪獣との対決をメインに描いたお話。


         『魔法の植物』 怪奇植物グリーンモンス 登場

 南島の奥地に生息する食虫植物に対し、どっかの研究者が魔力を照射しての品種改良を
行ったもんだから大変。魔力を吸収して育つ怪植物グリーンモンスとなってしまった。

 自走をも可能にしにしていたグリーンモンスは魔力を求めクラナガンに襲来。

 管理局が攻撃を加えようとするも、管理局の主力である魔力を使用した攻撃方法では
グリーンモンスに逆にエネルギーを与えて巨大化を助長してしまうばかり。
さらにグリーンモンスは内部に持つ有毒な神経毒を含んだ物質を噴出し、被害者が増えて行く。

 そこでなのはは、グリーンモンスの神経毒を若干受けてしまった為に死んでしまう程では無いにしても
麻酔を打たれた様に眠ってしまったフェイトを救出して後退する様に見せかけてこっそりとベーターカプセルを点火、
リリカルマンに変身した。

 グリーンモンスの神経毒噴出攻撃にはリリカルマンも苦しむ。一気に焼き払うべくスペシウム光線を
放とうとするが、そこで信じられない事が起こった。今度はスペシウム光線をも吸収してさらに巨大化してしまったのだ。
そのままリリカルマンのエネルギーをも吸収しようとするグリーンモンスにエネルギーを吸収されピンチに
陥るリリカルマン。しかし、まだ手は残っていた。リリカルマンは残されたエネルギーを振り絞り
グリーンモンスを持ち上げて天高く飛び立つ。そして瞬く間にミッドチルダの大気圏を離脱し宇宙へ出た。
リリカルマンのエネルギー源は太陽光。ミッドの外である宇宙空間から直接太陽光を受ける事によって
エネルギーを補給しつつ、そのままグリーンモンスを太陽へ落としてしまった。

 魔力は愚かリリカルマンのエネルギーをも吸収したグリーンモンスも恒星を吸収しきる事は出来ず
燃え尽きてしまうのだった。


      『侵略するウサギ』 ぬいぐるみ怪獣クリス ぬいぐるみ怪獣のろいうさぎ 登場

 古代ベルカの戦乱の時代において戦力不足に悩まされていたとある国が、余っていたぬいぐるみを
怪獣に変える事が出来れば戦力となるのでは無いか? と言う安易な考えの下に実際に作ってしまった
ぬいぐるみを怪獣にする装置。しかしそれによって作られたぬいぐるみ怪獣はコントロールが効かず
その国は皮肉にも自分達の生み出したぬいぐるみ怪獣によって滅んでしまったのだが、そのぬいぐるみを
怪獣に変える装置だけがロストロギアとして現代の管理局に回収され、しかもそれの誤作動によって
ヴィヴィオの持っていたクリスとヴィータののろいうさぎがそれぞれにぬいぐるみ怪獣となってしまった。

 凶暴凶悪なぬいぐるみ怪獣となってしまったクリスとのろいうさぎは街を破壊する。
なのははリリカルマンに変身して対抗しようとするが、一対ニと言う不利な状況。
それ故に管理局は少しでもリリカルマンの負担を軽くしようと全面的に援護をする
構えを取っていたのだが、ここで意外な強敵が現れてしまうのである。

「やめてー! ウサギさんを苛めないで!」
「リリカルマーン! ウサギさんに乱暴しないでー!」
『ヘア!?』

 それはミッドチルダに住む純真無垢な子供達であった。子供達にはクリスとのろいうさぎと戦う
リリカルマンと管理局の姿が、汚い大人が罪の無い可愛いウサギさんを苛めている様に映ったのだ。

「やめてー! クリスに乱暴しちゃダメー!」
「やめろよー! あたしのうさぎ! あたしのうさぎがぁぁぁ!」

 クリスとのろいうさぎのそれぞれの持ち主であるヴィヴィオとヴィータもまた子供達に混じって
リリカルマンと管理局に向かって野次を飛ばす。それがリリカルマンにとっても管理局にとっても
二大ぬいぐるみ怪獣の猛攻以上に痛い物であった。

