リボンなナイト11 第九話
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「えへへ、ネギくぅん」
まだどこか夢心地のまき絵と亜子がマットに座ったままのネギにまとわりつく。
そうやって、ネギがぷにぷにとした感触をのんびり楽しむ時間は、決して長いものではなかった。
「オードブルの時間は終わったかなネギくーん?」
その声にネギがそちらを見ると、いつの間にやら登場して声をかけた早乙女ハルナを先頭に
裕奈に美砂に桜子がずらりと隊列を編成していた。
「ボリュームたっぷりメインディッシュ準備オッケーよ」
そう言って、ハルナ以下の四人組はさっと片膝をついて桶に用意されたローションを肩からざんぶと被る。
「突撃ーっ!」
「え?はわわわっ!?」
かくして、微妙な侘び寂びの心地よさをネギに伝えていたまき絵と亜子はあっと言う間に弾き飛ばされ、
あれよあれよでネギは四方を完全包囲完全密着される。
「うぶぶぶぶっ!」
「わー、ネギくーん」
まずはお初と言う事か、
よく考えるなら一番最初の最初に似た様な事があったかもとネギは不意に思い出したが、
そんな感傷に浸るには目の前の状況は生々し過ぎる。
何しろ、こちらもちょいとぽっちゃりその分たっぷりのハルナの見事なおっぱいが、
ネギの目の前にどーんと迫ったと思った時には窒息しそうな直撃が待っていた。
他の三人は一足先んじたと言う事で、まずはハルナがぎゅーっぐりんぐりんを独占する。
それだけでもネギが十分にくらくらしている所に、残りの三人もハルナの腕がネギの頭から解けるのを待って
残る三方から一斉に弾力圧縮ぷるぷるアタックを開始する。
ぷはっと逃れる様にネギは上を向いた訳だが、
その包囲の外に弾き出されたまき絵と亜子は笑い目に涙を迸らせながら、
スタイルばっちりな全裸美少女の背中が包囲している真ん中から
ぶーっと赤い噴水が天井に噴射される姿に悲鳴を上げるしかない。
「はいはいはいはい♪」
「それそれそれそれーっ!!」
「あうあうあうあうあーーーーーーーーうーーーーーーーーーーー」
そのまま、今度は逞しく鍛えられたネギの全身を、
四人の美少女が、そのグラマーと言ってもいい素晴らしい肉体全部で味わい尽くす。
そのぷるんぷるんの弾力がにゅるにゅるぐいぐいと押し付けられ、
しまいにぐるぐると目を回したネギがじゅぽんとすっぽ抜けて彼方に消えるのを、
まき絵と亜子は大汗を浮かべて見守る事しか出来なかった。
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まあ、所詮は学園の悪ふざけ。ギャグ漫画と言ってしまえばメタが過ぎるが、
この程度でどうにかなっていればとっくに魔法世界に墓標を作っている。
と言う訳で、本人の自覚は別にしてノリのいい所ですっ飛んで見せたネギ君は、
そのまま近くの流れるお風呂に派手に飛び込んでいた。
水中で体勢を立て直そうとしたネギは、
目の前をすいーっと横切る白く美しいマーメイドの姿に即刻魅了される。
一度水面に上がり、ぷはあっと呼吸を整えると、
そのまま今更言う迄もない運動能力をフル活用して行動を開始する。
豊かな白い裸体が水中を優美に、そして力強く動き回る。
ネギも又、その美しさに魅了され、ひたすらに後を追って泳ぎ続ける。
そんなネギに気付いたのか、途中でにこっと笑みを見せ、
そして再び真剣な表情で前に進む。ネギもそれを追う。
「ふはっ」
「はっ」
二人揃って水面に顔を出し、ぶるぶると頭を振ってから顔を見合わせ、照れ笑いを交わす。
「やあネギ君」
「アキラさん」
「やっぱり凄いなネギ君は。ずっと年下なのに何をやっても、
泳ぐのも得意なんだね」
「いやー、やっぱりアキラさんです。アキラさん泳ぐの凄く上手で、綺麗で」
「綺麗」
「はい」
にこっと無邪気に微笑むネギを見て、
アキラの頬がぽーっと赤らむのはここがお風呂だからと言うばかりではないだろう。
「泳いでるアキラさん、凄く格好良くて綺麗です」
「ありがとうネギ君」
素直な言葉には、素直に応じるしかない。
「ん?」
「あ」
お風呂の真ん中に向かい合って立っている二人だったが、
ネギの目が透明な水面に向いている事にお互い気付いて苦笑を交わす。
「エッチ」
「えへへ」
「もうっ、ネギ君悪い子になったのかな」
「かも、知れません」
アキラがこつんとネギの頭に拳を当てた後、二人はくすっと笑みを交わし、唇を重ねた。
「だからその…」
「ん?」
「あの、触ってみて、いいですか」
「どうぞ」
いい加減タガの外れ始めたネギの言葉に、
我関せずの態度ながらおおよそ把握していたアキラも笑って応じる。
ちょっとの間掌でむにゅむにゅ弄んでいたネギは、目の前のアキラにきゅっと抱き付く。
「えへへ」
「もう」
そんなネギの後ろ髪を、アキラも優しく撫でていた。
何か、紳士さんがいつの間にか悪戯っ子になった、だが、それがいい。そんな感じだ。
最終更新:2012年02月01日 21:22