「行くぞ。」
俺は高速移動で二人の後ろに回り込む
「な!?消えた!?」
「後ろだ。」
「な、ぐ!!」
「あぐ!!」
俺はなのはとフェイトの姿をした仮面の男に
肘打ちと膝蹴りを叩き込む
「今の一発はシャマルさんの恨み!!」
「「この!!」」
二人が俺に拳と蹴りを放ってくる
俺はそれぞれ右足と左腕で防御し
相手の顔面と顎に拳と蹴りを放つ
「が!!」
「うぐ!!」
「シグナムさんの恨み!!」
次の攻撃に移ろうと思ったとき俺の体にバインドがくっつき
俺の周囲に障壁が展開される
「これで…もう身動きはとれまい…。」
「…こんな物で俺の動きを封じたつもりか?」
「何?」
「はあ!!」
俺は全身から気を体外に向けて放ちバインドと障壁を破壊する
「ば、馬鹿な!?」
俺は二人の鳩尾に拳を叩き込む
「「がは!!」」
「ザフィーラさんの恨み!!」
二人とも血を吐いたみたいだ
だが、みんなが受けた苦しみはこんなものじゃない
二人が蹲っている間に二人の後ろに回り込み背中に掌を当て
「そしてこいつは、ヴィータの恨み!!」
エネルギー弾を放つ
爆音の後二人は地面に落ちていった
…落ちたまま上がってこないな
「どうした!?さっさと上がって来い!!ちゃんと死なないように加減はした!!
生きているのはわかっているぞ!!俺は貴様等を許さない!!
徹底的に苦しめて殺してやる!!この世から細胞の一欠けらも残さずにな!!」
………ちっ
出てこないつもりか
まぁいい
大体の位置はわかってる
「かぁぁぁぁ…めぇぇぇぇ…はぁぁぁぁ…めぇぇぇぇ…」
「悟飯君!!待って!!」
「悟飯!!ダメェ!!」
なのはとフェイトの声が聞こえたがどうでもいい
仮面の男に向かってかめはめ波を撃とうした瞬間
「!!なんだ!?この気は!?」
突如妙な気を感じてかめはめ波を撃つのを中断した
「この気は…はやて?いや違う。はやてと別の誰かの気が混じってる!?」
周囲を探る
すぐに見つけた
だが、そこに居たのははやてではなく
背中に黒いの翼を持ち、銀色の長い髪をした女性だった
「はや…て…?」
「また…全てが終わってしまった。」
「何?」
「一体幾度、どれだけ同じ悲しみを繰り返せばいい…。」
「はやてちゃん!!」
「はやて!!」
一瞬銀色の髪の女性が顔色を変えた
………今の俺と同じだな…
怒りや悲しみや憎しみに囚われた顔だ…
………少し落ち着いた
「おまえは誰だ?いや、はやてにくっ付いている奴…誰だ?」
「私は闇の書…。」
闇の書だと…
あの本が…こいつ…
「私の力の全ては…。」
そう言って攻撃の準備に入った
「主の願い…そのままに…。」
奴にかなりのエネルギーが集まっていった
そいつをぶっ放すつもりか
こんな所でそんなことした周りの被害が
「待て!!はやてはそんことを望んでいない!!」
俺の言葉には耳を貸さずに
奴は…闇の書はさらに力を込めていった
「デアボリック…エミッション…。」
どうする、攻撃を加えるか
…いや、ダメだ
闇の書からははやての気も感じる
下手に強力な攻撃を加えたらはやてがどうなるか…
魔導師なら非殺傷っていうのがあるってシャマルさんが言ってたけど
俺にはそんなのないし…
「あれって!!」
「空間攻撃!?」
そうなのはとフェイトが言った
「闇に染まれ。」
奴の攻撃は一気に広がってきた
防御して耐え抜くか
…いや、俺のすぐ近くになのはとフェイトがいる
このままいけば確実に二人を巻き込む
そう思った瞬間俺は二人を抱えて
「「え?」」
一旦その場から離脱した
「大丈夫か?二人とも。」
「あ、うん。ありがとう、悟飯君。」
「ありがとう、悟飯。」
二人は無事か
…問題はどうやってはやてを助け出すかだ
「あ、あの、悟飯君…。」
「何?どうした?」
「あの、その…。」
何か歯切れが悪いな
…そういえば完全に切れたところを見られたんだっけか
「少しは落ち着いたたから大丈夫だよ。」
「あ、よかった。」
ホッとした顔してるな
「悟飯、はやてのことなんだけど…。」
