気がつくと、フェイトは大きくなっていた。
「やった。夢が叶った!」
 フェイトは喜びながら、鏡で自分の姿を確認する。すらりと伸びたしなやかな肢体。子供用のパジャマでは丈が足りなくなり、胸元もはち切れそうになっている。
「そっか。私、十九歳になったんだ」
 大人用の服に着替え、家を飛び出す。目指す先はワグナリアだ。到着するなり、フェイトは店の扉をくぐった。
 いつもの格好をした小鳥遊が出迎える。
「宗太さん、私、大きくなったよ!」
「年増」
 小鳥遊の目は蔑みに満ちていた。

「きゃあああああああああああああ!」
「ど、どうしたんだい!?」
 フェイトの突然の悲鳴に、アルフはベッドから跳ね起きる。時刻は深夜四時。空も徐々に白みだしている。
「な、何でもないよ。ちょっと怖い夢を見ただけ」
「怖い夢? どんな?」
フェイトは夢の内容をアルフに説明した後、額の汗を拭った。
「我ながらおかしな夢。宗太さんがそんなこと言うわけないのに」
(言う! 絶対に言う!)
 アルフは心の中でつっこみを入れる。どうもフェイトの中では、小鳥遊は相当美化されているらしい。

 その日のワグナリアは客がほとんど来ず、スタッフは暇な時間を持て余していた。
「あのね、杏子さんがね、杏子さんでね、杏子さんだったの」
 こういう時、八千代は杏子の素敵な所を、佐藤相手に長時間喋り続ける。しかも何回も同じ話をだ。適当に相づちを打ちながら、佐藤は厨房の掃除を続ける。
 時々、話を切り上げようとするのだが、八千代の幸せそうな顔を見るたびに、言葉は喉の奥に引っ込んでしまう。惚れた弱みだが、ストレスは溜まる一方だ。
「八千代ー。パフェー」
「はい。杏子さん」
 杏子に呼ばれ、八千代が去っていく。
「お疲れ様。今日も大変だね、佐藤君」
 それまで距離を取っていた相馬が、さわやかな笑顔で話しかけてくる。
「そう思うなら、たまには代われ」
「佐藤君が好きな人と語り合える時間を邪魔するなんて、俺にはとてもできないよ」
 相馬が悲壮感たっぷりに言う。本当は、好きな人のせいで佐藤が苦しんでいる姿を眺めるのが楽しいだけなのだが。
 佐藤が相馬の頭をフライパンで一撃する。
「痛いよ、佐藤君。俺はただ佐藤君の応援をしてるだけなのに」
 相馬が涙目で頭をさする。これは嘘ではない。恋を応援することと、佐藤で楽しむことは、相馬の中では矛盾しない。
「本気で言ってるなら、神経を疑うな」
 時間を確認すると、佐藤の休憩時間になっていた。厨房を相馬に任せて、佐藤は煙草の箱を取り出しながら休憩室に向かう。その途中、柱に背をつけてぽぷらが立っていた。どうやら身長を計測しているらしい。
「どれ、俺が見てやるよ」
 柱にはボールペンで印がつけられている。これがこれまでのぽぷらの身長だ。印とぽぷらの頭の位置を比べる。
「おっ、少し背が伸びたんじゃないか?」
「ホント!?」
 ぽぷらの顔が喜びに輝く。
「いや、嘘」
「もぉー!」
 ぽぷらが突っかかってくるのを、佐藤は片手であしらう。ぽぷらをからかうことで、佐藤は日頃のストレスを発散しているのだ。

