Mystery Circle 作品置き場内検索 / 「MC vol.22」で検索した結果

検索 :
  • AMC vol.2
    ...le Vol.2(SMC vol.1) ◎「ここにいろよ」 空蝉八尋 ◎「今まではそうする理由もなかったからね」 ヨーノ ◎にわかに自信がぐらつき、なぜか罪悪感を覚えた。 松永 夏馬 ◎「男だからな。あからさまな誘惑には弱いんだろう」 おりえ ◎「なぜ、僕がキスしたか聞きたくないのか?」 Clown ◎これほど官能をくすぐられ、欲望をそそられる男性には会ったことがない。 なずな ◎「聖女でいるのに飽きることはないのか?」 真紅 ◎ひやかしまじりのひそひそ声が耳に入ってくる。 フトン ◎「僕が君への欲望に身を焦がしていたことに、気づかなかったんだね?」 朔 ◎静かな満足感がわいてきた。 kazumi ◎「あなたは涙なんか流さないんでしょうね」 これゆき ◎恐らく、致命的な結果を招くことになるとは思ってもみなかったに違...
  • MC vol.22
    Last update 2008年03月15日 Mystery Circle vol.22 ◎「君は元の場所へ帰るだけさ。ただそれだけのことだよ」 ゆずり ◎彼は溶けるように消えてしまったのだ。 知 ◎それは外国の子守歌のようでもあったし、古い映画音楽のようでもあった。 時雨 ◎しばらく沈黙があって、わたしの声の余韻だけが二人の間を漂った。 AR1 ◎それは何の飾りも文字もない、ただの真っ白い封筒だった。 幸坂かゆり ◎夜の闇に塗り込められた裏庭が、ガラス越しに広がっていた。 ヨーノ ◎もうどこにも、あの夜のかけらは残っていなかった。 空蝉八尋 ◎彼のなだらかな声は、耳の奥のひだを丁寧になぞっていった。 真紅(3作品) ◎誰かの名前が呼ばれ、隣のソファーに座っていた人が立ち上がった。 櫻朔夜 ◎汗ばんだ掌に包まれ、いくらかそれは...
  • MC vol.22/知
    Last update 2008年03月15日 真っ白な世界  著者:知 「ごめんなさい……」  私が彼にそっと触れると溶けるように消えてしまった。 「……ごめんなさい……本当に……ごめんなさい」  彼が完全に消えてしまってからも私は何度も何度もそう呟いていた。  彼は元の世界に、そして、元の時代に無事に帰りついただろうか。確かめる術はある。でも、確かめようとは思わない。そして、確かめてはいけない。確かめたら私は私でなくなってしまうから。私が私でなくなったらこの世界にいられなくなるから。  この世界に迷い込んでくる人は偶にいる。迷い込んだ理由は様々。だけど、元の世界に絶望した人……そのような共通点があった。  彼もこの世界に迷い込んできた一人だった。  他の迷い込んできた人と同じようにすぐに元の世界に戻るだろう、初めはそう思っ...
  • メニュー
    メニュー トップページ 通常MC MC vol.1 MC vol.2 MC vol.3 MC vol.4 MC vol.5 MC vol.6 MC vol.7 MC vol.8 MC vol.9 MC vol.10 MC vol.11 MC vol.12 MC vol.13 MC vol.14 MC vol.15 MC vol.16 MC vol.17 MC vol.18 MC vol.19 MC vol.20 MC vol.21 MC vol.22 MC vol.23 MC vol.24 MC vol.25 MC vol.26 MC vol.27 MC vol.28 MC vol.29 MC vol.30 MC vol.31 MC vol.32 企画MC AMC vol.1 AMC vol.2 AMC vol.3 SMC vol.2 Masquerade Masquerade vo...
