奴に攻撃を加えようと掌に気を集めエネルギー弾を放とうとした時
「あ、ちょっと待って。」
フェイトが声をかけてきた
「どうした?」
「今、エイミィから連絡があって…。」
「エイミィ?」
「あ、アースラーで通信などを担当してる人。」
「その人がどうかしたのか?」
「あのね、クロノ君が闇の書さんに投降と停止を呼び掛けてって。」
クロノ…さっきユーノが言ってた人か
…何か解決方法がわかったのか
「だが、奴が大人しくこちらの話を聞くとは思えんが…。」
「でも…。」
まぁ、それでもやるだけやってみた方がいいか
「わかった。それじゃ、よろしく頼むな。」
「うん!!」
そう言って二人とも何かに集中している
念話っていうの使ってるのかな
「「!!」」
二人の顔色が変わる
「どうし…!!」
突如触手のような物が出現した
しかも数が多い
交渉は決裂したのか…
突然のことに反応できかった二人を抱えて一旦上空に退避
「ちっ!!しつこい!!」
ある程度距離を離してもピッタリ付いてきやがる
「二人とも、一旦放すけど平気か?」
「え、うん。」
「だ、大丈夫だよ。」
そう言った二人を放し
触手の方に向き直り
「魔閃光!!!!」
魔閃光で触手を消滅させる
「え!?」
「キャ!!」
二人の悲鳴がしたのでそちらをみると
触手が二人に纏わりついていた
まだあったのか
「気円斬!!!!」
俺は両手の掌から気円斬を投げ出し触手を切断した
二人の体に纏わり付いていた触手は力を失くしたようなのでもう大丈夫だろ
突如、俺に向かってエネルギー状のものが飛んでくる
俺はそれを片手で弾き飛ばし闇の書に向き直る
こいつははやての為とさっきからこんなことをしてるな
…本当にはやてがそんなことを望んでいると思ってるのか
「貴様!!さっき言ったな!!はやての願いを叶えると!!これがはやての望んでいることか!?」
「そうだ。私は主の願いを叶えるだけだ…。」
「貴様もはやてと一緒に生活していたのならばわかるだろ!!
はやては誰か傷つけたり苦しめたりすることを望むような女の子じゃない!!」
「………。」
「それに今、貴様が流している涙はなんだ!?
貴様とてこんなことを望んでいやしないのだろ!?」
何故かこいつは行き成り涙を流し始めた
無意識に流しているものだとは思うが…
「この涙は主の涙だ。」
自分の涙を拭いながらそう言ってきた
「何?」
「私はただの道具だ。悲しみなど…感情などない。」
「貴様!!なら今貴様の行ってる事はなんだ!?」
「何?」
「貴様ははやてのためと言ったな!!それははやてを想ってやってることだろう!!
そんなこと、感情のない道具にできることなんかじゃない!!」
「そうだよ!!悟飯君の言うとおりだよ!!」
いつのまにかなのはとフェイトが傍に来ていた
「さっき悟飯に言ったよね?悲しみなどないって。そんな言葉を、
そんな顔で言われたって!!そんな涙を流してる顔で言われたって!!誰が信じるもんか!!」
「あなたにも心があるんだよ!!私達と同じように!!だから!!」
突如大気が揺れ始めた
「何だ!?」
「早いな…もう崩壊が始まったか。」
「何だと!?」
「私はじきに意識を無くす。そうなればすぐに暴走が始まる。
そうなる前に…意識のある内に…主の望みを叶えたい。」
「貴様!!まだ言うか!!はやてはそんなことを望んでないと言ってるだろ!!」
そう言い放ち、エネルギー波を奴に放つが
突如奴の目の前の空間に穴が開き俺のエネルギー波が吸い取られた
「何!?」
「消えた!?」
「違う、吸い込まれたんだ!!」
何をしたんだ
「!!悟飯、後ろ!!」
後ろを見たら空間に穴が開いており、そこから俺の放ったエネルギー波が出て来た
「ちっ!!」
俺はそいつ弾き飛ばした
空間を操れるのか…
厄介な技だな…
「聞け!!はやてが本当に望んでいることは!!」
「ディバイン…バスター…。」
「く!!」
俺は腕を交差させて防御した
こっちの話は聞く気はないみたいだな
「この、駄々っ子!!」
フェイトが接近戦を仕掛けようとした
…さっき奴は遠距離攻撃を空間転移させた
なら、必然的に接近戦がメインの戦い方になる
…まさか…奴の狙いは接近戦で戦うように仕向けること
「待て!!フェイト!!」
俺はフェイトの後を追った
「言うこと…え、悟飯!?」
よし何とか切り掛かる前にフェイトの腕を掴めた
おれはそのままフェイトをなのはに向かって放り投げる
「キャ!!」
「わ!!」
ちゃんと、なのははフェイトを受け止めたな
その瞬間背中に何かが触れる
「おまえも、眠れ。」
奴の手だ
「しまった!!」
俺の体が光に包まれていく
「私の中で。」
「悟飯!!」
「悟飯君!!」
くそ、こんな物…俺…気…で…
「な…に…。」
い……し……き……が…
「全ては安らかなる。」
た………も…て……
「眠りの中へ…。」
俺の意識はここで途絶えた
「悟飯!!早く起きねぇか!!」
「うわ!!」
突然誰かに起こされた
「え?お母…さん…?」
「そうだぞ。おっ母だ。」
え
なんで
俺、さっきまで戦ってたはず…
それに、家にはもう三年以上も帰ってないし…
「ん?どうしただ?おっ母の顔に何か付いてるだか?」
「あ、いえ…。」
「それじゃ、さっさと起きて朝ご飯にするだ。」
「はい…。」
どうなってるんだ
今までのことは夢…だったのか…
いや、そんなはずは…
「ほら悟飯、さっさと着替えるだ!!」
「は、はい!!」
また怒られないようにさっさと着替えよう
その後、色々考えながら居間に着くと
「よ!!おはよう、悟飯。」
「え!?お…父……さん?」
「ん?そうだぞ。」
え
なんで
お父さんは心臓病で死んだ…んだ
生きてるはずが…
どうして
「どうした?父ちゃんの顔に何か付いてるか?」
「あ、いえ…。」
涙が出そうになるのを必死に堪える
「もしかして…夜遅くまで勉強してたんじゃねぇのか?
