Sideイクス
扉を開けると、ソウ、それはアツアツのおでんよりもゴージャスなお部屋。
上を見るとブロッコリーの様なシャンデリアがカニミソみたいな光を放ってル。
目の前にはロリっ子守護者アンゼちゃんが天井から伸びている紐に手をかけてスタンバイ。
とりあえず挨拶は基本ダネ。

「ヒイィ・・・・・・。お気に入りの風船がしぼんじゃったヨオオォォ! アラ、コンニチハ」

ボクは床をお魚くわえた軟体動物の様に床を這いずり回り、アンゼちゃんをチラ見すると言っタ。

「何をしているのですか・・・まあいいです」

アンゼちゃんは黄ピーマンの様なため息をついタ。
そしてボクを正面からそのプチトマトみたいな目で見据えて続けル。

「半年ほど前から、輝明学園の周辺で地震が頻発しています。地震と言っても、小さな揺れを感じる程度ですが無視できない頻度で起こっています。あなたには輝明学園に編入してもらい、その周辺・・・・・・つまり夜代町を調査していただきます」

どうやらまた事件の匂いダネ。ボクは快諾することにしタ。

「爪が割れちゃったのネ、了解ヨー」

「話が早くて助かります。・・・・・・念のため確認しますが、その姿のままで潜入するつもりですか?」

するとアンゼちゃんが腐った紫キャベツの様に眉を顰めて言っタ。
ボクは部屋に置いてある姿見の鏡に映る自分を確認してみル。
2メートルくらいの身長。シュッと縦に長い楕円形の顔。アイマスクみたいな膨らみを伴う眼。ペンキの様に真っ白な肌。おへそがチャーミングに出てる黒服。背中に生える天使の翼。
特に問題は見当たらないネ。

「アウッ!」

「イエスなのかハイなのかはっきりしてください」

「イエスとも言うし、ハイとも言うヨ! まさに、カニミソッ!」

「そうですか。ではダメです」

アンゼちゃんは凍らせたプチトマトのような眼でボクを見ると続けタ。

「ちゃんとした人間の姿をとってもらいますよ。余計な混乱は避けなければなりません」

ボクは大丈夫でも確かニ混乱は避けた方がいいネ。

「ボクのブロッコリーがあらぶってるんだヨ! ・・・・・・でも確かにその通りだから、ボクそうするヨ」

「では、今すぐ人間態になってください。そのまま学園に直行ですから」

そう言いながらアンゼちゃんは天井から伸びている紐ヲぷらぷらさせタ。ボクは体中の神経をブロッコリーに集中させル。
すると、次の瞬間僕は人間の姿になっていました。

「あら、いいじゃないですか。頭の悪そうなビッチどもが群がって来そうな素敵な顔立ちだと思いますよ」

僕の姿を一瞥するとアンゼロットは感心した様に言います。僕はもう一度さっきの姿見の鏡に目を向けました。
そこには身長170センチ程の茶髪で中肉中背の男の人が写っていますね。
それにしても、少女・・・・・・いえ、幼女の外見にそぐわない何とステキな発言でしょうか。これではまるで冷えたコンビニ弁当ですね。
ここは世界の守護者に仕える使徒として一言言っておくことにします。

「相変わらず、口悪いですねぇ・・・・・・。しなびたセロリよりひどいですよ」

使徒とは俗に言う天使の様なものでしょうか。神に仕え、世界の平和を維持するべく代行者として力を振るうアツアツのおでんみたいな存在です。
そして、先ほどハミガキ直後の蜜柑とも言うべき暴言を吐いた、目の前の青い瞳に銀髪ロングの見た目少女こそが世界の守護者なのです。
そんな見た目は幼女、中身はホニャララのアンゼロットは深爪より深いため息をついて口を開きます。

「口が悪い、ですか。言語が微妙に通じないよりはマシです。それでは頑張って来なさい。アデュー」

アンゼロットは右手で敬礼のポーズを取りながら左手で天井から伸びている紐を引きました。
瞬間、僕が立っている床が抜けて、あまり心地よくない落下感に襲われます。
これはアンゼロット流の表界に使いを飛ばす方法なのですが、毎回毎回やられると流石にカリフラワーを突っ込んでやりたくなりますねぇ。
そう考えていると、全身に強い衝撃を感じると同時に僕の視界は暗闇に包まれました。何か土臭いですね、誰かブロッコリーを、早く。

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最終更新:2013年02月02日 16:42