『あーっと万太郎が光の矢と化したー!』
「うわぁぁぁぁ来るなぁぁぁぁぁ!!」
火事場のクソ力のオーラを纏いながら矢の様に突っ込んでくる万太郎に
恐れをなしたスカリエッティは思わず背を向けて逃げようとした。だが…次の瞬間
万太郎の顔面がスカリエッティの背を直撃し、さらに両腕をクラッチされていた。
「マッスル…ミレニアム!!」
「ギャウ!!」
『出たぁぁ! 万太郎のマッスルミレニアムが炸裂だー!』
万太郎の開発した必殺技の一つ。「マッスルミレニアム」ロープの反動を利用して
相手を反対側のロープに叩き付けて顔面と脚にダメージを与える恐ろしい技である。
だが、何百メートルにも渡って伸びたロープの反動と万太郎の火事場のクソ力によって
増幅された突撃のエネルギーは半端な物では無く、スカリエッティを押し付けたまま
ロープを突き破り、そのまま天高く上昇して行ったでは無いか。
『あっとロープを突き破っても万太郎は止まらないー! さらにどんどん上昇して行くぞー!』
『あーっとあの体勢はー!』
万太郎はスカリエッティの首を自らの肩に、両脚を両腕でクラッチさせていた。
これはキン肉バスターの体勢。しかしただのキン肉バスターでは無い。
スカリエッティの体勢が前後逆になっているのである。
『あれはターンオーバーキン肉バスターの体勢だー!』
『ですがまだまだ上昇して行きますよー! それに万太郎とスカリエッティの上下が逆です!』
そう、普通のバスターは受け手が上にいる状態で放つ技なのだが、万太郎が
上にいる状態のままターンオーバーキン肉バスターの体勢を取りつつなおも上昇して行く。
「火事場の…逆噴射―――――!!」
「うそ! まだ上昇して行くの!?」
「一体何処まで昇って行くつもりなんや万太郎君は…。」
既に万太郎とスカリエッティの姿は聖王のゆりかご遥か上空に達し、肉眼では見えなくなっていた。
『万太郎! スカリエッティをターンオーバーキン肉バスターの体勢で抱えたまま
大気圏を離脱したぞー!』
「ええええええええええ!?」
これには誰もがビビッた。だが、超人は生身で大気圏離脱しても平気だから無問題。
(そのくせ水では溺れてしまうけど)
『だがまだまだどんどん上昇して行くぞー! 一体何処まで行くつもりだー!?』
『あ! あれは月です! 月に行くつもりです!』
万太郎がターンオーバーキン肉バスターの体勢で向かっている先は月だった。
そして…ついに二人が月の地表に到達し…
「ネオターンオーバーキン肉バスタ―――――!!」
「うがぁぁぁ!!」
キン肉バスターは数字の9と6の技である。9を引っくり返せば6になる様に、
キン肉バスターも引っくり返せば受けてと掛け手が逆転する。
それによってキン肉スグルはバッファローマンに、万太郎はスカーフェイスに
キン肉バスターをそれぞれ破られたのだが、スグルは破られた後でさらに上昇する事で
天井に対してバスターを行うネオキン肉バスターを編み出していた。
万太郎はそのネオキン肉バスターをターンオーバーキン肉バスターの状態で放ったのだ。
月との衝突の衝撃によってスカリエッティの首、背骨、胸骨、左右の大腿骨の
五箇所が同時にダメージを受けた。しかしまだまだ万太郎は止まらない。
『あーっと万太郎はスカリエッティを掴んだまま月の引力圏を離脱!
ミッドチルダに帰って来るぞー!』
『ああああっとあの体勢はー! キン肉ドライバーの体勢ですよー!』
万太郎はキン肉ドライバーの体勢のまま大気圏に突入した。これも超人は何故か平気だから無問題。
そしてキン肉ドライバーとはただのパイルドライバーと違い、相手の腕に
自らの脚を引っ掛けた状態で放つ為に頭のみならず腕にもダメージがかかる大技。
これでキン肉スグルは悪魔将軍をはじめとする数々の強敵を倒して来た。
「くそぉぉぉぉ!! 何をしているかガジェットども!! 私を助けんかぁぁ!!」
スカリエッティが叫ぶと共に待機状態になっていたガジェットが一斉発進。
万太郎を止める為に急上昇した。
『あーっとスカリエッティが反則を犯したー!』
『1対1のシングルマッチでこれはダメですよー!』
「反則を犯したなスカリエッティ! でも…そんな物に僕は負けないよぉぉぉ!!」
万太郎はキン肉ドライバーの体勢のまま落下を続ける。その音速を遥かに超えたスピードと
火事場のクソ力から来る強烈なオーラは多数のガジェットを持ってしても止められない。
むしろ逆に衝撃波によって破壊されてしまった。
『あああっと万太郎凄い! ガジェットを物ともしないぞー!』
「行くよぉ! キン肉…ドライバ―――!!」
「ぎゅわあぁぁ!!」
万太郎はキン肉ドライバーでスカリエッティの頭部を聖王のゆりかご特設リング中央に
打ち付けた。だがそれだけに終わらない。なんと余りの威力にリングを突き破り、
聖王のゆりかごの甲板さえ貫通していたのである。
『なんと万太郎のキン肉ドライバーの威力は聖王のゆりかごの甲板さえ貫いたー!
だがまだまだ止まらない! どんどん貫いていく貫いていく貫いていくー!』
万太郎はキン肉ドライバーを仕掛けたまま聖王のゆりかご内部の隔壁を次々に
ぶち抜きながら落下していく。その上落下速度は落ちる事は無く、逆に上がっているのである。
『万太郎! 完全に聖王のゆりかごを貫通したー!』
『ああああ! あの体勢はー!』
聖王のゆりかごの艦底から出て来た万太郎の体勢は先程とは違っていた。
体勢としてはキン肉バスターと同じ物なのだが…そこからが違っていた。
「う…うおおおおお~っな…なんだ~っ…。く…苦しい…か…体がちぎれそうだ~…。」
スカリエッティの顔面が歪んだ。まるで上に対するGに顔が持ち上げられている様な…
だがそれだけでは無い…
「オギャアアアアアア!!」
『あーっとまるで強風を受けたヨットの帆が反り返る様にスカリエッティの胴体が
逆方向に反り返ったー!』
『これは完璧に背骨が折れましたねー!』
さらに万太郎は自らの両脚でスカリエッティの両腕を挟み込んでクラッチ。
その勢いのまま物凄い勢いで地表へ落下するのである。
「マッスル…グラヴィディ―――――――――!!」
『出たぁぁぁぁぁ!! 万太郎のスペシャルホールドがスカリエッティに炸裂したぁ!!』
マッスルグラヴィディ。マッスルミレニアムに続いて万太郎が編み出した脅威の必殺技。
キン肉バスターの体勢でさらに強烈なGがかかる程の速度で急落下する事で
相手の身体をGによって上へと強引に持ち上げ、反り返らせ、キン肉バスターの効
果に加えて、両腕と肋骨をも破壊するスペシャルフェイバリット。
しかも強烈なGによって受け手の身動きが取れなくなる為、現時点では攻略法も存在しないのである。
そして万太郎の火事場のクソ力+大気圏からの落下による恐ろしい速度でのマッスルグラヴィディは
まるで小惑星でも落下したかのような恐ろしい程の大爆発を起こし、半径数キロ物クレーターを
作り出し、その中心の爆煙の中からゆっくりと万太郎が現れてガッツポーズを取ったのである。

