はやての放つ広域殲滅魔法フレースヴェルクが、聖王の揺りかごを守るガジェットの一角を消滅させる。
「なのはちゃん、今や!」
「行くよ。スターズ出動!」
 その空隙を縫って、なのはとヴィータが聖王の揺りかごに接近する。
「ラケーテンハンマー!」
 ヴィータが高速で回転しながらアイゼンを振り下ろす。聖王の揺りかごの外壁に穴が開いた。
「スバル、ティアナ」
「ウイングロード!」
 スバルの作る空色の光の道が、大地から揺りかごへと延びる。ティアナを背負ったスバルと、昌浩を背負った太裳が光の道を上っていく。
「後は頼むで」
 総勢六名の突入部隊。作戦が最終段階に入ろうとしていた。

 揺りかご内部に入った六人を強烈なAMFが出迎える。
 飛行魔法を阻害され、なのはとヴィータの体がふらつく。しかし、すぐに持ち直した。
 ここで魔法を使うと、魔力の消耗がいつもより数段激しい。
「予測はしてたけど、やっぱりきついね」
「ああ、ここはスバルが頼りだな」
「はい。任せてください!」
 スバルが戦闘機人モードを発動し、瞳が黄色に変わる。
 聖王の器と駆動炉は反対方向にある。ここで分散しないといけない。
「行くぞ、昌浩。私らは駆動炉だ」
「うん」
 正体不明だが、聖王の器こそ最強の敵だと昌浩の直感が告げている。
 駆動炉の破壊は昌浩とヴィータのみ。残りの四人で聖王の器を破壊する手はずになっている。
「なのは、そっちは頼んだぞ」
「うん。ヴィータちゃんも気をつけて」
 なのはとヴィータはそれぞれの目標に向けて進んで行った。

 通路にはびこるガジェットたちを、なのは、スバル、ティアナは次々と倒していく。
 太裳は攻撃力を持たないが、結界能力は十二神将の中で天空に次ぐ。全員の防御を一人で担ってくれるので、なのはたちは攻撃に専念できる。
 やがて通路の分岐点に差し掛かった。これはユーノが送ってくれた地図には記載されていなかった。
「時間が惜しい。右の道は私一人で行くから、スバルたちは左の道をお願い」
「一人で行くんですか? 危険過ぎます」
「こら、生意気言わないの。本気になったなのはさんは、まだ二人に負けるつもりはないんだから」
 なのはの言葉は真実だった。今のスバルとティアナ二人がかりで互角だろう。本当にエースオブエースの名は伊達ではない。
「ティアナ、お願いね」
「わかりました」
 ティアナが真剣な顔で頷き走り出す。スバルと太裳がその後に続く。
 スバルたちは巨大な通路を延々と走り続け、辿り着いた先は行き止まりだった。
「外れですか」
「すぐになのはさんを追いかけましょう」
 落胆する太裳をスバルが促す。
「そうはいかねぇな」
「危ない!」
 太裳がスバルをかばうように前に出る。展開した結界の表面で弾丸が爆ぜる。
 三人の前にノーヴェが立ち塞がる。
「タイプゼロセカンド。お前たちはここで潰す」
「太裳さん。ティアナをお願いします」
 スバルが前に出る。太裳とティアナは結界の中で、スバルを見守る。
「おもしれぇ。一人で戦おうっていうのか。タイプゼロセカンド」
「私はスバル・ナカジマだ! ウイングロード!」
「エアライナー!」
 通路の中に、空色と黄色の光の道が網の目のように交差する。ノーヴェが拳を打ち鳴らし、戦闘が開始された。

 六合とシグナムは背中合わせに立っていた。周囲にはガジェットたちがひしめいている。
「六合、私はよく仲間からバトルマニアと言われる」
 レヴァンティンが炎をまとい、ガジェットを切り裂く。
 六合はシグナムの話に耳を傾けながら、銀槍を振るう。
「確かに命がけの戦いも嫌いではない。いや、好きなんだろうな」