「ウサギさんを攻撃しちゃだめだよー!」
「それが大人のやる事かよー!」

 結局クリスはリリカルマンのスペシウム光線で、のろいうさぎは管理局の総攻撃によって
焼き払われた。しかし、燃え上がり焼け落ちて行く二大ぬいぐるみ怪獣の姿を見ながら
子供達の泣き叫び、リリカルマンと管理局を罵る声が延々響き渡っていた。

 なのはは心が痛かった。そして思った。何時からだろう…自分が子供の頃に持っていた
純真な心を失ってしまったのは…と…。

 なのはは後でヴィヴィオとクリスに新しいぬいぐるみを買ってあげたが、
二人の表情は中々晴れる事は無かった。非常に気の滅入る戦いであった事は間違いない。


        『故郷はミッドチルダ』 棲星怪獣ジャミラ 登場

 その昔、時空管理局辺境世界調査隊なる部隊に所属していたジャミラなる陸士が辺境世界調査任務中に
起こった事故によって消息を絶った。管理局はジャミラ陸士は既に死亡したと判断していたのだが、
実はジャミラ陸士は死んではおらず、それから十年以上もの歳月が経過した現在において
ジャミラ陸士はミッドチルダに帰って来た。水の無い辺境世界に単身取り残され、その状況で
生き延びて来た事によって異形に進化した姿で…。ジャミラ陸士は自分を見捨てた管理局に
復讐する為に帰って来たのだ。

 この事態に対し、管理局が出した命令は非情な物だった。

「ジャミラを管理局陸士としてでは無く異次元から襲来した一怪獣として処理せよ。」

 既に異形の怪物となってしまっていても、ジャミラが元々人間…それも時空管理局における先輩だと言う
事実がなのは達を躊躇させる。しかしジャミラのもたらす破壊によってミッドが…クラナガンの街が
破壊されると言う事もまたあってはならない事。

 本当の正義とは何か? その様な疑問を持ちながらもミッドに暮らす罪無き人々を守る為に
なのはは心を鬼にしてベーターカプセルのスイッチを押した。

 リリカルマンはジャミラと戦う。次元人に命を貰って超人的な力を得た人間と劣悪な環境の下で
異形の者へと進化を遂げた人間の戦い。人間…そう…姿は変わっても同じ人間同士の戦いなのだ。

 高熱に耐え得る様に進化したジャミラにはリリカルマンのスペシウム光線とて効果は薄い。
だが水の無い世界の環境に適応したジャミラは逆に水に弱い体質となっていた。
リリカルマンの手から水を放射するリリカル水流によってジャミラの身体は濡れ、もがき苦しみ…
やがては死に至った。戦いには勝ったがなのはの心は晴れなかった。もっと他に良い方法が
あったかもしれないと言うのに、こうするしか無かった自分の無力さを悔やんだ。

 ジャミラに与える事が出来た唯一の救い。それはジャミラを故郷であるミッドの土に返す事。
その跡に作られた墓をなのはは見つめ続けていた。


          『巨大フェレットを群れへ帰せ』  友好怪獣巨大フェレット 登場

 クラナガンの街に突如巨大フェレットが出現した。しかしその巨大フェレットは特に街を破壊する様子を
見せず、むしろ建物等を避けながら何かを探し回る様に歩いて行くだけ。それもそのはず。巨大フェレットは
肉食性ではあるが人間に対しては非常に友好的な怪獣だったのである。恐らくこの個体は群れからはぐれて
しまった様で、元の群れを探してクラナガンにまで辿り着いてしまった様だった。