 言い合いを続ける佐藤とぽぷらを、伊波が微笑ましく見つめていた。
「種島さんと佐藤さんって仲がいいよね」
「そうですね。からかったりからかわれたりですけど、仲はいいですよね」
 床にモップをかけながら、小鳥遊が返事をする。
「最近、ますます仲が良くなってきてるよね。以心伝心ってああいうのを言うのかな?」
 時折、言葉を介さずに二人で仕事をしている。念話を使っていることを、伊波は知らない。
 恋人に年下は遠慮したいと、過去にぽぷらが言ったことがある。では、年上が好みなのだろうか。ちなみに佐藤はぽぷらより三つ年上だ。
(ま、まさかね。考え過ぎだよね)
「なるほど。それはいいことを聞きました」
 いつの間にか、山田が伊波の背後に立っていた。
「では、行ってきます」
 山田が佐藤とぽぷらに、とてとてと近づいていく。
「お二人はとても仲良しと、伊波さんが言っていました」
「いきなり何だ?」
 佐藤が怪訝な顔をする。
「付き合えばいいと思います」
「山田さーん!?」
 伊波の悲鳴は、三人には届かない。
「仲良しはお付き合いをするものです。好きな人がいたりいなかったりあるでしょうが、やはり気の合う者同士が一番です」
 したり顔で山田が力説する。
 佐藤とぽぷらが無言で見つめ合う。伊波はハラハラしながら二人を見守った。
(佐藤さんは八千代さんが好きだから付き合う気はないだろうけど、もし種島さんが佐藤さんのことを好きだったら……。切ない! 凄く切ないシーンだよ!)
 やがて二人は同時に言った。
「「こんなお子様やだ」」
 伊波は思いっきりずっこけた。
 互いの発言に二人してムッとなる。
「ほら、そうやってすぐ子供扱いするんだから。大人の人は、もっと私を女性として扱ってくれると思うの」
「三つも年上の人間に対して、その態度はなんだ。この前やったお菓子を返せ」
「そういうところがお子様なの!」
 とっくに食べてしまったものを、どうやったら返せるのか。二人の口論がさらにエスカレートしていく。
(全然切なくなかった。なんて遠慮のない言い合い)
 伊波は肩透かしを食らった気分になりながら仕事に戻ろうとし、最後にもう一度だけ二人を振り返って見た。
(でも、やっぱり二人はワグナリアで一番仲がいいよね)

 夕方になり、なのはは更衣室に入った。今日のお手伝いはこれで終わりだ。後は夕飯まで家で夏休みの宿題を、夜になったらジュエルシード探索の予定だ。
 着替えようとすると、更衣室の奥でぽぷらが膝を抱えてうずくまっているのが見えた。少し前に帰ったとばかり思っていたのだが。
「どうしたの?」
「うん。ちょっとね」
 ぽぷらは暗い顔で落ち込んでいた。
「どうしたの? あ、わかった。佐藤さんでしょ。まったくいじめっ子なんだから。昔のお兄ちゃんみたい」
 恭也は最近少し優しくなったが、昔は美由希もなのはもよくからかわれたものだ。
「違……わないか」
 ぽぷらは否定しようとして、ますます表情を暗くした。
「?」
「なのはちゃんになら話してもいいかな。ここだけの話だよ」
 誰も来ないのを確認してから、ぽぷらはそっと耳打ちする。
「私ね、佐藤さんが好きなんだ」
 衝撃の告白に、なのはの頭が真っ白になる。
 佐藤とぽぷらが、実は仲良しだと理解はしている。しかし、恋愛感情はないと今日言ったばかりではないか。
「そう言うしかないよ。だって佐藤さん、八千代さんのことが好きだから。それも私と会うずっと前から」
 振られて今の関係が壊れてしまうくらいなら、ずっと友達でいる道を選ぶしかなかった。ぽぷらは恋愛には疎い方だが、いつも佐藤を見ていれば、彼の目が誰に向けられているかくらいわかる。
「佐藤さんのどこが好きなの?」
 なのはは内心の動揺を押し殺して尋ねる。恋愛相談など、正直手に余る。
「そりゃ、いつもはいじめっ子だけどね。本当は優しいし、一緒にいると楽しいから」
 ぽぷらは胸元のジュエルシードを握りしめる。
「たぶん、これがなければずっと今の関係が続いたと思う。でも、一緒に魔法使いになって、町を守るために戦って、もしかしたら可能性あるかもって思ったのに……ああはっきり否定されちゃうとね」
 話せば話すほど苦しさと切なさが募り、ぽぷらの目尻に涙がにじむ。
「私がもっとおっきかったら、佐藤さんも振り向いてくれたかな?」
 我慢の限界を超えたのだろう。ぽぷらがせきを切ったように泣き出した。
 このままでは泣き声を誰かに聞こえてしまう。慰める手段を持たないなのははおろおろした挙句、
「おーきなーくりのー木の下でー!」
 泣き声をかき消すような大声で歌い出した。歌い出してから、これではかえって注目を集めてしまうことに気がついた。
(どうしよー!? どうしよー!?)
 今更、歌を止めるのも不自然だ。八方塞になり、なのはまで涙目だった。
 その時、かすかな笑い声がした。なのはが視線を下げると、ぽぷらは肩を震わせて笑いを堪えていた。
 真っ赤になって歌うなのはがおかしくて、つい笑ってしまったのだ。
「あー! ぽぷらちゃん、ひどーい! 私、頑張ったんだよ!?」
「ご、ごめん、ごめん」
 ぽぷらが笑いながら立ち上る。明るい表情が戻ってきていた。
「お詫びに、なのはちゃんが恋愛に困ったら、私が相談に乗ってあげる。おねーさんに任せなさい!」
 胸を張るぽぷらが、なのはには初めて年相応のお姉さんに見えていた。