 極限状態の緊張感は、これはこれで悪くない。
「だが、私が本当に好きなのは、ただ技を競い合うような……無心でお互いを高め合えるような、そんな戦いなんだ」
「……俺もだ」
 六合が口を開く。寡黙な六合が喋るのは珍しいことだった。
「そうか。では、この戦いが終わったら、また手合わせをしよう。り……」
「彩輝(さいき)だ」
 かぶせるように六合が言った。
「晴明からもらった俺のもう一つの名だ」
「わかった、彩輝。では、約束だぞ!」
 シグナムが心にその名を刻む。二人はどこか楽しげに、まるで優雅に踊るように戦い続けた。

 戦闘開始からすでに二時間が経過しようとしていた。
 聖王の揺りかごからは、雲霞(うんか)のようにガジェットが湧き出している。
 本陣は天空の結界とヴォルテールによって守られているが、攻撃部隊の疲労が濃くなってきていた。
「申し訳ありません。晴明様」
 力を使い果たした天后が、晴明に謝る。
「よい。お前はよくやった。しかし、このままでは戦力が足りぬ」
 白虎と太陰の限界も近い。負傷したメンバーは、シャマルの回復魔法で命の心配はないが、戦線復帰はとても無理だ。
「私が行きます」
 紫色の髪をした少女が立ちあがった。意識を取り戻したルーテシアだ。
「よろしいのですか?」
「うん。あなたたちには、私もアギトもゼストも助けられたから」
「ルーちゃん。お願い」
「ガリュー、頼んだよ」
 キャロとエリオが声援を送る。
「うん。任せて!」
 期待したよりも力強い返事と、明るい笑顔が応える。
「白天王! 地雷王! ガリュー! インゼクト!」
 白き魔人が、黒い甲虫が、四つ目の人型が、小さな虫の群れが、ルーテシアを取り巻く。
 全ての召喚獣を従えて、ルーテシアは戦場に舞い戻って行った。
「……ルーちゃん。少し感じ変わった?」
 キャロが首を傾げる。もっと大人しい少女だと思っていたのだが。
「昌浩め。後で説教だ」
 ルーテシアの変貌の原因に思い当たり、晴明はうめく。
 ルーテシアは悲しい影をまとった少女だった。
 おそらく昌浩は縛魂の術で洗脳を解く際に、もっと明るくなればいいのにと、心の片隅で思ったのだろう。それがルーテシアの心に潜んでいた明るい部分を全開放してしまったのだ。
 縛魂の術は、当面使用禁止にしようと晴明は決めた。

 聖王の揺りかごの最深部では、クアットロが不機嫌顔で戦況を眺めていた。
 後一押しで勝負が決まるその瞬間に、ルーテシアが参戦したのだ。おかげで敵は勢いづき、まだしばらく持ちこたえそうだ。
「ま、私たちの勝ちは揺るぎませんから、いいですけど」
 丸一日戦える生き物など存在しない。ほんの少し生きられる時間が延びただけだ。
「まったく。どうしてこう愚か者ばかりなのかしら」
 クアットロは通路で戦うスバルとノーヴェを鼻で笑う。
 ガジェットを信用していないのか、あるいは自分の力を過信しているのか、ノーヴェは一人で敵を倒そうとしている。それに応えて、スバルも一人で戦っている。
 正々堂々。一対一の決闘。どれもクアットロには理解しがたい概念だ。
 戦いなど、いかに自らの手を汚さずに相手を倒すか。それに尽きるではないか。
「本当にお馬鹿さんたち」
 クアットロは画面に映るティアナと太裳を指でつつく。
 スバルとノーヴェの実力に大差はない。三人がかりならすぐに勝てるだろうに。
「好きにすればいいわ。どうせ死ぬんだから」
 ノーヴェが勝てるようなら、それでよし。もし負けてもあの三人の運命は変わらない。
 すでに真上の通路にガジェットを大量に配置してある。
