「ふぅ…相変わらず暑いったらありゃしねえな……」
「まだ隊舎の中は冷房が効いてますよ?」
「外だったら地獄だったな…昨日のうちに済ませといてよかったぜ」
一日が経過するたびに強くなっていく日差しの中でも巧はいつも通りに隊舎内を清掃する。
近くを通りがかったグリフィスの言葉に不満げながらも納得しつつ手は休めない。
昔はそうでもなかったのだがここ最近は少しの汚れも気になっている
仕事に几帳面なほうではなかったのに……啓太郎がうつったのだろうか、考えてすぐに打ち消す
(あいつと比べたら地球上に几帳面がいなくなっちまう)
「それにしても見事なものです、以前と比べたらとても綺麗になったと感じました」
「そうか? ……ま、それならいいんだけどよ」
外見上の汚れなら巧にも落とすことができる、だが内側に染み込んだ汚れとなると……落とすのは難しい。
しかもその汚れが圧倒的多数によって美しいと思われているのなら尚更だろう。
『汚れたものは絶対に綺麗にしないといけない』と日頃から啓太郎に言われてたが
正直今回はここにあいつがいても手に追えるものではないだろう。
もはや高町なのはは機動六課という組織の『内側の綺麗な汚れ』そのものだと巧は考えている。
それはフェイト・T・ハラオウンや八神はやても同じだった。
……しかしなぜか今日はその3人が揃って姿を見せない
それに加えてスバルやティアナも訓練に出ていない・・・いったい何をやっているんだ?
「今日はあいつらを見ないな、どこか遊びにでも行ってるのか?」
「前線フォワードの皆さんは隊長達と共に出動しています」
「じゃあ……あのペットに医者はどこにいったんだよ」
「シャマル先生とザフィーラも八神部隊長と共に『ホテル・アグスタ』へと向かいました」
「ホテル…? おいちょっと待て、つまり今そこに行ってるのは?」
「スターズ分隊、ライトニング分隊、部隊長を含むロングアーチ3名ですが……?」
「・・・それってつまり主力全員かよ? 大丈夫なんだろうなここの守りは」
揃いも揃ってホテルに向かうとは、まさか遊びに行くわけではないだろうが……
機動六課をいまいち信用し切れない巧はどうしても不安にかられてしまう。
グリフィスに『信用してほしい』と言われても最初から無理な話なのだ。
〔なるほど、結構広いわね……中にはなのはさんたちがいるから大丈夫だと思うけど〕
〔ガジェットはやっぱり来るよね・・・一般の人もいるわけだし、ちゃんと守りきらないと!〕
機動六課スターズ分隊員の二人はホテル・アグスタの周囲を警備しながら見回っている。
今回の任務はここで行なわれる骨董美術品オークションの会場警備と人員警護をすること。
内部は隊長達が担当することとなり外部は新人フォワードたちが担当することとなる。
〔今日は八神部隊長の守護騎士団が全員集合かー……凄いよねぇ〕
〔そうね。密輸取引の隠れ蓑になるって言ってたし、本物が紛れ込む可能性を考慮してるんじゃない?〕
オークションには取引許可の出ているロストロギアも数多く出品されるので
それをレリックだと勘違いしたガジェットが来る可能性は高いとされている。
そのため今回はフォワード隊の副隊長2人だけでなく医務官であるシャマルや
本来なら部隊の留守を守るべき立場のはずのザフィーラ、そしてリィンフォースⅡも来ている。
〔なるほど、にしてもやっぱりすごいよね。皆揃うなんて〕
〔あんたは結構詳しいわよね? 部隊長や副隊長達のこととか〕
〔うん。父さんやギン姉から聞いた事くらいだけどね〕