「はやては必ず助け出す。」
そう、これが最優先だ
仮面の男を殺すのはその後でいい
「大丈夫!!はやてちゃんを助け出す方法が必ずあるはずだよ!!」
「うん!!はやてを必ず助け出そう!!」
二人ははやてを助け出すのに協力してくれるみたいだ
そういば…二人ははやての友達なんだよな
だったら当然か…
「方法を考えるにしても、しばらくはあいつの足止めが必要だな。」
「うん、そうだね。」
「それは俺がやる。」
「え!?そんな、危ないよ!!」
「大丈夫。それに魔法の事は二人のほうが俺なんかよりもずっと詳しいだろ。
俺なんかよりもいい案が浮かぶ可能性が高い。」
「でも…。」
なのはが何か言いたそうにしたとき
「フェイト!!」
「なのは!!」
アルフと…ユーノ…だったかな
その二人が現れた
「二人とも無事!?ってあんた!!」
アルフが思いっ切り俺を睨みつけてきた
「待って、アルフ!!今の悟飯は敵じゃないよ。」
「え!?一体どういうことだい?」
「はやてを助けるためだ。」
「…ほんとかい?」
「ああ、嘘は吐かない。」
「お願い。悟飯君の事信じてあげて…。」
「…まぁ、そこまで言うなら…ね。」
「そうか、ありが…!!」
なんだ今の感じは
「え?」
「何…今の?」
みんな何かを感じ取ったみたいだ
「!!しまった…この気は…。」
「何かわかったの?悟飯君?」
「俺達の居場所がばれたみたいだ。」
「嘘!?」
「間違いない。一直線でこっちに向かってきている。」
「そんな!!今クロノが解決法を探してるのに!!」
「クロノ君が?」
「うん。援護に向かって来てるんだけど、まだ時間が掛かりそうなんだ…。」
「だったら来るまで俺が時間稼ぎをしておく。」
「え、一人で!?危ないよ!!」
「大丈夫だから任せてくれ。ハァ!!」
俺は気を入れ直し闇の書の居る場所に向かった
すぐに着いた
俺は構えをとる
向こうも油断無くしている
…動いてきた
俺に向かい魔力を纏わせた拳を放ってきた
俺はそれを避けたり受け流したり防御したりでやり過ごす
…やっぱりはやての気も感じる
くっ付いてるのか、混ざってるのか、融合しているのか
判断に悩むところだな
っと、あまり考えてる暇はいかないか
放ってきた拳を両手で受け止め思いっ切り振り回し投げ飛ばす
ある程度飛んだら自分からブレーキを掛けてきた
「刃以て…血に染めよ…。」
闇の書の周りと俺の周囲に無数の赤い剣が漂う
「まさか!!」
「穿て、ブラッディーダガー。」
そのまま無数の赤い剣は俺に飛来してきた
「はあああああ!!!!」
俺は周囲に衝撃波をだして赤い剣を消滅させた
「咎人達に…滅びの光を。」
あの技は…なのはのスターライト・ブレイカーか…
なぜあいつが…
「星よ集え…全てを撃ち抜く光となれ。」
間違いない、スターライト・ブレイカーだ
どうして…
…蒐集
あいつは蒐集した奴の技が全部使えるのか…
なら技の数は向こうが圧倒的に上だな…
それに…技の組み合わせもできる可能性があるな
当たった相手を氷付けにするとかそういうこともできるかもしれない
回避するか…
「悟飯君!!」
「どうした?」
「近くに結界内に取り残された人がいるの!!」
「何!?」
なんで
いや考えるのは後だ
しかも闇の書が放とうとしているスターライト・ブレイカーはかなりの大きさだ
打ち返すにしても防御するにしても回避するにしても
確実に巻き込む
早く安全な場所まで避難させないと
「貫け、閃光。」
ちっ
時間が無い
…そうだ
「みんな!!目を瞑れ!!」
「こんな時に何言ってんだい!!」
「…あ、そうか!!みんな、目を瞑って!!」
「なのはまで…。」
「いいから、悟飯君を信じて!!」
「う、うん。」
よし、みんな目を瞑ったな
「太陽拳!!!!」
俺の全身が太陽の如く発光する
「な、く!!」
モロに喰らったな
「今だ!!」
そうして俺達は一旦その場を離脱した
「ところで、さっきのやつは何なんだい?」
「太陽拳のことか?」
「そうそれ。」