ダメだぞ、ちゃんと寝なきゃ。」
「あ、そういう訳では…。」
「そっか?チチ!!飯にしようぜ!!」
「もぉ~、悟空さは飯飯ばっかり!!こっちに来て料理運ぼうとか思わねえだか!?」
「まぁ、いいじゃねぇか。ほら、悟飯も席に付いて食べようぜ。」
「あ、はい。」
そう言ってお父さんの隣の席に付いた
「まったく!!ほぉら、出来たぞ。」
そう言ってお母さんは料理を持ってきた
「お!!来た来た!!いっただきま~す!!」
「いただきます。」
俺はお父さんと同じ量のご飯を食べた
お父さんと…家族で一緒にご飯食べるのは久しぶりだ
「ふー、食った食った。やっぱチチの料理はうめぇなぁ。」
「そう言ってもらえるとオラもうれしいだ。悟飯ちゃんはどうだっただ?」
「あ、はい。とても美味しかったです。」
「そうかそうか。」
お母さんは笑顔で頷きながらお皿を持って皿洗いを始めた
「あ、そうそう悟空さ。」
「どうした?チチ?」
「そろそろ牧が無くなりそうなんだべ。だから採ってくれねえだか?」
「わかった。まかしとけ!!」
「あ、お母さん。お…僕は魚を採って来ます。」
「お、気がきくでねぇか。悟飯ちゃんもお願いな。」
「はい。」
「帰って来たらちゃんと勉強するんだぞ。」
「なぁチチ、何もそこまで勉強させなくても…。」
「悟空さはだまってるだ!!だいたい悟空さは…。」
「わ、わかたって、悟飯行くぞ!!」
そう言ってお父さんは俺の手を引っ張りながら家を飛び出した
「こらー!!まだ話は終わってねぇだぞー!!」
「ふー、こえーこえー。」
「あははは、でもお母さんらしいですね。」
「まったくだ。あ、そうだ悟飯。」
「何ですか?」
「後で父ちゃんといっしょに山菜採りにいこうな。」
「はい!!」
こんなふうに途中までお父さんと一緒に喋りながら道を歩いてた
薪になる木と魚が獲れる場所は別にあるのでお父さんとは途中で別れた
途中までお父さんと他愛のない会話をしていた
でもとても嬉しかった
とても楽しかった
お父さんと会話ができて
「クアー。」
ん
「あ、ハイヤードラゴン!!」
「クアー。」
「うわあ!!」
ハイヤードラゴンは俺を押し倒して俺の頬を舐めてくる
「あ、コラ。やめろって。くすぐったいって。」
「クアー。」
「アハハハハ。」
しばらくした後
やっと舐めるのをやめてくれた
「甘えん坊だな。おまえは。」
そう言って頭を撫でてやった
「クアー。」
何かを強請ってる顔だな
この顔は…
「何だ?いつもの口笛聞きたいのか?」
うんうんと頷いてきた
「しょうがないなぁ。」
そう言って口笛を吹いた
俺の口笛を聞いてハイヤードラゴンは楽しそうに踊っていた
俺もとても楽しい
こういう時間が
こういった平穏な時間が
しばらくした後
ハイヤードラゴンは踊り疲れたのか眠ってしまった
俺も一緒に横になった
風が気持ちいい…
…………………………………………
………冷静になって考えてみればおかしい
この世界はなんだ
まるで俺が望んでいるもの
取り戻したかった日常
それら全て体現された世界
……………………
そういえば…奴は言ったな…
『おまえも、眠れ。』
『私の中で。』
『全ては安らかなる。』
『眠りの中へ…。』と
…眠り……
…そうか
これは…
俺の夢の…中…
もしくは俺の願望が生み出した世界
…すべてが…幻想…
お父さんも
お母さんも
ハイヤードラゴンも
………『私の中で。』という言葉
この言葉から察するにここは…恐らく闇の書の体内か…
なら脱出する方法は…
…ここが奴の体内だというのであれば
ここで奴のエネルギーを上回るエネルギー…つまり気を解放すれば
奴は俺を異物、もしくは劇物と思い
俺をここから出すはずだ
だけど
それをしなければ…ずっとこの日常が続く
お父さんがいる日々が
お父さんが元気でいられる日々が
ずっと続く
ずっと…
ピッコロさんも…
ベジータさんも…
クリリンさんも…
ヤムチャさんも…
天津飯さんも…
餃子さんも…
ヤジロべーさんも…
みんが生きてるいる時間が…