  • MC vol.22/真紅
    Last update 2008年03月15日 No Title  著者:真紅 彼のなだらかな声は、耳の奥のひだを丁寧になぞっていった。 このざわめきの中でも、彼の声は良く通る。 天職、とはまさにこの事だろう。 患者である私から見ても、優秀な医師だと分かる。 「織江さん。」 思わず彼の声に聞き入ってしまっていたようだ。 「織江さん、診察室へどうぞ。」 私はその声のする方へと吸い込まれていった。  ----------------------------- 「ダメですね・・・。」 椅子に腰深く掛けた彼が、重い口を開く。 「・・・何がですか?」 その当然の問い返しに、彼は戸惑う。 「実は・・・。」 「実は?」 しばらくの沈黙を置き、沈黙を破る。 「妊娠してます。」 「・・・ホントですか!?」...
  • トップページ
    ...  このWikiではMC参加者は自由に自分の作品を編集する事ができます。  編集するにはユーザー名とパスワードが必要ですのでメールでご連絡ください。  自分の作品以外は絶対に弄らないようにお願いします。トラブルの元です。  活動中止期間を経て、Mystery CircleはMistery Circleとして生まれ変わりました。  URLはhttp //misterycirclenovels.blog.fc2.com/となっております。  よろしくお願いします 各MC回へのリンク  MC vol.1  MC vol.11  MC vol.21  MC vol.31  MC vol.2  MC vol.12  MC vol.22  MC vol.32  MC vol.3  MC vol.13  MC vol.23  MC vol.4  MC vol.1...
  • MC vol.22/グラン
    Last update 2008年03月15日 白が満ちるまで  著者:Glan  そこだけ影が差したように、写真は色あせていた。  今はもう誰が写っていたのか知るすべもない、古い具象化された記憶の断片。  一つだけある窓に面した通りからは、足早に駅へ向かう人々のざわめきが押し寄せてくる。  差し込む毒々しい色のネオン、その光を避けるように部屋の一番奥の隅にうずくまる少年。彼の視線の先には銀の写真立てがある。  夜の内にある室内は暗い。写真立て以外には何一つ家具がなく、それほど広くも無い木造の部屋。漂うのは木のぬくもりではなく、不安を煽る夜の匂いだ。ひび割れた窓ガラスの明かりが届かないぎりぎりの場所に無造作にある写真立て。  少年は瞬き一つしない。  声を失くした少年は、ゆっくりと立ち上がり写真立てを手に取った。暗がりに息を潜めた何者かに見張ら...
  • MC vol.22/AR1
    Last update 2008年03月15日 夢に抱かれるヴィーナス  著者:AR1  しばらく沈黙があって、わたしの声の余韻だけが二人の間を漂った。彼女の右手はグラスを水平に携え、その中身はスーツ姿の男の顔面目掛けて投げ打たれていた。先刻、彼女をナンパしたばっかりに遭遇してしまった悲劇に二十代半ばの美男子はわななくが、人目のあるバーの店内ではどうにもしようがなかった。 「帰って」  それが、グラスの口を向けられる直前の言葉。むせ返るアルコールの刺激臭――不幸にも、男は日本人の定説と化した「酒にあまり強くない」体質だった――に酔いつつも、脳天に上った血の衝動を抱えて退場するしかなかった。椅子に投げられているカバンを引ったくり、キザな彼は扉の蝶番をねじ切らんばかりの勢いで、小さな怒号を交えつつわたしの前から消えた。  ゆっくりと腰を落ち着けようとした時、最...
  • MC vol.22/おりえ
    Last update 2008年03月15日 連鎖  著者:おりえ 「道はどこかでつながっているものだよ」 「ああ、三本の道が果てには一本につながっていて、せっかく涙の別れをしたのにおまえらは……ってやつ」 「いや、そういうどっかのアニメ最終話の話をしてるんじゃなく」  友人は無表情に言って僕のおとぼけを切って捨てると、病院のベッドの上で、寝癖の残る髪もそのままに窓の外を見つめるのだった。  彼はもう、長いこと入院生活を続けている。原因不明の病に侵されているのだそうだ。といってもそれは本人説だから、どこまで信じていいのかわからない。スライド式のドアを開け、真っ白なベッドと真っ白な壁がぽつんと存在する世界へ足を踏み入れたとき思うのだ。友人の命は、恐らく長くない。当初は数人の友人を連れ立って見舞いに来たものだが、いつしか僕ひとりだけになってしまった。 ...
