猫耳少女と召使の物語@wiki保管庫(戎)内検索 / 「岩と森の国ものがたり16a」で検索した結果

検索 :
  • 岩と森の国ものがたり
    岩と森の国ものがたり 最終更新日 : 2009年12月02日00時15分06秒 【作者】 : カモシカ担当 【舞台】 : 大陸西部、カモシカの国全域 【作風】 : インカ風 らぶらぶ でれでれ どろどろ 燃え戦闘 シビア 近代兵器有 【注意】 : 属性多様。虫、鬼畜、触手、愛憎劇が所々に。 =話数= ==================簡易解説や補足================== =文量= -- グランダウス編(嵐の前の静けさ) -- 01話 リシェル×レーマ 17KB 02話 レーマ×アンシェル 21KB 03話 レーマ×アンシェル 21KB -- 白のピラミッド編(内乱勃発) -- 04話 「グランダウス脱出」 レーマ×リシェル レーマ×アルナ(虫) 50KB 05話 ナオト×女王様(触手&陵辱) レーマ&リシェル×アンシェル(複数プレイ) 33KB 0...
  • 岩と森の国ものがたり16a
    岩と森の国ものがたり 16a    犬国西部の大荒野に建つ巨大監獄、カロンセラ獄塞。  西部山脈から吹き降ろす寒風と、一年中どんよりと曇った空の下にあるそこは、国内の政治犯や、あるいは逮捕した国際犯罪者を収容する巨大監獄である。  人の近づかない荒野という立地条件と、幾重にも張り巡らされた警備機能で外部と徹底的に遮断されたそこは、ある意味においてはこの国の暗部の象徴ともいえるだろう。  その裏口から、女性の慟哭が聞こえる。  変わり果てた姿となったヒトを抱きかかえたまま、狂ったようにその名を呼んで泣き続けるイヌの女性。  そして、同じく半狂乱になって衛兵に食ってかかるイヌの男。 「なぜアツヤを殺した!」 「殺したのではない。尋問の途中で勝手に死んだだけだ」 「ざけんなっ! アレが尋問か!!」  指差す先には、女性に抱きかかえられた、変わり果てたヒトの亡骸。  ほんの一月前、まだ幼さを残して...
  • 岩と森の国ものがたり10c
    岩と森の国ものがたり 第10話(後編)      夜空に星が瞬く。  まだこの季節、夜はうっすらと寒い。  ぶるっと、アンシェルが小さく震えた。 「大丈夫ですか?」 「あ……」  レーマが、そっとアンシェルの肩を抱き寄せる。 「だ、だいじょうぶだ……」  声が上ずっているのが、自分でもわかる。  鼓動が、妙に早くなっている。 「……建物の近くに行くまで、ずっとこうして行きますか?」  レーマの優しい声。白い息が、月明かりの下でうっすらと見える。 「ば、ばかを言うな……」  そういいながら、言葉とは裏腹に、無意識のうちに体をレーマに寄せる。  あったかい。  本当は、今こんなことをしている場合ではないのに。  妹を助けるという大切な目的があるというのに。  それでも、体が勝手に動く。  心の中で、言い訳をいろいろと並べる。  体が冷えては、いざというときにうまく動かないから。  不審に思われ...
  • 岩と森の国ものがたり10a
    岩と森の国ものがたり 第10話(前編)     国が滅ぶ、とはどういうことなのだろう。 ふと、リュナはそんなことを思うことがある。 王家が存在し、民が多種族の奴隷ではなく、それなりの自由と権利を持って生きている。 それを国家の存在する証といえば、確かに滅びてはいない。 だが。 自種族の言葉と文化を失い、他国の貨幣を用い、自国だけでは自給すらままならない状態は、果たして本当に国が存在するといえるのか。 この辺境の国で語られる言葉はコモン(共通語)であり、使われる貨幣はセパタ。 縄縛文字はとうの昔に過去のものとなり、かつては少々血なまぐさい風習とともにあった彼ら独自の信仰は、他国の自然科学の影響を受け、あるいは多少の圧力と意図的曲解も受け、今ではかつての面影はほとんどない無害なものとなっている。 それが非だというつもりはない。それはある種の「近代化」であり、時代の流れの必然でもある。 第一、リ...
  • 岩と森の国ものがたり08
    岩と森の国ものがたり 第8話      ぽつりと、アンシェルがレーマに尋ねる。 「レーマは、もしヒトの世界に戻れるのなら……戻りたいか?」 「うーん……」  すこし、考えるレーマ。が、すぐに答える。 「正直、あまり戻りたくないですね」  意外な返事だったのか、アンシェルが問い返す。 「なぜだ?」 「こっちに落ちてきたのが五歳の時でしたし……いまさら帰っても、正直居場所がないといいますか……」 「家族がいるだろう」 「いたとしても、その……名前も覚えてないですから。……名前どころか、ほとんど何も覚えてないですね、向こうの世界のこと」 「……そうか」 「ま、それはそれで割り切ってますよ。どのみち、元の世界には戻れないらしいんだし。」  明るい表情で答えるレーマ。ちくりと、アンシェルの胸が痛む。 「悪いことを聞いたな」 「そうですか? むしろ、お前いらないから帰れとか言われたほうが辛いですよ」 ...
  • 岩と森の国ものがたり07c
    岩と森の国ものがたり 第7話(後編)     そのころ、リュナ達は。 星のピラミッドへの道をひたすら歩いていた。 少し前から、何かずっと考え込んでいる様子のリュナ。フィリーヌが尋ねる。 「何を考えてるの?」 「ん? いや……もしかすると、この戦……ここで終わらせるべきじゃないのかって」 「どういうこと?」 「少々不利な立場にはなるが、ここで降伏でも和議でも結んで、この戦乱を終わらせるべきなんじゃないかと、そんなことを考えてた」 「……勝てない、ということか」 アルヴェニスが問いかける。 「……それもある。この国の荒廃もひどいし、そういった理由もある。でもそれ以上に、この戦に感じる、なんともいえない胡散臭さが気になって仕方がない」 「胡散臭いのは最初からでしょう? 何を今更……」 「ああ。確かに最初から胡散臭かった。でもその胡散臭さが何なのか、よくわからないままここまできてしまった。そして多...
