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Log1.モルガナ

 現実世界 私立聖祥大学付属小学校
 これは一体どういう事か。アリサが意識不明になり、入院するとは。
なのは達4人は、このことについて話していた。
「どうなってるんやろ…」
 何がどうなっているのか分からない。はやてはそう思いながら、それを口にした。
そしてそれはすずかも同じ…ただ、なのはとフェイトは違った。思い当たる節が一つだけある…言うまでもない、イニスだ。
ただ、たかがゲームで意識不明になるというのが、フェイトには信じられない。
「なのは…まさか、あのモンスターが…」
 だから、その思い当たる節についてなのはに問うのも自然な流れだ。
「フェイトちゃん?もしかして、何か知ってるの?」
 なのは以外にはなるべく聞こえないよう言ったつもりだったが、すずかには聞こえていたようだ。
どういう事か聞いてきたすずかに対し、フェイトがどう言うべきか考える。
何しろ信じようもないような荒唐無稽な話なのだ。魔法のことを知っているからといって、いくら何でも信じるのは難しいだろう。
「その話、俺にも聞かせてくれないか」
 後ろから聞こえてきた声に、4人が驚いて振り返る。どこから聞きつけたのだろうか…
その声の主は、彼女達も面識のある…というか同じクラスの男子生徒だ。
「亮君?何、こういう事に興味でもあるん?」
 そう、近付いてきた男子生徒とは、楚良のプレイヤー『三崎亮』だった。茶化すはやてに対し、亮は至極真面目に答える。
「…今回の件、俺にも心当たりがあるんだ」

「なるほどな…THE Worldで壁画みたいなモンスターと戦って、それからアリサと連絡が取れなくなった…って事か」
 フェイトが話した内容。それは確かに荒唐無稽なもの。前述の通り、普通ならゲームで意識不明などはあり得ないのだから。
それを聞いたはやてとすずかは…やはりというか、信じられないような表情をしている。
だが、亮はそれを信じた。彼の心当たり、それは彼がゲーム内で深く関わっているものなのだから。
「それで、心当たりって何なの?」
 そして、本題…亮の言う心当たりについて聞く。それは彼女達の想像を大きく超えるものだった。
「…多分、あのゲームで噂になってる『プレイヤーを意識不明にするモンスター』だ」
 そして亮が、そのモンスターの事を話す。
 曰く、どんな手を使っても倒せないということ。
 曰く、ゲーム内で不正とされているスキル『データドレイン』を使うということ。
 曰く、これまでにも一人意識不明になっているということなどであった。
 …もっとも、彼がゲーム内で関わっている『何か』については黙っていたのだが。
 そして亮はなのは達にこう言い、背を向けた。
「お前らはもう、THE Worldに関わらないほうがいい。アリサと同じ目に遭いたくないならな」

 Δサーバー 隠されし禁断の聖域
『お前らなどみんないらない!アウラとともにここで朽ちろ!』
 エリアそのものが真っ暗になり、黒い雷が鳴り響く。
THE Worldを管理する自律プログラム『モルガナ・モード・ゴン』が、先程目覚めた究極AI『アウラ』を消し去るため、エリアを改変するという暴挙に出たのだ。
それを近くで見ていた楚良が飛び出し、彼ら…『司』『ミミル』『昴』『アウラ』の前に現れる。
「しゅっ、バッ!ばみょーん」
 何故か擬音を口で言うのは気にしない。楚良はいつもこうだから。
「楚良!アンタまた!」
 いきなり現れた楚良に対し、ミミルが叫ぶ。
本来モルガナ側のはずの楚良が現れたのだ。何か邪魔をしにきたのだろうと、ミミルはそう推測したのだ。
だが楚良はミミルのことは気にせず、司へと話しかけた。
「ちょびっとだけど、面白かったよん。ネットスラムでみんなが待ってる。
そいつと一緒に、先に行ってな」
『楚良、何を言っている?』
 これは意外だ。本来ならアウラを消しにかかるはずの楚良が、逆に逃がそうとしている。
その事にモルガナも驚いたのか、楚良を問い詰める。が、楚良は聞く耳を持たない。
「早く行けって。お前、そういう力持ってるだろ?」
 司の持つ力。それはかつてモルガナに与えられた、カオスゲートを介さずにエリアを移動する力。
それをこの場の脱出に使われるというのも、モルガナにとっては皮肉だろう。
「あんたも…来る?」
「もっち行っくすぐ行くもっちーん♪司クン、お友達になろうね」
「…うん!」
 司の返事とともに、4人がネットスラムへと飛んだ。

