(現地時刻)昭和75年9月20日深夜23時45分時空管理局
「さぁてと、今日の残業はおしまいっと」
椅子に座りながら背伸びをして職務からの開放ひたるエイミィはいつもどおりの
手順でインターフェースの電源を切ろうとキーボードに手を伸ばー
[にゃぁ]
ふと辺りを見回す
(??)
何もいない
再び画面に向かいキーボードに手をかける
「今晩はお嬢さん」
「だれっ!?」
振り返って今度は辺りを見回し冷静に記憶の整理をする
(落ち着いて)
聞きなれた動物の鳴き声、そして聞きなれない場所からの人の声は一カ所
「う、嘘・・・」
画面に人影が映る
「少し情報を拝借するよ」
それは恐るべき速度で数多の防壁を突破してゆくのであった
「・・・くぉんの!!」
我に返ったエイミィは非常ファイルから対ハッカー用のプログラムを
幾重にも走らせる
「おっやるね[彼ら]ほどじゃないけど」
「うるさい!あんたの居所なんか・・・そんなの」
全てをいいき切る前にエイミィの手が止まる
「やっと気づいたみたいだね私自身がプログラムみたいなものー」
ごぐわしゃんっ!!
一発の魔力弾がコンソールを吹き飛ばす
「どうしたんですか!?そこら中でアラームが鳴り響いて
調べたらエイミィさんの仕事場でハッキングをうけてるみたいだし
- その・・・咄嗟に吹き飛ばしてしまいましたけど・・・」
「うぅ・・・フェイトちゃん」
半泣き状態でフェイトに抱きつく
残業のデータが見るも無残に無くなってしまった事なんかどうでもいい
ただ自分の組み上げたプログラムが事も無げに突破されたことが悔しくて仕方なかった
「痛いなぁ腕が吹き飛んじゃったじゃないか」
フェイトはエイミィをかばうように前に出てバルディッシュを構える
残骸から現れたのは[ヒト]
だが、吹き飛んだ片腕からは出血はおろか[筋肉]すらない空っぽの[ヒト]そして
しゅごぅ
音と共に[復元]させる
「なんですかあれはっ!?」
エイミィはただ俯いて首を振る
「おや?あちらでしたか、失礼」
「待てっ!!」
追おうとするが入り口は自分が入ってきた真後ろのみ
[とん]
ジャンプして天上を透り抜ける
「しまったっ!!」
急いで通信機を取り出し
「緊急事態!!上層階に侵入者。侵入者は物質透過能力並び
AAクラスのハッキング能力を保持、全武装局員は発見次第排除せよ!!」
管理局内に武装局員が溢れかえる
「ねぇ、フェイトちゃん何で下位層階に行くの?」
パニック状態から立ち直ったエイミィが怪訝そうに聞く
「多分、上に逃げると見せかけて下に逃げ・・・いえ、
本命に向かったんだと思います。例え上に移動しても局員に発見されやすいでしょう」
下位層階にある重要施設でなおかつほぼ独立状態で接触がこんな物
「アースラ!!」
フェイト達をのせたエレベーターはアースラのドッグで止まる
開いた扉のドッグは無人であった、ただアースラが無機質な姿を照らしている
バリアジャッケットを装着し一気にアースラとの距離を縮めはハッチから無人の発令所に向かう
[キュイッ!!]
上から手刀が空を切る
よく見れば床に引っかき傷が残っていた
「いい動きだね」
「ヒト」は素直にフェイトを褒めたが・・・
「あなたは何者!?」と完全に無視
[ヒト]つまらなげに
「化け猫ですよ、ご存知ない!?世も末だなぁ・・・」
(バケネコ?はやてから借りた本で、昔の戦争の帰還兵がニホンの幻獣
が何でこんなところに?)
不機嫌そうに睨まれる[バケネコ]は
「行灯を舐めるにも行灯は無く仕方なく情報の海を漂うしかないのだよ」
と、行灯を舐める仕草をする
「でも何で管理局しかもここの情報が欲しいいの!!」
息を切らせつつ追い着いたエイミィが[バケネコ]に問いただす
笑っている・・・笑い続けているが[目は全く笑っていない]
「[私たち]もいろいろ大変でねぇっ!!」
一足飛びでフェイトの喉元に飛びつくが、
「遅い」
バルディッシュで[バケネコ]の胴をあっさり凪ぐ
「・・・格闘戦はB-・・・それ以下ね」
「あちゃ~やられてた・・・」
しばらくしてエイミィの情けない声が聞こえた
「どうしました?」
「どうもこうも持ってかれてたのよ機密情報の一部、ほら・・・
あ、あんまり見ないでね一応機密情報なんだから。ほらこことここ、ねぇ」
ファイル名を見てフェイトはぞっとした[バリアジャケットの構成情報]と「人事ファイル」の一部
「でも、不幸中の幸い。見た感じ改ざんやウィルスの類は見当たらないし、
踏み込むのが早かったから全部コピーされたわけじゃないしね」
「それじゃぁ緊急事態宣言は解除ですね・・・」
「だけど私はシステムの総チェックと再構築と報告書がぁ・・・」
「あのう・・・手伝ってもいいですか?」
またも半べそで感謝しながら抱きつくエイミィに照れながらもバリアジャッケットを解除し
ポケットから携帯電話を取り出し家族の居る家に掛ける
「あっ提・・・じゃなかったかあさん、うん、ごめん知ってると思うけどうん、
エイミィさんのお手伝いするから、うん無理しないってお休みなさい」
エイミィはあえて作業に没頭し彼女なりに気を利かせた
ぱりっ
遠くでひそかにフェイトを睨む・・・いや厳密には彼女の[携帯電話]
そして莫大な情報が流れ込む。それは胴を凪がれた[化け猫]が、
[彼女の携帯をハッキング]して情報を無線移動させたのであった・・・
その事実に彼女たちが気づくのは数日後の携帯の請求日であった
最終更新:2007年10月13日 20:58