古代遺物管理部、機動六課本部。
 部隊長、八神はやての前に前線部隊の隊員たちが整列する。ザフィーラとシャマル、陸士108部隊から出向しているギンガ・ナカジマもその中に混じっている。
「今日、集まってもらったのは他でもない。私となのは隊長の故郷、海鳴市の近くで、レリックらしき反応と、怪しいエネルギー反応が検出された。これより六課はその調査に向かう」
「ミッドチルダはいいんですか?」
「もちろん全員では行かへん。シグナムを除いたライトニング分隊とギンガにはここに残ってもらう。フェイト隊長、部隊長代行、頼むで」
「了解」
 長い金髪を後ろでまとめたフェイトが頷く。
「レリック捜査の方は他の陸士部隊に任せるということで、よろしくな」
「まさか、八神部隊長も行かれるんですか?」
 青い髪をしたボーイッシュな少女、スバル・ナガジマが聞いた。ギンガ・ナカジマの妹で、六課スターズ分隊の一員だ。
「せや。別件で用事もあるしな」
 はやては意味ありげに守護騎士の面々を眺める。
 スターズ分隊の一員、髪をツインテールにした落ち着いた容貌の少女、ティアナ・ランスターは、はやての視線を追った。
 シグナムは普段通りに見えるが、どことなく嬉しそうだ。ヴィータは落ち着きがないし、シャマルはそれを楽しげに見つめている。ザフィーラは……狼の表情はさすがに読み取れない。
 こんなに浮ついた副隊長たちを見るのは、初めてだ。
 その時、ティアナの背筋に寒気が走った。
 ティアナの横には、栗色の髪をサイドポニーにしたスターズ分隊隊長なのはが立っている。隣のティアナしか気がついていないようだが、かすかな殺気が漏れていた。
(何!? なのは隊長の故郷に一体何があるの?)
「もしかしたら、長期出張になるかもしれへん。各自、そのつもりで準備よろしくな」
「ヴィヴィオも連れて行っていいかな?」
 なのはが挙手をした。
 最近なのはたちが保護した女の子だ。なのはとフェイトをママと呼び慕っている。
「せやな。連れてった方が安心やろ。フェイトちゃん、グリフィス君。留守は頼んだで」
「任せて。頑張ろうね。エリオ、キャロ」
「「はい、フェイトさん」」
 フェイトが優しく話しかけると、十歳の少年と少女が元気に返事をする。
「出発は明朝。では、解散」
 はやての号令を合図に、各自部屋に戻っていく。

 自室に戻ったスバルとティアナは、早速準備を始めた。
「他の世界だって。楽しみだね、ティア」
 鼻歌を歌いながら、スバルが鞄に着替えを詰めていく。
「あんたはいいわね。気楽で」
 一方のティアナは浮かない顔だ。なのはたちの様子から、今度の調査には不安しか感じない。
「そりゃ、任務だから物見遊山ってわけにはいかないけど。でも、なのは隊長の故郷だよ。楽しみじゃないの?」
「あんた、隊長たちの様子が変なの、気がつかなかった?」
「別に。いつも通りだったでしょ」
 ティアナはため息をついた。鈍いということも平穏に生きる為には、必要な技能なのかもしれない。

 第97管理外世界『地球』海鳴市。
「さ、行くでー」
 まるで旅行の引率のように、はやてが旗を振りながら故郷の町を案内する。季節は夏。蝉の声がやたらうるさい。
「なのはちゃんは、実家に帰らんでええの?」
「今夜は実家に泊まらせてもらうけど、それより任務が先だよ」
「固いなぁ。今日一日ぐらいゆっくり両親に甘えてきたらええのに。ヴィヴィオ連れてったら、きっと驚くやろな」
「こら、みんなが見てるよ」
 和気あいあいと話すはやてとなのはを、スバルとティアナはキョトンと見つめていた。故郷の空気がそうさせるのか。こうしていると、エースオブエースも普通の女の子だ。