  • 岩と森の国ものがたり15
    岩と森の国ものがたり 第15話      ライファスの正門から、商隊の馬車の列が旅立ってゆく。  前後を護衛部隊が警護し、交易品の他にも路銀や食料を積み込んだ、総勢二百人を超える集団は、白嶺街道を北へと向かい、オオカミの国やイヌの国を巡り、そして半年ほどで再び戻ってくる。  その馬車の列を見送りながら、ヒトの男とネコの女性が話していた。 「うまく北方に販路が広がればいいけど」 「北方は市場としてみればまだまだ未開拓の部分が多いにゃ。相手の需要を掴めば勝機は十分にあるにゃ」  その言葉に、ヒトの男がぽつりと呟く。 「先行投資が多いから、相当儲からないと採算が取れないけど」 「急いで儲けようとしないことにゃ。北方販路は新規開拓にゃから、序盤で躓くとそのまま終わるにゃよ。利益を取りに行くのは需要を固めてからでも遅くないにゃ」 「ネコらしくない意見ですね」 「南方販路とは売るものが違うにゃ。奢侈品...
  • 岩と森の国ものがたり外伝02
    岩と森の国ものがたり 外伝2 スカボロー・フェア     ♪Are you going to Scarborough Fair Parsley sage rosemary and thyme Remember me to one who lives there She once was a true love of mine...  ライファス宮殿の屋上。  リュナ・ルークスは二つの月が照らす空の下でひとり歌っていた。  サイモン&ガーファンクルのスカボロー・フェア。異世界の住人が知るはずのない歌を、リュナはよどみなく静かに歌う。 「誰かと思えば、ルークス卿でしたか」  いつからそこにいたのか、背後からナオトの声がした。 「てっきり、ヒトが歌ってるのだとばかり思いました」  その言葉に、振り向いて笑う。 「ヒトの歌らしいね」 「ええ。だから、ルークス卿が歌ってるのが意外で」 「そんなに意外...
  • 岩と森の国ものがたり14
    岩と森の国ものがたり 第14話     「すぅ……」  気持ち良さそうに眠っているフィリーヌ。  その髪をいとおしげに撫で付けていると、扉の方から声が聞こえた。 「お姫様はおねむしちゃった? リュナちゃん」  そう言いながら、ベリルが部屋に入ってくる。 「なんとか。そろそろ僕も眠らないと身がもたない」 「ふふ、お疲れ様」 「誰のせいだ」  そう言って、軽く睨む。 「あら、もしかして怒ってる?」 「僕のことはともかく、フィルを泣かせることはないだろう」  その言葉に、くすりと笑うベリル。 「あらあら、優しいのねリュナちゃん」 「……ちゃんづけはよしてくれ」 「何いってんのよ。イヌだったらリュナちゃんなんて幼稚園児よ」 「……僕はカモシカだ」 「ふふ、拗ねた顔も素敵」  そう言って、近づいてくる。 「リュナちゃんって、ほんと魅力的」  熱っぽい瞳が、リュナを見つめている。 「リュナちゃんは、い...
  • 岩と森の国ものがたり12b
    岩と森の国ものがたり 第12話(後編)          ◇          ◇          ◇    その頃、太陽の都のエグゼクターズ基地では。    レーマとアンシェルが奇妙な捕虜暮らしになってから、もう何日かになる。  レーマの漠然とした予想では、そろそろリュナが助けに来てくれてもいいはずなのだが、世の中はとかく予想通りにはいかない。  もっとも、リュナが来ないというのは、ニュスタにとっても意外なようで、鉄格子越しに愚痴を聞かされることもある。 「遅いなぁ~」 「僕にいわれても困ります」  癖と言うものは怖いもので、最初のうちこそタメ口を利いていたのに、いつの間にかニュスタに対しても敬語を使うようになっている。  十年間、言葉遣いを鍛えこまれたトラウマがあるのかもしれない。 「かわいい奥様が悪の組織に捕まってるというのに、なにやってんのよあいつ」 「悪の組織……って、自分で言...
  • 岩と森の国ものがたり13
    岩と森の国ものがたり 第13話      フロミアのヒト居住区は、この時期大いに活気づいている。  この中で生活しているヒトの数は約八百人。かき集められた「落ちもの」たちに加え、この街で「落ちもの」どうしを交配させられて生まれた二世世代もいる。  もともと、この街はヒトを「養殖」し、商品として売るために作られた。  十分な教育と衣食住を与えられてはいるものの、所詮、この街のヒトは「ヒト牧場の家畜」に過ぎない。  監視は厳重であり、自由も制限されている。  けっして、そこは「ヒトの楽園」ではない。    だが、この時期は別だ。  年に何度か開かれる、フロミアを挙げての祭り。  いまはフロミアの秋祭り、通称フロミアフェスタが盛大に開かれている。  もともとは、交配させ、妊娠させたヒトの女性が、圧迫感による精神的不安定のため欝状態となり、胎児に影響を与えることへの対策としてはじまったのがこの街の...
  • 岩と森の国ものがたり01
    岩と森の国ものがたり 第1話     「この・・・愚か者めがあっ!!」 その言葉が終わるより先に、少女の手に持った枕が少年の顔面に向かって飛んできた。 横に飛びのくようにして、あわててそれをよける。よけたその先に布団が飛んできた。 布団を払いのけるより先に、毛布、目覚まし時計、ぬいぐるみなど、少女の手の届く範囲にあるありとあらゆるものが投げつけられる。 布団やら毛布やらぬいぐるみやらで山のようになった中から、少年が這い出してくる。 這い出してきた少年の目の前に、抜き身の剣が突きつけられていた。 「・・・きさまという男は・・・」 剣をつきつける少女の目が冷たい。 「ペットの分際で・・・」 声も、怒りを隠そうともしていない。 「主人の寝込みを襲うとはどういう了見だっ!!」   「ね、寝込みを襲うって・・・」 あわてて弁解しようとする。 「もう八時になるから起こしにきただけ・・・」 「黙れっ! ...
