昭和75年10月某日早朝
愛知県綾金市神宮司重工
それは一本の電話から始まった
「あい・・・もしもし神宮司重工開発部三課・・・あ、はい
菊島さん・・・主任、厚生二課の菊し・・・(ウルゥセー!!こちとら
三日寝て・・・代われ!)何ですこんな朝っぱらから、えぇ・・・はい!?IrDA用
の新型ウィルスとDAX―1の磁界情報の書き換え!?IrDAはともかくDAX―1は
新日本アビオ―共同で進めろ!?わかりましたよっ!!元プログラムはえぇ
入江さんが直接では」
乱暴に電話を切り主任と呼ばれる男は職員に対し朝礼を始める
「おら!全員起きろ!!たった今モーニングコールをいただいた!たった今から
サービス残業決定だ!これから貫徹だ!!」
「「マジですか!?」」
昭和75年10月17日朝8時リンディ・ハラオウン宅前
 秋風が舞い朝の空気が明らかに変わり始めリンディ・ハラオウンは今日も
主婦業に専念していた。朝食も終えクロノは管理局へフェイトは学校へと
向かい自分も家の掃除を終え管理局に出勤しようと玄関に出た。
すると清掃局の清掃車が止まる。それは日常の光景であったが―
「あら?今日はごみの――『綾金市清掃局!?』」
しかも一台ではない複数台が同時に制動をかけて道路を一気に占拠した
「ちょっと何のつもり!?」
抗議しようと踏み出そうとした瞬間
ばがんっ!!
ごみの投入口のハッチが開き中から小銃で武装した集団が降りてくる
「――!?」
とっさに両手を挙げるリンディ・ハラオウン
「提督!!」
「待ちなさいアルフ!!なかなかの練度よ、その気ならとっくに・・・」
(この動き・・・ただの犯罪組織や治安部隊じゃないわね、戦闘規模・内容
はともかく修羅場をくぐったベテラン!)
そして隊長格の人物[矢島]と名乗る人物が現れた
「ヤジマさんでしたか?あなたの部隊は隊長に敬礼をしないのですか?」
リンディは皮肉をこめたが
「あんた達はどんな隙でも見逃さない『連中』以上に危険だと聞かされているのでな」
と突っぱねにらみ合いが続いた。すると一機のヘリが近くに降下し、しばらくするとスーツ姿に丸眼鏡の男が歩いてきた
「私、厚生省衛生二課で人事を担当しています入江と申します」
と男はおもむろに胸ポケットから名刺をリンディにわたしあちらでお会いしたい方がおられますと近くの広場に小銃で小突かれるように向かうと一人の女性が待っていた
「初めまして、私は彼らのボスそうね・・・菊島とでも呼んで
『提督さん』」
リンディは苦虫を潰す思いで[キクシマ]に問う
「あなたたちの目的は何です、まさか魔導士が欲しいなんて――」
「違うわプレゼントを上げに来たのよ。うちの仕事はね『化け猫』の駆除なの。
数日前にね駆除したした化け猫が変なデータを持ってたの。出所は・・・
あら知ってるって顔ね、そうあなたの娘さんの携帯電話から内容は興味深かったけど
まぁそれは置いといて・・・」
「何が言いたいんですかっ!?」
リンディは思わず声を荒げる
「そこでこれ、今うちが使ってるのと同じ最新型の『対化け猫用プログラム』をプレゼント。ただし起動チャンスは一度きり、徹底的に調べるもよし・実装するもよし」
菊島はリンディの目の前でディスクをちらつかせる
「でわ、それが安全である確たる保障は・・・」
「私が保証するわ」
リンディは菊島からディスクを奪い地面に叩きつける
「いい返事ね、協力関係は・・・」
「願い下げよっ!!」
菊島はディスクを拾おうともせずリンディに背を向けヘリに
乗り込もうとする
「「ヒュガッ!!」」
グラーフアイゼンとレヴァンティンが菊島の首を肉薄する
「大丈夫ですかリンディ提督!?」
はやての守護騎士二名が駆けつけた
「何者だぁこいつ?」
赤毛の少女は今にも噛み付かん勢いである。しかし菊島はさして驚きもせず邪魔くさそうに鎚と刃をどかせる
「ふぅん、部下の教育はよく出来てるわね負けたわ。
でも私に何かあったら、そうね・・・娘さんの学校に
タンクローリーが突っ込む・・・なぁんて事があるかもね
もちろん『娘さん』だけ助かるんでしょうね」
「――卑怯者」
「うちのモットーは『戦う前に勝利を得る』ですから」
そう告げると菊島は何事もなかったようにヘリに乗り込み
その地を去った。それをただ唇を噛み締めただ見送る
「リンディ提督!!」
駆け寄る守護騎士とアルフ
「負けたわ・・・『今回』は完敗よ」
リンディはポケットから通信機を取り出し回線をアースらにつなげる
「たった今『厚生省衛生二課』と名乗る組織から挑戦状を
受けました!ただいまより交戦状態に移ります。管理局の
恐ろしさ『徹底的に教育します!!』」

