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~プロローグ~

征暦1935年、ヨーロッパは第二次ヨーロッパ大戦の戦火の真っただ中にあった。皇帝が絶対王政を敷く東欧州帝国連合(通称「帝国」)と、
共和制連邦国家・大西洋連邦機構(通称「連邦」)との間で始まった第二次ヨーロッパ大戦は、両国に挟まれた武装中立国であるガリア公国へと
その戦火を広げることとなった。帝国は燃料や兵器、治療目的で使われる鉱物資源・ラグナイトを大量に手に入れ、
それによって連邦との戦争を優位に進めることを目的とし、ラグナイトを豊富に産出するガリア公国への侵攻を開始したのである。
ガリア軍は開戦当初帝国の圧倒的兵力の前に圧倒されるが、のちに戦線を建て直しそして1935年10月に帝国とガリアの戦争は
ガリアの勝利によって終結する。しかし、この戦争の影で歴史に一切残らないある部隊の活躍がガリアを勝利に導いたことを知る者は少ない。

ガリア公国軍第422部隊、通称―ネームレス(名無しの部隊)。軍規違反者や徴兵された犯罪者が配属される部隊で、正規軍からは捨て駒同然の
扱いを受ける部隊でありまたその任務は公式記録には一切残らず、存在しない部隊として扱われるため隊員は名前ではなくナンバーで呼ばれる。
それが彼らがネームレスと呼ばれる理由だった。彼らはどんなに過酷な任務でも決して拒否することはできない。
命令・任務拒否は即刻銃殺刑という厳しい規律が存在しているためだ。それでも現隊長、NO.7ことクルト・アーヴィング少尉の指揮のもと
ここまで一人の戦死者も出すことなく戦ってきた。しかし、ガリア東部・バリアス砂漠に取り残された友軍の救出という任務を受けた422部隊は
そのバリアス砂漠にてなぜか友軍、それも計4個中隊からなる大部隊に包囲されてしまうのだった。

「そろそろ砲弾の雨が降ってくるぞ、どうするんだ隊長!」
「どっちを向いても大部隊ですよ!」
「どこを攻撃すれば!?隊長、指示を!」
「逃げ場はないんですか?」
「味方に完全包囲されるとは、さすがに隊長も予測できなかったか…」
「ここから逆転したら間違いなく歴史に残るだろうけど…無理ね」

隊員たちが指示を求める。しかし、クルトにはもう打つ手がなかった。

「ここまでか…すまない、みんな。俺が隊長として打てるあらゆる手を考えたがこの状況を打開できる一手は存在しなかった」
「クルト?おい、まさか諦めるなんて言わないよな!?」

NO.21、フェリクス・カウリーがクルトに詰め寄った。それにクルトはいつもと変わらない冷静な口調で答えた。

「諦めはしない。だが、打つ手がないのもまた事実だ」
「どちらに転んでも…結果は同じだな…」
「全滅…なんですね…」
「全滅…」

隊員たちのどよめきの中、最後にそう呟いたのはNO.13、リエラ・マルセリスだった。悲しい表情を浮かべるリエラにクルトが語りかけた。

「リエラ…この結末は俺の責任だ。君のせいじゃない」
「クルト…」

そして、ついに砲弾の雨が422部隊に降り注いだ。着弾の際の閃光とともに起こる爆発と衝撃と轟音が容赦なく彼らを襲った。
その場に伏せてみても状況は何も変わらない。これまでか…ならばせめてリエラを守ろうとクルトはリエラの体に覆いかぶさった。
そんな彼らのすぐ真横に砲弾が着弾する。再び放たれる閃光。しかし、それと同時に襲ってくるはずの轟音、衝撃、爆風はなぜかやってこなかった。
不思議に思い目を開くとそこには信じられない光景が広がっていた。砂漠にいたはずの彼らはなぜかところどころひび割れ、打ち捨てられた廃墟で
あることが一目でわかる建造物の中にいた。そしてクルトのもとにはつい先刻その身を挺して守ったリエラの姿があった。

「リエラ!大丈夫か!しっかりしろ!リエラ!」
「う、う~ん…あれ、クルト…それに、ここは…どこなの?」
「俺にもわからない。だが、ここはガリアではない。それだけは確かだろう」

クルトがそう言い切る根拠。あの時ガリア正規軍は明らかに422部隊を全滅させるつもりで攻撃を仕掛けてきていた。つまり、ガリア軍に捕えられ
ガリア国内のどこか監禁されているということは考えられない。生かしておく必要が皆無だからだ。
ガリアではないということは…帝国領内かとも考えたが現在の戦線はバリアス砂漠よりも北部に展開されていてバリアス砂漠に帝国軍が
いたとは考えにくく、故に帝国軍の捕虜となり帝国領内に連れ去られたということも考えにくい。
どちらでもないとするとここはどこなのだろうか。それを考えるよりも先にクルトはあることに気づき行動を開始した。
彼が大切に思う422部隊の隊員たちを探しに行くのだ。

「歩けるかリエラ?つらいようならここで休んでいるといい」
「ううん、私は大丈夫。さあ、みんなを探しに行こう」

だが、どこともわからない未知の場所。2人はそれぞれサブマシンガン・ヒルドと偵察用ライフル・ガリアンA‐3を構え、警戒しながら歩き始めた。

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最終更新:2011年05月30日 19:55