 曇天の空を、魔法少女ぽぷらが舞う。肩にはいつもの様に仏頂面の佐藤がしがみついている。
 時刻は夜の八時。今にも雨が降り出しそうだが、道にはそこそこ人通りがある。
「ジュエルシードの反応はこっちだっけ」
 人目に触れないよう注意深く飛行する。佐藤とぽぷらは、すでにいつもの二人の関係に戻っている。
「とっとと回収するぞ。この前の伊波みたいな事態は二度とごめんだ」
 撲殺少女まひるの恐怖は、直接戦っていない佐藤の脳裏にもこびりついていた。伊波を思い浮かべるだけで、佐藤の顔は少し青ざめる。
 あれほどの強敵には二度と会わないよう願いたい。
「あっ。あれ見て」
 街灯の明かりに照らされて松本が歩いている。
「まさかあいつが拾ったんじゃないだろうな」
「そのまさかみたい」
 松本の手には、青い宝石が握られていた。時折困ったように宝石を眺めている。
 ぽぷらと佐藤は人気のない路地へと降り立ち、松本の様子を窺う。
「どうやら発動してないようだな」
 松本に特に異常は見当たらない。今なら簡単に回収することができるだろう。
 佐藤とぽぷらの変身が解ける。ぽぷらも佐藤と同じことを考えたらしい。
「じゃ、回収してくる」
「う、うん」
 ぽぷらは微妙な顔で頷く。
「よお、松本」
 偶然を装い、佐藤は松本に挨拶する。
「佐藤さん、こんなところでどうしたの?」
「ちょっと落し物してな。青い宝石なんだが、どこかで見なかったか?」
「もしかして、これ?」
 松本がジュエルシードを差し出す。
「助かった。お前が拾っててくれたのか」
「誰かへのプレゼント?」
「……まあ、そんなところだ」
「ふーん。アクセサリーでもないただの宝石をプレゼントするのね」
 松本は白い目を向ける
(怪しまれたか?)
 佐藤が警戒するが、松本はあっさりジュエルシードを渡してくれた。
「せめてネックレスくらいにしなさい。その方が普通で喜ばれるから」
 松本はそのまま歩いて行ってしまう。どうやら普通でないことがお気に召さなかっただけのようだ。
「相変わらず変わった奴だ」
 佐藤はしみじみと呟いた。

