猫耳少女と召使の物語@wiki保管庫(戎)内検索 / 「シャコ嫁02」で検索した結果

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  • シャコ嫁02
    シャコのお嫁さん 第二話 ――エナの訪問から数日後 ――青龍殿 門下生用大食堂 「で、あっさり引き取っちゃったと」 「行く所がないっていうんだから仕方ないだろ」  平然とそう答えるナキエルに、同僚のトビウオ男は呆れたと言わんばかりに嘆息した。 「そりゃあれだ、体よく押しつけられたっていうんだよ」 「でも実際、作る料理は美味しいんだよ。掃除も丁寧で憶えも早いし」 「はー、まあ腐っても富豪の家のメイドさんってとこか。…で、もう味見はしたん?」 「あ、あじっ…!?」 「へ、まだなの? お前、好きなもの後にとっとくタイプだっけ?」 「そういうのじゃないよ。ただ、頼ってきてくれてるのに無理やりどうこうとか…」 「いいじゃん、いただいちまえば。どうせお屋敷でもそういうおシゴトしてたんだろ?」 「いや、どうなのかな。訊いてないんだ……って、訊けるわけないだろ!」 「ウブだねえお前さんは。ぼやぼやしてる...
  • シャコ嫁04
    シャコのお嫁さん 第四話  その日の朝、ナキエルはいつもの時間に起きてこなかった。  夜勤で遅くなった時などはエナに前もって朝が遅くなる旨を伝えるので、不規則なりに規則的な 生活を送れていた二人である。が、今朝は特にそのような連絡はなかったためエナは困惑していた。 「ナキエル様? 朝食のご用意が出来ましたが、どうかされたのですか?」  なるべく光を通さぬよう堅牢に作られた寝室の戸を軽くノックして尋ねると、部屋の中からごそ ごそと音がしたあと返事があった。 「ご、ごめんよ。起きてはいるんだけどちょっとたてこんでて……構わないから先に食べててくれ」 「なにかお手伝いしましょうか?」 「あー、そうだな……蒸しタオルを何本か用意してくれる?」  そう言われて、エナの脳裏に閃くものがあった。 「わかりました、ご用意しますね」 「ああ、頼んだよ」  寝室の前を離れ、エナは台所で蒸しタオル作成にかかっ...
  • シャコ嫁01
    シャコのお嫁さん 第一話  月も沈んだ明け方前、ネコの国に程近いある海岸に一人の男が座っていた。 「今日も異状なし…と」  夜明けを告げる光が地平線から湧きあがるのを見届け、男は落ち物の双眼鏡を大事に鞄にしまい、 こきこきと首をひねって肩の凝りをほぐした。  ぼんやりとした明けの光を嫌うように、フードを目深に被ると浜辺を歩き出す。  今日は朝市によらなくても蓄えがあるのでまっすぐ帰るのだ。 「ただいまー…」  我が家の勝手口を開けて呟く。  だが、誰が待っているわけでもない。彼がいなければ家は無人だ。  外套を脱ぎ捨てると、フードに押し込められていた触角が自由になり、なんともいえない開放感 を感じた。勢いで靴やズボンも脱ぎ捨て、肌着だけの姿になってしまう。  肌着姿でのびのびとしているシャコ男(自分)が姿見に映り、なんとなくポーズをとってみた。 太ってはいないが、少し体がなまっているかも...
  • シャコ嫁06
    シャコのお嫁さん 第六話 ――バレンタインから三日後 ――青龍殿の茶室 「ほうほう、ハルがそんなことにのう」  先日の『まさかの逆チョコでハルおおよわり』の顛末をアルマから聞きながら、龍王様は朗らか に微笑んだ。  話しているアルマの方は茶釜に向かって正座し、器を清めるため静かに湯を注いでいる。今日の 彼女は普段と違い狐国の物とおぼしき薄青の着物を身につけており、知らぬ者が見ればモンハナ種 かと思うような落ち着いた華やかさを備えていた。 「そのあとで私がチョコを渡したのですが、感激のあまり私の手を握って『ありがとうありがとう』 と鬱陶しいくらいでした……いえ、もちろんチョコは義理だったのですが」 「ほっほ、義理じゃ本命じゃとこだわるあたり、アルマも乙女じゃの」 「からかわないで下さい」  器に続いて茶筅を清めた湯を静かに建水に捨て、残った雫を茶巾で拭き取ると、アルマは茶入れ と茶さじを手...
  • シャコ嫁03
    シャコのお嫁さん 第三話  その日のナキエルは珍しく、監視中に“落ち物の光”を目撃した。  あわてて外套を脱ぎ捨てて海に飛びこむと、水流を生み出す魔法を詠唱して加速する。  ちょっとした小包程度の大きさの物体が落ちてくるのを肉眼で確認すると、落着地点に向かって 龍王様謹製の簡易結界符を投げる。呪符の落ちた海面に魔方陣のようなものが展開され、その中心 に落ちた小包が淡い光の籠にくるまれた。  光の籠ごしにナキエルは落ち物を検分する。縦長の缶詰が数本、厚紙のパッケージで固定されて いる。スプレー缶とかいうものとは形状が違うので、飲料水だろうか。 ――青龍殿に報告、落ち物を一確保。 “了解、自動書記で外観を報告中。確保したまま待機せよ”  結果が出るのを、落ち物といっしょにぷかぷか浮きながら待つ。  一見したところでは爆発物でもなさそうだし気楽なものである。もっとも、仮に爆発物であった として...
  • シャコ嫁05
    シャコのお嫁さん 第五話  トビウオの青年ハルの待機中の生活範囲は、青龍殿の敷地内にある道場と、そこに併設された寮 の周辺におおむね限定される。 「…はよーございまー…」 「はいおはよう」  まだ半分夢の中のような状態でふらふらと洗顔に向かう後輩に挨拶を返し、ハルは朝の寮内廊下 を巡回していた。並んでいる部屋の扉をひとつひとつ叩き、はっきりした返事があれば素通りし、 返事がなかったり不明瞭だったときは扉を薄く開いて中をあらためていく。  返答のない部屋の一つを覗くと、部屋の主はまだ布団を被っていた。布団の端からぴょんと覗く 『提灯』だけがひらひら踊っている姿はなんともユーモラスだったが、ハルは心を鬼にして室内に 踏み込んだ。 「起床っ!」  枕元で一喝すると、アンコウの少年はびくりと布団の中から飛び起きた。驚きのあまり頭の提灯 がぴしっと真上を向いて硬直していたので、ハルは笑いを噛み殺す...