  • MC vol.22/松永 夏馬
    Last update 2008年03月15日 警部補・古葉谷三郎#7 ~灰色の掌~  著者:松永夏馬  汗ばんだ掌に包まれ、いくらかそれは温まっていた。  平良遼はポケットの中の右手を、まるで固く封印するかのように握り締めたまま、あえて空を見上げた。くすんだ灰色の夕焼け空が落ちて来る感覚に襲われた遼は眩暈を感じ、慌てて意識をアスファルトの地面へと落とす。手前から伸びる横断歩道の白いラインが歪む。  大丈夫だ。落ち着け。  自分自身に言い聞かせるように彼は目を閉じ、息を吐く。肺の中の空気を何度か入れ替える。そうして目を閉じることでようやく自分以外の世界が自分の中に染み込んでいくようだった。  車の走る音。クラクション。雑踏を踏みしめる幾多の足音と、他愛もない言葉達の波。  大丈夫。  小さく頷いてゆっくりと目を開ける。冬の終わりを告...
  • MC vol.22/なずな
    Last update 2008年03月15日 OUR HOUSE  著者:なずな 足元の枯葉を蹴った。長い信号だった。  ─ 何が間違いだったのか  * 転勤先で、二人だけの新しい暮らしが始まった頃は楽しかった。 地方都市らしい小ぢんまりした町並みも親しみやすい感じがするし、耳慣れない土地の言葉さえ、新婚生活のスタートにはふさわしく新鮮に思えた。 2DKの社宅。くるくると家事をこなし、やりくりを一生懸命している柚子は、何だかままごとみたいで、それがまた、かわいく思えた。 仕事が忙しい幸弘に代わって、様々な手続きを柚子は一人でこなし、家具や雑貨を決めるのにも沢山店を回って 「これにするよ、いい?」 メールで写真を送って来た。 柚子の好みのインテリアが少しずつ揃い、テーブルには可憐な花がいつもあった。 そして何よりも...
  • MC vol.22/望月来羅
    Last update 2008年03月15日 Raison d etre(存在意義)  著者:望月来羅  誰かの名前が呼ばれ、隣のソファーに座っていた人が立ち上がった。  何もすることが無い。ツカサは欠伸をかみ殺した。寝れば時間経過を感じなくてすむだろうか、と、包帯に巻かれた自分の右腕を見下ろしながら瞼を下ろす。  深く息を吸い込むと、鼻に独特の匂いが広がった。白が基調の廊下。そこかしこに充満するのは消毒の匂いで、町で一番大きな病院の待合室。この場所に座ってから呼ばれないまま、すでに2時間が経過していた。 「お兄ちゃん・・・。遅いね・・・」  いざ寝ようとしたとき、右隣から呟く声が聞こえた。僅かに瞼を開け、長い前髪の間から目だけで隣を見やると、大きな曇りのない瞳と目が合った。ただし、相手は左目だけ。右目はまだ新しい包帯に覆われ、額と、視線を落...
  • MC vol.22/空蝉八尋
    Last update 2008年03月15日 クロスアイ  著者:空蝉八尋  もうどこにも、あの夜のかけらは残っていなかった。  煌びやかな宝石よりも、浅ましく輝くシャンデリアよりも、一途に揺れる一本の蝋燭よりも。  何よりも光の差していた夜は、もう私の眼裏には映らないのです。  私の眼には、もう何も映らないのです。 「失礼致します、お嬢様」 「もうお嬢様じゃないわ、バトラー」  私は彼が扉をノックをする前、彼が磨き上げられた廊下を踏み歩く前、彼が紅茶のポットにやかんの湯を注ぐ前から、彼がこの部屋を訪れることが分かっていました。  きっと彼も段々と分かってくるのでしょう。私が開け放たれた窓の外を見上げ、顔に触れる風の感触に浸っているということも、髪と一緒に流れるカーテンを捕まえるのに夢中なことも。 「何をおっしゃいますか。お嬢...