スバルの話を纏めると八神はやて部隊長の使っている魔導書型のストレージデバイス『夜天の書』に
副隊長のシグナムとヴィータや医務担当のシャマルそしてザフィーラは
その八神部隊長個人が保有してる個人戦力、そして融合型デバイスでもある
リィンフォースⅡ曹長を含めて六人が揃えば無敵の戦力となる……無敵とは大きく出たものだ。
しかし部隊長はSSランクを保有している、有り得ない話じゃない。
〔部隊長たちの能力とか詳しい事は特秘事項だから・・・わたしも詳しいことは知らないんだけどね〕
〔レアスキル持ちの人はみんなそうよね……〕
〔ティア…?〕
(六課が保有する戦力は無敵を通り越して明らかに異常だ……どういうことなんだろう)
八神部隊長がどんな裏技を使ったのかは知らないけど、隊長陣は全員S+(オーバーS)ランク
副隊長陣もSランクに近い実力を持ち周囲を固める隊員達も将来有望のトップエリート達ばかり。
あの年ですでにBランクを保有してるエリオにレアで強力な竜召還スキルを持つキャロ。
そして残り少ない魔力量で瀕死の重傷を負いながらも新型ガジェットを一撃で粉砕し
尚且つ模擬戦でスバルの止まらない連撃やエリオのソニックムーブをすべて見切った乾巧。
危なっかしいけど人並み外れた魔力量と可能性に満ち溢れているスバル……
(って何考えてるのよあたしは……もうスバルのことは全部わかってたはずじゃない……)
さらに言えば乾巧は聖王教会の人間であり機動六課とはなんら関係ない。
しかし休暇などまるで貰えない超ハードトレーニングを1ヶ月以上ぶっ続けで積んで来た
スバルやエリオをわずかな時間で撃退したその実力の高さは決して侮れない。
でもあの乱暴に見える戦い方は……まるで人間相手に戦い慣れていると錯覚するほどに的確だった。
(やっぱりこの部隊で凡人はあたしだけ……けど立ち止まってたら皆の背中が遠くなる、だから……)
〔ねえティア? ……大丈夫? 最近訓練がハードになってきてるから疲れてるんじゃ・・・〕
念話がまだ続いてたことすら忘れて考え事に没頭していた自分の頭を軽く叩いた。
いけないいけない、最近のあたしって本当に疲れが溜まってるみたい……
その一撃で気を取りなおしたティアナは再び相棒と話を続ける、もちろんいつもの強がりも忘れない。
〔あたしは大丈夫。そういうあんたの訓練は特にハードなんだから、ちゃんと休んどきなさいよ?〕
〔……うん、わかってる。それは巧君にも言われたからね〕
〔巧って、あの巧が? へえ・・・あいつ、他人の心配も出来るのね〕
もうすっかり2人はファイズと呼ばれた青年を“乾巧”と呼び慣れていた。
もっともその名前を聞いたのはスバルだったが彼女はすぐさまティアナに教えたのだ。
それを聞いた巧は溜め息をついてはいたが別にそれほど嫌ではないようで呼んでも怒ることはない。
感心したように言うティアナだったが今度はスバルのほうが何かを考えているらしい。
まあ何を考えてるのかはだいたいわかる、こういう時は腐れ縁に感謝してもいいかもしれない。
〔どしたのスバル? あいつのことが気になるの?〕
〔うん……ティア、巧君は大丈夫だと思う……?〕
〔さあね、でも大丈夫なんじゃない? ふてぶてしいし〕
〔それはそうなんだけど……でもあれから皆冷たくなっちゃったよ〕
巧が自分の素直な気持ち(なのは達を嫌う理由)をすべて話してから既に1週間が経過していた。
……今では六課隊員が巧を見つけると露骨に嫌そうな顔をして早足で逃げるように去っていく。
逃げられる理由はなんとなくわかる、おそらくなのはとフェイトに吐いた巧の暴言だろう。