  • 蒼拳のオラトリア
    蒼拳のオラトリア 最終更新日 : 2009年05月21日12時19分34秒 【作者】 : シャコ担当 【舞台】 : 大陸の南東、小さな辺境の港町周辺 【作風】 : ほのぼの バカ 押し倒し 燃えバトル 【注意】 : 一部ヤンデレ? =話数= ==================簡易解説や補足================== =文量= -- 本編 -- 01話 非エロ「泳ぎたいからっす」 10kb 02話 「謝らないで」 12kb 03話 非エロ「ばらばらにして、魚のエサよ」 9kb 04話 非エロ「…なんで泣いてるのよ」 11kb 05話 非エロ「そこにいるのは、ヒト、ですか?」 15kb 06話 非エロ「MB-5?」 16kb 07話 「…これが、最後の経験ね」 ミナミ×フーラ 16kb 08話 「本当に、ありがとう」 ミナミ×トリア 14kb 09話 非...
  • 続虎の威04
    続・虎の威 04         「いいか! あのイヌ野郎は明らかに怪しい! 見るからに怪しい! 大体イヌって野郎は集団で自国に引きこもってるもんだろうが! それが国外に出てるってこたぁつまり完全なあぶれもんだ! 犯罪者だ! 国賊だ! 今は大人しくしてるかも知れねぇがな、あいつはいつか必ず裏切るぞ! 必ず! 必ずだ!」  きっかけはなんだったか覚えていない。  覚えていないからには、まあ他愛もない話題から発展したのだろう。  今やカブラはこれ以上ない程激昂しており、カアシュはようやく、ここ最近のカブラの苛立ちの原因を知る事となった。 「おまえ、いつからイヌにそんな偏見持つようになったんだ……?」 「偏見? 偏見なもんか思い出してみろあのイヌ! ハンスとかいいやがったかあの痩せっぽちが! 見るからにまともじゃねぇだろう! あれが国外に出たイヌの姿だ! 実体だ!」 「落ち着けよカブラ。興奮す...
  • おまけ
    こちむい学園 最終更新日 : 2011年01月23日16時14分37秒 ―― こちむい学園。 それは「猫耳少女と召使いの物語緊急避難所」から生まれたパラレルワールド。 時代も作者も居場所も違う色んなキャラが一堂に会して学園生活を送っているという設定。 ある者は教師、ある者は生徒、ある者は用務員、ある者は飼育室の主。 パラレルワールドだからこそ許されるさまざまな闇鍋シチュエーションを楽しむ空間。 ========ストーリー======== ========成分======== ======作者====== =文量= 英語教師と委員長01 エロス ピューマ担当 32KB 剣道部主将と男共 ノンエロス 青春 蛇担当 7KB 飼育小屋のヌシ ノンエロス scorpionfish 4KB 女番長と舎弟 エロス 蛇足の人 25KB 英語教師と委員長02 エロス クリスマスネ...
  • 続虎の威13
    続・虎の威 13    潮の香りがしていた。  遺跡の街でもずっとかいでいた香りだ。もうすっかりと慣れてしまったこの香りに、今更別段感慨を覚えたりはしない。  ただどうしてか今、千宏は強く潮の香りを感じていた。慣れきったはずの海の臭いが、どうして今はこんなにも強く香るのか――。  人動く気配がし、ぼんやりと目を開ける。  ここはどこだろうか。鼻の辺りが妙に傷む。 「……ハンス?」 「目が覚めたか」  呼び声に答え、千宏の顔を覗き込む影があった。だがその顔は、見慣れたイヌの物では無い。  頭から突き出た二つの目。虫の脚のように蠢く口と、ヒゲのように伸びる触角。 「ひ――」  千宏は喉の奥を引きつらせ、瞳が零れ落ちんばかりに目を見開いた。 「ぎゃぁああぁ! うぎゃぁあぁ!」  絶叫して飛あがり、千宏は寝かされていたソファの背を乗り越えて文字通り床に転がり落ちた。  それから、 「ってうわぁああ...
  • 長編SS一覧(メイン)
    最終更新日 : 2015年11月02日02時06分21秒 全ての連載が何らかの形で性的描写・官能表現・18禁要素を伴います。 必然的に「猫耳(少女&少年)」「獣人(ケモ)」「人外」属性の作品がほとんどです。 連載名をクリックすると専用ページに飛びます □ 新規作品       : ここ3ヶ月以内に開始された新規の連載小説&単品小説 □ 連載&完結長編 : 好評連載中、あるいは既に完結(?)した長編連載 □ 新規作品(-) 初出 メイン 作者(敬称略) 総文量 最終投下 カラス 18=646 カラス ◆US7whhBFyg -kb 13/12/31 ウラオモテ異界帳 19=92 蝶 - -kb 14/11/16 □ 連載・完結長編 初出 メイン 作者(敬称略) 総文量 最終投下 こちむいシリーズ 1=29 ネコ こちむい(=あしたら) 500超 あしたらシリーズ ...
  • UMA写真スレ
    UMA写真スレ UMA写真スレ   118 名無しさん@別世界 なんか今日海辺を散歩してたら変なのを見つけたんで上げてみる。 ttp //XXXXXX/XXXX.jpg 何だろう、これ。海老人間? 119 名無しさん@別世界 海老っぽいな。 隣にいるのはASIMOか? つかUMAじゃなくてコスプレだろこれw 120 名無しさん@別世界 海老じゃなくてシャコじゃね? 121 名無しさん@別世界 120 それはない。 122 名無しさん@別世界 120  それはない。 123 名無しさん@別世界 120 それはない。 どんだけマニアックなコスプレなんだよw
  • 虎の威
    虎の威 最終更新日 : 2014年08月19日11時14分03秒 【作者】 : とらひと 【舞台】 : 大陸東部、トラの国の辺境領地 【作風】 : ほのぼの シリアス 【注意】 : 少し欝展開 =話数= ==================簡易解説や補足================== =文量= 01話 非エロ「落下と遭遇」 12kb 02話 バラム×チヒロ(未遂) 15kb 03話 イシュ×チヒロ(やや百合) 22kb 04話 トラ♂ゴロツキ×チヒロ(陵辱未遂) 16kb 05話 非エロ「トラの強さ、ヒトの弱さ」 22kb 06話 非エロ「チヒロ、わりと大活躍するの巻」 40kb 07話 非エロ「日常、と見せかけて三角関係」 29kb 08話 チヒロ×アカブ 37kb 09話 非エロ「なんとなくほのぼの」 21kb 10話 アカブ×チヒロ 28kb 11話 ...