「この世界にいる間は無礼講や。スバルとティアナも隊長とか呼ばんでええからな」
「ですが……」
「構へん。構へん」
「わかりました……はやてさん」
 口に乗せてから、ティアナは恐ろしく失礼な真似をしている気分になる。
「なのはさんの家に泊まるんじゃないんですか?」
 スバルはすでに順応したのか、普通に話しかけている。
「うーん。簡単にいえば、現地の協力者やね。ほら、着いたでー」
「「て、ここですか!?」」
 スバルとティアナはその家を見上げて唖然とした。
 平屋だが、とにかく敷地面積が半端ではない。小さな道場が付属しており、庭は近くの森とつながっている。下手をしたら、機動六課本部と同じくらいの規模があるかもしれない。
 ここなら活動拠点としては最適だろう。表札には『安倍』と書かれている。
 シャマルがスバルたちの隣に来る。
「実はここにどうしてもスカウトしたい人がいるのよ」
「そうなんですか」
「色んな意味でね」
 シャマルはくすくすと笑う。それを険悪な目つきでヴィータが睨んでいた。

 安倍昌浩。陰陽師の修行をしながら、地元の学校に通う中学二年生だ。学校は夏休みに入っている。
 その日、昌浩は自室で寝転がってマンガを読んでいた。
「昌浩。お客さんだぞ」
 扉の向こうで祖父、安倍晴明の声がする。
「はーい」
 昌浩は返事をすると、玄関に向かう。来客の心当たりはないが、一体誰だろうか。
「どちらさまで……!」
 玄関に立っていた大集団を見かけた瞬間、昌浩は後ろに飛び退いて戦闘態勢を取る。
「あちゃー。かなり嫌われとるな」
「彼がどうしてもスカウトしたい人ですか?」
 ティアナは困惑していた。
 目の前の少年はごく普通の少年だ。長い黒髪を後ろで束ね、Tシャツにズボンとラフな格好をしている。十四歳と聞いているが、平均より身長が低く、エリオたちと同い年と言われても信じただろう。
「はい。安倍昌浩さん。陰陽師と言って、この世界の魔導師で、SSランクの魔力保持者です」
 まるで妖精のように小さな上司、リインフォースⅡがはやてのカバンから頭を出して説明する。
「SS!?」
「ふえー。はやてさんと同じランクの人、初めて見た」
 スバルもティアナも呆気に取られるしかない。
「そないに嫌わんと」
 はやてが近づくだけ、昌浩は後ろに下がる。
「あれだけしつこくすりゃ、嫌われて当然だ」
 階段の上から、子どものような甲高い声が降ってくる。
 白い影が軽やかに跳躍し、昌浩の肩に腰かける。
 ウサギによく似た動物だった。尻尾が長いのと、首周りに赤い突起が一巡しているのが、特徴だ。
「あれは物の怪のもっくん。守護獣だと思っておいて下さい」
「こら、リイン! もっくん言うな!」
「もっくんも久しぶりやな。元気にしとったか?」
「誰かさんが来なくなったおかげで、随分平穏に過ごせていたんだがな」
 もっくんも背中の毛を逆立てて威嚇する。
「……随分嫌われてますけど、何かしたんですか?」
 ティアナの問いに、リインは困ったように眉を寄せる。
「六課設立の際に、はやてちゃん、相当しつこく勧誘したんです。おかげで今じゃ、あんな調子で」
「もう、何が不満なんや? 昌浩君と十二神将、全員分の最新型デバイス。隊長の地位まで用意し取ったのに」
「だから、そういうところが嫌なんですよ!」
 昌浩が怒鳴る。
 最初は普通の隊員としての勧誘だった。時空管理局理局の仕事に興味はあったのだが、まずは陰陽師として一人前になってからと思い、昌浩は丁重にお断りした。しかし、昌浩が断るたび、まるで通販番組のおまけよろしく段々待遇が向上していったのだ。