それが自然に広まったのか、それとも誰かが故意に広めたのか……そこまではわからないが。
助けてもらったスバルですらもあれから巧のことを少しだけ怖がるようになってしまったが
それでも一方的に嫌うことはせず考えを理解しようと常に話をしようとしていた。
最初はあまり反応してくれなかったがここ数日は少しずつだが会話が成立するようになってきている。
ティアナはスバルに付き合っているだけだがそれでも彼のことを知っておくに越したことはない。
〔巧君だって巧君なりにちゃんと考えてるのに……どうしてみんななのはさんのことばかり〕
〔そんなこと言っていいのスバル? なのはさんはあんたの憧れなんじゃ〕
〔それとこれとは話が別だよ!〕
〔……ええ、そうよね。〕
人間誰しも悪いところにばかり目が行きがちだが巧にだっていいところは少しだけある。
もし本当に悪人だったとしたらスバルを庇ったり逃がそうとしたりはしないだろう。
……巧の言いたいことも理解できる、それになによりスバルは内気だが真っ直ぐな性格だ。
こういうことを何よりも嫌うことは相棒であるティアナにはわかっていた。
それに頭はよくないが聡明というか勘が鋭いというか……昨日の夜訓練が早めに終わって
部隊長達にかかっている能力制限(リミッター)のことを話していた時のこと。
「本来の戦闘力を制限させるリミッターか・・・なんでそんなことしてるんだ?」
「巧君は知らないと思うけど、一部隊が保有できる戦力の上限は決まってるらしいんだ」
「で今のところ隊長・副隊長が全員AAに、八神部隊長はSSからAにまで下がってるの」
「ふーん……そりゃ、随分と宝の持ち腐れだな」
そのときの巧の話の内容は実力を制限させてまで一ヶ所に集めるくらいなら
別の部隊で力を発揮させてやったほうがいいのではないか、という考えだった。
リミッターの詳細については知らなくてもS級の魔導師が数少ないことは知っているらしい。
AAA級の力を持つ教会騎士と幾度となく戦ったが結局決着がつかなかったと語った巧の言葉は
それなりに重いものだった、少なくともS級の実力の高さは知っているようである。
〔しかしSSを筆頭にSが4人か……とんでもねえな、あいつらは世界をぶっ壊す気かよ?〕
〔いやいやあんた、そんなことする必要がどこにあるって言うのよ……〕
〔確かに隊長達の3人が揃えば世界の一つや二つは軽く救ってくれるって噂はあったけど……〕
〔バカバカしい話だ・・・随分世界も安く見られたもんだな〕
突如会話から念話に変えて話を続ける巧に驚いたがスバルとティアナもすぐに合わせる。
ここからは他人に聞かれていい話ではないと考えたようだ。
……実際ここからはとても物騒な話になることは間違いなかった。
いきなりリミッターの話から世界単位の話になるとは2人は思ってもみなかったが
〔世界を救えるってことは、逆に言えばいつでも滅ぼせるってことになっちまう〕
〔とんでもない暴論ね……あたし達も以前災害救助やってたからその理屈はわからないでもないけど〕
〔人の命を救えるってことは見捨てることだってできる、ってことだし……〕
〔でもさすがに世界は滅ぼさないでしょ隊長たちは、何より滅ぼす理由がないしね〕
ティアナの言葉にスバルも頷き巧も不満ながら一応は理解したようだが
それでもまだ何かを考え込んでいるようで今度はスバルが巧に話を聞いてみた。
巧が考えていたことはどうやら『機動六課の設立理由と人員構成の謎』らしい。
リミッターをつけて能力限定までしてどうして集める必要があったのか?