  • 蒼拳のオラトリア 第一話
     つまらない諍いが元で、高校の水泳部を出奔して一ヶ月。  俺はまだ泳ぎ続けていた。  前から自主練をしていたスポーツクラブに通い、気の入らないストロークで泳ぐ。部への復帰を 考えてるわけじゃない。小中高と水泳に打ち込んできたから、もはや習慣というか惰性だった。  あのくだらない水泳部に戻らなくても水泳ができる場所なんていくらでもある。大学に進学後、 そこのサークルで水泳をするのもいいだろう。…だけど、自分の中で何かが揺らいでしまった気が する。  短い人生のほぼ半分を費やしてきた水泳に対して、俺は自分の態度を明確にできないでいた。  そんな俺の迷いがなにかを呼び寄せたのか。  いつものようにくすぶった気分のスポーツクラブの帰り道、おれは。  その世界に落ちた。   蒼拳のオラトリア 第一話「泳ぎたいからっす」  落下。  着水。 ...
  • 続虎の威19
     港を抜けて立ち並ぶ倉庫を横目にしばらく歩くと、ひどく奇抜な概観をした技師装具店が見えてくる。最後にカブラがここを訪れたのは 数週間前。そのときのことを思い出すと、いまだに怒りでめまいがする。だが交渉が決裂してからというもの町中の技師職人をたずねて回り、 カブラはこの店で作られる義足の質の良さを実感していた。 「やや。お客さんのお見えにゃね」  猫が大口を開けているような、いつ見ても不愉快なデザインの扉に近づくと、そこにケダマのネコとマダラのイヌがしゃがみこんでいた。 かたわらにはジュースのビンと、スルメの袋が置いてある。 「何してんの? こんなとこで」  千宏が怪訝そうにたずねると、店主であるミーネはスルメをくちゃくちゃといわせながら不機嫌そうに顔をしかめた。 「それがひどい話でにゃあ。言うも涙、語るも涙!」 「聞くほうは涙しなくていいのね……」 「うちの神経質のシャ...
  • 蒼拳のオラトリア 第八話
    『蒼拳士』  東方の海底に棲むという青き龍の住まいで修練を積み、その拳、あるいは爪を使うことを特別に 許されたシャコ族のことを、その蒼き戒めを砕くさまから『蒼拳士』と呼ぶ。  彼らシャコ族の拳は破壊的な威力を誇るが、その力は青き龍によって誕生と同時に封じられる。 しかしその力を正しき行いのために用いると誓い、修練を積み一人前であると認められてはじめて 一時的にその戒めを解く『許可を申請』できるようになるのである。  青き龍の薫陶を受け、さらに落ち物の書物からも積極的に闘術を取り入れる彼ら蒼拳士の実力は 凄まじく、封印を解除したその力は幾多の猛者を打ち破ってきたという。  また、シャコのことを獅子国で『青龍蝦』と表記することがあるのも、この蒼拳士の存在が理由 であると云われている。  しかしながら青き龍より印可を受けるまでに要する鍛錬は並大抵のものではなく、受...
  • 短編SS一覧(メイン)
    最終更新日 : 2014年12月30日02時12分06秒 青字以外は全て何らかの形で性的描写・官能表現・18禁要素を伴います。 必然的に「猫耳(少女&少年)」「獣人(ケモ)」「人外」属性の作品がほとんどです。 □ 読切 中編 : 20KB~の長い読み切り作品 □ 短編 掌編 : ~19KBの短い読み切り作品 □ ネタ100% : ひょっとしなくてもギャグ 赤字 : ♂×♂、♀×♀等の同性愛要素を含む 青字 : 非エロ作品 □ 読切 中編 初出 メイン 作者(敬称略) =文量= 狼耳モノ@辺境(仮題) 初版 3=78 オオカミ - 24KB 狼耳モノ@辺境(仮題) 改版 5=60 オオカミ - 41KB 狐耳っ子と剣術少女 6=21 キツネ♂ カモシカ担当 32KB 時の最果て 9=561 人魚 - 20KB 『桃源郷』へようこそ 10=12 ガゼル キュンキ...
  • 蒼拳のオラトリア 第五話
    ――転移から2時間後 ――駆逐艦「ダイアクロン」轟沈地点 「…ひどいありさまだな、こいつは」  へし折られた挙句に丘の中腹に激突し、半分ねじれながら横倒しになっている異世界の軍艦を前 にして、調査隊主任のイヌは呟いた。あの時、トリアとともに軍艦を撃退した男である。  まるでシャチに腹を食い破られて打ち上げられたクジラの姿だった。落下時、中にもし生存者が いたとしてもこれでは生きてはいまい…。 「しかし、あれが落ちてくるときに発生した緑色の光はいったいなんだったんでしょうか?」  横に控える副主任(こちらもイヌの女性だった)が、現場指揮の合間にふと呟いた。 「さてな、あんな現象は見たことがない…あの中に答えがあると思いたいが」  主任は異世界艦をあらためて眺める。それにしてもいい艦だ。どう見積もっても修復不能の深手 を負いながら、その洗練された雄姿はいまだ輝きを...
  • 学園016
    学園シャコ@クリスマス  時はまさに年末である。 冬場の水泳部は何も活動しないのかと思いきやまったくそんなことはなく、俺がここに 入部できなかった時の次善の策として考えていたスポーツクラブの屋内プールが水泳部の 冬場の活動場所になっていた。 顧問のファルム先生の知人が経営してる会社の系列だとかで、贅沢にも貸切である。 外は時折雪もちらつくようになってるっていうのに、温水が湛えられて暖房もしっかり きいた屋内プールはまるで別世界だ。 「お疲れ様、ミナミくん、マトーくん」 練習後、熱いシャワーで茹だった肌をマトーと並んで冷ましていると、両手にスポーツ ドリンクを持ってトリアさんがやってきた。 「あ、お疲れっす」 「トリア先輩お疲れ様ですっ」 勧められたドリンクを感謝して受け取り、マトーと並んで封を切る。 部内でたった二人の男子部員だけに、最近は大体マトーといっしょに行動している感じ になって...