  • MC vol.22/神楽崎ゆう
    Last update 2008年03月15日 ~memory~  著者:神楽崎ゆう  「でも、記憶なんて多かれ少なかれ、みんなそういうものなのかもしれませんね。」  新しく水を替えた花瓶をベッド脇に置きながら、彼は言った。  クリーム色の壁紙の殺風景な小さな部屋に、花だけがぽつんと鮮やかに浮き出てみえた。  「年なのかしらね。日に日に度忘れが多くなってるわ。」  ベッドに座っていた彼女はそう言って小さく苦笑してみせた。  「でも人と会話することって脳にはいい運動にもなるそうよ。それにね、わたし毎日あなたとおしゃべりする時間が楽しみでもあるの。」  ミルクティー色の綺麗な髪の毛は、今ではすっかり真っ白になり、背中の半分あたりまである髪を頭の下のほうで一つに結わえている。笑いシワの多い優しそうな顔には、昔の美しさが残っていた。ベッドの頭の...
  • MC vol.22/幸坂かゆり
    Last update 2008年03月15日 淡色憧憬~あわいろどうけい  著者:幸坂かゆり  それは何の飾りも文字もない、ただの真っ白い封筒だった。  まだ四月だというのに、蒸し暑いその日。まだ陽も落ちていないのに、早々と届けられた夕刊を取りに玄関に出た久子が、郵便受けを見ると、それが入っていた。思わず、息が止まりそうになる。久子は急いで封筒を郵便受けから取り出すと、小走りで家の中に戻った。心を落ち着けるべく、深呼吸をしてから、封に手をかける。昼間の気温のせいで、紙は温まっていた。まるであの日のあの人の体のように。宛名も何も書いていないということは、あの人がここに直接、持ってきたのだ。一体、いつ来たのだろう。私は昼間ずっと庭にいたというのに。薄く糊付けされた封は、容易に剥がす事ができた。案の定、便箋らしきものは入っていない。久子の胸に、懐かしく甘酸っぱい想い...
  • MC vol.22/ブラックジョーカー
    Last update 2008年03月15日 異次元への鎖  著者:ブラックジョーカー  それは冷凍室でかちかちにされた一切れのチーズのように、冷えきっていた。 本来それが正常に機能していれば人肌並に暖かいはずだ、電流が絶えず流れ、そこは暖かいはずなのだ。  そして私が眠っている間、私の感覚を支配していた世界はその中にあったはずだ。  今もまだあの中の世界の方が今周りに広がっている世界よりも現実に感じる。  踏むべきプロセスを踏まずに覚醒してしまった事もあるのだろうか?  それとも、覚醒したばかりの人間は正しいプロセスを経て覚醒してもこんな感覚に襲われるのだろうか?  意識は確かでは無いが、優先順位を考えると"それ"をチェックするのが一番最初だろう。  コアとなる装置の表面に大きな変化は見られない。  電源...
  • MC vol.2
    Last update 2007年10月07日 Mystery circle vol.2 ◎午後の日ざしを浴びたうしろ姿と、風におどるたんぽぽ色の髪のせいもあるだろう ろくでなしブルース ◎ふたたび目を上げると、いつのまに気づいたのか女はふりかえり、好奇心いっぱいの目で彼を観察していた 松永 夏馬 ◎「どうですいい景色ですか?」 カラス ◎微笑みは、いまの話を本気にする必要はないと語っていた 九龍 ◎そうだとすれば、それは彼女が着ているからにちがいない Clown ◎「おとといは兎をみたわ。昨日は鹿、今日はあなた」 知 ◎彼女はしばらく鳥の行くえを目で追い、やっと答えた。 kazumi ◎午後の日ざしを浴びたうしろ姿と、風におどるたんぽぽ色の髪のせいもあるだろう 出題者:知 作品名:「たんぽぽ娘(The Dandelion...