「おおおおおおおおおおお!!!」
『万太郎勝ちましたー! 勝利の女神は万太郎に微笑んだー!』
「うそおおお!! 豚男が勝つなんて信じられない!!」
戦闘機人達は自分自身さえ否定された様な顔になっていたが、
万太郎は意気揚々と聖王のゆりかご特設リング上に帰って来た。
「どうだい!? なのはちゃん! 僕の真の格好良さ見ててくれたかい…って…何だお前は―――!!」
今更なのはの隣に座っていたユーノの存在に気付いた万太郎はユーノを指差した。
「お前何なんだ!! なのはちゃんの一体何なんだ!?」
「え!? え!? どゆこと!?」
いきなりユーノに対して激怒しだした万太郎になのはは意味が分からなかったが、
そこでさらになのはの隣にいるヴィヴィオの存在にも気付くワケである。
「おわ――――――!! もう子供まで出来てる――――――!!」
とにかく凄いショックを受けた万太郎は頭を抱えて倒れ込み、のた打ち回り始めてしまった。
要するにヴィヴィオがなのはとユーノの間に生まれた子供とでも勘違いしているのである。
「畜生!! このメガネ超人今直ぐリングに上がって来い!! 僕がマッスル地獄を見せてやる!!
よくも僕のなのはちゃんにこんな事するなんて許さないぞ――――――!!」
「メガネ超人って…。」
『かの初代キン肉マンもかつてマッスルデビルとの異名で呼ばれ、当時世界に名を轟かせていた
残虐超人カレクックに逆に恐怖を与えて敵前逃亡させると言う偉業を成し遂げました!
続いて万太郎も第二のマッスルデビルとなるのか―――――!!』
『果たしてマッスル地獄とはどんな地獄なんでしょうね~。』
万太郎はリングから身を乗り出しながらユーノを挑発した。それだけ心の底から悲しみ…怒っていた。が…
「いつなのはがお前の物になったぁぁぁ!!」
「んげ!」
次の瞬間フェイトのドロップキックが万太郎の顔面に炸裂していた。
「そうだそうだ! 逆に私がお前にシューティングアーツ地獄を見せてやる!!」
「おわ―――――――!!」
さらにスバルまでリングに上がってシューティングアーツで万太郎をフルボッコし始める始末。
『あーっと乱闘が始まってしまったー! さらに観客がどんどん乱闘に加わっていくー!
もう凶器攻撃も何でもアリだー!』
『これには万太郎もタジタジですねー。』
「やっぱりただの豚男や…。」
「あたしはあんな豚男に命を救われたのか…。」
リング上でフェイトやスバルにボコボコにされる万太郎にはやてとヴィータは呆れるしか無かった。

