この前の予知無に出てきたキ●●イにザンバーブレイカーを打ち込んでから数日後、私はまた夢を見ていました。

 ある意味前回以上に如何し様も無い夢を……


『フェイト・T・ハラオウンの悪夢』


 私は今夢の中にいる。
 自分が夢を見ていることに気付けたのは、プレシア母さんとはやてとヴォルケンリッターの皆が一緒にお茶をしているからだ。
 本来会ったことの無い人たちが対面している姿を見るのは、何だか変な感じがする。
 でもそんな感情も、みんなの談笑している様子を見ているとどうでもよくなって来る。

 ただ、ひとつだけ気になっているところがある。

 母さんの隣に、白衣を着た見知らぬ男性が座っていることだ。
 白衣と言っても前回のような緑色ではなく、常に何かを企んでいるような顔をした細身の、いかにも変わり者といった外見の人だ。
 会話の内容から察するに、母さんの学生時代の後輩らしい。
 何でも今は新型プログラムの研究をしているらしく、今日はそのプロトタイプを見せに来たようだ。
 はやて達も食い入るようにそのプログラムを見ていたが、何だか様子がおかしい。

 シャマルは
「わたしの料理は至高にして究極だぁぁぁっ!!」
 とか言いながら妙なスープを作り出すし、

 ヴィータはさっきから丸いボールをつぶして回っているし、

 普段寡黙なザフィーラも
「さぁ諸君、ぶっちゃけようではないかっ!!」
 なんて騒いでいるし、

 リインフォースⅡも紅茶のカップの中で髪を洗っているし、

 はやてに至っては、
「モミモミしたいでぇっ!!」
 と叫びながらシグナムとアルフを追い回しているし。


「フハハハハハハハハハハハ!!」


 それに、さっきからあえて目を逸らしていたことがある。


「なんという見事な理論! そして効果!!」


 そう、母さんも極め付けにおかしくなっていたのだ。


「すがすがしい気分だ!!」

 どう考えてもあの人が持ってきたプログラムが原因なのだが、母さんの後輩だという男はいつの間にか姿を消している。
 とにかく、なんとしてでもアイツを捕まえてみんなを元に戻してもらわなきゃ。
 なんだか顔が痒いのでかいてみる。
 ガリガリ――
 このままでは母さんが私に構ってくれない。
 ガリガリガリ――
 天気のこととか友達とのこととか
 ガリガリガリガリ――
 どんなにくだらないことでもいいから、家族としての会話がしたいのだから。
 ガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリ――



 両手が自分の血で真っ赤になったころ、私はようやく目を覚ました。
 願わくば、この夢まで正夢にはならないでほしい。

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最終更新:2007年08月14日 17:43