―――時空管理局本部

レティ・ロウランは誰もいない一室でリンディ達が受けた任務「真祖の捕獲」の真相を極秘に調べていた。確かに「空想具現化」
の能力を管理局に生かせばこの上なくロストロギアの回収も捗るだろう・・・だがそれが理由なのか?レティはそれについて疑問を抱いていた。
かつて続発する「闇の書事件」を喰い止める為に地球のバチカンが保持している「エル・ナハト」と呼ばれるアーティファクトを巡って管理局と
バチカンに存在する埋葬機関ならびに魔術協会と交戦し、返り討ち
(一度オルトという吸血鬼と交戦した場合は悲惨だった・・・派遣された魔導士20名が瞬殺された。)に合うなど地球に対する上層部の印象は悪い
(だが管理局による傲慢的な非もかなり高く、ある事件において管理局に好意的で援助を行ってきた白翼公やヴァン・フェム、ロスチャイルド、ハプスブルク家などは激怒し援助を打ち切った。)
・・・だが上層部は何を考えている?今更地球に対して報復を考えているのか?いや違う、そしたら地球はとうの昔に管理局に統治されているはず・・・そして端末を操作しているレティの手が止まる・・・

「あらゆる境界を操る者」「永遠の生を得る『蓬莱の薬』」「それの薬を作る事を出来る者」
「それを捕獲する為において『空想具現化』ならびに『真祖』の能力を注目」

永遠の生・・・確かに死という恐怖に常に縛られている生命体にとっては望むべきものかもしれない。だが、レティは思う、永遠の命を得る薬、
今までの管理局の歴史においてそれを実践しようとするものがいたがすべて失敗した、大きな犠牲を生んだだけだった。だがその『蓬莱の薬』にレティは興味を示した
・・・いや彼女は生あるものとしていずれ死ぬ事は受け入れている、ただ上層部はそれを求めているのでは・・・彼女はそう思った。

―――結界外
結界の外部に二人の女性がいた。
「いいのですか?」
長身金髪金の目を持ち陰陽と思しき服を着て9つの尻尾を持つ女性は、其の隣で何かに腰掛けている女性に問う。
「アルクェイドを助けに行かなくて?」
色は違えども似たような服を着て何かに腰掛けている女性は答える。
「心配するものじゃないでしょ・・・アルクェイドが管理局に捕らえられるほど愚かではなくて?」
「確かに・・・しかし・・・。」
「まぁいいじゃないの?丁度いい見物が目の前に起きているし・・・。」
女性は持っている日傘で空をなぞった、そうするとその空間が裂け其の仲に手を突っ込み酒瓶とツマミを取り出す。
「観戦としゃれこもうかしら。」
女性は薄笑いを浮かべ結界内で起きていることを見下ろしていた。
「管理局に今度お灸をすえるし。」

       真祖海鳴に行くの巻(多分下)

―――結界内
 高町なのは、アルクェイド・ブリュンスタッド双方は驚いた、前者は友達の約束をした人(吸血鬼)、
後者は久方ぶりに心を通わすことが出来た人間・・・やり辛い。
「な、なのはちゃん!な、何でこんな所に。」
「ア、アルクさんも何やっているんですか!」
双方とも声を上げる、そしてアルクェイドはポケットからジュエルシードを取り出すとなのはに見せる。
「さっき取ったジュエルなんたらとかいう宝石をいきなり渡せと言うし・・・。」
さらに言葉を繋げようとするアルクェイドだがなのはがそれを遮る。
「って!ジュエルシード!アルクさん!それ渡して下さい!それすごく危険な物なんですよ!」
だがアルクェイドはそれに応じずポケットにしまう。
「貴女も似た様な事を言うのねなのはちゃん、だけどそう『はい、そうですか』といえるほど私も優しくないし欲しければ自分の手で奪ってみなさい。」
「アルクェイドさん・・・どうしてもやるって言うのですか?」
「ええ、友達同士全力全開というわけで。」
「分かりました。」
なのははアルクェイドの挑戦を受ける事にした、言葉で分かり合いたいが、この状況では言葉や思いを
魔法に変えて直接叩き込む、分かり合うにはそれが一番いい・・・なのははそう思っている。
「こちらも友達として全力全開でいきます。」
それにアルクェイドは感心した。
「流石ね・・・じゃ勝っても負けても恨みっこはなしということで。」
「はい!」
応じ、なのはは戦闘体制へ持ち出そうとするクロノや武装局員に対し
「クロノ君、御免ね・・・手出し無用だから。」
「わかった。僕がどう言おうと君の意思を曲げることは出来ないからな。」
こうなった時のなのははP・T事件でも闇の書事件の経験からして警告しても全く無駄だろう、
クロノは局員に対し負傷者の搬送を命令し、この戦いの観戦者を選んだ。
そしてクロノやアースラクルーが見つめる中、広場に少女と女性は向き合う、
一瞬アルクェイドはある空の一点を見る、結界内には今にでも起きる戦いを観戦しようとしている二人を確認した。
(あの、スキマ・・・見世物のつもりか・・・。)
だが、これから起きる戦いに神経を集中させ互いを分析する。
(撃たれた足も修復した・・・あれほどの魔術を撃てるというなら恐らくまだ強力なものも撃てるね・・・ちょっと厄介かな?)
一度手の内を見せられたアルクェイドに対し詳しい状況をつかめていないなのはは苦悩していた。
(デバイスはない、だけどあれだけの魔力を保持していることは・・・かなり厄介な相手と見えるなの)