 ノーヴェ敗北と同時にガジェットたちは床を破壊。大量のがれきがスバルたちの頭上に降り注ぐ。AMFが充満したこの空間で、すべてのがれきを防ぐすべはない。
「無様に負けるくらいなら、華々しい引き分けをプレゼントしてあげる。優しいお姉ちゃんに感謝しなさいね。ノーヴェちゃん」
「クロスファイヤー」
 己の策略に酔いしれるクアットロは、突如、冷水を浴びたような衝撃を受ける。振り向くと、クロスミラージュを構えたティアナが立っていた。
「シュート!」
 ティアナの放つ弾丸が、クアットロを打ち倒す。
「そんな……どうして……」
 画面の向こうのティアナが姿を消す。
「……幻術。私が騙されるなんて……」
「知ってる? 一番騙しやすい人間って、自分を賢いって思ってる人間なんだって」
 クアットロの指が無意味に宙をかく。それを最後にクアットロは意識を失った。
 ティアナはクロスミラージュに目を落とす。クロスミラージュはところどころショートしていた。
「これ以上の戦闘は無理そうね、クロスミラージュ」
『Sorry』
「いいわ。無理させたのは私だし。ゆっくり休んで」
『Yes, sir』
 ティアナが使ったのは、十二神将の隠形と陰陽師の術を参考に改良を加えた幻術だった。持続時間は飛躍的に伸びたのだが、それでも長時間の使用には耐えられなかったらしい。ティアナの戦いはここで終わりだ。
 昔のティアナならば、最後まで戦うことにこだわっただろう。しかし、今は仲間を信頼し後を託すことができる。
「頼んだわよ、みんな」
 ティアナは祈るように天井を見上げた。

「クアットロ? おい、クアットロ、返事をしろ!」
 クアットロとの通信が途絶したことに、ノーヴェは動揺する。
 太裳の隣に立っていたティアナの幻影が消える。
「てめえら、騙しやがったな!」
 なのはと同時に、ティアナも別行動を取っていた。スバルたちの元に幻影を残し、自分は姿を消して、敵指揮官の一人、クアットロを倒しに行ったのだ。
 敵指揮官の居場所は、あらかじめいくつか目星をつけてあった。タヌキ爺の晴明とタヌキ娘のはやてにかかれば、相手の心理を読むことなど造作もない。
「私たちは負けるわけにはいかないんだ!」
 スバルの拳とノーヴェの蹴りが激突する。
 拳主体と蹴り主体という違いはあっても、お互いに似た能力と装備を持つ二人。ローラーブーツのタイヤが回転し、高速で光の道を走り抜ける。
「お前のISは振動破砕だってな」
 ノーヴェがスバルに言った。
 相手の体内に振動を送り込み破壊する能力。体内に精密機械を抱える戦闘機人には、特に効果が高い。
「なら、攻撃させなければいい」
 ノーヴェのガンナックルから弾丸が吐き出される。スバルとノーヴェの決定的な差。射撃能力だった。
『Protection』
 スバルのデバイス、マッハキャリバーが展開したバリアが弾丸を防ぐ。
 足の止まったスバルに、ノーヴェが連続で蹴りを繰り出す。
 一撃目を受け流し、二撃目を左腕で受け止める。重たい蹴りに腕が痺れる。
「やっぱり旧式だな。私の方が強い」
 ノーヴェの挑発に、スバルは歯がみする。一刻も早くなのはの援護に向かいたいのに、こんなところで足止めされるわけにはいかない。
「マッハキャリバー、最速で行くよ」
『All right buddy』
 レクチャーを受けただけで試運転もしていないが、やるしかない。
「フルドライブ!」
『Ignition』
「ギア・エクセリオン!」
 マッハキャリバーから空色の翼が生え、スバルの体が急加速する。刹那で間合いを詰め、全力のストレートを放つ。
「なっ!」
 ノーヴァの顔が驚愕に染まり、左腕の小手が砕ける。
「もう一度!」
 左足を軸にターンをする。