  • 岩と森の国ものがたり06
    岩と森の国ものがたり 第6話      星のピラミッドは、もともと占星術のための天文台だった。  かつて占星術が秘儀だった頃の名残か、白のピラミッドに比べてはるかに入り組んだ構造になっており、またピラミッド自体も堅固なつくりになっているため、その気になれば下手な城砦なんかよりはるかに堅固な要塞となる。  内乱勃発直後に王弟派がこの星のピラミッドを真っ先に制圧したのも、その要塞としての有用性ゆえであった。  そして今、リュナ達はそこへと向かっている。  リュナとフィリーヌ、そしてアルヴェニス。ダイオニスの家で着替えた服のおかげで、一見しただけならただの旅人に見える。  ……もっとも、この戦乱の地で「ただの旅人」がいること自体が不自然ではあるが。    息も切らさずに山道を歩くリュナ。その後ろを、フィリーヌとアルヴェニスがついてくる。 「……よくもまあ、それだけ元気に歩けるな」  アルヴェニス...
  • 岩と森の国ものがたり11
    岩と森の国ものがたり 第11話      全身にまとわりつくような、ぬるりとした鮮血の感触。  いったい何人を斬ったか、もう覚えてもいない。 「ここまで来たというのにッ……」  悪態をついたところで、事態が良くなるわけではない。  今の居場所は、建物二階、廊下のど真ん中。  前後から挟み撃ちにされ、切り結びながら血路を探している状態。  つまりは、逃げ場がない。  窓は鉄格子が入っているし、そもそも二階から飛び降りて足を挫かない自信はない。  あまり広くない廊下。斬り込んで混戦に持ち込めば、少なくとも銃や飛び道具、ついでに魔法という「避けようがないもの」の脅威からは解放される。  しかしその代わりに、まるでキリのない白兵戦が延々と続くことになる。 ──こんなところで……  死んでたまるかと思う。  こんなところで死んだら、まあ自分自身が悔しいというのもあるが、それよりも先に申し訳ないという...
  • 岩と森の国ものがたり10b
    岩と森の国ものがたり 第10話(中編)      ふと、窓際のカーテンが揺れる。  扉が音もなく開き、そこから一人の女性が姿を現した。  褐色の毛並みを持つイヌの女性。その女性に、フィリーヌは見覚えがあった。 「……ベリル?」 「久しぶりね、フィルちゃん」 「……ちゃん付けはよしてよ」 「ふふ。ごめんなさいね」  多種族混成部隊のエグゼクターズには、当然カモシカやヒト以外の種族も多く入っている。  この女性……ベリルもまた、そんな中の一人。  主に調査偵察を担当しており、フィリーヌ、そしてリュナとも割と以前から面識はあった。 「どうして、ここに?」  フィリーヌの問いに、微笑を浮かべるベリル。 「お仕事。中身までは言えないわ。たとえフィルちゃんでもね」 「…………そうよね」  諜報担当者として当然の守秘義務。うなずくしかなかった。 「それともうひとつ。フィルちゃんにお知らせ」  しかし、続...
  • 岩と森の国ものがたり07b
    岩と森の国ものがたり 第7話(中編)     魔法を使えない上、文化的にも他国より遅れているカモシカの国は、必然として輸入超過の状況に陥っている。 そのため、昔から外貨獲得は至上命題といってもいい国策の一つだった。 農作物。具体的にはコーヒー豆と香辛料。あるいは鉱物。それらがカモシカの国の主な輸出品だが、やはりそれだけでは不足もある。 それは古今を問わない。今から20年前、今は亡き先代国王の御世もまた、外貨獲得に悩まされていた。 外貨獲得のため、カモシカの国は新たな輸出品目を必要としていた。 しかし山岳地のカモシカの国では、新興産業といっても限られてくる。 そこで前王が目をつけたのが、ヒトであった。 「落ちもの」と呼ばれるヒトは、その絶対数自体が少なく、ネコの国などを中心に奢侈品として人気がある。 ヒトを国内で養殖し、召使としての十分な教養を与えた上で売れば、新たな外貨獲得の手段になりうる...
  • 岩と森の国ものがたり02
    岩と森の国ものがたり 第2話      アンシェル・クレファンの一日は、朝食後のランニングから始まる。 子供のころから、野山を駆け回るのが好きだったこともあり、また高山の新鮮な空気が好きなこともあり、この屋敷で妹夫婦とともに暮らすようになってからは、毎日欠かせぬ日課となっている。  この日も朝食を終え、ペットを連れてランニングに出かけようとするアンシェルは、昨夜から夜通し続いた軍議を終え、ようやく戻ってきたリュナと玄関で顔を合わせた。 「お帰りなさいませ、あなた」  いつの間にか、妹のリシェルが玄関に出てきていて、彼を出迎えている。 「ああ、ただいま。元気だったか?」 「ええ、とっても」  そう言って微笑むリシェル。その艶のある笑顔を見たアンシェルは、つい思いっきり傍らのペットを睨みつけてしまう。 「そうか。こっちは……どうにも厄介な話が続いている。少し休んだら、また出かけることになりそう...
  • 岩と森の国ものがたり07a
    岩と森の国ものがたり 第7話(前編)      白のピラミッドの周囲に広がる町は、太陽の都と呼ばれている。  ここはカモシカ族の大半を占める太陽神信仰における総本山であり、ゆえにこの地に軍を向けるというのはある意味、神に刃を向けるに等しい暴挙とみなされていた。  それだけに、双方とも支持を失いたくないためあえてこの地には軍を進めていない。  結果、この地は女王派、王弟派の双方の合意による完全中立地帯となり、それだけに戦乱の続くカモシカの国では唯一の平和な地として、戦乱を逃れた人々が次々と集まってきていた。 「……すごい人の数ですね」  アンシェルに付き合って市場に出てきたレーマは、そういってアンシェルの方を見た。 「全国から戦火を逃れた者達が来ているからな。おそらく、今現在ならばライファスやグランダウスより人口が多いはずだ」 「……道理で」 「だが、それだけに気をつけねばならない」 「え?...
  • 岩と森の国ものがたり09
    岩と森の国ものがたり 第9話      星のピラミッドの一室。  惨劇の一部始終を話し終えたリュナが、ふっと吐息をつく。 「……まあ、そういうわけだ。恥ずかしながら、次に会ってもまるで勝てる気がしない」 「珍しいわね、リュナが弱音を吐くなんて」 「こればかりはね。星のピラミッドのど真ん中だからこそ、僕でも術っぽいものが使えたが、もし他の場所だったら生きてたかどうかもわからない」  国内でもっとも魔素の集中する霊地に建てられた神殿の、その最中深部。資質のないものでも、外部魔力を取り込めばそこでなら術を使えるほどの、一種の特異点。  カモシカ、あるいはヒトが魔法を使えるほどの魔素の満ちた場所は、国内では数えるほどもない。 「もっとも、僕が術を使えるほどの場所なら、もともと素質のある奴なら、さらにその力を増す。テレポートなんて、普通はそう簡単に……短時間に二度も三度も乱発できる魔法じゃない」 「...