  • MC vol.27
    Last update 2008年03月16日 Mystery Circle vol.27 ◎甲高い笑い声が細く遠く響いた Monica ◎奇跡のような例外として存在していたのだ かしのきタール ◎まるで違った低く凍えるような声だった 真紅 ◎その顔じゃあ疑う余地なしよ Jun ◎胸の芯が繰り返し痛いと悲鳴を上げる 宇津木 ◎きれい、くるくるウズができるね rudo ◎ゆらゆらと揺れる炎の世界へと入っていった グラン ◎その媚びるような目や匂いだ 時雨 ◎ただ生きていくことにも大変なのだ 松永 夏馬 ◎机の上には、確かに短い毛が数本、落ちていた なずな ◎仮の時間を与えられただけだったのだ 朔 ◎これからの時間がただそうやって過ぎていくことにどんな問題があるというのだろう おりえ ◎また長い夜になる 国見弥一 ◎もう水をやろう...
  • MC vol.24
    Last update 2008年03月16日 Mystery Circle vol.24 ◎数え切れないほど何度もとおった道だったにもかかわらず、何もかもが新鮮に思えた。 神楽崎ゆう ◎これが最後の「さようなら」になりませんように......。 松永 夏馬 ◎これまでに、こんなにだいじな決断を迫られることはなかった。 李 九龍 ◎列車の警笛がなりひびき、金属製の車輪が路線をとらえる音が、どんどん近づいた。 国見弥一 ◎そのあとは、何もかも真っ白になった。 真紅 ◎灰色の石はすでに透明に変わっていて、その真ん中から幾筋もの光を放っていた。 AR1 ◎世界は、これまで思っていたのとはちがう動き方をしているのかもしれない おりえ ◎宇宙の反対側の川岸に横たわっていたんだ。 空蝉八尋 ◎それでも道は道なんだ。 知 ◎だけど、これでよかったんだって...
  • MC vol.20
    Last update 2008年03月15日 Mystery Circle vol.20 ◎あとがき 真紅 ◎「どうかあたしの恋を叶えてください!」 空蝉八尋 ◎恥の多い生涯を送ってきました。 一茶 ◎「文学少女よ」 松永 夏馬 ◎これだから文学少女は油断がならない。 タイラヨオ ◎頭の中が文学してておよそ現実的じゃないから。 知 ◎何故、ぼくが、再び書きはじめたのか。 望月来羅 ◎開幕!! 李 九龍 ◎一体なんて説得なんだろう。 おりえ ◎ああ、なんて清らかな恋! なずな ◎猫ならごろごろ喉を鳴らしているだろう。 フトン ◎この世は地獄です。 朔 ◎まず一人目。 グラン ◎書くことは人を救わない。 ゆずり ◎「絵のモデルになるの」 亜季 ◎胸が焼け焦げそうなほど強く、自分は願ったのです...
  • SMC vol.2
    Last update 2008年03月16日 Sexual Mystery Circle Vol.2 ◎数えきれない程の抵抗を試みた。 朔 ◎狂女に取り憑かれた旅人のように感じた。 時雨 ◎心の中に想像を渦巻かせることに疲れ始めていた。 Monica ◎足りなかったのはこれだったのだと気付いた。 空蝉八尋 ◎簡素な家の中には色彩がなかった。 宇津木 ◎「絶対に開かないって感じだろ」 かしのきタール ◎心臓は急激に膨れあがり肋骨を軋ませる程だった。 なずな ◎そこには羨望が渦を巻いている。 篠原まひる ◎数えきれない程の抵抗を試みた。 出題者:かしのきタールさん 作品名:『蝶々の纏足』 著:山田詠美 正解者:無し コメント ...
