『地獄の九所封じその2とその3!! スピンダブルアームソルト!!』
「うああああ!! 両腕がぁぁぁ!!」
『バゴアバゴア! 既に貴様の背中と左右の腕の三箇所封じ込めた!
残りは六ヶ所だ! 地獄の九所封じその4とその5!! ダブルニークラッシャー!!』
「あああああああ!! 両脚がぁぁぁぁ!!」
『脚がくっ付いているだけでもありがたいと思え。私が力を加減しなければ
お前の両脚は圧し折れているぞ。バゴアバゴア! だがまだまだ続くぞ!
地獄の九所封じその6!! カブト割り!!』
将軍はなのはの頭をまるごと地面に突き刺した。咄嗟になのはは防御魔法を
頭部に展開して死は免れたが…むしろそちらの方が将軍にとっては都合が良かった。
『バゴアバゴア…お前…ブリッジ出来るか?』
今度は将軍はなのはの脚の方も同じ様に地面に突き立て、ブリッジの体勢を取らせた。
『地獄の九所封じその7!! ストマッククラッシュ!!』
無理矢理ブリッジの体勢にさせられたなのはの腹部に高く跳びあがった将軍の
頭突きが炸裂した。これも将軍自身の手加減と防御魔法とバリアジャケットの恩恵で
死に至る事は無かったが、それでも腹部は完全に変色させられていた。
しかし…それでもなのははまだ起き上がってくるのである。
「まだまだ…これくらいで…。」
『バゴアバゴア! 凄いな! 手加減をしているとは言え、脆弱な人間の身でありながら
ここまで頑張るとはな…。敵ながらあっぱれ。賞賛するぞ…。』
将軍は手を差し伸べた。つまり握手しようと言う事なのであるが…
『ちなみに…この握手こそが地獄の九所封じその8だったりする…。』
「え!?」
その時には既に遅かった。なのはの右手は既に将軍に掴まれており、
なのはの意識がどんどん薄れ始めたのである。
『バゴアバゴア…掌には思考能力を司るツボがあるのだが…そこを突くのがこの地獄の九所封じその8よ。』
「そ…そんな…。徐々に思考能力が…薄れていく…。」
なのははその場に倒れ込んだ。しかし、将軍はそのなのはを抱え上げていた。
『さて…これが最後だ。まだお前の身体の中で変色していない部分。
すなわち首下に地獄の九所封じラスト・ワンである地獄の断頭台を叩き込み、
完全に息の根を止める!! くらえぇぇぇぇぇぇぇぇ!!』
将軍は非情にもなのはに再びダブルアームスピンを仕掛け、両者ともに天高く舞い上がる。
そして将軍の膝がなのはの首下に引っ掛けられる直前に…
『何!?』
悪魔将軍の顔面にレイジングハートが突き立てられていた。
「ゆ…油断大敵だね…将軍さん?」
直後、将軍の顔面にゼロ距離ディバインバスターが炸裂していた。
『うおおおおおおおおおお!!』
これで完全に倒せたとは言い難い。しかし…それでも将軍の本体に大きなダメージを与えていた。
『何故だ!? 何故にまだ動ける!?』
「わ…私を人間と侮って手加減してくれてた…って言うのもあると思うけど…
やっぱり…まだまだこんな事で私は死ねない…死んじゃダメなんだよ…。
ユーノ君が絶対に生き残る様に言ってくれてたから…だから…どんなに倒されようとも…
どんなに這い蹲らされようとも…生き残って見せる!」
『何故だぁぁぁ!! 何故起き上がってくるぅぅぅ!! 私の八箇所封じは決まっているはずだぁぁ!!』
将軍はなのはを殴り付け、倒れ込んだ後も何度もストンピングの雨を浴びせた。
しかし…それでもなのはは全身血だらけになりながらも起き上がってくるのだ。
「わ…悪いけど…私はまだ寝られないの…。」