 この事態に対し、管理局の対応策は二つに割れた。巨大フェレットを群れに帰してやろうと考えるハト派と
巨大フェレットを怪獣では無く淫獣と言うカテゴリーで扱い、クラナガンの街が被害を受ける前に殺してしまおうと
考えるタカ派とで意見が合わず、膠着状態に陥っていた。

 ここでタカ派が独断行動に出てハト派の制止も聞かず巨大フェレットへの攻撃を開始した。
四方八方から攻撃を受けてのた打ち回る巨大フェレット。その姿を見てなのはは心が痛む。
かつてフェレット形態のユーノと暮らしていた事があるなのはだからこそ、巨大フェレットは
何としても群れに帰してあげたかった。だが現在巨大フェレット攻撃を主導しているタカ派が
なのはの意見を聞くとは思えない。故になのははベーターカプセルを点火した。

 高町なのはとしてでは無くリリカルマンとして巨大フェレットを助ける。これしか無かった。

 管理局タカ派勢力の攻撃から巨大フェレットを庇うリリカルマン。その時点で管理局タカ派勢力側
武装隊による一斉攻撃を受けてしまう事になるリリカルマンだが、怯まない。何とかして巨大フェレットを守り
群れへ返そうとリリカルマンも必死だ。

 だがその時だった。クラナガンに面した海の沖に現れた巨大フェレット群れ。
彼等は群れからはぐれた巨大フェレットを探しに来たに違いない。タカ派の魔導師達が驚愕して
硬直している隙にリリカルマンは巨大フェレットを抱えて群れの所へ連れて行く。

 こうして巨大フェレットは群れの中に戻り、巨大フェレットの群れは何処へ去って行った。
その姿にタカ派は悔しがり、ハト派は安心し手を振って見送って行く。
無論、その中には何食わぬ顔で戻って来たなのはの姿もあった。


           『ジョーズを倒せ』    魔法鮫マジカルジョーズ 登場

 魔法の力で異常進化した鮫、マジカルジョーズが出現。数十メートル級の巨体となったマジカルジョーズは
その凄まじい力で海上を進む船を襲いまくる。当然管理局も害獣駆除に乗り出した。

 だが、実はマジカルジョーズの出現する海域には丁度ヴィヴィオ達が学校の遠足で来ており、
しかもそのまま乗っていた船ごとマジカルジョーズに襲われて危機に陥ると言う実に間の悪い事になってしまった。

 なのははヴィヴィオ達を救出する事が出来るのか!? マジカルジョーズを倒す事は出来るのか!?

 リリカルマン初の水中戦!


         『デバイスの復讐』   デバイス怪獣デバイスモンス 登場

 ミッドチルダのゴミ捨て場に廃棄されていた一つのデバイスが存在した。しかしそのデバイスのAIは
未だ起動状態にあり、自分を捨てた人間達に対して復讐を誓っていた。そして周囲に同じく捨てられていた
機械部品等をかき集め取り込み、巨大なデバイス怪獣となってクラナガンに襲来する。

 廃棄されたデバイスの悲しみと、現実のゴミ問題に対する風刺をクロスしたお話。


           『地上破壊工作』   地底怪獣テレスドン 登場

 現人類がミッドに文明を築く以前からミッドの地底に住んでいた地底人が、地上支配の為に
地底怪獣テレスドンを地上に送り込んだ。しかし実はそれは管理局に対する陽動であり、
本当の目的はなのはを拉致して洗脳し、その状態でリリカルマンに変身させる事で自身の尖兵として
地上を破壊させようと言う物だった。が、なのはへの洗脳は効いても一心同体となっている
リリカルマン本人には効かず、逆に暗い地底の環境に適応していた地底人には
リリカルマン変身時に発生する強烈な光には耐えられなかった。

 その後、地上でテレスドンと対決。壮絶な格闘戦の末にテレスドンを何度も頭から地面に投げ落として倒すのだった。


         『命を持った機械』      機械生命ゆりかご 登場

 JS事件において宇宙空間で管理局艦隊の集中攻撃を受けて撃沈させられた聖王のゆりかごの残骸が
未知のエネルギー生命体に憑かれ、周囲のスペースデブリ等を取り込み生命を持った機械として強化復活し、
さらに恐るべき力でクラナガンへの攻撃を開始した。

 ゆりかごの砲撃とリリカルマンの光線技の応酬。そしてリリカルマンの新必殺技、なのは自身が持つ
スターライトブレイカーの力によって周囲の魔力を集束させ放つスターライトスペシウム光線は
今度こそゆりかごを完全に破壊する事は出来るのだろうか!?