「ヘリ内部」

「何とか勝てましたか」
入江は菓子パンをかじり
「あぁ怖かった。あんな非常識な連中が世界を跳梁してるなんてね」
菊島もポケットから小説を取り出すがすでに彼女たちの興味はなくしていた。ただ一言
「力の劣るものがあいて以上に優位に見せるのは骨ね」

一方残されたリンディは入江の名刺を力いっぱい引き裂・・・
ビッ!!「いたっ!?」
      • けたのは自分の指先であった
後日、材質を調べた結果「ケブラー繊維と呼ばれる防弾繊維」
が織り込まれていたのであった。
「なんて非常識な・・・」

昭和75年10月20日
愛知県綾金市神宮司重工上空 アースラ
「敵実働部隊『ハウンド』の展開を確認。敵部隊は施設を囲むように展開中。恐らく篭城戦を仕掛ける模様」
百名近い管理局局員が施設の前面に陣取る
「攻撃開始は五分後」
アースラから指揮を執るリンディ・ハラオウン提督。この数日いかに『厚生省』に「実力の差」を見せ付けるか
熟孝し「死者を出さずに壊滅させる」という結果に落ち着いた
「砲撃開始」
数百の魔法砲撃が施設を掠めるが、敵は反撃を仕掛けない現場指揮のクロノは陣形を組ませ無言で前進させる
(彼らの武器は初歩的な質量兵器・・・バリアジャケットで防ぎきれる)
事実バリアジャケットは十分に銃弾を弾きその機能は働いていた
「隊長っ!!着弾してますが効果なし!!」
隊員は手を緩めることなく一斉射撃を続け隊長の矢島も自ら射撃しつつ指示を出す
「一斑はIrDAの起動させておけ!後、二十で榴弾を発射後に
前面のやつらに打ち込め!十五・・・十・・・五・・・てぇっ!!」
たたんっ!ばしっ!!
バリアフィールドを展開する局員達
「IrDA撃て!」
(なんだあれは?見慣れな――)
クロノが見慣れぬ武器に疑問を抱いたのもつかの間、前面の局員のバリアジャケットに赤外線が撃ち込まれ――
ばしぃぃっ!!
「なにぃ!!」
恐ろしい出来事が起こった。バリアジャケットの損傷、否「消滅」である。効果を確認したのはクロノだけでは無かった
「DAX―1起動!!」
ぶぅん・・・
低音とともに大型車両二台が両サイドから局員を挟み込み背後からは――
「オスプレイ!?馬鹿なこの国には配備され――」
ざりっ!
雑音と共に音声が途切れる
「クロノ!何が起きているの!?」
静かに映し出される画像は乱戦。しかも引き目にみて
「!?押されている?」
局員は一切反撃せず唯一クロノだけがなぜか威力を抑えて反撃しつつ後退を指示しているように見える。そんなことが数十秒続いた
ざざっ!
「―ちらクロノ!こちらクロノ聞こえますか!!」
ようやく音声が回復する
「クロノ状況を!!」
「広域AMF(アンチ・マギリング・フィールド)を展開した模様。負傷者多数!損耗率も30%を超えました」
「そんな技術どこで!一時撤退!!急いでっ!!」
(総員撤退!急げ!!)
バンッ!!怒りにませてキーボードを殴りつける
「今すぐ彼女たちを呼んでっ!!今度は容赦しないわ!!」

「敵撤退を確認・・・ぎりぎりでしたな」
副隊長から通信が入る。事実DAX―1が最後の切り札であった。しかしたった一人の黒髪の少年の猛攻で詰めを仕損じたのである
「今度は総力戦か」全く恐ろしい連中だ最後の言葉は口には出さなかった。

アースラ事後報告会「―以上が今作戦において判明した敵兵装です。おそらく以前に流出した情報を元に彼らなりに扱いやすい
武器に仕立てられたと思われます。特にこの大型車両と航空機から発せられる特殊な磁場です可動制限があるらしく
短時間ですが広域にAMFを展開する模様。そこで最優先破壊目標とします。シグナム班・フェイト班は車両の破壊
なのは班は航空機の撃墜。特になのはの航空機は速くは無いが機動性は高い、気をつけてたいしょするよう。以上!!」
「「「了解!!!」」」

タグ:

+ タグ編集
  • タグ:
最終更新:2007年10月13日 20:56