                   ',ヽ,
                    ', ヽ,              ,/⌒´`⌒
             ,r-‐ー‐丶、,,,_,.,,,,,,'   ',          /⌒´
          |     ´   ,'   ',、   ',ヽ     ( ゲ…
            |.       c (    ,'c\、 l ',  / ゲェ――――――ッ!!
          |    ∩    c'丶- c. ,-、ヽ  ', (  こやつ まだ
      l',   |   l l ∪,/`'''ヽ、   /__ノ;l |.   l \ 起き上がってくる
      l ヽ,  ,l   ∪ ll;;ヽ---';;;||  | ll;;;;;;;;!、|   l   l つもりか!!
      ゙, `' 、!,,,,,     ||;;;;;;;;;;;;;;;;;;|| ┃.ll''/´. | ,'   ,(_ 
      ',     ',.   └===' c  |.c´    |.,',ィ''~ ./
\     ヽ     l          c  | c    .l´.      ̄ ',⌒`ヽ,,_,ノ ̄`ヽ
  \     `t-ェ,,_l,..'',   |.|∪  c |. c   ,!`~~`ヽ   ',  //;;;;;;;;|: : : :',
   \   _,. !-'''"    ',   ||      |     ,'`ヽ `~ヽ   ', //;;;;;;;;;;|: : : :',
将軍に焦りが生じた。何故だ? たかが人間だと言うのに…八箇所封じは決まっていると言うのに
何故起き上がってくる? かつてキン肉マンと戦った時もそうだった…。どんなにボロボロに
されようとも起き上がってくる…。将軍にはこれが理解出来なかった。
『貴様ぁぁぁぁぁ!!』
再び将軍の拳がなのは目掛けて振り下ろされようとした…が、その時だ。
突然将軍の動きが止まったのだ。
『な!? 何故だ!? 何が起こった!? 身体が言う事を聞かん!!』
「なのは一人だけ辛い思いをさせるわけにはいかない!!」
「!?」
突然なのはの耳に入って来た聞き覚えのある声。それは将軍に取り込まれたはずのフェイトの物だった。
「そうや! 私だって寝てられへんわ! 身体は乗っ取られても心までは乗っ取られへんで!」
今度ははやての声…。そして次々に将軍に取り込まれたはずの人々の言葉が続く。
そして…その声は将軍そのものから聞こえて来たのである。
「なのはさんしっかりしてください!!」
「わ…私達だって…戦います!!」
今度はスバルとティアナの声…。それと共に悪魔将軍が苦しみだしたでは無いか。
『うおおおおお!! 貴様らぁぁぁぁ!! この私に反抗するかぁぁぁ!!?』
突然悪魔将軍の動きが鈍り、苦しみだした原因…。それは悪魔将軍が自身に取り込んだ者達にあった。
悪魔将軍に取り込まれ、自身の身体にされてしまったフェイトやはやて…スバルやティアナ達が
悪魔将軍の内側からの抵抗を始めたのだ。
「みんな…。」
絶望しかけていたなのはの心に希望が沸いて来た。
皆は死んではいなかった。それどころか共に戦ってくれている。
そう思うとなのはの身体にも何処か力がみなぎってくる…。
『貴様らぁぁぁぁぁ!! 邪魔をするな!! 邪魔をするなぁぁぁぁ!!』
「うおおおおおおおおおおおおお!!!」
「今だなのは!! 私達がコイツを止めている内に…コイツの本体を撃てぇぇ!!」
「分かったよ!!」
なのはは再び起き上がり、残った力の全てを振り絞って悪魔将軍に突撃。
再度レイジングハートを将軍の額に突き立てた。さらに恐ろしいまでの魔力が
レイジングハートへ集まって来る。
「これで終わりだよ!! 全力全開!! ゼロ距離…スタァァライトブレイカァァァァァァ!!」
『何!? うおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!』
悪魔将軍の本体である頭部をなのはのスターライトブレイカーが飲み込んだ。
そして魔力爆発の奔流が晴れた時…そこには何事も無かったかのように
その場に立っている悪魔将軍の姿があった。
「うそ…まだ生きてる…。」
なのはは愕然とし…力の全てを失ってその場に倒れ込んだ。最後の力を振り絞った
スターライトブレイカーさえも悪魔将軍には通用しなかった。もう終わりだ。
なのはは己の死を覚悟した。だが…将軍は攻撃して来なかった。それどころか
将軍の頭部に亀裂が入り始めていたのである。
『バゴアバゴアバゴア! 脆弱な人間の身でありながら良くやったと褒めてやろう。
その頑張りに免じて今回はここで一度退くとしよう…。しかし勘違いしてはいかんぞ。
私は死んだのでは無い…。再び眠りに付くだけの事だ。私は不死身の恐怖の将! 悪魔将軍!
またいずれ何か別の物に取り付いて復活を成し遂げてみせよう。だが…その時には貴様は
老いてこの世にはいまい。バゴアバゴア!! バゴアバゴアバゴアバゴアバゴア!!』
悪魔将軍はその様に笑いながら砕け散り、ダイアモンド欠片へ姿を変えていた…
いや…悪魔将軍の本体が大魔王サタンと言う名のアストラル体とするのならば…
それはもうただのダイアモンド欠片に過ぎないのかもしれない…。