          『怒りの亡霊』     亡霊騎士ゴーストリッター 登場

 古代ベルカ戦乱の時代におけるさる高名な騎士を祭った祠に飾られていた、彼が生前愛用していたデバイスを
泥棒が持ち去った事によってその高名な騎士が亡霊騎士となって蘇って暴れ始めた。
管理局はそれを怪獣の類と認識して攻撃を加えるが、ほぼ霊的存在と言える亡霊騎士には物理攻撃は意味を成さない。

 リリカルマンの攻撃さえも亡霊騎士に対してはすり抜けてしまい危機に陥るが、
フェイトが泥棒から古代ベルカの高名な騎士が愛用していたデバイスを取り返し、
祠に返した事によって亡霊騎士は怒りを静めて消滅するのであった。

 敵が亡霊と言う事でホラーテイストを持ったエピソード。


       『悪魔はふたたび』 青色発泡怪獣アボラス 赤色火焔怪獣バニラ 登場

 時空管理局がそれぞれ異なる場所でほぼ同時に発見した二つのカプセル状ロストロギア。
しかしその中には古代人がそれぞれに封印した恐るべき怪獣が眠っていたのだった。

 封印から解かれた二大怪獣は大暴れを始める。アボラスは口からあらゆる物を溶かす発泡溶解液を
吐いて街を溶かし、バニラは高熱火炎を吐いてあらゆる物を燃やして行く。やがて二体は相対し対決。
双方は互角であったが、管理局の攻撃によってバニラが怯んだ事によって均衡は崩れ、アボラスの発泡溶解液に
よって溶かされてしまった。

 アボラス一体になった所でなのははリリカルマンに変身。リリカルマンもまたアボラスの発泡溶解液を
全身に受けて窮地に陥るが、リリカル念力でどうにか泡を吹飛ばし、同箇所を狙ったスペシウム光線
三連射によって何とか撃退に成功するのだった。


           『超兵器ジェノサイドアルカンシェル』 再生怪獣95次元獣 登場

 時空管理局の開発した新兵器、ジェノサイドアルカンシェル。従来のアルカンシェルを遥かに超えた威力を持った
それは世界そのものを丸ごと破壊してしまえる力を持っており、管理局に対し敵対して来る者がいた場合
その敵を世界丸ごと消滅させる為に開発されたのだった。

 幾らなんでもそこまでやる事は無いのでは? 余りにも過剰防衛過ぎる装備になのは達は疑問に思うが、
95次元世界と呼ばれる無生物世界おいてジェノサイドアルカンシェルの実験が行われていた。
ジェノサイドアルカンシェルの力によって見る見るうちに消滅して行く95次元世界。

 しかし、管理局の調査の結果生物が存在し無い世界と思われた95次元世界には生物が存在した。
それどころかジェノサイドアルカンシェルのエネルギーによって異常進化し、再生怪獣95次元獣となって
報復の為にミッドチルダへ襲来していたのだ。

 95次元獣そのものはリリカルマンとの壮絶な死闘の果てに倒された。しかし、ジェノサイドアルカンシェルの
影響によって95次元の生物が恐るべき怪獣と化した事実は管理局の皆に多大な衝撃を与え、
間も無くしてジェノサイドアルカンシェルの凍結が決まった。