  • 全キャラ一覧(種族)
    全キャラクター ―― 種族別一覧 世界観 前々から指摘されていたWikiの情報不足・活用されなさぶりを受け、 作者個人によるページではなく、読者が編集できるページとしてここを作成。 個別紹介のない作品、作るほどでもない一話完結の短編用に、 既出種族の確認、登場人物&情報の整理、資料&メモ帳用として使ってください。 2007年9月10日時点までに登場した種族は、 ヒト、ネコ、ヒョウ、トラ、ピューマ、ジャガー、オセロット、ライオン、ハイエナ、 イヌ、オオカミ、イヌとオオカミのハーフ、キツネ、ウサギ、ネズミ、リス、カモシカ、 ヤギ、イノシシ、ヒヒ、クマ、シロクマ、なんかクマっぽいの、ヘビ、ドラゴン、 サカナ、クロダイ、オニカサゴ、タコ、エビ、サメ、トリ、スズメバチ、カ、マイマイ、 歌鳥族、戦鳥族、タカ、ニワトリ、クジャク、ヒポグリフ、キメラ +α(動物とか精霊とか魔物とか)...
  • 岩と森の国ものがたり12a
    岩と森の国ものがたり 第12話(前編)          ◇          ◇          ◇    月光が、戦場を照らす。  死屍累々の草原を漂う、腐臭と血の臭いを含んだ風。 「……ひどい臭いだ」  その中を歩く一人の男が、ぽつりと口にする。  黒髪のイヌのマダラ。濃褐色の軍服を身に着け、腰には軍刀と拳銃を下げている。  階級章も勲章もつけてはいないが、素人目にも上質の生地を使っているとわかる軍服。  硝煙の匂いを嫌うイヌが拳銃を携行しているのも珍しい。  つまるところ、良くも悪くも普通とは違う。 (確かに、ひどい臭いね)  その脳裏に語りかけてくる女性の声。  数日前に戦闘が行われたばかりの、まだ生々しい戦場。  本拠地強襲の報に慌てた王弟派の一師団が、慌てて帰還しようとしたところを精鋭の奇襲部隊が待ち構えていた。  左右を渓谷に挟まれた隘路で、行く手を岩と炎に阻まれ、上から...
  • 岩と森の国ものがたり03
    岩と森の国ものがたり 第3話      カモシカ族と落ち物のあいだでは、たとえ性交を行ったとしても子は生まれない。  ……いちおう、そういうことになっている。  確かに、性交では子は生まれない。  だが、体外受精で、かついくつかの条件を満たし、そして最後に特殊な放射線を与えることで、双方の遺伝子を引き継いだ「かけあわせ」が誕生することは一部では知られている。  そして、かけあわせる種族ごとに微妙な差異はあるが、似たような条件をクリアさせることで「かけあわせ」が誕生する種族は何種類かいる。  そしてさらに「かけあわせ」同士を同様に掛け合わせることで、さらなる複雑な「かけあわせ」が可能となる。  三種族以上の特徴をかね持ち、かつ短所は各種族の長所で相殺する合成人。それをヒポグリフ種と呼ぶ。  最低でも三世代を必要とする、なんとも気の長い……それ以上に非人道的な人体実験の歴史が、この国の裏には存...
  • 岩と森の国ものがたり19a
    岩と森の国ものがたり 第19話(前編)   その頃、太陽の都にあるエグゼクターズ基地の一室では。 「レーマ……そろそろ戻ってくるかな」 「一年と言っていたから、無事ならばもうじき戻ってこよう」 「無事なら……レーマ、大丈夫かな」 「まっとうな勝負なら、私のレーマが遅れをとることはあるまいが……」  リシェルとアンシェルが、心配そうに顔を見合わせてそう話す。  鉄格子で遮られた部屋の中に、レーマの姿はない。 「……私がこのようなザマでなければ、レーマをあのような苦界に行かせることはなかったというのに……」 「姉様は悪くないよ。それに、今の姉様が行ったら余計心配だし」 「……そうだな」  自嘲気味にアンシェルが笑う。  かつて女王派の騎士であった頃、戦いに敗れて囚われ、執拗な拷問と輪姦を受けたアンシェルは、今でも心に深い傷と、男に対する恐怖心を負っている。  かつては誰が相手でも怖れずに立ち向...
  • 岩と森の国ものがたり05
    岩と森の国ものがたり 第5話     ライファス宮殿、謁見の間。 美しい女王の前に跪き、騎士が報告を行っている。 まだ若い。二十歳を少し超えた程度か。銀色の髪との端正な顔立ちのカモシカの青年だ。 名門の出であろうことは容易に想像がつく。平民では、たとえ騎士昇格試験に通っていてもまだ一騎士のままか、よくて小隊長程度の年齢だ。 しかしこの男の鎧につけられているのは千人隊長を表す、銀の飛竜のエンブレムである。 この年齢でその立場につくことができるなど、かなりの名門の出自で、なおかつ相当な実力がなくてはならない。 「陛下。グランダウス攻略は成功したとの報告がございました」 「……そうか。して、叔父上の身柄は?」 「申し訳ございません。いまだ不明なままでございます」 「いや、そちが謝ることではない。あの叔父上が易々と捕らえられるような方ではないことはわかっている」  そう言って慰めの言葉をかける女王...