  • 蒼拳のオラトリア After
    蒼拳のオラトリアAfter 『どたばたの後で』       「トリア対トリア! 予想だにせぬ展開に俺が動けずにいると、ゆやーんゆよーん ゆやゆよーん という気の抜けるテルミンの音色とともに現れたのは、黒い兎耳と白衣の狂科学者と……ああ畜生、よりによってあのバカヤロウだった! 俺は叫んだ、『ポンコツゥゥゥッ! 裏切ったなあっ!』」  ヒートアップするミナミの語り口に、酒宴をかこむ男たちがやんややんやと盛り上がる。  ここは東の海におわす偉大なる龍王様のすまい、青龍殿……その大広間である。  五年に及ぶ(こちらの世界では半年しか経ってなかった)長い異世界遠征から帰還したトリアと ミナミの無事を祝って、龍王様やノーマほか有志が酒宴を催してくれたのだった。 「野郎はいつもの調子で≪ワタシはより確実に元の世界へと帰還する方法を模索しているだけです≫ などとほざきやがったので、むかついた俺は不意討ちで...
  • 学園009
    顔のない悪魔      ある休み時間、俺は美術準備室に教材を取りに行くことになった。 「失礼しまっす」  形式的な挨拶をしてがらがらと準備室の引戸を開ける。 「ああ、岩原くんか」  声をかけてきた存在を見て、思わずがたっと引戸に張りついてしまう。  準備室の中に、スーツを着たダンボーが立っていた。  ダンボーがよくわからないという人は、目とおぼしき二つの丸い穴と、口とおぼしき三角形の穴 がくりぬかれた段ボールを、スーツ姿の男性が被っているところを想像していただきたい。  …反射的に体が逃避しようと動いた俺の気持ちがわかっていただけたことと思う。 「どうした、顔色が悪いぞ」  少し落ち着いてくると、ダンボーの中から聞こえてくる声に聴き覚えがあることに思い当った。 「…ノーマ先生、そのショッキングな恰好はなんなんすか…」  そう、普通に考えて準備室にいるのは、美術教諭のノーマ先生に決まっている...
  • 続虎の威38
     くるみ割り人形の旋律が、部屋からこぼれて廊下に流れ出していた。  金属が震えるオルゴールの音。軽快でありながら、歯抜けになってどこかチグハグなメロディー―― あの小さな小箱のネジを最後に回したのは、そういえばいつの事だっただろうか。  生まれ故郷を懐かしむために聞いていたあの音楽が、気付けば草原の中にたたずむあの小さな箱庭の 世界を思い出す音楽になっていることに、千宏はこのとき初めて気がついた。  もう、故郷には帰れない。  けれど、帰る場所がある。  気付くと無性に帰りたくなって、千宏は廊下を流れてくる音楽に引き寄せられるように駆け出していた。  音は千宏の部屋から聞こえてくる。  誰がネジを回したのだろう。荷物の奥に押し込んで、取り出す事も忘れていたあのオルゴールを、 今になって一体誰が。  ノブを回して、扉を開く。  少年の背中が見えた。その少年の手の中に、...
  • 蒼拳のオラトリア 第二話
     むかしむかしのそのむかし いぬのくにができるよりも さらにむかしのこと  みなみのうみをあらしまわる あばれんぼうがいました  あばれんぼうのなまえは しゃこといいました  しゃこはとてもざんこくで じぶんのすみかにちかづくものがあると  そのひとのまえにあらわれ 「ここをとおりたければ おれとしょうぶしろ」といって  なぐりあいのしょうぶをもうしこみます  しゃこのこぶしはとてもかたく ちからはいわをもくだくほどだったので  しょうぶをいどまれたひとは みんな ぜんしんのほねをばらばらにされてしんでしまいました  そんなむほうをはたらくしゃこのところに あるひ ひとのよさそうなおじいさんと  とてもうつくしい おんなのひとが やってきました  おんなのひとをみて ひとめできにいったしゃこは おじいさんにいい...
  • 種族まとめ
    種族まとめ 世界観 【体】 …… 身体能力(平均)。腕力・体力・瞬発力・機敏さ・体格・頑丈さ、その総合。 【魔】 …… 魔法の素養(平均)。種族から来る基礎保有魔力量&魔法センス。 【頭】 …… オツム(平均)。あるいは工夫を凝らそうとするその度合い、創意工夫。思考の柔軟さ。 【体格】 … 平均身長体重。日本人をMとした場合。♀の差はそれほどでも。 <体/魔/頭>  ☆=別格 ◎=凄い ○=まあまあ △=苦手 ×=全然ダメ 〓〓=詳細不明 <体格>  SS=超小柄。成人でも幼児体型とか、妖精サイズとか。  S=やや小柄。平均150~160cm程度。  M=日本人の平均身長程度(♂170cm、♀160cm)  L=欧米人の平均身長程度(♂180cm、♀170cm)  LL=やや大柄。平均200cm前後。  3L=超大柄。身長250cmとか、300cmとかの個体も存在...
  • 首蜻蛉 二話
    首蜻蛉 二話 「ううー…」 「どしたの?」  正直涙目で恥ずかしいから体育座りで顔を隠している僕の後頭部をひっつかんでご主人様が僕の顔を覗き込みます。 「いたいです」 「うわあ! また顔にアザが…もーしっかりしなさいよ、どうしたの!?」 「どうしたもこうも!!」  自分がイスの上で体育座りから突如として直立になったのでアカネ様はちょっと驚き、リビングテーブルにもたれます。僕の頭の上のベアードが「ニョホー」と言いながら転がり落ちます。 「さっきのご主人様の弾幕ごっこの流れ弾ですよ!!」 「だってしょーがないじゃん、『今日こそ負けたら俺のトコ嫁げ』とか陸奥(ムツ)が言うんだもん!!」  陸奥さんもトンボのひとりです。ご主人様を好きだけど、ご主人様は彼をキライです。 (模様が)黒くて(腕が)太くて(筋肉が)硬くて(触角が)黒光りする(魔法装甲板で作られた)凶器で(射撃主体のトンボでは珍しく)突...