悪魔将軍が砕け散った事によって発生したダイアモンド欠片はミッドチルダ中に降り注ぎ
奇跡を起こした…。悪魔将軍に取り込まれていた者達が全て元に戻り、荒廃した街は
元通りになり、空は青空を取り戻した。そして…
「なのは!」
「ユーノ君!」
なのはの前に死んだと思われていたユーノが走って来た。
「ユーノ君大丈夫だったの!?」
「良くは分からないけど…気付いたらこの通り…。」
「うわぁぁぁぁぁぁぁぁん何か良く分からないけど…良かったぁぁぁぁぁぁ!!」
なのはは思わず泣きながらユーノに抱き付いた。確かにあの時死んだはずだった
ユーノが今この様に無事にいるのかは分からないが…とにかくなのはにとって喜ぶべき事だった。

地獄にそぼ降る再生のダイアモンドダスト…。これによってユーノは再生し…
悪魔将軍に取り込まれた者達も再び元に戻った。今はそう考えるしか無いだろう…。
地球デーモンシード事件と呼ばれる悪魔将軍復活未遂事件の際も
この再生のダイアモンドダストで死亡した超人達が蘇ったのだから…。

ミッドチルダの全てを掌握した悪魔将軍も再び消滅した。
しかし…悪魔将軍本人の言う通り…何時の日か再び蘇って来るだろう…
それも…なのはが生きていない未来かもしれない…

「仮に私がいなくても…きっとその時代に生きる人が…意思を告ぐ人が…
代わりに悪魔将軍…貴方を倒してくれるはずだよ…。
それが出来る人を未来に残せる様に…私も頑張らなきゃ…。」

確かに次に悪魔将軍が復活した時、その時にはなのははもう生きてはいないのかもしれない。
しかし、戦技教官であるなのはは意思と技術を後の世代に残し伝える事が出来る。
再び悪魔将軍が復活しようとも…その時代においても自分の様に戦う事が出来る者が
誕生出来る様に…自身の意思と技術を未来に伝える。なのははますます戦技教官としての
責任の重さと感じ、改めて頑張る決意を固めていた。

「でもさ…まずその傷を回復させないとね…。」
「イタタタタタタタ!」
ユーノに言われるまで気が付かなかったが、将軍から受けた傷も決して浅くは無かった。
再生のダイアモンドダストによってある程度は回復した様子であったが、
それでも入院は必要だろう。数年前のあの大怪我程酷くは無い分まだマシだが。
                  おわり

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最終更新:2007年08月22日 11:13