  • 岩と森の国ものがたり04
    岩と森の国ものがたり 第4話      明け方の薄闇を引き裂くような一発の銃声。  突然の轟音で、レーマは目を覚ました。  何が起きたか、よくはわからない。だが、あの音は聞き違えようもない銃声。  そして、銃声が響くような時に、ロクなことがあったためしはない。  一緒に寝ていたアンシェルも、その轟音で目を覚ましていた。  すばやく服を着替え、手元にあった武器をつかむ。  それとほぼ時を同じくして、ものすごい音でベルが鳴り響き、そして伝声管からリュナの声が聞こえてきた。 「リュナ・ルークスだ。屋敷内の全ての就労員に連絡する。多数の不審者が当館に侵入した。 生命の危険があるため、総員に地下からの避難を命ずる。なお、武器の携行および臨機応変の対処を許可する。繰り返す……」  いつになく緊迫した声のリュナ。その声が、事態の深刻さを現していた。 「侵入者!?」  アンシェルと顔を見合わせ、そして次に...
  • 岩と森の国ものがたり17a
     その頃、太陽の都にあるエグゼクターズ基地の一室では。 「レーマ……そろそろ戻ってくるかな」 「一年と言っていたから、無事ならばもうじき戻ってこよう」 「無事なら……レーマ、大丈夫かな」 「まっとうな勝負なら、私のレーマが遅れをとることはあるまいが……」  リシェルとアンシェルが、心配そうに顔を見合わせてそう話す。  鉄格子で遮られた部屋の中に、レーマの姿はない。 「……私がこのようなザマでなければ、レーマをあのような苦界に行かせることはなかったというのに……」 「姉様は悪くないよ。それに、今の姉様が行ったら余計心配だし」 「……そうだな」  自嘲気味にアンシェルが笑う。  かつて女王派の騎士であった頃、戦いに敗れて囚われ、執拗な拷問と輪姦を受けたアンシェルは、今でも心に深い傷と、男に対する恐怖心を負っている。  かつては誰が相手でも怖れずに立ち向かって行けたが、今では一人きりだと戦うどこ...
  • 岩と森の国ものがたり外伝01
    岩と森の国ものがたり 外伝1 バレンタインネタ      くしゅんという、小さなくしゃみの声をアンシェルが聞きとがめた。 「風邪か?……全く、だらしがない。普段の鍛錬が足りぬからだ」 「くしゅっ……す、すみません……」 「しゃべるな、風邪がうつる!」  謝るレーマを、アンシェルがさらに叱る。 「姉様っ!」  さすがに、リシェルが口を挟む。  しばらくの間は離れ離れに幽閉されていたが、数ヶ月ほど前にリュナ・ルークスの消息が途絶えてからは、レーマ達と一緒の部屋に入れられている。 「レーマは病気をしているのに、そこまで厳しく言わなくても!」 「病気などするほうが悪い!」 「そんな言い方!」 「いいから、寝台の支度を手伝え! それから水と手ぬぐい!」  いいながら、足取り荒く寝台に向かう。 「レーマっ!今日から、貴様は一切身体を動かすことまかりならん! 休息と睡眠以外一切禁止だ! わかったらさっさ...
  • 岩と森の国ものがたり18a
     ──もう、四年近くも前のことが、今でも鮮明に思い返せる。  ハトゥン・アイユ西方の保養地トルキリム。その中心部から少し離れた小高い丘。  夜の闇は、二つの満月が照らす光で普段より少し明るい。  朱と蒼の月光が、リュナとフィリーヌを照らしていた。 「……本当にやるの?」  少し震える声で、フィリーヌが尋ねてくる。 「……ああ」  短く答えるリュナ。だがその声も、普段とは違う重苦しい声。 「……これから先の任務のためには、僕に『ルークス家当主』という地位が必要になってくる。貴族やお偉いさんの集まる場に入り込める地位が必要なんだ」 「だから、弟を殺すの?」  あえて、直接的な言葉で問いかけてくる。  それは、翻意させたいという想いのせいかもしれない。  だが、リュナは答えた。 「そうだ……いや、違う」  一度は肯定し、言ってから、少し考えて否定する。 「……僕たちは何もしていない。ただ、町の中...
  • 岩と森の国ものがたり設定
    (人物設定) 主人公 中条礼馬(なかじょう・れいま)。五歳頃にこちらの世界に落ちてくる。そのため、こっちの世界より異世界での経験が長く、まして漢字など知らない。 周囲からは(リュナ除く)「レーマ」と呼ばれている。 現在16歳。身長は165センチ程度、やや細身だがこっちの世界ではずっと山岳地帯で暮らしているため、見た目よりは肉体的には強い。 現在の環境は、アンシェル、リシェル姉妹のペット。名目上は召使なのだが、誰からもそう認識してもらえていない。 いちおう、愛玩動物と呼べる程度の可愛らしい顔立ちは持ち合わせている。 生きていくために、剣の腕も多少はあがったが、リュナはもとより、アンシェルにもとてもかなわないのが実情。 アンシェル カモシカ族の少女。18歳。長い金髪を持つが、その中に見える二本の角がちょっと怖い。 女王派の騎士だったが、一度囚われの身となり、今は王弟派のリシェ...
  • おまけ
    こちむい学園 最終更新日 : 2011年01月23日16時14分37秒 ―― こちむい学園。 それは「猫耳少女と召使いの物語緊急避難所」から生まれたパラレルワールド。 時代も作者も居場所も違う色んなキャラが一堂に会して学園生活を送っているという設定。 ある者は教師、ある者は生徒、ある者は用務員、ある者は飼育室の主。 パラレルワールドだからこそ許されるさまざまな闇鍋シチュエーションを楽しむ空間。 ========ストーリー======== ========成分======== ======作者====== =文量= 英語教師と委員長01 エロス ピューマ担当 32KB 剣道部主将と男共 ノンエロス 青春 蛇担当 7KB 飼育小屋のヌシ ノンエロス scorpionfish 4KB 女番長と舎弟 エロス 蛇足の人 25KB 英語教師と委員長02 エロス クリスマスネ...
  • 作品別設定資料集
    作品別設定資料集 最終更新日 : 2011年10月09日21時53分06秒 世界観 それぞれの作品ごとについての設定・資料集なのでキャラ設定などが中心 ページ作成等は自由なのでメモ帳代わりの編集も可能です □ 作品名 初出 メイン 作者(敬称略) こちむいシリーズ 1=29 ネコ こちむい(=あしたら) 華蝶楓月 2=216 キツネ 狐耳の者 IBYD 2=188 イヌ - 十六夜賛歌 2=504 ウサギ 兎の人 ソラとケン 2=645 ネコ ◆rzHf2cUsLc 放浪女王と銀輪の従者 3=261 ヘビ 蛇担当 黄金の風 3=348 ヒョウ 一等星 最高で最低の奴隷 3=476 トラ 虎の子 魚の国 3=739 サカナ 魚(・ω・)ヒト 狗国見聞録 3=754 イヌ♂ 見聞録の人 草原の潮風 4=63 複数 - 岩と森の国ものがたり 4=82 カモシカ カ...