 同時刻、ビルの屋上ではアルフが広域探知でジュエルシードを探していた。
 伊波の物を回収してから、次のジュエルシードの手がかりすら得られていない。焦りは募る一方だ。
 これまでジュエルシードが発見されたのはワグナリアより南側だけ。そちらを重点的に探しているのだが、今のところ反応がない。
 アルフは屋上の床にあぐらをかいている小鳥遊を振り返った。
「あんたも少しは手伝いなよ」
「どうしろって言うんですか」
 小鳥遊とて手伝いたいのは山々だ。しかし、探知魔法を使えず、ジュエルシード発動時の気配もごく至近距離でしか感じられない小鳥遊ではやれることがない。小鳥遊が役に立てるのは戦闘だけだ。
「役立たず」
「しょうがないじゃないですか」
 小鳥遊とて他の魔法を習得しようと努力してみたが、まったくの徒労に終わった。先天的に魔力を持たない小鳥遊では、これ以上の魔法の習得は不可能のようだった。
「ジュエルシードが見つからないからって、俺に八つ当たりしないでください。これだから年増は」
 アルフの額に青筋が浮かび上がる。
「年増、年増ってあんたは言うけどね、あたしはまだ二歳だよ!」
「ええ!?」
 衝撃の事実に小鳥遊が愕然となる。
(この梢姉さんの同類が二歳? ありなのか? なしなのか?)
 人間形態のアルフをじっと観察し、小鳥遊は結論を出した。
「アウトォー!」
「どういう意味だい!」
「だって、どこからどう見ても年増だし……それによく考えたら、アルフさんは狼じゃないですか」
 犬の二歳で、人間の二十三歳相当だ。使い魔にどこまで適用できるか知らないが。
「二人とも、喧嘩は駄目だよ」
 そこにフェイトが探索から戻ってくる。かなり探索範囲を広げてみたのだが、フェイトの方も空振りに終わっていた。
「止めないでおくれ。どうやら、こいつとは一度白黒はっきりつけないといけなさそうだ」
「臨むところです」
 険悪に睨みあう小鳥遊とアルフを、フェイトは不安そうに見つめている。
「ちょうどいい。フェイトにもこいつの本性を知ってもらおうじゃないか」
「俺に勝てるとでも?」
 小鳥遊は余裕に満ちていた。アルフの攻撃が通用しないことは、初戦で証明済みだ。
「いーや。あんたはあたしに勝てない。絶対にね」
 アルフが狼の姿に戻り、獰猛に笑う。
「行くよ。対小鳥遊用新必殺!」
 アルフは後ろ脚で直立し、左腕を腰だめに、右腕を斜めに振り上げる。
「変身、こいぬフォーム!」
 アルフが光に包まれ、小型犬の姿に変わる。
「どうだ!」
「アルフさん可愛い!」
 小鳥遊が興奮した様子で、アルフを抱き上げ頭を撫でる。アルフの新形態の効果は絶大だった。
「見たかい。こいつはちっちゃければ何だっていい、ただのミニコンなんだよ!」
 勝ち誇りながら、アルフはふと違和感を覚えた。頭を撫でる手が二つある。アルフは恐る恐るもう一本の手の主を見上げた。
「アルフ、可愛い!」
 フェイトが紅潮した顔で、一心不乱にアルフを撫でていた。
(ミニコンがうつった!)
 アルフが必死に説得を重ねるが、フェイトは撫でるのに夢中でまったく耳に入っていない。アルフは子犬の手で小鳥遊の胸ぐらをつかみ、激しく前後に揺さぶる。
「返せよ~! 元のまともだったフェイトを返せー!」
「あははは。可愛いなぁ」
 アルフの涙ながらの訴えも、小鳥遊にはじゃれついているようにしか感じられない。
 ダブルなでなでは、アルフがこいぬフォームを解除するまで終わることはなかった。