 余りにも強力すぎる兵器を持つ事は、敵もまた強力な兵器を持って対抗して来る事を助長させる。
それは血を吐きながら続ける悲しきマラソン。

 現実の核開発競争に対する風刺を込めたエピソード。


         『呪いの古書神ブックスター』    古書神ブックスター 登場

 無限書庫司書長ことユーノ=スクライアが無限書庫での仕事中に行方不明になる事態が発生。
事件の現場である無限書庫の調査を行った結果、無限書庫の奥深くに相当な昔から存在していた
「古書神ブックスター」なる本の神様と太古から言い伝えられる存在の仕業であると判明する。
しかもブックスターは数百年に一度、司書として優秀な人間を生贄として喰らうと言うのである。

 早く救出しなければユーノが危ない。普段無限書庫にあんまり注目して無い管理局上層部も
これには重い腰を上げ、救出部隊を無限書庫に送り込む。

 そして広大な無限書庫を舞台にリリカルマンとブックスターの激闘が始まる。


          『総てを一つにする者』     統合生命体オール 登場

 この世に争いが無くならないのは、それぞれが異なる姿、異なる考え方、異なる価値観を持っているが故に
互いに譲る事が出来ないから。ならばこの世に存在する総ての存在を一つに統合してしまえば良い。
と言う考えの下、この世の総てを取り込み一つに統合しようとする統合生命体オールが異次元から管理世界に襲来した。

 オールの猛威の前にはあらゆる物体、あらゆる生物、あらゆる攻撃が取り込まれていく。
あわやリリカルマンさえも取り込まれてしまう程であったが、なのは自身の言葉が意外な結果を導く。

「総てを一つにしてしまったら、貴方はたった一人になっちゃうんだよ。そんな事になったら貴方は平気なの?
話相手も何も無く、たった一人で延々と生きていく事が貴方には出来るの?」

 確かに総てを一つにしてしまった時、その者はたった一人になってしまう。それはこの上なく寂しい物だ。
少なくともなのは個人はそんな事は嫌だった。ユーノやフェイト、その他掛け替えの無い大切な人が
皆いなくなって一人ぼっちになってしまうのは、例えなのはとて耐えられる物では無い。故に総てを一つに統合する事を
踏み止まらせようと説得を続けた。その言葉にはオールは思わず躊躇してしまい、その隙を突いてリリカルマンが
内側からオールを爆破するのだった。


         『バルタンの逆襲』   次元忍者バルタン次元人Ⅱ 登場

 かつてリリカルマンに倒されたバルタン次元人の生き残りが何処かの次元に安住の地を見付け、
そこを新たな自分達の世界として作り上げていた。しかし、あくまでもミッドチルダを諦めない
決意を固めていた彼等は再び立ち上がりミッドチルダ攻撃を始めた。

 それはリリカルマンに変身するなのはが、仕事の出張で遠い世界に行ってミッドを留守にしている間に
ミッドを攻撃すると言う物だった。

 管理局は今日までの研究から完成させた、理論上スペシウム光線と同等の威力を発揮する魔力砲マルス133を
使い対抗するが、バルタンの持つスペルゲン反射鏡によって反射させられ苦境に陥る。

 ミッドがバルタン次元人による攻撃を受けた事を知ったなのはだが、今から向かっても間に合わない。
なのはが今いる世界は次元船で連続転送をかけたとしてもかなりの時間のかかる距離にあるのだ。
だが方法が無いわけでも無かった。リリカルマンのリリカルテレポーテーションならば一瞬でミッドへ行く事も可能だ。
しかしそのエネルギーの消耗も激しく、リリカルマンの寿命を縮ませてしまう。しかしミッドに住む多くの人の命には
替えられない。リリカルテレポーテーションによってミッドへ向かったリリカルマンは、バルタン次元人と対決。
バルタン次元人のスペルゲン反射鏡はリリカルマンのスペシウム光線さえ弾き返してしまうが、
リリカルマンにもまだ手は残っていた。スペシウムエネルギーを集束させ丸ノコ状に形成する事によって
切断能力を持たせたリリカルスラッシュこと八つ裂き光輪。この一撃によってバルタンを真っ二つにするのであった。