  • 種族まとめ
    種族まとめ 世界観 【体】 …… 身体能力(平均)。腕力・体力・瞬発力・機敏さ・体格・頑丈さ、その総合。 【魔】 …… 魔法の素養(平均)。種族から来る基礎保有魔力量&魔法センス。 【頭】 …… オツム(平均)。あるいは工夫を凝らそうとするその度合い、創意工夫。思考の柔軟さ。 【体格】 … 平均身長体重。日本人をMとした場合。♀の差はそれほどでも。 <体/魔/頭>  ☆=別格 ◎=凄い ○=まあまあ △=苦手 ×=全然ダメ 〓〓=詳細不明 <体格>  SS=超小柄。成人でも幼児体型とか、妖精サイズとか。  S=やや小柄。平均150~160cm程度。  M=日本人の平均身長程度(♂170cm、♀160cm)  L=欧米人の平均身長程度(♂180cm、♀170cm)  LL=やや大柄。平均200cm前後。  3L=超大柄。身長250cmとか、300cmとかの個体も存在...
  • 用語集
    用語集 世界観 共通基本設定まとめ 種族まとめ 国家まとめ 魔法まとめ に収まりきらない用語や語句なんかはここに。 実質作者の個人ページ扱いである作品別設定資料集とは逆に、 こっちはどうぞどんどん読者ことスレ住民の手で埋めてって。 世界観資料wikiを見ることができなくなったのでこちらに移動 作品別設定資料集 <あ> ■アフアの実 果実。ココナッツやヤシの実に似た、白い果肉の南国木の実。 ただし絞って出来るジュースは見た目・質感・匂い、全てまんま精液(味除く)。 媚薬効果があり、特にヒトには劇的な効果がある為原液を飲ませると大変な事に。  火蓮と悠希 ■アルケール タマネギぽい野菜  虹絹の乙女達 ■イサーニョ ジャガイモに似た食物。  木登りと朱いピューマ ■イサーニョの甘辛煮 ヒト世界の料理を真似たもの、イサーニョ...
  • 長編SS一覧(メイン)
    最終更新日 : 2015年11月02日02時06分21秒 全ての連載が何らかの形で性的描写・官能表現・18禁要素を伴います。 必然的に「猫耳(少女&少年)」「獣人(ケモ)」「人外」属性の作品がほとんどです。 連載名をクリックすると専用ページに飛びます □ 新規作品       : ここ3ヶ月以内に開始された新規の連載小説&単品小説 □ 連載&完結長編 : 好評連載中、あるいは既に完結(?)した長編連載 □ 新規作品(-) 初出 メイン 作者(敬称略) 総文量 最終投下 カラス 18=646 カラス ◆US7whhBFyg -kb 13/12/31 ウラオモテ異界帳 19=92 蝶 - -kb 14/11/16 □ 連載・完結長編 初出 メイン 作者(敬称略) 総文量 最終投下 こちむいシリーズ 1=29 ネコ こちむい(=あしたら) 500超 あしたらシリーズ ...
  • きつねものがたり
    きつねものがたり 最終更新日 : 2010年01月04日22時03分17秒 【作者】 : 17=118 【舞台】 : 【作風】 : 【注意】 : =話数= ==================簡易解説や補足================== =文量= 序章  序章 18kb メイン登場人物 一行紹介 < あらすじ >
  • 魔法まとめ
    魔法まとめ 世界観 科学技術と違って我々の世界にはない概念な関係、必然的にオリジナル要素が強い。 なのでまとめておく。 基本設定 魔法=ファンタジー世界のお約束。この世界に当たり前のように存在するもの。 ただし種族による素質の差、個人の才能による限界の差が著しく、 もって生まれた才能で大部分が決定してしまう理不尽かつ不平等な能力でもある。 使える人間にとっては息を吸うように、歌を歌うように自然に使えるものだが、 使えない人間にとってはとことん使えず感じ取れもしない残酷なもの。 無論、才能だけあれば後はどうでもいいような代物でもなく、 才能+血の滲むような努力の二つが揃わないと大魔法使いにはなれない様子。 ■【魔素】 この世界にはあって、ヒトの世界には無い何らかの要素。魔法の素。 特に大地や山々において、自然状態で遍く存在する、 未だ人間の手...
  • きつねものがたり プロローグ
    きつねものがたり 序  扉を開けると、私の奴隷が床に寝転がっていた。  仰向けに寝転がっているヨゼフ・ラドヴァーは私の方を見上げると、 「出たか、ご主人」  楽しそうに言って、にい、と笑う。奴隷を自称するにしては、実に不敵な笑みだ。  それもそうか、と思う。実際にこいつは私よりずっと強いのだ。  ヨゼフは分厚いコートの懐から一枚の紙を出し、 「そちらはどうだった? 俺は『歯をよく磨きましょう』だったんだが」 「そんな子供みたいなことを書かれたの……」 「良いじゃねえか。あんたが完治するまで歯の磨き方でも勉強するとするよ」 「そうかもね」  呆れ混じりにそう言ったが、そうだよ、とヨゼフは笑う。 「あんたの傷はウサギの国でも、ちと長くかかるだろうが。暇で仕方がないからな」 「暇なら来なきゃ良かったんだ。森番を任せるなんてことをせずにな」  実際、それは本音だった。来なくても良かったのだ。  ...
  • 全キャラ
    全キャラ一覧――作品別       舞台がネコの国     【こっちをむいてよ!ご主人様】【こちむい外伝】 名前 種族 性別 年齢 容姿 備考 『ぼく』 ヒト ♂ 13歳 - 家事技能高 ソラヤ ヒト ♂ 11歳 - 長期訓練者 マナ姫 ネコ ♀ 20前後【35±】 黒猫 金眼 ポニテ 姫(第30位) ユナ ネコ ♀ 10代前半【35±】 銀猫 ポニテ ロリ 薬局経営 リナ様 ネコ ♀ 20代【35±】 紅猫 長身 巨乳 大陸無双 ミルフィ姫 ネコ ♀ 20代【?】 金猫 黒眼 爆乳 姫(第1位) 女王フローラ ネコ ♀ 30代前半【400超】 三毛猫 現マギステル イーリス ネコ ♀ 30代前半【400超】 三毛猫 - セレーネ ネコ ♀ 30代前半【400超】 三毛猫 - セキテイ 動物 ♂? -- 六本足 でっかい馬 リナ様の騎乗       【あした会えたら】【あした会えたらⅡ】 ...