「まったく酷い目にあったよ」
「すいません。つい我を忘れて」
 並んで夜の街路を歩きながら、アルフはダブルなでなでによって乱れた髪を直す。あの後、フェイトと別れて再び探索に出かけたのだ。
「この機会にちょっと相談したいことがあるんですが」
 小鳥遊がうって変わって真剣な様子で口を開いた。
「フェイトちゃんのお母さんのこと、どう思ってますか?」
「嫌いに決まってるだろ。あんな鬼婆」
 フェイトを傷つける者はアルフにとって全て敵だ。
「このままでフェイトちゃんは幸せになれると、本当に信じていますか?」
 痛いところを突かれて、アルフは黙る。
 フェイトは、ジュエルシードを集めれば元の優しい母に戻ってくれると信じているようだが、同じように思えるほどアルフは能天気ではない。フェイトとて心からそう信じているわけではなく、信じたいだけだろう。
「でも、どうすればいいんだい? 母親の望みを叶えるのが、あの子の願いなんだよ?」
「もちろんジュエルシードは集めます。でも、もしあの女がそれでもフェイトちゃんを傷つけるようなことがあれば……この手で倒します」
 小鳥遊が決意を込めて拳を握りしめる。
「そんなことをしたら……」
「多分一生恨まれるでしょうね。でも、誰かがやらないといけないんです。もしもの時は協力してくれますか?」
「あんたは正直いけすかない野郎だけどね、フェイトの幸せを願ってくれている。そこだけは信じてやるよ」
 アルフは不敵に笑い、小鳥遊と拳を合わせる。契約成立だった。
 その時、アルフの尻尾の毛が逆立った。
「見つけた。ジュエルシードだ!」
 小鳥遊とアルフは急いで現場へと向かった。

 現場にはなのはとユーノも駆けつけてきていた。
「小鳥遊さん、こんばんは」
「お久しぶりです」
 なのはとユーノがぺこりと頭を下げる。発動前のジュエルシードが草むらに転がっている。
「同時に到着ってことは、じゃんけんですね」
 なのはが左手の甲を、右人差し指で押し上げる。できた皺の数で、相手の手を占うおまじないだ。
「行きます、じゃんけん……?」
 なのはは首を傾げた。小鳥遊は両手をだらりと下げたまま、無言で立ち尽くしている。
「小鳥遊さん?」
 なのはの呼び掛けに応じず、小鳥遊とアルフは目配せを交わす。アルフの結界が展開され、空の色が変わる。
 なのはとユーノの顔に緊張に走る。
「なのはちゃん、戦おう」
 小鳥遊が戦闘態勢を取り、アルフも狼に変身する。
「条約違反だ!」
「知ったことか! あたしらはフェイトの為に戦う。そう決めたんだ!」
 ユーノの糾弾に、アルフは怒鳴り返す。
「なのはちゃん、ごめんね」
 決意の上とはいえ、約束を破ったことに小鳥遊は深い罪悪感を覚えていた。
 鞭打たれていたフェイトの姿が脳裏をよぎる。あれだけ酷い扱いを受けながら、それでも母親を愛する健気な少女を思い出す。
「でも、じゃんけんで譲れるほど、俺たちの決意は甘くないんだ!」
 馬鹿な真似をしていると自覚はしている。それでも小鳥遊はもう立ち止まることはできなかった。
「お詫びに、二人とももっとちっちゃく可愛くしてあげるから!」
「「遠慮します!」」
 なのはは即答し、そのまま空へと飛び上がる。ユーノもアルフの爪をバリアで受け止めていた。
 空中で小鳥遊となのはが激突する。速度は小鳥遊の方が遅い。なのはは近づかれないよう射撃で牽制する。
「小鳥遊さん、フェイトちゃんはジュエルシードを集めて、何をしようとしているんですか? 何が小鳥遊さんをそんなに駆りたてるの?」
「俺は何も知らない。フェイトちゃんだって何も知らないよ」
「じゃあ、誰が……!?」
「小鳥遊、余計なことを言うな!」
 アルフが地上から叫ぶ。
 小鳥遊となのはが、同時に魔法を放とうとする。
「そこまでだ!」
 突如、二人の四肢を光の輪が拘束し、黒衣の少年が結界に乱入してくる。
「時空管理局執務官、クロノ・ハラオウンだ。双方、事情を聞かせてもらおう」
 クロノが堂々と宣言した。

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最終更新:2012年09月21日 00:29