  • 学園007
    水泳部ひとりぼっち     ――俺はどんな場所だろうと泳げればいいと思っていた。 ――思ってはいたが……さすがに、この状況はどうよ。 「さあ、ぐずぐずするんじゃないよ! 大会も近いんだ、ちんたらしてるとレギュラー落ちだよ」  派手なトゲヒレが印象的な顧問のファルム先生が、手を叩いて部員たちを急かす。被るのに毎回 勇気を要する冷たいシャワーを通過して、ぞろぞろと競泳水着姿の女子部員たちが並ぶ。  そんな中、女だらけのプールサイドに肩身が狭そうに立っている男子部員が約一名。  …そう、これが俺だ。  俺は岩原南。水泳に打ちこむごく普通の高校二年生だ。  親父の転勤でこっちに越してきた俺は、当然学校もこのへんの高校に転校せざるを得なかった。  別にどこでも水泳ができりゃいい…くらいの軽い気持ちで転入したものの、入った後でとんでも ない事実に直面した。  この学校に、男子水泳部はなかったのだ...
  • 蒼拳のオラトリア 第六話
     ミナミが工房を後にして数分後…彼の不在を確かめてから、ちゃぷんと軽い水音を立て洞窟内に 入る影があった。 「お帰り、フーラ」  岸辺の壁に寄りかかり、その影を迎えるノーマ。無言で水面下から立ち上がったのは、彼の言葉 通りたしかにフーラであった。彼女の表情はどことなく複雑な様子だったが、ノーマはそんな顔を 予想していたように言った。 「食事の用意は出来ているが、どうする」 「…いらないわ」 「そうか」  ノーマの手から『星明りの仮面』を引ったくり、フーラはそれきり無言で奥に進んでいく。 「…面白い少年じゃないか」  背中にかけられた言葉に、フーラの足がぴたりと止まる。 「少々経験足らずなところはあるが、落ちてきたばかりではそんなものだろう。自省の精神もある。 彼ならば問題は…」 「あいつの話はしないで」  ぴしゃりと会話を打ち切られる。ノーマは軽く嘆息し、その...
  • 続虎の威12
    続・虎の威 12    この世界に来て、不思議な生物は色々と見てきた。  その筆頭は無論イークキャリッジのイークであるが、千宏はそれを上回る謎の生物と今、まさに対面していた。 「船の害獣駆除に使うんでさ」  そう言ってトゥルムが見せたのは、ぎょろりとした一つ目の珍妙な生物だった。顔のほとんどが目と言おうか、全身の半分が 瞳で構築されているような生物である。手足は無く寸胴で、長い尻尾があり、頭からは虎の耳が生えている。 「ベアトラです」  トゥルムがそう紹介する。なる程体毛はトラと同じく黄色と黒の縞模様だ。  千宏はかっと目を見開いて、間抜けに口を開けたまま、その生物の印象的過ぎる瞳を凝視した。 「あ、あんまりガン見してると――」  何事か注意しようと、トゥルムが口を開いたまさにその時である。 「ぎゃぁあぁ! く、くわれたぁあぁ!」  ベアトラと紹介された生き物がかっと口を開き、千宏の頭に食...
  • アトシャーマの音楽隊
    「アトシャーマの音楽隊」  むかしむかしあるそうげんに、一人のウマが住んでいました。  ウマは小さい頃から働き者で、力持ちでまほうもつかえ、頭もよかったのですが、あるときいいよられたながれもののウサギにだまされて、  じまんのきょこんもたたなくなるくらいに搾られていらい、こわくておんなのこを抱くことが出来なくなってしまいました。  まわりのなかまはそんなウマをあざ笑ったので、恥ずかしくなったウマはさっさとそうげんを逃げ出してシュバルツカッツェにやってきたのです。  たいりくでいちばんさかえているシュバルツカッツェのおいしゃさんなら、きっとじぶんのトラウマもなおしてくれるにちがいないと。  でもでも、そうはうまくいかないのが現実というもので、どんなおいしゃさんに見てもらってもおんなのこがこわいのがなおりません。  なんねんたってもなんねんたっても治らなかったのですが、あるときウサギのくにに...
  • 夜明けのジャガー02
    夜明けのジャガー 第2話      パシャはぱちりと目を開けた。  次いで二、三度瞬いて周囲へ意識を巡らせる。  四方はひらひらと薄い布で囲まれ、消毒薬のつんとした臭いが鼻をついた。  戦から帰還するたびにここへ世話になるのは、前衛を任される彼女にとって避けられないことだ。  この刺激臭も慣れたものだった。   「──」 「──」  話し声が耳に届き、記憶にあるその二人へそっと耳をそばだてた。   「たぶん痺れ毒は…コカの亜種の一つだ。後遺症はないと思う。細かい傷の手当はキオに任せるよ」 「おー。慣れたもんだからな。……にしてもあいつには気の毒だったか」 「……そりゃまあ、皆少しはパシャを見る目を変えるとは思うけど、キオの機転があったしな。  かえって、もっと人気出るんじゃん?」 「そりゃ周りの反応だろーが。俺が言ってるのはパシャの気持ちだよ。  本人が隠したいものを抉り出されて、ましてや...
  • 続虎の威02
    続・虎の威 02    翌日、ハンスにかせられた仕事は身だしなみを整える事だった。  ヒト奴隷を所有してるような男が貧相なナリをしていたら、誰も怪しんで近づいてこないだろうし、色々と面倒な問題が出てくる可能性があるのだと説明しながら、千宏は「へそくりなんだ」と笑ってかなりの金額が入ってると思われる皮袋を掲げて見せた。 「凄いな……どうやって稼いだんだ?」 「悪い事」  にこりと、千宏が屈託なく笑う。  ハンスはそれ以上質問することをやめた。  昼食後、激しく不平不満を並べ立てるカブラを宿に残して、千宏はハンスを連れて宿を出た。  元々ぼろきれを纏っていたハンスは、一番体格の近いカアシュの服を借りなければならなかったが、千宏が一言お願いすると、カアシュは特に抵抗する事もなく、むしろ快く服を貸してくれた。  これもカブラは死ぬほど反対したが、千宏はまるでカブラの声などまるで聞こえていないかのよ...