『Danger!』
 マッハキャリバーからの警告。しかし、一足遅かった。左のローラーブーツがひしゃげ、火花を散らす。
 今のマッハキャリバーは戦闘機人モードを想定していない。戦闘機人モードとフルドライブの相乗効果にフレームが耐えられなかったのだ。
 制御を失い、スバルが転倒する。それでも止まらず、地面に何度も叩きつけられる。
「はっ。自滅しやがった」
 ノーヴェが嘲笑う。
 衝撃で頭が朦朧とし、スバルは体を動かせない。
「これで終わりだ!」
 ノーヴェのかかとが、スバルの頭めがけて振り下ろされた。
 二人の間に太裳が割り込み、結界を張る。ノーヴェの強烈な蹴りが結界を激しく歪める。
「邪魔するな!」
「太……裳さん」
 スバルはまだ起き上がれない。情けない姿をノーヴェが罵倒する。
「それでも戦闘機人か! 男に守られるしか能のない非力な旧式が!」
「違います!」
 太裳が腹から声を発する。こんなに声を荒げた太裳を見た者はいない。
「スバルさんは守られることができるんです!」
「はっ?」
 意味不明な叫びに、ノーヴェは呆気に取られる。
「守ることしかできない私とも、敵を倒すことしかできないあなたとも違う。スバルさんは守ることも、倒すことも、救うこともできる。神でも機械でもない、人間だからです!」
 いつだって太裳の目に人間は眩しく映っていた。不器用で間違いを犯すが、様々な可能性を秘めた人間。
 いかに強い力と命を持っていても、永遠に変化しない太裳には、それは羨ましいことだった。
「随分かばうな。まさかお前、そいつに惚れてるのか?」
「はい。好きです」
 照れもためらいもなく太裳は答えた。
「ええっ!?」
 むしろ慌てたのはスバルだった。顔が真っ赤に染まる。
「い、いつから?」
「わかりません。気がついたら好きになっていました」
 いつもひたむきでまっすぐなスバル。その明るさが太陽のように、太裳を惹きつけた。
「よければ今度、でえと、とやらをしていただけませんか?」
「ええと……わ、私でよければ」
「いちゃついてんじゃねぇ!」
 ノーヴェの蹴りが太裳の結界を破壊する。続けて放たれた上段蹴りが太裳を壁に叩きつける。
「いいぜ。そんなに好きなら、まとめて殺してやる。あの世でデートしやがれ!」
 スバルがはね起き、ノーヴェの蹴りを蹴りで相殺する。しかし、その一撃で左足のローラーブーツは完全に使い物にならなくなった。ウイングロードも展開不能だ。
「速さを失ったお前に勝ち目はねぇ!」
 ノーヴェがエアライナーを走り、上空に駆け上がる。制空権はノーヴェが支配している。
「とどめだ!」
 ノーヴェが高速でエアライナーを下ってくる。スバルには打つ手がない。
「スバルさん」
 太裳が痛む体を引きずって、スバルの隣に並ぶ。視線だけで互いの意思を伝える。
 リボルバーナックルが回転し、カートリッジをロードする。魔力を右腕に集中させ、スバルはノーヴェめがけて跳ぶ。
 ノーヴァはエアライナーの軌道を変え、スバルの真横を狙う。
 その時、太裳が結界を張った。スバルの足元に。
「一撃必倒」
 太裳の結界を踏み台に、スバルの体がノーヴェに向けて矢のように放たれる。
「しま……」
 意表を突かれたノーヴェは反応が遅れる。
「ディバインバスター!」
 空色の拳がノーヴェに炸裂した。

 ノーヴェを倒し、着地したスバルがよろめく。まだダメージが回復しきっていないらしい。太裳が横から体を支える。
 スバルは太裳から顔をなるべく離した。突然告白されて、どんな顔を向ければいいか、わからなかった。
「……だから、いちゃついてんじゃねぇ。私はまだ負けてねぇぞ」