 その後、再びテレポーテーションで元いた世界に戻るのだが、この大きなエネルギーの消耗は
なのはにも影響を与え、なのははしばらく気を失っていたという。


              『影を継ぐ者』 人造超人リリカルマンイミテーション 登場

 リリカルマンの力に魅せられたジェイル=スカリエッティは管理局の目を盗んで独自にリリカルマンの研究を
行っていた。リリカルマンの超人的な力を少しでも再現する事が出来れば、それは戦闘機人や人造魔導師を
遥かに超える新戦力になり得ると考えていたのだ。

 長い研究の果て、恒星の光に含まれた「ディファレーター」なる物質が影響している事を発見する。
そしてスカリエッティは、リリカルマンはこのディファレーターによって超人へ進化した種族では無いか?
と言う推論を起こす。しかし放射線も少量では有害とはならない様に、ミッドを照らす太陽を初めとした
自然の恒星から放射されるディファレーターの量では何ら意味を成さないと言う事も分かった。

 故にスカリエッティは人工的に大量のディファレーターを発生させる装置を開発。自分自身を実験台として
見事人工的にリリカルマンを作り出す事に成功。リリカルマンイミテーションの誕生である。

 スカリエッティはリリカルマンの強大な力に酔いしれ、自分自身が管理世界を統べる神になろうとするが、
どうにか本物のリリカルマンによって撃退された。

 元の人間に戻ったスカリエッティは再び管理局に逮捕される事になるが、その姿を見てなのはは
リリカルマンの力は一歩間違えれば大変な事になる事を悟り、使い方を間違えぬ様に心がけるのだった。


             『淫獣殿下』    古代淫獣ショクシューラ 登場

 三度の飯より淫獣が好きで、何時も淫獣の絵を描いてばかりいる故に「淫獣殿下」の異名で呼ばれる少年がいた。

 一方、管理局では古代淫獣ショクシューラの捕獲に成功し、その輸送作戦を行っていたのだが、
輸送中にショクシューラを眠らせていた麻酔が解けて逃げられてしまう。逃走したショクシューラは淫獣で
あるが故に触手を伸ばして彼方此方で女の子を襲いまくる。

 なのははリリカルマンとなって対抗するが、ショクシューラの触手攻撃に苦戦し取り逃がしてしまう。
しかもそのドサクサの中でベーターカプセルを何処かに落とし無くしてしまっていたのである。

 その後、リリカルマンとショクシューラの戦闘跡地にやって来た淫獣殿下はそこでベーターカプセルを拾う。
何故かそれがリリカルマンにとって大切な物に違いないと悟った淫獣殿下は、管理局ならこれをリリカルマンに
渡してくれるのかもと考え、管理局へ向かって走り始めた。

 その頃、管理局はショクシューラへの攻撃を仕掛けており、魔力砲マルス133による攻撃で
ショクシューラの触手を幾つか焼き払い弱体化させる事に成功。

 なのはもまたベーターカプセルを無くした事にめげず、一人の人間として出来る限りの事をやろうと
レイジングハート一本でショクシューラの触手を回避してディバインバスターやシューターを当てて行くと言う
まさに不屈のエース・オブ・エースの面目躍如と言う活躍をしていたのだが、その時に戦場の真っ只中を
一人駆ける淫獣殿下を発見し、急遽救出保護していた。

 何故戦場に入って来たのかと問い詰めようとしたなのはであったが、淫獣殿下の手にはベーターカプセルが握られていた。
そして淫獣殿下はなのはにベーターカプセルを渡し、これをリリカルマンに渡して欲しいと頼まれる。
なのはは淫獣殿下にベーターカプセルをリリカルマンに渡す事を約束して、安全な場所へ連れて行くと共に
再び戦線に戻る様に見せかけてベーターカプセルを点火、リリカルマンに変身していた。