 昌浩は自分が半人前だと重々承知している。それなのに特別扱いされるのが、どうしても嫌だったのだ。
 もし、はやてがあくまで一般隊員として昌浩を勧誘し続けていたら、折れていたかもしれない。
「六合、久しぶりだな。また貴殿と手合わせできるとは、光栄の極みだ」
 シグナムが誰もいない空間に向かって話しかける。すると、まるで空間から溶け出すように長身の男性が現れた。夜色の外套をつけ、顔に黒い痣のような模様がある。
「彼は六合さん。彼らは隠形と言って、自分の姿を透明化できるので、ビックリしないで下さいね」
「彼ら? ということは、他にもいるんですか?」
「はい。昌浩君は十二神将……ようするに守護騎士を十二人連れているんです。厳密には、彼のお爺さんのものなんですけどね」
「「十二!?」」
 夜天の書の主、八神はやての守護騎士でさえ、五人だ。単純な比較をすれば、倍以上の戦力だ。
「そりゃ、はやてさんが欲しがるわけだ」
 スバルはもう開いた口がふさがらなかった。この家に来てから、まだ十分と経たないのに、まるでビックリハウスに長時間いたような気分だった。
「昌浩君、久しぶり」
「あ、なのはさん、お久しぶりです」
「こっちは私の部下のスバルとティアナ」
 三人がそれぞれ挨拶する。
「それから……」
「なのはママ?」
 緑と赤の瞳をした五歳くらいの少女、ヴィヴィオがなのはの後ろに隠れる。人見知りしているらしい。
「あ、もしかして、娘さんですか? ユーノさんとご結婚されたんですね。おめでとうございます」
 昌浩が満面の笑みで祝福する。
「そう言えば、ユーノさんと声そっくりですもんね」
「……昌浩君、違うからね?」
 なのはが微妙に引きつった顔で訂正する。
「おい、昌浩よ。なのはの娘だとすると、なのはは十五くらいでこの子を産んだことになるぞ。それはいくらなんでもまずい」
「あ、そうか」
 もっくんの指摘に、昌浩はしまったという顔をする。
「ヴィヴィオは私とフェイトちゃんが預かってる子なの。実の子じゃないから」
 やがて廊下の奥から、和服を着た白髪の老人が現れた。顔は皺だらけだが、背筋は伸び、老いを感じさせない。
 昌浩の祖父、安倍晴明。稀代の陰陽師にして、表向きは企業グループの企業顧問。その実態は政治の中枢にすら食い込む実力者だ。
「こりゃ、昌浩や。お客さんを早く客間に通さんか」
「でも、じい様」
「無礼な孫で申し訳ない。ほれ、早くせんか」
 昌浩は渋々はやてたちを客間に案内する。
 背後から昌浩を鋭い視線で睨みつける者がいることに、昌浩は気がつかなかった。

 宴会ができそうなほど広い畳敷きの部屋だった。そこに全員で腰かける。
 ヴィヴィオは隣の部屋で子供の姿をした十二神将、玄武と太陰に遊んでもらっている。
 一通りの自己紹介を済ませ、上座に座った晴明が口を開いた。
「さて、ご用件はすでに窺っております。調査の間、我が家はご自由にお使い下さい。我が孫、昌浩も協力を惜しみませんぞ」
「じい様。俺、何も聞いてませんよ?」
「当然じゃ。言ったら、お前、逃げるじゃろうが」
 図星を刺されて昌浩は黙り込んだ。
「仲良くしような、昌浩君」
「よろしくな、昌浩」
 はやては朗らかに、ヴィータがぎこちなく挨拶する。
「それじゃ、はやてちゃん。今日のところは役割分担だね」
「せやけど、なのはちゃん。それは私と晴明さんでやっとくから、皆はゆっくりしててええよ」
 なのはは、しばし逡巡したが、はやての好意に甘えることにした。
「それじゃあ……青龍さん、いるんでしょ?」
 なのはの呼び掛けに、青い髪をした長身の青年が現れる。十二神将、青龍だ。青龍は腰巻と、肩に布をたすき掛けにしているだけという格好だ。