  • 薄御伽草子
    薄御伽草子 ふしぎふかしぎぽんぽこりん ゆめかうつつかぽんぽこりん ひととたぬきのものがたり たぬきとひととのものがたり まことかうそか、ざれごとあそび だいいちまくの、はじまり、はじまりー…一幕・邂逅 僕が住んでいるのは、地方都市の片隅、開発途中の山の入り口だ。 すぐ裏が山というだけあって、様々な動物が庭に迷い込む。 野良犬や猫、たまに狐、狸、野兎。 宵闇が近付けば蝙蝠が飛ぶ。 実家暮らしのしがない大学生である僕は、長い夏休みを持て余して、時折庭に来る客人に余り物をご馳走していた。 今日の客人は、小狸だ。 僕の家の周りにいる狸は、警戒心の強い狐と違い、しっかりちゃっかり人間と共存して暮らしている。 かっかっ、と小さな音を立てて、僕からのご飯を食べ終えた小狸は、少し甘えるように僕の足に頭を擦り付けて去っていった。 (…大学に、涼みに行くか…) 余談だが、僕の家にはクーラーがない。 一年半...
  • 伝言板
    伝言板 最終更新日 : 2023年11月13日01時35分07秒 メールする程でもない連絡事項、質問、言伝、誤字脱字リンクミス指摘。 作品への感想や管理者への要望などもあれば。 名前 コメント 中古奴隷の人が最...
  • イノシシの国06a
    イノシシの国 イノシシ編パート6     六   旋風が、枯葉の上を踊り狂う。  低いうなり声が、木立の中を荒らす。  もつれあう着物を着た、剛毛の固まり。  それを追いかける、怒気に溢れた黒い影。  薮の影から転げ出た取っ組み合いから、ひとつの影が離れた。 「……なせに、何をした」  若者に馬乗りになったバジは、牙を剥き出しにして威嚇し、低く唸った。  答えを待たずに、牙に触れぬよう、数度太い腕で殴りつけると、若者は、呻いた後、首をだらりと弛緩させた。 「兄者!」 「弟者!」  後から追いかけてきた二人が、気を失ったひとりを見て、血相を変える。  イノシシの顔は表情が分かりづらい。  だが、逆毛を立てた三人は、一触即発の雰囲気を漂わせていた。 「ここを何処だと思っている」  仁王立ちになったバジはゆっくりと振り返る。 「仮にも、『西の要』の里のお膝元で、年端もゆかぬ、異種族の娘を襲うとは...
  • 俺とクゥ
    俺とクゥ 夕暮れ・・・ 半袖にマフラーの少年が呟く 「・・・・楽しくねぇな・・。」 意味のない宿題も、話を聞かない教師も、ファッションとしてのマフラーを否定するやつらも、彼は嫌いだった。 『意味のある勉強をさせてくれ、人の話を聞いてくれ、マフラー流行ってたんじゃねぇのか?少し標準とズレたらこれか・・』 黒髪が耳とうなじをくすぐる、ワックスいらずのツンツン髪。1人の人間というよりも大量の制服がアスファルトの上を歩いている。高校・・世の中という1つの生き物。 その生き物のカケラが、鋭い犬歯を限界まで見せ、幼なさの残る目を見開き、しかし誰にも気づかれぬまま陽炎の中に消えた。 気がつくと森の中に居た。体はだるくて起き上がれないし、まだ目が開かないから確かめたわけじゃないが木の匂いがするから多分森の中だ。一度だけ森の中に入ったことがあるからなんとなく分かる。 あとは・・・水が流れる音が聞...
  • 狼の国
    狼の国 狼の国。その地域を収めるもののすむ城。 それは本当に童話に出てくるような、城らしい城。ディズニー城というかホロウバスティオンを想像して欲しい感じだ。 広大なその城の日等の廊下を女性、いや少女と呼ぶべき位の外見の二人が歩いている。 一人は背が高く、誰もが目を見張るような美しい銀髪でもう一人は中背で蒼のショートカットだ。 何かを話しながら歩いている。やがて廊下の突き当たりにある部屋の前で足を止め、青い髪のほうが鍵を取り出しその扉を開ける。ギイと音をたてて扉が開く 「!?」 しかし、中には誰もいなかった。よく見ると奥にある窓が開いている。青い髪が早足でその窓に近づき、顔を出し、下を見下ろす。 「まさか・・!ここから逃げた・・・!?」 城の外の庭。そこでは城に使えている者の子供たちがボールを蹴って遊んでいた。どうやらサッカーをしているらしい。しかしこの世界にはそんな遊びはないはずだ。 そ...
  • イノシシの国02a
    イノシシの国 イノシシ編パート2     弐    丸太のように太い腕は、ヒトの少女を横抱きにするには寸足らずだった。  丸みを帯びた肩では、少女を抱え上げるのにも、毛並みの上を滑っていきそうだった。  手荒に扱うのも、衝撃を与えるのも、避けたい。バジは苦心して少女を運んだ。  幸い、近くには水場があった。  岩肌から清水が染み出し、小さな流れを作る。その苔むした岩場から少し離れて、ぐったりした少女を柔らかい下生えの上に慎重に降ろす。  草の上に横たわった少女の顔は青白く、血の気がない。  あちこち破れた着物の下から覗く肌は手足より白い。どうやら手足や顔などは日焼けをしているようだ。  夏の日差しを思い出し、バジは少女が何処から逃げてきたのか、とふと考えた。  追っ手の気配は今のところない。  バジは縞合羽の下から、銀縁杯を取り出し、湧き水を汲んだ。縁の色は変わらない。十分ここの水は飲用に...