  • MC vol.28
    Last update 2008年03月16日 Mystery Circle vol.28 ◎「宇宙をのぞんだ人間はみんな、はじめはウソつきだったんだよ」 時雨 ◎「宇宙船員がさ、上も下も無い宇宙空間で一番知りたいのは方角なんだって」 コサメ ◎「問題はこの誰にでも平等に無慈悲な世界を、どう受け入れるかってことだったのかもな」 AR1 ◎「ダメだ!! あいつダメだ!! タバコのことしか考えてない! なんで操縦桿握らせんだよ!?」 朔 ◎「はっはーっ! ジャストミートッ」 Monica ◎「この寒い晩にオサンポに行ってる。やっぱロシア人はちがうわ」 松永 夏馬 ◎「無いんだ。世界のさかい目が」 なずな ◎「事故だったんだ。自分を責めるな」 知 ◎「宇宙はおまえを愛してはくれないが、許してはくれる」 宇津木 ◎「仲間のお節介につき...
  • MC vol.21
    Last update 2008年03月15日 Mystery Circle vol.21 ◎「私を本当の姉だと思っていてくれていいわ」 おりえ ◎マダムが、その気だったら、それですべてがいいのでした。 ヨーノ ◎美しいと感じたものを、そのまま美しく表現しようと努力する甘さ、おろかしさ。 亜季 ◎むし暑い夏の夜でした。 空蝉八尋 ◎「この野郎。キスしてやるぞ」 李 九龍 ◎三昼夜、自分は死んだようになっていたそうです。 ブラックジョーカー ◎一週間ほど、ぼんやり、自分はそこにいました。 希彩 ◎(世間じゃない。あなたが、ゆるさないのでしょう?) 知 ◎「お芝居が、うまいのねえ」 なずな ◎ほとんど入神の演技でした。 真紅 ◎弱虫は、幸福をさえおそれるものです。 望月来羅 ◎ほとんど生れてはじめてと言っていいく...
  • MC vol.26
    Last update 2008年03月16日 Mystery Circle vol.26 ◎「私、今の社会って、お芝居みたいな気がしてしかたがないの」 グラン ◎「どうした。自分のミイラを作っている夢でもみたか?」 知 ◎会社では威張り散らしている彼も、ここでは嘲笑の対象でしかなかった。 Jun ◎それは静かに、こちらに近づいてきていた。 真紅 ◎「近頃じゃテレビ・タレントも、嗚咽なんてことを知らないくらいだものな」 国見弥一 ◎不合理で不穏な混沌だ。 ブラックジョーカー ◎「でも、すでにある程度、わたしたちは世の中のことを経験しなくても済むようになってしまっているじゃないの」 空蝉八尋 ◎人工的合成物に過ぎない有名人を、真の英雄だと思いこんでいた。 AR1 ◎「盲人の国では、片眼の者が王様ということを知っているか?」 宇津...
  • MC vol.25
    Last update 2008年03月16日 Mystery Circle vol.25 ◎「どうして本当のことを言ってるときに限って、誰も信じてくれないのかしら・・・。」 rudo ◎その顔は、月影で見るにはあまりに恐ろしかった。 国見弥一 ◎ふいに扉が開き、真っ暗な部屋がぱっと明るくなった。 ブラックジョーカー ◎「偽者はおまえだ。」 松永 夏馬 ◎聞こえてきたのは、甘く温かい声だった。 李 九龍 ◎「信じないのか?」 空蝉八尋 ◎女の涙は最大の武器だといったのは誰だったか。 おりえ ◎「あの人が言ったことは信じても、わたしが言ったことは信じないのね?」 真紅 ◎「おまえの死。」 知 ◎声の主は窓辺に立っていた。 グラン ◎かわいい笑みすら痛々しかった。 時雨 ◎「あなたは・・・行かなかったの...