  • 続虎の威33
     翌朝、少しばかり寝坊してだらだらと食堂に向うと、先日よりもはるかに露骨な葬式モードがカブラ達の周囲に立ち込めていた。 「トラって種族には他人のベッドシーンをデバガメした翌日に無駄に落ち込む性癖でもあるわけ……?」  呆れて聞いた千宏をじろりと睨みつけ、うるせえ、とカブラが吼える。 「聞きたくて聞いたんじゃねぇよ今回は今回に限っては……! なんっで俺がイヌ野郎とチヒロがやってる声なんざ聞かなきゃなんねぇんだ。それをまあ一晩中いちゃいちゃいちゃいちゃあんあんあんあんと……!」 「何言ってんだよカブラ。おまえすっげー耳そばだててたじゃねぇか」 「だぁってろカアシュ!」  カブラの拳がカアシュの顔面にめり込み、カアシュがその勢いのまま後ろ向きにひっくり返る。ひどい八つ当たりである。 「チヒロが……チヒロが国外逃亡のイヌ野郎とあんな……あんなうらやま――いかがわしいことを……ッ!」 ...
  • アトシャーマのガイドライン
    世界一淫らな街、アトシャーマのガイドライン   イヌの軍人が男8人連れなら大丈夫だろうと思っていたら、小柄なウサギの女性に20人がかりで押し倒された 街で一番大きな宿泊施設から徒歩1分の路上で、全裸のヒト召使いが啜り泣きながら衣服を抱えて女の子座りしていた 足元がぐにゃりとしたので見てみると、絞り尽くされたヒト召使いが虫の息で転がっていた 有無を言わさず衣服を脱がされた、というかヤッた後から理由とか考える 男一人暮らしの家に止めてもらい安心したら、その晩女も「男も」全員も襲われた 女一人暮らしの家に止めてもらったらもらったで、男も「女も」襲われる 結構性に対しては開放的で、経験も豊富なはずのご主人様(ネコ♀)が、10m先の魔法屋からヨレヨレ&涙目になって帰ってきた 訪れた旅行者の1/3が押し倒され経験者(※男女問わず)。しかも「どうせ子供はできないんだし」という理由で、ヒト以外の種族も...
  • なぜなにこちむい02
    なぜなにこちむい!! からだのヒミツ Ⅱ      全裸のぼくをあっという間に応接テーブルにくくりつけるリナ様。ご主人様は自分の寝室兼、 作業室から怪しげな測定器具を用意してくる。ユナ様も部屋から飛び出て自室からなにやら 小さな箱を抱えて持ってくる。ご主人様の部屋の怪しげな機械がぼくの領域のはずの手狭な 応接室に侵食してきて怖気をふるうぼく。  「やあっ!!  は、離してくださいっ!! 恥ずかしいですっ!」  足をバタつかせようにもその足をしっかりとロープで括ったのは縛縄術も堪能なリナ様なので まったく動かせず、かつ手足の血流も止まってない。  「まずは脳波計を付けとくにゃあ、おまえの感度がばっちりわかるようにと・・・それと、後で 愉しむため・・・じゃなかった、目隠しして余計な感覚をカットしておくにゃ・・・」  とぼくの頭に新興宗教っぽいコードのついたバンダナをおでこに巻くご主人様。そして...
  • こちむいⅡあしたあえたらⅡ02
    こちむいⅡ 明日会えたらⅡ 第2話      「えっ、あの、その・・・」  今度はぼくがうろたえる。あわててぼくは二人の服を脱ぎ始めたネコ姫様を止めようと 声をかける。  「リナ様、ユナ様も・・・いきなりこんなコト・・・」  目をやるがすぐに声が飛んだ。  「み、見るなっ・・・は、恥かしいのだ・・・」  「エッチですの――っ!!目をつぶってるですの――っ!!」  「あわわわわっ・・・す、すみませんっ!! 」  後姿だが肩まで真っ赤にして身をすくめる二人。初々しく恥らう二人に、いつもの悪いクセで あっさりと状況に流されてしまう。反論するのも忘れ、ぼくは目を固く閉じ、さらにくるりと ベッドサイドに腰かけ後ろを向いて固まる・・・衣擦れというよりはパタパタ、そしてゴムのパチン という音がするような・・・    「いいにゃ、もう振り向いいてもいいにゃよ・・・」  ご主人様の声。ぼくはさっきまでの良識...
  • キツネ、ヒト 02
    キツネ、ヒト 2話  結局アキラは、三日間暴れたりちょびっと泣いたりしながらこの世界で生きる決断した。三日目の夜、二つの月に馴れている自分に驚きながら、自然と小銃の分解を始める。 「今日は騒がしい奴が居ないから静かだな」 「ココさん」 「君の服に入ってたヤツだ。えーと」 「アキラです」 「私の名前は?」 「ここなーとさん」  アキラはココから煙草のパッケージを受け取ると、一本取り出し、彼女の顔を見て元に戻した。 「あ、煙草かそれ?洗練されてるなぁ。あ、気にしなくていいよ私も煙草を吸うから」 「はい」結局アキラ煙草をくわえ、ライターを取り出し火を点ける。 「あの子は」細巻をくわえたココにアキラが自然と火をかざす「おお凄いなコレ」  二人で煙を吐き、ココが言葉を続ける。 「あの子は良い子だよ。真剣な話、君はカナに拾われなければ奴隷か死ぬか、きっと酷い事になってた。この世界での人間の扱いは、ま...
  • 金剛樹の梢の下02
    金剛樹の梢の下 第2話     白羽パート    ・・・・少々、しんどいですかね。やはり、陸の者は重たくていけませんね。  そんな事を考えながら、オスヒトの胴にまわした手に、更に力を入れました。 カエルでも踏み潰したような声が聞こえましたが、聞こえなかった事にいたしましょう。  意外と遠出していたのか、それとも余計な荷物で遅くなっているのか。 小一時間ほど飛び続けても、まだ里は見えてきません。 この状態だと、あんまり長くも飛べないんですけど・・・・。  姫様は、あまり外についてご存知では御座いませんし、 先に行かせて迷子にでもなられたら、それはそれで問題ですし・・・・。  私も、あまり長くは飛べそうにありませんし、里が近い事を祈るしかありませんでしょうか。 近くに里の者が出した船でもあれば、降りて休むのですが。 この時間では、あまり期待できそうにありませんね。 僅かに茜の色を見せ始めた空。...
  • 万獣の詩外伝02
    万獣の詩外伝  MONOGURUI 002     □ 猫♂(赤猫) チーフカメラマン    Age:63(640)  Height:170cm  Weight:75kg Eye.C:gold Fur.C:vermilion red □ 鷹♂(白鷹) カメラマン    Age:35(160)  Height:190cm  Weight:85kg Eye.C:black Feather.C:white      猫井の子らにも休日はある。 「ヘイ彼女!」 「お茶しませんかー?」  イヌの国ル・ガルはその王都、ソティス。  ラフな出で立ちで夏の繁華街に立つのは、己のリビドーに正直な二名の男。  わざわざ二人徒党を組み、なるべく相手も二人連れを選んで声を掛けるのは、  多対多を装いハント対象の警戒感を少しでも解きほぐす為。  1on1ではなく、2on2ないし3on3の状況下を作り出す事は、ナンパ...