  • 夕焼け色の贄 第三話
    夕焼け色の贄 第三話    赤い水は底の泥によるものだった。  連日のスコールに薄まりもせず、赤い大河はたっぷりと養分を森へ運ぶ。  大河はこの地の象徴であり、なくてはならないものだった。  サルたちがどれほどこの河を、この土地を愛してきたか知る者は少ない。  それは彼らが多くを語らず、自ら使い捨てられることを望み、それを誇りとしてきたからだろう。  その彼らが唯一執着を見せたのが一本の霊木と―  夕焼け色の贄 第三話「朱色の扉“倫人会”」  この森の朝は霧が深い、しっとりとした空気が肌一枚隔てた所に渦巻いている。  今日僕達は、昨日フィオ君たちが行っていたカカルヒという人に会いに、下流…つまり海の方へ行くらしい。  まだ眠い目をこすりながら足元に視線を落とすと、石のタイルが苔に覆われながらも河の方向へ続いていた。  そのタイルを目でたどるように後ろを振り向き、僕はこっちに来て始めてフィ...
  • 魚の国設定
    【マリー・ランヴィアス】 魚の国のお姫様でジャンのご主人様 蒼い瞳、蒼い髪、蒼いヒレを持つお姫様 髪はロングで髪の色と合わせた美しいドレスを着ている おしとやかで優しい人 見た目は16歳くらいだが実年齢は謎 【ジャン(主人公)】 ある日突然こっちの世界に落ちて来たヒト 一人称は「僕」  イギリス人と日本人のハーフ  見た目は青い瞳に金髪の外人風だけど生まれも暮らしも日本なので生活習慣や言葉は日本人そのもの ご主人様の召使いをやっている 性格はおとなしめ 年齢は15歳 【リリー・ランヴィアス】 マリー様の妹 明るい性格 お姉さまのような素敵なレディになるのが夢 見た目は12歳くらいだが実年齢は謎 なお、ランヴィアス(Laneviath)はリヴァイアサン(Leviathan)のアナグラムです
  • 魚の国03
    魚の国 第3話   「今でこそ我々は海底に都市を創り生活していますが、数百年前までは地上の水辺に住む種族でした。 しかしある時、今日の我々の運命を決定付けた事件が起こりました。 他国の獣人の侵攻です。 かつて我々暮らしていたのは気候が穏やかで自然の恵み豊かな南方の地だったと言われています。 他の種族にその土地を狙われるのも不思議ではありませんでした。 我が国は懸命に侵略者と戦いました。 しかし、敵は陸での戦いを得意とする獣人。 戦局は次第に不利になり、ついにこちらは壊滅寸前まで追い詰められました。 もうだめかと思われた時、当時の女王様は民を率いて海へ逃れる決意をしたのです。 我々は海の中でも呼吸はできます。 しかし、光の届かない海底で生き続けていくことはできません。 そこで女王様は自身の魔力と生命力の全てを注いで海底に広大な広さの結界を御創りになられました。 そう、地上から遠く離れた海の底...
  • 旧説 白熊の国
    旧説 白熊の国 大陸北東――カンブリア地方。 万年雪とブリザードによって閉ざされたこの地には、人とは別の高等生物が暮らしていた。 彼らは皆一様に背が高く、毛皮と白熊の耳がある。 神がかつてこの地上を建設した時、人と熊を掛け合わせて作った種だと言われている。 人は神々が黄昏の時代を迎えるころ、この乾坤(せかい)と分離されてしまった。 爾来往来は無い。一部の例外を除けば。そしてここにも例外があった。 「エカさまー!」 少年が一人走り寄ってくる。茶色の髪の毛の下に利発そうなまなこが輝いている。 エカさまこと第三王位継承権者エカテリーナ・ニコラチェファ・ポリャンスカヤの従僕である。 エカさまと呼ばれたエカテリーナは無愛想な顔つきで従僕を迎えた。 「……ラウ、早く来い」 それだけぶっきらぼうに言うと、また背中を向けてすたすた歩き出す。 その後をラウと呼ばれた従僕ブラウンが必死でついていく。 エカテ...
  • 魚の国01
    魚の国 第1話   大昔、我々は岬や海辺の洞窟などに氏族ごとの集落を作り原始的な漁労で生活を営んでいた。 しかし、他種族との交流の中で魔法という文化が伝えられてからその生活は徐々に変わり始める。 海に生き、海に死ぬことを旨とする我らの中には生命の源である水を扱う魔法に長けた者が数多く現れた。 ある者は渦潮を意のままに操り、またある者は津波を自在に制御する術を身につけたという。 そしてその強大な力は次第に氏族間の争いに使われるようになっていった。 それまでも集落の縄張り争いで戦いが起こることはあったが小競り合いや頭領同士の一騎打ちで戦いは終わっていた。 しかし魔法で戦いが行われるようになってからは違った。 魔力に秀でた血統を持つ氏族が圧倒的な強さを持つようになり、他の氏族を支配下に置いて勢力を伸ばすようになった。 そして戦いが繰り返されるたび、各地に点在していた集落は領地という枠に組み込まれ...
  • 猫の国
    猫の国 今日は珍しく部活が中止。顧問が忌引きのために学校にこれなかったためだ。 米崎(通称ザッキー)なんかは「教師、そして○○部の顧問たるもの、親の死くらいで学校を休むなんぞけしからん!」とかなんとか演説をぶち上げていたが、郡山先生(通称ゴリさん)は長男だ。 葬式の喪主を務めたり、何かと役目があるだろうし、休みをとるのは仕方無いと思う。 それよりも俺達が恨むべきは、『生徒会会則65条 生徒ハ顧問及ビソノ代理ノ同伴無シニ部活動ヲ行ナッテハナラナイ』との訳の判らない条文と、徒にそれを徹底させる錆び付いた頭の校長だろう。 今にして思えば虫の知らせだ。なんとなく気分の乗らなかった俺は、いつもなら自分から誘いを掛ける馴染みのラーメン屋への同行を断り、たまっていたビデオの消化でもしようかと寄り道もせずに帰途をたどる。 家と学校、片道40分。そのうち30分の電車内を夢の中で過ごし、駅前の我が家の扉を開...
  • @wiki全体から「岩と森の国ものがたり16a」で調べる

更新順にページ一覧表示 | 作成順にページ一覧表示 | ページ名順にページ一覧表示 | wiki内検索

目安箱バナー