そして・・・

「いくわよ(なの)!」

二人とも真正面から共にぶつかり合った、アルクェイドは魔力を帯びた体当たり、なのはは「フラッシュインパクト」で
双方ぶつかり合ったことによる衝撃波が周りの木々を揺らし、葉を舞わせる、そして二人は距離を離す。
(あの、杖・・・確かデバイスだっけ?かなり厄介な武器ね・・・しかも本人もかなり戦い慣れている!)
(『フラッシュインパクト』の突撃をデバイスなしで相殺した!)
距離を離すほんのコンマ秒で互いは相手の評価、次の最適な攻撃方法を組み立てていく、そしてなのはは接近戦ではなく自分の得意なアウトレンジ戦に切り替えた・・・まずは・・・
「アクセルシューターァァァ!!」
10発の誘導性の高い魔力弾が彼女の前後左右に襲い掛かる、だがなのはにとって計算外だったのはアルクェイドの速さが想定していた誘導性を上回っていたことにより
アルクェイド自身に命中したのは2発だった。
(右肩、左脇に命中・・・ダメージは・・・すぐには直らない・・・威力はあるね・・・あのカートリッジかな?)
そう思考している間にアクセルシューターの第2派、それもさっきの10発とは違い倍の20発が彼女に襲い掛かる、勿論瞬時にアルクェイドの速度を計算した為かなり正確だ。
(誘導性ということは・・・ちょっと厄介・・・なら!)
アルクェイドはあえて受けることにした、無論体にぶつける事ではなく叩き落すのだ。すでにアクセルシューターの速度は確認済みである、四方から襲い掛かる魔道弾を時には避け、
当たりそうな分は素手で叩き落していく。
(アチチチ・・・魔力の膜を覆わせておいたけど火傷した、だけどいける!)
シューターの弾幕を突破し、なのはの目の前に瞬時に躍り出たアルクェイドはなのはの鳩尾に向けて拳を打ち込もうとする、
本来なら爪で腹を真っ二つにしてジ・エンドだが殺すつもりはさらさらないため打撃攻撃とした、だがなのはの反応も素早かった。
拳を受け止めるべくバリア魔法『プロテクションEX』を発動、アルクェイドの拳を受け止める。辛うじて受け止めることに成功するがプロテクションにヒビが入る、驚愕するなのは
(プロテクションEXの防護壁を打ち破る!あの拳にどれだけ魔力が・・・)
そしてなのははあえてプロテクションを砕かせる、その反動で後方に吹き飛ぶがそれを良しとする、そしてフィンの力で後退する自身の体を無理やりとどませる、
そしてレイジングハートのカートリッジを消費する。なのはの必殺技を改良したもの
「ディバインバスターエクステンション!!」
従来のディバインバスターを収束させ、威力、速射性を向上させた必殺の一撃を、プロテクションを破った反動で動きが一瞬止まったアルクェイドに向けて解き放つ。
アルクェイドも確かに肉弾戦を主軸とするスタイルの為遠距離戦は苦手とするが、対抗する技がない訳ではない・・・彼女は避ける事無く真っ向勝負を挑んだ・・・
己の爪に魔力を纏わせ、それを振り、発生する風(これだけでも人を殺せる)に魔力を加算させる朱の月の技「アルトシューレ」強い魔力を帯びた輪が、
ディバインバスターと真っ向に立ち向かう・・・そして収束された聖なる一撃は古き一撃にかき消された、それと同時にアルクェイドは爆発の余波ももろともせずに一気になのはの懐に飛び込む
「せ~の。」
どこか気の抜けた声でなのはに突っ込む、その一撃はプロテクションに受け止められるがその衝撃はなのはを後方に飛ばす、
たがその飛ぶスピードより早く彼女は後ろに回りこむ、そして
「はっ!」
なのはを空中に打ち上げる。
「ふっ!」
そして空中に飛んだアルクェイドがなのはをさらに打ち上げ、そして・・・
「落ちろ!」
組ませた手をそのままなのはを地上に向けて打ちつける。そのまま地面に叩きつけられるなのは。
「勝負あったわね・・・。」
「まだです!」
アルクェイドは言うがなのはは立ち上がった、アルクェイドは驚いた確かに多少は魔力障壁でダメージは抑えられるが、
9歳の少女の肉体にとって酷と言っても良いほどのダメージを与えたはずなのだ・・・だが彼女は立ち上がった其の目は諦めという字はなかった、
そして空中に飛びまわりの魔力を一つに集中させはじめた。
「アルクさん!受けてみてください!私の全力全開!」
(この魔力は今までのケタ違い・・・発射に時間がかかるなら・・・)
阻止するという手段がある・・・だがそれは真っ向勝負を完全に否定し、互いの全力全開を賭けた戦いに水を差すこと、
彼女は真っ向から受け止め対決することを選んだ。「マーブルファンタズム」・・・アルクェイドはいつでも発動できるようにした。
「これが私の全力全開スターライ・・・。」
「こちらの全力全k・・・」
その言葉は海側から放たれた一つの光線によって阻止された。全く無防備ななのははその直撃を受けて落ちる。慌ててそれを受け止めるアルクェイド、そして海から大きな方向が聞こえ、アルクェイドは振り向いた・・・そこには・・・。

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最終更新:2010年04月09日 21:12