恐らく何か理由があると巧は考えていたが……それだけの戦力を集めるような理由はわからないようだ。
別に自分達が考えることではないはずなのだがこうまで怪しいところが多いと疑問には思う。
〔……ま、今考えたって仕方ないわね。任務を終わらせて帰ったらまたあいつと話す?〕
〔うん、そうする。じゃあティア、そっちも気をつけてね〕
念話を切って気持ちを切り替え外敵に備える2人、それは任務に専念するためだった。
山道を登る一人の少女と行動を共にする男が呟く、目の前にあるのは『ホテル・アグスタ』
季節に似合わない厚着をしている二人はそのホテルの様子を窺っている。
頭に被ったフードから出ている紫色の髪が風に吹かれる。
その少女と行動を共にする男はホテルから視線を外して少女に目をやる。
「あそこか? ・・・おまえの探し物は、ここにはないのだろう?」
「………」
「何か気になるのか?」
「うん。……シュウジはどこ?」
「今はアギトと共にいる。別方向からあの土地を見てるはずだ」
そして別ルートからホテル・アグスタを見ていた一人の青年とその近くにいる妖精のような少女。
「あーあ、なんだってゼストの旦那はアタシをシュウジとばかり組ますんだ?」
「そんなこと俺に言われたって……困るよアギトちゃん」
「まー確かにユニゾンの相性は旦那よりシュウジのほうがいいけどさ、でも……」
「・・・俺が弱いのはわかってるって」
少し気を落としたシュウジを見てアギトは口を抑えたがもう襲い、口が滑りやすいのは悪い癖だ。
肩も落として溜め息をついたところに彼が持つ銃のグリップ型のデバイスが光る
「デルタムーバーに通信? ……ルーテシア、どうしたの?」
『シュウジ……ドクターの玩具が近づいて来てる、アギトにもそう伝えて。』
「え? どうして?」
『ロストロギアをレリックと勘違いしたみたい……それと、ドクターに探し物をしてくれって頼まれた』
そのデバイス、デルタムーバーを自分の耳に直接当てて話を聞く、電話に近い使い方をしている。
ルーテシアから聞いた話をそのまま伝えるシュウジにアギトは不満を露わにする。
ゼスト同様にアギトもジェイル・スカリエッティがどうも気に食わない。
あの他人を舐め回すように見つめる目が生理的嫌悪感を剥き出しにさせるのだ。
「あの変態医者が作ったメカがかよ・・・いったい今度は何考えてやがんだ? このーー!」
「まあまあアギトちゃん、ちょっと落ち付いて。やめてそこ痛いいたいいたひ・・・」
「それにルールーに探し物をしろって……! まったく何様だあのヤロー!!」
苛立ちとドクターへの嫌悪感を隠そうともせずに空中を乱暴に飛び回るアギトは
そのままシュウジの肩へ乗っかりその頬を掴んで引っ張った。
弾力がいいその頬を引っ張るのがアギトにとっては日常ではないが良いストレス解消の手段となっていた。
もちろんシュウジにとっては痛みを伴うことだがそれで機嫌が直ってくれるのならいい。
「でもいいの? ルーテシアは11番目を追ってるんじゃ……」
『ゼストやアギトはドクターを嫌ってるけど……私はシュウジと一緒で、そんなに嫌いじゃないから』
「まぁ、あの変な笑い方はどうかとは思うけどね……」
「アタシは全部気にくわねえ!」
頬を抓る力がさらに強くなりシュウジの悲鳴も大きくなった。
そこでようやくやり過ぎたと思ったのかその手を離してシュウジに謝った。
怒られるかと思ったが簡単に許してくれた彼の心の広さに感謝する。
数日経ったらまた同じことを繰り返すのはいつものことなので今更突っ込まない。
『シュウジ、カートリッジはいまいくつある?』
「え? 今俺が持ってる分はざっと18かな……普段はあまり使わないしね」
『すこしだけゼストに分けてあげて』
「そうだな、いくつかは旦那にあげたほうがいいんじゃないか?」
「うん、そうだね……ルーテシア、今から転送するからゼストさんに渡して。」
取り出した10個のカートリッジを転送魔法で送り届けるシュウジを見てアギトは感心する。
ルーテシアに教わった魔法のひとつ、転送魔法。少々幼い彼女は召還師なのだが
彼女のような一流の召喚師は転送魔法のエキスパートでもある。
その少女に教えを受けたシュウジもまた自然と転送魔法が得意となっていた。
もっとも自分自身を転送することにはまだ不慣れで度々ルーテシアのサポートを必要としているが。
「どう? 届いたはずなんだけど」
『うん、受け取ったよ。それにゼストがありがとうって』
「どういたしまして」
『それと私とは別にシュウジのデルタムーバーにもデータを送っておくからってドクターが』