  • こっちをむいてよ!! ご主人様02
    こっちをむいてよ!! ご主人様 第2話      朝。ネコの国の王宮、丘の上に建てられた『シュバルツカッツェ城』も他と変わらず朝日を浴びせられ黒く光り輝く。城は大きく東西にはりだしており、西館に官公庁舎、中央は玉座、そして東館、通称『右ウイング』は王位継承者たちの姫君たちの住む男子ネコ禁制の宿舎になっている。ちなみに部屋のランクは姫君本人の心根次第。下の方に見える粗末な木板のよろい戸がぎしぎしと開いて話は始まる・・・      「うわー!!」 ぼくは部屋の立て付けの悪い木のよろい戸を開くと思わず声を上げた。一雨あった翌日の朝は雲ひとつない快晴。空は余計なホコリやチリがみんな落ちたらしくどこまでも青く瑞々しい。高台にあるお城から見る城下町は箱庭のように美しい。色あせたレースのカーテンから入ってくる風が初夏の香りをほのかに部屋に 満たしていく。  「天気はいいし、トースターの調子もいいし、なん...
  • 猫の宅急便 02
    猫の宅急便 2話 「と、言う訳で今日の仕事はアレンとクルセイダーのペアで行く」  顔の傷やら、無駄にデカイ体格やらが威圧感を醸し出すアナグマが朝食の席を締め括ろうとする。 「了解」  灰色と黒の毛並みが少し素敵な犬男が、氷みたいに冷たい声で返事をした。 「ちょちょちょ待って?」  私は慌てて煙草を灰皿に押し潰す。あちっ! 「ねぇヴァシリ、じゃねぇボス。またアレンなの?私狐んトコ以来全然仕事してないよ?」  新しい装具やらちょっとムフフな品物を買ったせいで私の財布は随分寂しい。お金!お金!! 「仕方ないだろコーディ。最近デカイ品物が多い、お前のメルカバじゃ無理だ」  「な!メルカバを侮辱しないで」  私は思わず身を乗り出しアナグマに詰め寄る。いくらボスでも今のは腹が立つ。 「冷静になれコーディ。メルカバは俺のクルセイダーより早いし高く飛べる。変わりに耐荷重量は低い。君が一番理解しているはず...
  • 続虎の威26
     たとえ失敗したって、失敗を恐れて何もしないよりはずっといい。  そう教えられて千宏は育ってきた。  努力をしたって成功するとは限らないが、努力をしたという事実は必ず力になる。 例え失敗しても大概は何とかなるだろうし、そもそも世の中全てのことがなるように しかならないのだから、やりたいと思ったことをやればいいのだ、と。  けれどもし、それで誰かが犠牲になるのだとしたら。  傷つくのだとしたら。  血を流すのだとしたら。  もし――誰かが命を落とすのだとしたら。  それでもまだ、何もしないよりはましだったと、胸を張って言えるだろうか。 「トラップってぇのは、ようは溜めておいた魔力を放出する仕掛けだ。図面を描いても そこに魔力を込めにゃあなんにもおきねぇ」  たっぷりと浴びた返り血を拭い、痛そうに首をさすりながらシャエクは言った。 「だから図面だけ描いてお...
  • 万獣の詩02b
    万獣の詩 ~猫井社員、北へ往く~ 第2話(後編)     ━━≪ 1th day PM 3 17 ≫━━    銭湯や温泉、あるいは恋人同士とかならともかく、  たとえ同性とでも「赤の他人と二人っきりで入浴」だなんて体験無かったから。 『それでは次の部屋の脇に置いてある籠に脱いだ物を全て入れて、 その後に更に次の部屋に進んでください、そこが小浴場になっていますから』  緊張するべくして緊張したわね。    …? 何よ、そりゃ私は確かにネコで、今年で160にもなりますけどね。  それでも平凡な人生を送ってきた方だって自分でも自信持ってるんですからね。   『ポケットの中のお財布や小物、指輪ブローチといったアクセサリー類は、 よろしければ今この場で、こちらの貴重品入れにて先にお預かりします』  変に見栄を張って「副主任である私が一番最初に行くからね」なんて  言わなきゃ良かったと、そうポケット...
  • 迷探偵クリフ=ヴァレンタイン02
    迷探偵クリフ=ヴァレンタイン 第2話     ミツキは、カーテンの隙間から漏れる朝日で目を覚ました。 まだ多少は眠たいが、ベッドの横の時計を見ると、朝の6時をまわっている。 そろそろ起きなければならない時間だ。 助手と共に、家政婦も兼ねているミツキの仕事は、朝早い。 毛布から出る決心を固めると、クリフの腕の中からするりと抜け出した。 その時に、ミツキの恥部から、クリフの萎えた肉棒がずるりと抜けた。 ミツキは一瞬ピクッと反応したが、なんとか抑えてベッドから出た。 替わりにクリフの腕の中に、さっきまでミツキの使っていた枕を抱かせる。 このタイミングが重要で、しくじるとクリフを起こしてしまう。 クリフの呼吸のリズムを見極め、彼にとって最も違和感を感じない瞬間に行動する。 幸い、今回はクリフを起こす事無く、ベッドから抜け出す事ができた。 もし起こしてしまえば『僕を一人にしないで欲しいな……』などと...
  • イノシシの国02b
    イノシシの国 ヒト編パート2     弐    外で小鳥が鳴いていた。  薄目を開けると、薄暗い部屋が目に入る。  天井の木目が、見つめ続けているうちに何かの模様に見えてきた。  瞬きをする。  背中が痛い。上だけに掛かってる布団は、どう考えても長さが足りない。下はどうも板敷きみたいだ。  むくりと起きる。  筋肉痛がある。でも、体が強張っていたのはそれだけの理由じゃない。  俺は辺りを見回して探す。    いない。    寝坊しすぎたせいだろうか。  寝ていた板間は殺風景な程に何もない。  隣の部屋に繋がる欄間が明かりとりになっている以外は、三方を壁に囲まれた部屋だった。  まさに寝間だ。  布団をはねのけると微妙に寒いが、俺の上着はどこかに脱ぎ捨てたらしく、見当たらない。  部屋の端まで歩いていって、仕切りになっている引き戸を開ける。  目の前はすぐ土間だった。目を凝らすと、ひっくり返...
