31スレ136

リボンなナイト11 第五話


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きゅっと抱き締められ、優しい笑顔を間近にキスされた時も、
まだどこか夢うつつ、下半身から真っ白に突き抜けた快感にぽーっと酔い痴れていると言うのが、
ネギの偽らざる実感だった。
明日菜はふっと微笑み、立ち上がりシャワーを使う。

「綺麗だねーアスナ」
「はい」
「うーん、もう、すっかり女って感じだねー」
「はい」

ネギの前で堂々とシャワーを使う明日菜。
年齢を考えるなら早熟とも言えるグラマーにして、
体力バカのバカレッドに相応しい水滴も何も弾き飛ばす健康美。
それでいて、その表情には今までに無い匂い立つ何かが伺える。
奇跡と言うべき光景を目にする事を許されたネギにとって、その全てが余りに魅力的だった。

「うししこのこのっ」
「あ、柿崎さん」
「って、今気が付いたのひどいなーネギくん」
「ごめんなさい」

ぽーっと染まった頬をうりうりされたネギが気が付いた様に言い、
隣に座っていた美砂が呆れた風情の笑顔を見せる。

「んふふっ、おめでと、ネギ君」
「あ、どうも」

前に回った美砂に笑顔で言われ、ネギは言葉少なに真っ赤な顔で俯いた。

「ま、ネギ君とアスナ、最初っから鉄板だもんねしゃーないか」
「え?」
「いやいやこっちの事こっちの事」

ネギの目の前に中腰になってにこにこ笑っていた美砂は、
ネギの視線がつーっと斜め下になるのを見てニッと笑みを浮かべる。
美砂がエアマットに両手をついて膝立ちで半歩進むとネギは座ったまま半歩下がる。



「あっ」

そうやって、にこにこ笑っている美砂からちょこちょこ後退する内に、
ネギの背中はぽよんと心地よい弾力に押し返される。

「やっ、ネギ君」
「あ、ゆーなさん」

そんなネギの背後で、裕奈がニカッと笑みを浮かべていた。

「私もいるよーっ」

そんなネギの左手から、やはり膝立ちになった椎名桜子が元気よく登場する。

「あれ?えーっと、釘宮さんは?」

ネギの言葉に、周囲を囲む三人の美少女はニッと笑みを交わして指をさす。

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「ぶはっ」

円形ジャグジー風呂に放り込まれた小太郎が、顔を出してぶるぶると頭を振る。

「ん?」

小太郎も3A軍団のパワフルさを今まで身近で体験し尽くしている。
ささっと周囲を伺い、これ以上何かに巻き込まれない内に脱出、
と動き出そうとした時、たった今まで自分が着ていた筈のサンタ服がぽーんと宙を舞った。

「へ?わ、わっ!?」

気が付くと、着ていたものがぽんぽん宙を舞い、
完全に不意打ちを食らった上に事態が飲み込めない小太郎はわたわたとするばかりだった。

「はーい、服着たまんまお風呂はお行儀悪いよコタロー君」
「だからちゃっちゃと洗っちゃうよーコタロー君」
「あー、仲のよろしいこって」



目の前にざばーっと登場した台詞順に釘宮円と村上夏美の
お手々繋いだ仲良し姿に小太郎が呆れた様に言う。
しかし、そこは小太郎。包囲を縮められる前にそして目の前に二人の姿が見えている内に、
自分の姿を先に視界から消してしまう。

「きゃっ!」
「わわっ!」

夏美と円が大きな水しぶきを反射的に避けている間に、
水中の小太郎はぐんぐんと岸に接近する。

「ぶは、っ?」

そして浮上、正に斜め前に突き進もうとした小太郎の頭部は
ぐにゅっと柔らかくも腰の強い、そしてたっぷり豊かな感触に阻まれた。

「あらあら」
「うぶぶぶっ」
「相変わらず慌てんぼさんね。さ、綺麗綺麗しちゃいましょうねー」

かくして、丁度ジャグジーに脚を沈めたばかりの那波千鶴が、
文字通り千鶴の胸に飛び込んで来た小太郎の頭をぎゅーっと抱き締める。
そして、優しく撫で撫でしてから腕を放した訳だが、
水面に大の字に浮かぶ小太郎を中心に浴槽がダクダクと血の池と化すのを
夏美と円は大汗を浮かべて眺める事しか出来なかった。
それでも、二人は小太郎を回収し、ぶるぶると正気を取り戻す小太郎を前後に包囲する。
大浴場のタイル床にたたずんでいた佐倉愛衣は、
後ろを振り返った千鶴と目が合って、
自分が文字通り指をくわえてみていたはしたない有様にユデダコの様に赤面する。
千鶴はくすっと悪戯っぽく微笑んだ後、愛衣ににっこり笑いかけた。
愛衣は、思わず小さく自分を指差す。千鶴の首が小さく下に動いていた。

「あたっ!」

浴槽で、夏美と円が頭突きをかます。

「へっへーっ、脱出、せい、こう?」

そんな二人をするりとすり抜け、潜水から浮上して明後日の方向の岸辺に後一っ走り、と言う所で、
小太郎は後ろを向けていた首を前に向ける。



「はい、捕まえました」
「あー、メイ姉ちゃん?」
「はいその通りです」

ぽよんと瑞々しい感触に半ば顔を埋められながら、
きゅっと抱き締められた小太郎と愛衣が言葉を交わす。

「あー、メイちゃんナイス」

それを見て、円が手を振って喜んだ。

「それではこれより連行します」
「お願いメイちゃん♪」
「だ、そうです小太郎さん」
「あー、はいはい…ホナイコカ」

巨大な炎をバックににこにこと微笑む菩薩女神の気配を背後に察知し、
小太郎は粛々と夏美達に足を向ける。
ちらっと後ろを向いてちょっと照れ臭そうに微笑む愛衣に、
千鶴は相変わらず屈託のない笑みを浮かべていた。

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最終更新:2012年01月28日 17:23
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