 できれば、もう少しちゃんと服を着て欲しいとスバルは思った。
「久しぶりだね、青龍さん」
 なのはが軽やかな足取りで青龍に近づいていく。
「あの時の小娘か」
 青龍がぎろりと睨みつける。
「やだな。私、十九歳だよ。もう、おと……」
「なのはちゃん! それ以上は駄目!」
 シャマルが必死に止める。タイトルに『少女』がついているのだから、大人発言はNGだ。
 なのはは軽く咳ばらいして言い直した。
「とにかく、もうあの頃の私じゃないよ。証明してあげよっか?」
 なのはが笑顔で青龍を見上げる。親戚のお兄さんに久しぶりに会ったような、微笑ましい光景に見えないこともない。
「ねえ、ティア。なんか寒くない?」
「私の後ろに隠れないでよ!!」
 しかし、なのはと青龍から発散される殺気が、体感気温を著しく下げていた。かつて、なのはに叩きのめされた経験のあるティアナの膝が、勝手にがくがくと震え始める。
「下らん。我らは人を傷つけてはいけない掟がある。戦いなどできるものか」
「大丈夫。あの時だって、青龍さん、私に傷一つつけられなかったでしょ?」
「貴様」
「それとも……負けるのが怖い?」
 青龍の眼光となのはの笑顔が、正面からぶつかる。二人の殺気が一段と強まる。
 過去になのはは青龍と戦い、苦汁をなめさせられたことがある。いつか雪辱を晴らす機会を狙っていたのだ。
 その時、スバルの耳が、ある会話を拾った。
「久しぶりだね、ヴィータちゃん。そう言えば、新しいゲーム買ったんだけど、一緒にやらない?」
 昌浩がヴィータを遊びに誘っているところだった。
「ま、昌浩君。私たちも一緒にいいかな?」
 その場から逃げたい一心で、スバルは上ずった声で提案した。

 昌浩はもっくんを肩に乗せたまま、自分の部屋にスバル、ティアナ、ヴィータを案内する。
「ここが俺の部屋だけど」
 扉を開けると、そこは板間の部屋だった。
 勉強机と、テレビとゲーム機。壁一面は本によって埋め尽くされていた。漫画はごく一部で、古くて難しそうな本ばかりだ。
「昌浩君、これ全部読んだの?」
「うん。でも、俺、じい様を超える最高の陰陽師になりたいから、まだまだ勉強しないと」
「あはは。私、陰陽師には、なれそうにないな」
「あんた、こういうの苦手だもんね」
 顔を引きつらせるスバルに、ティアナが嫌みを言う。
「何よ。ティアならできるの?」
「そりゃ、あんたとは違うもの」
 ティアナは自信満々に書棚の一冊を手に取る。本のページに目を走らせ、ティアナは顔を引きつらせた。
 それは梵字で書かれていたのだ。ティアナは本を棚に戻した。
「昌浩君。日本語の本はないの?」
「それなら、こっちです」
 昌浩が一冊の本を手渡す。
「……これ、漢字しか書いてないんだけど?」
「でも、日本語ですよ?」
「やっぱり、また今度にさせてもらうわ」
 ティアナが本を棚に戻すと、肩にスバルが手を置いた。
「仲間」
「あんたと一緒にしないでー!」
「こら、二人とも、あんまり騒ぐな」
 ヴィータがスバルたちをたしなめる。
「気にしないで。この家、防音はしっかりしてるから。それより、ヴィータちゃんが好きだったゲーム、新作出たんだよ」
 昌浩がにこにことゲームソフトを見せる。
「お、おう」
 昔からの付き合いなので、昌浩はヴィータを妹のように扱う。
「今、ヴィータ『ちゃん』って言ったよね?」
「うん。言った」
 ひそひそとスバルたちが耳打ちする。厳しい副隊長が少年に子供扱いされる姿に、二人は目を丸くしていた。
(頼むから、少しは察してくれ)
 部下二人の前で子供扱いされ、ヴィータは生きた心地がしない。このままでは、今後の仕事に差し障る。