  • 黄金の風02
    黄金の風 第2話   「タケル~、石けんとって~」 「はい、どうぞ」 だいぶ磨り減った石けんを渡すと、ミレイユ様はタオルにゴシゴシと押し付けた。 この世界に洗濯機などは、ない。そのため、洗濯はタライと洗濯板を使った昔ながらの方法で。 これが俺に与えられた2番目の仕事、城内全ての者の汚れ物の洗濯だ。 1番目の仕事は・・・・・・ 『ま、後1ヶ月くらい調教すれば、私を満足させられるな』 ・・・・・・一ヵ月後には俺、クレア様を満足できる体に調教されてしまうのだろうか? それより、今は今に目を向けなければ・・・ 後ろを振り返り、洗濯物の山を見てみる。まだ俺の身長より高い・・・ 「ミレイユ様・・・やっぱり二人だけでは無理が・・・」 「はい、口より手を動かしなさ~い」 「は、はい・・・でも」 「手~~」 血走った目で睨みつける。やばい、マジだ。しかも良く見ると爪が石けんに突き刺さってる。 別の石けんを手...
  • 万獣の詩02a
    万獣の詩 ~猫井社員、北へ往く~ 第2話(前編)     =─<Chapter 2 『Q.E.D.』in>───────────────────────‐=      ――【ホテル・アリアンロッド】。  アトシャーマという街の中でも比較的中央に所在を構えた、  ウサギの国でも数少ない外国人用の宿泊施設である。    ホテル名がやや安直な事この上ないように思えるかも知れないが、  これは経営管理しているのがアリアンロッド家の分家だからという  単純な事実に則して付けられたものであり、  経営者側にネームバリューを利用しようなどといった他意は存在していない。    ……というか、ここしかホテルがない。  旅館民宿その他を含め、この建物だけがこの国唯一の通常宿泊施設。    貴人公人のための迎賓館はあるようなのだが、  そういった所に泊まるのは各国の王家筋名家筋、または領主様ご一行といった、  ...
  • 蒼拳のオラトリア 第七話
    ――青龍殿 危険物調査エリア  薄暗い研究室のような部屋の中で、白衣のヒトの男とシャコの女官が慌しく機械を操作したり、 走り書きをしたりしていた。その部屋の中央では、また気絶したらしいMB-5が診察台のような ものの上に横たわっている。  …よく見れば、その診察台を中心とした床に、幾重にも魔方陣が刻まれていた。執拗に、細密に 刻み込まれた術式の集積が、知識のない者にもそれが一種の結界であろうことを匂わせる。 『…どうじゃなあ、検査の方は』  その空間の中に、寝所に向かったはずの龍王の声が響いた。  姿なき主の声に、白衣のヒトが驚くでもなく事務的に答える。 「駆動系やセンサー類は、たしかに高度ですが理解できるものですから『別の時代』から落ちた物 というわけでもないようですが…制御系などの重要部位はブラックボックスとして高度なシールド を施されているらしく、彼女の...
  • ツキノワ02
    ツキノワ 第2話 2.熊とランチでハニーハント        私の感覚ではついさっきまで真夜中だったはずなんだけど、こっちの世界ではちょうどお昼どきだったらしい。  ウルさんはごはんをつくるために、家からすこし歩いたところに湧いてる泉まで水を汲みに行くという。   「あ、もちろん手伝います!」 「そりゃ助かる。ついでにこの辺のこと一通り案内しねぇとな…って、大したもんもねぇけどさ」    なんと、しょっぱなからお散歩デートとな!?  いやいやいやいや何を、いったい何を期待してるのかね私は。タハー!  …なんつって内心浮かれポンチの私に無造作に手渡されたのは、なんとポリタンク(!)だった。   「へえ、これは向こうでも水入れんのに使ってんのか? たくさん入るから重宝してんだよー」 「ええまあ…まさか異世界でまで重宝されてるとは思いませんでしたけどね…」    うわぁ、異世界情緒もクソもな...
  • 不眠猫のお嬢様02
    不眠猫のお嬢様 第2話 無口な鳥のお客様   お嬢様の眠りを取り戻した男は、そのままお屋敷の召使いになりました。 というか強制的にならされました。仕方がありません。この世界では男は無力です。 何をするのも金と地位と権力が必要です。こういうところは私たちとおんなじですね。 男は現実の三種の神器を手に入れるために、猫のお嬢様の召使いを了承。あざといです。 そんな大人の奸計なんてわからないお嬢様は、これで家の人達と仲良くなれると大喜び。 さっそく召使いを屋敷の人達にお披露目しました。 召使いが居並ぶ人々を見渡し、ポカ―(゚Д゚)―ンと放心しました。 猫だけではなかったのです。そこには、様々な動物が人間となっていました。 犬、魚、鳥。果ては熊まで二足歩行。その誰もが美しい女性です。 ですが召使いは気を取り直し、それぞれに挨拶をしていきます。 結果は散々な物でした。犬人には噛まれ、魚人にはヒレビン...
  • 火蓮と悠希02
    火蓮と悠希 第2話     目が醒めると火蓮さんとなぜか抱き合って寝てた。 しかも、2人とも素っ裸。 「えぇぇぇぇぇぇぇぇ!?なんでっ?」 思わず叫んで飛び起きると、火蓮さんが眠そうに眼をあける。 「にゃ~、ねむい~・・・ゆーき、朝から元気だねぇ~、もうジュース抜けたんだねぇ~」 ダルそうに伸びをしながら火蓮さんが言うので、やっと昨日の事を朧気に思い出して、真っ赤になる。   だって、火蓮さんに、火蓮さんは、ご主人様なのに、召使いの自分に、その、あんな事や、そんな事を・・・ 「あぅぁ~」 言葉にならずに変な声がもれると、火蓮さんが不安そうに見上げてくる。 朝焼けに照らされた金の瞳が、とてもキレイなんだけど、それを堪能してる場合じゃなくて。 「あっ、いやっ、そのっ、えっと、もっもう体大丈夫なんですけどっ、そのっ!」 「だいじょーぶならいいやぁ♪まだ全然時間早いから、朝風呂一緒にいこっ?」 ニ...
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