ずっと…ずっと…
ずっと続く
平穏で穏やかな日々が…ずっと…
………………………………
何を…考えてるんだ、俺は
誓ったじゃないか
この手で平和を取り戻すって
人造人間を倒すって
みんなの仇を取るって
なのに俺が夢の中に逃げてどうする
………もしも
もしも
「…人造人間さえ現れなければ、俺はこんな日々を歩めたのかな…。」
…俺の呟きに答えてくれる人は誰もいない
あたり前か…俺自身もこの答えはわからない
…今この瞬間にもなのはとフェイトは戦ってるんだろうな
はやてを助けるために…
はやて……
………決まった
「…さようなら、お父さん。また話せて、笑いあえて、一緒にご飯食べられて
俺、すごく…嬉しかったです…。」
そう呟いて…流れ出て来た
…溢れ出て来た涙を拭った
涙が流れなくなった後、俺は上空に上がって行った
この辺でいいかな
「はあああああああああああああああ!!!!!!」
俺は気を開放し爆発させながら超サイヤ人になり
「ああああああああああああああああ!!!!!!」
さらに気を高め開放する
世界揺れる
まだだ
まだ足りない
「ああああああああああああああああ!!!!!!」
さらに高め開放する
世界がさらに揺れる
震える
そしたら世界が崩壊してきた
どんどん崩れてく
完全に崩れ去ったと思ったら何かに突然引っ張られた
「うわ!!」
ある程度飛ばされていると
「「キャ!!」」
と言う声がした
そちらを見ると
「なのはにフェイト!?」
「うん!!なのはだよ。」
「悟飯、大丈夫!?」
俺は二人に抱きとめられていた
「えっと、何が…?」
「あのね、突然闇の書さんが苦しみだして…。」
「そしたら、いきなり悟飯が飛び出して来たんだよ。」
と、言うことは俺の考えは当たっていたか…
自分の体内で莫大なエネルギーが溢れ出したら苦しむか
「なぜだ…。」
「?」
「なぜ、戻ってきた?」
「何?」
「あのまま眠っていれば望むもの…全てが手に入ったのに…。」
「………。」
「なぜだ?」
「そんなものに意味などないからだ。」
「何?」
「つらい事、悲しいこと、苦しいこと、そういったことがイヤだからって
夢の中に逃げてどうする。そんなのただ現実から逃げてるだけだ。」
「………。」
「俺はそんなことをしたくない。逃げ出した先には後悔しか存在しない。
俺はどんなにつらくても、悲しくても、苦しくても、最期の最期まで戦い続けて生きてやる。」
「………。」
さて、俺は脱出できたがはやてをどうやって助けだすか…
…闇の書の動きが鈍くなったような
「え!?はやてちゃん!?」
「はやて!?」
「どうした?二人共?」
「今、はやてちゃんか念話が…。」
「ちょっと待ってね、悟飯。」
しばらくした後
二人は笑顔で俺のほうに振り向いてきた
「あのね、悟飯君!!」
「はやてを助ける方法が見つかったよ!!」
「ホントか!?」
「うん!!」
「どうやって!?」
「わかりやすく言うと、闇の書さんに魔力ダメージ…つまり
私かフェイトちゃんの攻撃を当てればいいんだって!!」
なるほど…
「たしか…二人とも…砲撃魔法だっけ?それできたよね?」
「うん。私もなのはもできるよ。」
「俺があいつをあそこまで移動させる。」
そう言って少し離れた場所に指を向ける
「そしたらそこに砲撃魔法を撃ってくれ。」
「え?一人で闇の書の相手をするの?」
二人が心配そうな顔をする
まぁ…さっきまで取り込まれてたからなぁ
「俺は大丈夫だ。」
「「でも…。」」
二人共心配性だな…
でもこれが一番確実だし…
………………
「あのさ。」
「「何?」」
「前に俺と友達になりたいって言ったよな?」
「うん、言ったよ。」
「それ、今でも変わらないか?」
「当たり前だよ!!」
「ならさ、さっきも言ったけどその友達のこと信じてみたらどうだ?」
そう言ったら二人とも凄く嬉しそうな顔をした
…そこまで嬉しそうな顔されると少し照れるな
「それじゃ、さっきのでいくけどいいよな?」
「「うん!!」」
最終更新:2013年04月13日 05:52