「ほら、お菓子もあるよ」
「あ、ありがとう」
「あのヴィータ副隊長はどういう経緯で、昌浩君と知り合ったんですか?」
 さすがに見ていられなくなり、ティアナが助け船を出した。
「あれは俺が小学生の頃だったかな」
 昌浩はヴィータたちとの馴れ初めを話した。
 まだ幼かった昌浩は、祖父の命令で妖怪退治に出かけた。その時、同じ妖怪を追っていたはやてたちと、ばったり出くわした。
 それ以来、はやてがミッドチルダに行くまでの短い間だが、親しく付き合っていたのだ。なのはやフェイトとも面識がある。
 シグナムだけは、それより前によく稽古に来ていたので知っていたのだが。
「でも、もっくんも人が悪いな。前から知り合いなら、教えてくれればよかったのに」
「いろいろ事情があるんだよ」
 まさか千年以上前にタイムスリップした守護騎士たちと、昌浩の先祖が共闘したことがあるとは、口が裂けても言えない。
 昌浩は祖父の知り合いなんだろうと勝手に解釈していた。
「おい、昌浩」
 部屋に二人の人間が突然現れる。
 ティアナと同じかやや年上の男女。赤い髪に白い鉢巻をした男と、まるで天女のような容貌の金髪の女。前者は十二神将、朱雀。後者は十二神将、天一だ。
「なのはとヴィヴィオが実家に戻るそうだ」
「分かった。すぐ行く」
 昌浩たちは車庫に向かった。

 車庫から出てきたのは黒塗りのベンツだった。後部座席になのはとヴィヴィオ、運転席には二十歳くらいの女性の十二神将、勾陣が座っている。
 どうやら青龍との血みどろの一戦は避けられたらしい。
「それじゃあ、明日の朝、合流するから」
「別に急がんでええのに。まだほとんどすること無いんやから」
 なのはと、はやてがドア越しに会話する。
「さすがお金持ち」
「こら、みっともないわよ」
 スバルが好奇心丸出しで、ベンツの周りをうろうろする。
「フェイト隊長がいたら、きっと運転したがっただろうな」
「これ、運転する必要ないんです。自分で走りますから」
 昌浩が妙なことを言って、左前輪のタイヤを示す。タイヤのホイール部分に、鬼の顔がついていた。スバルは少し趣味が悪いと思った。その時、鬼の目がスバルを見上げた。
「うわ! 動いた」
「これ、車之輔っていう、家に先祖代々使える車の妖怪なんです」
 昌浩の前世が仲間にした時は、牛車の妖怪だった。牛車とは貴族の乗り物である。時代に合わせて姿を変え、現在ではベンツになっている。
 勾陣が乗っているのは、形だけだ。
 車之輔はスバルとティアナにぺこりと頭を下げ、なのはを送るべく出発した。
「おい、スバルとティアナと言ったな」
 朱雀がやや横柄な感じで声をかけた。
「お前たちの部屋に案内する。ついてこい」
 スバルとティアナが案内されたのは、屋敷の一角にある畳敷きの部屋だった。安倍邸の部屋は、ほとんど和室で構成されている。
「ここにいる間は、俺たちがお前たちの担当だ。自分の部屋だと思ってくつろいでくれ」
 スバルたちより先に天一が正座する。その膝を枕に朱雀は寝そべる。
 立ったままのスバルたちに、膝枕をしてもらっている朱雀が声をかける。
「どうした? ゆっくりしてくれ」
 スバルたちは部屋に入ることなく扉を閉めた。
 二人が恋人同士なのはよくわかった。しかし、客の前では自重して欲しい。
 そこに晴明が通りかかった。
「すいません。担当替えてもらえますか?」
 ティアナは冷めた声で言った。
 半裸やら、人前でいちゃつく奴らやら、十二神将にもう少しデリカシーを求めても罰は当たらないだろうと、ティアナは思った。

タグ:

+ タグ編集
  • タグ:
最終更新:2012年06月21日 21:53