「え? 一つじゃないんだ・・・」
『私のほうはガリューに任せるから、シュウジはそっちのほうをお願い・・・気をつけてね』
「うん、そっちも気をつけて。ゼストさんのことお願いね……」
『わかってる、フルドライブは使わせない……じゃあね』
心配しているのか語尾がやや弱くなるのを感じたシュウジはその心配を吹き飛ばすように答える。
シュウジも心配事を思わず口にしたが同じくルーテシアの言葉が強くなったのを聞いて心配はないと感じた。
ゼストのことは彼女と彼女の仲間たちに任せておけば問題はないだろう。
あとは自身のやるべきことをしっかりとやればいい。
腕を組んで感心したままのアギトは頷きながらしみじみと言い放つ。
「……けどホント器用だな、シュウジって。カートリッジも簡単に作れるし」
「それとはあまり関係ないと思うけど……それにこれはルーテシアから習ったことだから」
「んなことないって! ただの紙からいろんな形作れるじゃんか!」
「ああ、折り紙のこと? あれなら仲間に教えてもらったんだ。」
「この調子でユニゾンも上手くいくようになればなぁ……って仲間? あの流星塾ってところの?」
「うん、気が荒くて苛めっ子だったけど・・・でもいいところもたくさんあったよ。」
「そいつがおまえに折り紙を……そいつは今何処でどうしてるのかはわからないのか?」
アギトの言葉にシュウジは首を横に振ることで答えアギトも黙ってしまう。
彼の過去を知っている身としては迂闊なことを言うべきではなかったのかもしれないが
それよりも純粋に逢いたいと願う気持ちが先走ってしまった。
アギトの暗い表情を吹き飛ばそうとシュウジは元気そうに振舞う。
「そ、それよりも今はドクターから与えられた仕事をこなさないとね」
「え? あ、ああそうだな……ってマジでやんのかよ!?」
「しょうがないよ、頼まれたんだし。断ったら俺ウーノさんに怒られちゃうんだ」
「アタシはあいつらが嫌いだけど・・・おまえには同情するよ」
「……それだけならまだしもクアットロのシルバーカーテンがなぁ」
数々の仕打ちを思い出しただけで眩暈がするほどのトラウマとなっている
クアットロの悪戯はかなりしつこい、ISの無駄遣いだと反論したこともあったが
その後に待っていたのは……鼻血が噴き出そうになるのでここで思考を切り
とりあえず送られてきたデータを見るシュウジとそれを横から覗くアギトだが……
「……なんだこりゃ、質量兵器? どことなくガジェットに似てっけど」
「ガジェットっていうか……人型ロボットかな? いったいこんなものを何に……」
「盾? お盆かこりゃ? でもあの変態医者の作ったやつに比べると」
「ああ……けっこうかっこいいね」
「というかむしろ滅茶苦茶かっこよくねえかこりゃ!?」
モニターに写る銀色のロボットに感想を述べてみるがアギトはどうやら気に入ったらしい。
シュウジはというとあまり悪い印象は抱いていないらしくむしろ良い感じのようだ。
しかしこのロボットをいったい何に使うつもりだろうか?
「新型ガジェットの参考にするのかそれともまだ調整中の戦闘機人たちの……」
「前者なら大歓迎だな! あのデザイン有り得ないくらいだせえし」
「見た目じゃなくて中身を重視してるんじゃないかな・・・?」
「でもだからって限度が……まぁいっか! さっさと終わらせてまた旅続けようぜ!」
「OK! もちろんルーテシアの探し物も見つけなきゃね!」
アギトも乗り気になったことでやる気がさらに出てきたシュウジはもうひとつのデバイスを取り出す
銃のグリップを思わせる形とは違う真四角のデバイス――もうひとつのデルタムーバー。
「じゃあ行くよ、デルタムーバー……変身!」
"Set Up“DELTA”Standing by・・・Complete!!"
グリップの方に音声入力をすることでデバイスを起動、2つのデバイスを連結させ1つにする。
銃型となったデバイス“デルタムーバー”を右腕に握り締めた瞬間、黒いジャケットが身に纏われる
そして全身に張り巡らされる白いライン……変換された魔力を通すための“ブライトストリーム”
⊿のバリアジャケットを身に纏ったシュウジはデルタムーバーを握り締め戦場へと歩を進める。
ガジェットも近づいて来ている、自分も戦う事になる……わかっていてもシュウジは足を止めずに走る。
後ろをついていくアギトは自分が救われた時のことを思い出しながら、目の前の青年を追っていった。
最終更新:2007年08月18日 12:21