  • MC vol.23
    Last update 2008年03月15日 Mystery Circle vol.23 ◎「世界を難しくしないでよ。とりわけ、私たちの世界を」 望月来羅 ◎「やれやれ。彼女の好奇心に私は振り回されっぱなしだ。」 おりえ ◎「いつから、ジャズは、小難しい音楽のジャンルに入ってしまったのかな、と、彼女は少し不服に思う。」 AR1 ◎「好奇心は、友情をつなぎ止める絶好の絆である。」 神楽崎ゆう ◎「希望の出現の手助けは、時には抱擁ではなく、一杯のスープだ。」 ブラックジョーカー ◎「それでは、泣き声に耳をすますことは、暖かさの証明になるのだろうか。」 一茶 ◎「寂しいと感じるのは恥なのだろうか。」 時雨 ◎「人間を愛するって、音楽を愛する程の自由がないのよ。」 真紅 ◎「海岸線を辿り、ジャングルを抜け、そして、街を通り過ぎる。」 ...
  • MC vol.29
    Last update 2008年03月16日 Mystery Circle vol.29 起の文 人が変わっていくのは救いであって、自分が変わらない世界なんて、私はごめんこうむりたい。 ◎挿入文 「あれだけ意見が対立しているんだから、そんなことができるわけがないだろうが」 ◎結の文 言葉というのは、きわめて乱暴なものである。 知 望月来羅 松永 夏馬(2作品) なずな 空蝉八尋 rudo 真紅 AR1 グラン Clown 平良 原 かしのきタール 朔 時雨 出題者:Monicaさん 作品名:『無思想の発見』 著:養老孟司  正解者:rudoさん・平良原さん コメント 名前 ...
  • MC vol.2/知
    Last update 2007年10月07日 黒髪のDandelion Girl 著者:知  「おとといは兎をみたわ。昨日は鹿、今日はあなた」  彼女は僕の「久しぶり」という呼びかけに振り返ると微笑みながら―何かを期待するかのような瞳で僕を見つめながら―そう言った。  ―なら、僕は彼女の期待に応えよう―  「しかし、どうして昨日があるんだろう。いつも同じ時間点にくるのなら今日しかないはずなのに」 僕がそう返すと僕達二人は暫く見つめあうとどちらからと言うのではなく笑い出した。  僕と彼女は20歳以上年が離れているわけもなく、又、彼女の髪はたんぽぽ色でもないし、瞳も青ではない。 寧ろ彼女はどこか市松人形を髣髴(ほうふつ)させる。  「うん、久しぶりだね。最後に会ってから何年経ったのかな?」 僕の最初の「久しぶり」...
  • SMC vol.2/朔
    Last update 2008年03月16日 無題  著者:櫻朔夜  数え切れない程の抵抗を試みた。非道と言われようと、甲斐性無しと言われようと、こればかりはどうしようもない。それなのに、いつの間に入り込んでいたのだろう、僕の生活に。  時は夕刻、下校の時間だ。僕は隣でニコニコとしながら歩いているマイコをちらりと盗み見て、ため息をついた。どうしてこういうことになるんだろうか。そもそもの発端は、少し前にマイコからもらった手紙だ。そこには長々とマイコの気持ちが綴られ、締めくくりはこうだった。 『もし良かったら、今度一緒に帰ろ』  別にそれを快諾したわけではないが、かと言って無碍にもできず、仕方なしに“1度だけ”を条件に、僕は重い腰を上げたのだ。僕は自転車通学、彼女はバスと電車通学。駅までバスでも2~30分はかかる道を、自転車を押しながら彼女の歩調に合わ...