 リリカルマンは先の管理局の攻撃によって若干弱体化していたショクシューラの触手をさらに引き千切り、
最後はスペシウム光線によって焼き払うのだった。

 頻繁に怪獣やら侵略者が現れ、管理局もそれの対応を専門としたチームを作る程の事になっているのにも
関わらず「この世に怪獣や次元人なんているわけないでしょー?」とか言うセリフが飛び出すカオス回


            『小さな英雄』     怪獣酋長ジェロニモン 登場

 その日フェイトが落ち込んでおり、なのはが訪ねてみた所「何時も怪獣はリリカルマンが倒しているから
自分達の立場なんて無いのでは?」と考えて悩んでいたのだった。なのははそんな事は無いと諭すが
やはりフェイトの気は晴れる事は無かった。

 その後、突然管理局入口前の受付に、既に昔死亡しているはずのアリシア=テスタロッサが現れて大騒ぎになる。
そのアリシアが言うには、怪獣酋長ジェロニモンと言う死者を蘇らせる力を持った怪獣がおり、今まで倒された
怪獣を一気に蘇らせて一斉蜂起を企んでいると言う。その企みを知ったアリシアはジェロニモンが怪獣を
蘇らせるドサクサに紛れて一緒に蘇り、管理局にこの事を伝えに来たと言うのである。

 もしもこれが本当の事ならば大変な事である。管理世界において死者を蘇らせると言うのは
如何なる手段を持ってしても不可能である事は勿論の事、仮に実現出来たとしても様々な問題が発生すると
考えられている。そうで無くても一度に沢山の怪獣に暴れられてしまえば対処は非常に困難である。
しかし現にアリシアは蘇ってしまっている。故にアリシアの言う通りにジェロニモンと再生怪獣軍団の
集結地点へ向かうと、そこには確かにジェロニモンと推測される怪獣を中心として、既に蘇っていた
怪獣達が集まっていた。

 管理局の先制攻撃によって何とか数体の再生怪獣を倒す事が出来た。だが、その中でフェイト一人だけが
戦わない。やはり先の悩み…自分達は本当に必要なのか? と言う疑問が彼女の中にまだ残っていたのか、
怪獣を前にしてもまるで戦おうとせず、消極的にリリカルマンの登場を待ち、ひたすらにリリカルマンの助けを
呼ぶばかり。そのせいでフェイトを助ける為にアリシアが犠牲になってしまった。既に一度死んでいた身とは言え
やはり人の死は忍びない。意を決したなのははフェイトに言う。人が人として全力を尽くし最大限の努力を
してなおダメだった時に初めてリリカルマンは救いの手を差し伸べてくれるのだと。現になのはは自分が
出来る力を出し切ってなおダメだった時にしかリリカルマンに変身しなかった…と思う。

 なのはの言葉で目を覚ましたフェイトは立ち上がり、アリシアの命を奪った怪獣をバルディッシュで両断し仇を討った。

 だがジェロニモンは伊達に怪獣達を統べているわけでは無く強敵であり、管理局の攻撃にも物ともしない。
なのははリリカルマンに変身するが、ジェロニモンの羽を飛ばす攻撃に苦しむ。空を飛び回り羽をかわしつつ
スペシウム光線を連射して羽を撃ち落して行ったが、リリカルマンのエネルギーはもはや限界に近かった。
故にジェロニモンを取り押さえる事は出来ても倒すには至らない。しかし、そこにフェイトの渾身の魔法が
ジェロニモンに命中、どうにかジェロニモンを倒す事が出来た。

 やはり人が人として努力する事も大切なのだと改めて学んだフェイト。だが、これによって払った犠牲も大きい。
ジェロニモンによって一度蘇った身とは言え、再び亡くなったアリシアを小さな英雄として皆は弔った。

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最終更新:2010年09月15日 13:09