「てっ、へッ!おばちゃーん、悪いけど俺、裏切る」
 司達が去った後、そう言って楚良はモルガナへと決別の言葉をぶつけた。
対するモルガナは、先ほどのやり取りからそれを読んでいたのか、焦った様子はない。
『何と思慮の無い…!』
「だってアンタ胡散臭くって。ボクちん、アンタとお友達になりたくにゃーい♪」
『そうですか…』
 モルガナが信用ならない。それが理由だと言うが、おそらくそれだけではあるまい。
なぜなら…その目には明らかな怒りの色が浮かんでいたのだから。無論、リアルでの話だが。
「それにアンタ、八相だっけ?アレ使ってボクちんのお友達傷つけてくれちゃったみたいだし」
 やはり、である。楚良もリアルでは何でもないように装っていたが、友達を意識不明にされて怒らないはずがない。
「ちゅーわけで、ごめんなら~…あれ!?」
 そう言って、エリアから出ようとするが…出られない。
何が原因か全く分からない。何故エリアから出ることが…『ゲートアウト』ができないのか…
いや、原因はすぐに分かる。目の前にいるはずのモルガナが何かをしたということだ。
『遊びが過ぎましたね、楚良…
死ぬより辛いことがあるということを教えてあげましょう』
「え?あ、何!?」
 状況を認識する前に、楚良の体が宙に浮く。
そしてそれを認識した楚良は、これから何をされるのかを理解し、叫んだ。
「ダメ!嫌!やめてぇぇぇぇぇぇぇぇ!!」
 それは懇願の叫び。アリサ同様に意識不明にされると感じ取った楚良の悲鳴。だが、モルガナは聞き入れない。
数瞬の後、楚良の断末魔が響く。体がデータドレインの光に包まれ、そして消え去る。
後に残ったのはモルガナの手で変えられたエリアと、楚良を消したモンスター『第一相 死の恐怖 スケィス』のみであった。
『スケィス、お前はアウラを追いなさい』

 THE Worldトップページ BBS
 アリサが意識不明になって2週間、なのは達は調査を続けていた。亮の忠告は結局聞き入れなかったのである。
あれからアリサだけではなく、亮までもがTHE Worldをプレイしていて意識不明になってしまった。このゲームに何かあるという事はもはや疑いようがない。
現在なのははトップページのBBSを開いている。そこはTHE World中のプレイヤーが集まる場所。当然様々な情報が集まる。
なのははその情報に何か有用なものがあるかと思い、調べている所なのだ。
「何か情報があるといいけど…あれ?」
 少し調べたところで、一つのスレッドが目に留まる。
スレッドタイトルは「意識不明」。今まさになのはが調べている内容そのもの。当然すぐさま開く。内容はこうだ。

『送信者名:カイト

 友だちが、このゲームをしてて意識不明になりました。
 入院していて、今も意識が戻りません。
 でも、そんなことってあるんでしょうか?
 何か知ってる人いませんか?
 誰か他にそういう人を知りませんか?
 どうやったら友達は元に戻りますか?
 メーカーの人も、ここ見てますよね?
 何でもいいです。情報下さい。』

 このスレッドはこの後すぐ削除されるのだが、その前に彼女がこのスレッドを発見できたのは幸運だったかもしれない。
何せ自分達と同じく、友人がこのゲームで意識不明になったのだ。少なくとも情報は手に入るかもしれない。
今すぐログインしようとするが、「現在メンテナンス中」の表記が出てログインができない。
それを見たなのははため息をつき、先程のスレッドにレスをしようとするが…スレッドが見当たらない。削除されたということか。
手がかりは途絶えた。唯一つ残っているものといえば、先ほどのスレッドを立てた『カイト』という名前のみ。
明日フェイト達に話して、それからログインして話そう。そう思い、その日は眠ることにした。
そして、翌日――――

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最終更新:2007年09月04日 22:03