それから、万太郎との試合で強化改造した部分がダメになったのか、本来の
頭は良いけどひ弱なボーヤに戻ったスカリエッティは管理局によって逮捕され、
聖王のゆりかごもニンニク食って再び巨大化した万太郎の48の殺人技によって
時空の彼方に放り投げ飛ばされ葬られた。とにかくこれで戦いは終わったのである。
それでも事後処理に関してはまだまだ時間が掛かりそうだったが…
万太郎とミートは管理局の時空航行艦によって地球に帰して貰う事になっていた。
今回の戦いの活躍を認められ、本来の予定より早く地球に帰してくれると言うのである。
しかし…困った事に万太郎は嫌がって駄々をこねていた。
「嫌だよー! 帰りたくないよー! なのはちゃんやフェイトちゃんと会えなくのは嫌だよー!」
「Ⅱ世!! それだと凛子ちゃんやジャクリーンさんに会えなくなっちゃいますよー!」
「あああああ! それはそれで嫌だー! どうしよう!」
「どうしようって言われても…。」
わがままなⅡ世とミートの掛け合いになのは達も呆れてしまっていたが、
ミートが天竜チョップで強引に万太郎を次元航行艦に押し込めていた。
「とにかく帰りますよⅡ世!! それじゃあ皆さん…お世話になりました。」
「あーもーちょっとは考えさせてよー!」

「久し振りの地球の空気は良いね。なのはちゃん達がいればもっと良いけど…。」
「まだそれですかⅡ世…。」
地球での生家であるキン肉ハウスに戻って来た万太郎とミートは
一休みしていたが…突然アナウンスが響き渡って来た。
『東京○○地区に悪行超人出現! ニュージェネレーションは出動願います!』
「ええええ!? せっかく長い戦いが終わったのにー!!」
「そんな事言っている場合ですかⅡ世!」
「分かったよ~! 行くぞミート!」
「ハイ!」

ミッドチルダの平和はこれからもなのは達機動六課が守って行くだろう…。
そして…なのはの故郷である地球の平和は万太郎達ニュージェネレーションが守って行くのである。
               おわり

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最終更新:2007年08月31日 18:13