「全身を太陽の如く発光させて相手の目を一時的使用不能にする技だ。」
「へー、便利な技だね。」
「今のあいつは目が使えなくなってるから暫くは大丈夫だな。」
「私も目が見えるようになるまで時間が掛かったからなぁ。」
「っと、この辺にいるはずだよ。」
そうフェイトが言ったので俺達は辺りを見回した
「あ、あれじゃないかな?」
そうなのはが指差した方向には人影が見えた
俺達はそちらに向かった
「すみませーん!! ここは危険ですので、そこでじっとしててください!!」
「え?」
「今の声って…」
そう言って振り返った二人は
「アリサちゃん!?」
「すずかも!?」
「なのは!?」
「フェイトちゃん!?それに………悟飯…君?」
俺だけ言いよどんだな
…ああ、超サイヤ人状態だからわからなかったのか
「いったい、何?それに二人の格好…。」
「悟飯君にしては髪と目の色が…。そっちの二人は…。」
「あ、あのね…。」
「えっと…。」
二人とも言葉がでないみたいだな
アルフとユーノの二人はアチャーって顔して頭を掻いてる
…どう説明したものかな
「あの、その、と、兎に角安全な場所まで移動させるから、詳しいことは後で…!!」
急に大気が揺れる感じがした
すぐに理由がわかった
少し遠くにかなり巨大な光球があった
ちっ、もう回復したのか
「あ、あれって…。」
「間違いない!!」
それ振り下ろしやがった
「な!?」
あんな物が着弾すれば確実にここまで被害がくるし町だって…
くそ、俺達の位置が掴めないから周囲全部に攻撃するきか
そう思った俺は一歩踏み出し
「え、悟飯君?」
「悟飯?」
腕を広げて
「はああああああああああああ!!!!!!」
できる限り、巨大なバリアを張った
「凄い…。」
俺のバリアと奴の放ったエネルギーの奔流は均衡している
よし、これなら耐え抜けそうだな
ふと見るとすずかとアリサが抱き合って座り込んでいる
…やっぱ怖いのかな
安心させるか
「大丈夫だ。」
「「え?」」
「ちゃんと守るから。」
そう言ったら少し安心した感じになった
「!!」
若干圧され始めてきた
バリア自体を巨大にさせすぎたせいで全体の強度が落ちたのか
まずいな…
「く…くく…。」
「私も手伝うよ、悟飯君。」
そう言ってなのは俺の横に立ち防御魔法を発動させた
「一人だけで無茶しないで、悟飯。」
反対側にはフェイトが同じよう立ち防御魔法を発動させていた
「そういうこと。」
「僕は結界とか防御とか回復は得意なんだよ。」
アルフとユーノも手伝ってくれてる
これなら何とかなりそうだ
しばらくするとエネルギーの奔流も止まった
「ふぅ。」
「あ、あの。」
「もう大丈夫だよ。」
「すぐ安全な場所まで運んでもらうからね。ユーノ君、二人のことお願いできるかな?」
「アルフも頼める?」
「僕は構わないけど。」
「アタシも。」
「え?ユーノ君って?」
「それにアルフって?」
二人がそう言った途端すずかとアリサは転移した
アルフとユーノも同じように転移していった
これで二人とも大丈夫だろ
「見られちゃったね…。」
「うん…。」
二人とも沈んだ顔してるな…
…元気付けるか
「あの二人って友達なんだろ?」
「うん、そうだよ。」
「だったら友達のこと信じてやったらどうだ。」
「「え?」」
「お前達二人の友達はこんなことぐらいでお前達のこと嫌いになるのか?」
「あ…。」
「本当の友達や仲間ってのはこんなことぐらいじゃ嫌いになったりしないはずだ。」
昔…だいたい七年くらい前…ナッパと戦った時、一度怖くて逃げ出した俺をみんなは許してくれた
そんな俺を許してくれたんだ
秘密がバレたくらいじゃ…
「そう…だよね。」
「きっと…ううん、絶対そうだよ。」
二人の顔に笑顔が戻ったようだな
「元気でたみたいだな。」
「うん!!ありがとう、悟飯君。」
「ありがとう、悟飯。」
「どういたしまして。」
そう言って俺は闇の書に向き直り構えをとった
「まだ終わってないから気を抜くなよ。」
「「うん!!」」
最終更新:2013年04月13日 05:52