 かすれた声を絞り出しながら、ノーヴェが立ち上がる。直撃を受けた両腕は力なく垂れ下がり、膝も笑っている。強がりなのは明白だ。
「あなたの負けです」
「負けてねぇ! 私らは負けられねぇんだ!」
 ノーヴェが血を吐くように叫ぶ。
「私は戦闘機人だ。勝たなきゃ、勝ち続けなきゃ、意味がねぇ。それ以外の生き方なんて、出来ねぇんだ!」
 叫び続けるノーヴェの姿が、スバルに幼い頃に巻き込まれた空港火災を思い出させた。
 あの日、スバルは迷子になり、一人ぼっちで泣いていた。その姿がノーヴェに重なる。
(そっか。あの子も私と同じ迷子なんだ)
 どっちに行けばいいかわからず、寂しくて苦しくて、泣くことしかできなかった。
 あの時、スバルを助けてくれたのは、なのはだった。あんな人になりたくて、スバルはこれまで頑張ってきた。
 今度は自分の番だ。
「大丈夫だよ。きっとやり直せる。新しい道が見つかる」
 スバルは一歩踏み出す。
「気休め言うな!」
「気休めじゃない。私だって見つけられた」
「私とお前は違う!」
 スバルが近づくたびに、ノーヴェは叫びを上げる。
「うん。違う。だって、あんた、私より強いじゃん。だから、きっと大丈夫だよ」
 誰かが道を示してくれるまで、スバルは諦めて泣くことしかできなかった。だが、ノーヴェは己の力で道を切り開こうとあがいている。
「あんたの強さがあれば、きっと大丈夫。辛い時、苦しい時には、私も手伝うから。だから、一緒に行こう。ね?」
 スバルが優しくノーヴェを抱きしめる。ノーヴェは抵抗しなかった。
「……う、うぁああああああああ!」
 堰を切ったようにノーヴェが泣き出した。
「うん。もう大丈夫」
(なのはさん。私、あの日の、なのはさんに少しは近づけたかな?)
 夢が少しだけ近づいた実感を、スバルは初めて得ていた。
「スバルさん!」
 緊迫した太裳の声。太裳の結界が、光弾を防ぐ。
「何!?」
 通路に突然、ガジェットが出現する。カマキリのような姿をした新型だ。光学迷彩で隠れていたらしく、通路はすでに埋め尽くされていた。
「おい、お前ら、退け!」
 ノーヴェの指示に、新型ガジェットは反応を示さない。
「くそ。識別機能が壊れたか」
 ナンバーズは、ガジェットに攻撃されないよう識別機能がついているのだが、スバルの振動破砕で丸ごと機能停止していた。
「やるしかないってことか」
 スバルが苦しげにうめく。戦えるのはスバルだけだ。ウイングロードもローラーブーツもなしで、どこまでいけるか。
「これを使え」
 スバルは飛んできた物体を空中でキャッチする。それはノーヴェの左のローラーブーツ、ジェットエッジだった。
「強度はお前のより上だ。多少の無茶には耐えられる」
「あはは。助けるどころか、先に助けられちゃった。あんたって本当に強いね」
 さっきまで号泣していたくせに、もう勝気な表情が戻ってきている。
「うん。ありがたく使わせてもらう」
 リボルバーナックルは、助けてくれた母の形見だった。左のリボルバーナックルは姉ギンガからの借り物だ。なのはや六課のみんなが作ってくれたマッハキャリバーに、今はノーヴェのジェットエッジ。
 みんなに支えられて、スバルは今ここにいる。
「太裳さん。ノーヴェをお願い!」
「任せてください!」
 太裳がノーヴェを抱き上げる。
「でも、変な所触ったら、後で殺しますから!」
「ええええ!?」
 太裳の情けない声を背に、スバルは走り出した。負ける気はしなかった。

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最終更新:2012年07月16日 22:00