  • MC vol.20/知
    Last update 2008年03月15日 俺と私とぼく  著者:知 「頭の中が文学してておよそ現実的じゃないから少し待って」 「文学じゃなくファンタジーの間違いじゃない?」  俺を確認するとすぐに言った言葉に俺がそう返すと「そうだね」というように微苦笑を浮かべながら腕時計を確認した。 「……まだ、時間じゃないよね?」 「時間までは後90分以上あるよ」  今日は次のゼミでするディベートに向けての話し合いのために集まることになっている。俺と彼女、他2名の計4名が同じグループ。俺と彼女は今日、講義が入っていないけど他の2人が3限に講義が入っているため集まるのは3限の講義が終わってからになっている。  俺が1限分早く来たのは話し合いのために集めた資料を整理するため。何度か同じメンバーでグループを組んでいるうちに俺が資料を集める役割になっていた。...
  • MC vol.27/知
    Last update 2008年03月16日 Sincerely yours  著者:知 「私もあなたと同じようにいい人になりたいと思った」  私がそう言ったとき、あなたはこう返しましたよね。 「私はそんなにいい人じゃないよ。私にはあなたに見せていない、黒い部分もあるよ。」  でも、だからこそ、私はあなたがいい人だって思います。  長い間一緒に暮らしてきたのに、私にはその黒い部分を決して見せなかったのだから。  あなたが、向こうに行ってから、私はあなたと同じ道を歩むことに決めました。  もし、あなたがこちらにいたら、そのことに反対したでしょうか? それとも賛成したでしょか?  同じ道を歩むと、あなたの偉大さを改めて実感しました。  それが嬉しくもあり、そして辛くもあります。  でも、この辛さはあなたと同じ道を歩むと決めた...
  • MC vol.23/知
    Last update 2008年03月15日 決戦、前日  著者:知 「本当にそうだろうか。彼女と俺は、同じ種類なのだろうか」  ベッドに寝転がり、そう呟いた。  あの日から、決して答えの出る事のない疑問が頭の中を駆け巡っている。  気が付くといつも同じことばかり考えている。  枕元に置いていた携帯を取り、受信メールを見る。 「明日、時間大丈夫?」  今日届いた、彼女らしい何のかざりっけのないシンプルなメール。だけど、このメールを見た瞬間に頭が真っ白になった。 「今日は時間がないから次に話すね。何故、ぼくが、再び書きはじめたのかを」  互いに色々と忙しく時間が作れなかったため、彼女がそう言ってから数週間が経っていた。  このまま何もないままになるのでは、そう思っていた。しかし、遂にこの日が来た、そう思うと何も考...
  • MC vol.28/知
    Last update 2008年03月16日 Sacrifice  著者:知 「あれは事故だったんだ。そんなに自分を責めるな」  自分で言ってなんだが、反吐が出そうな言葉だ。  そんな言葉は全く意味をなさない。そんな事はあいつもわかってる。でも、そんな一言で納得ができるはずがない。  あの事件が起こってからこの世界は変わった。  科学の世界から魔法の世界へと……何故、こんなことになってしまったのか判明していないのだが、殆どの科学技術が使い物にならなくなってしまった。  その代わり使えるようになったのが魔法だった。  使える者と使えない者が存在するが魔法は科学の代替技術としてゆっくりとではあるが発達している。現在はまだまだ黎明期といったところだろうか。  魔法が科学の代替技術……魔法は決して万能な物ではなく、飽くまで科学でできていたこと―...
  • MC vol.27/朔
    Last update 2008年03月16日 Time is...  著者:櫻朔夜  Time is... 『仮の時間を与えられただけだったのだ』  静かに瞼を落とすと、元から遮られていた視界は、完全な闇となる…  小木(オギ)は壁に埋め込まれている小さなモニターを眺める。1人の男が、目を瞑ったままじっと座っているそのモニターを。映し出されているその殺風景な一室を、ただ見つめているだけが、小木の今日の仕事だった。  男は、先程から微動だにせず簡易ベッドに座り続けている。既に朝食を終えてから1時間余。つまり、小木も同じく1時間余を、ただぼんやりとモニターを眺めていることになる。何かをしようにも、目を離してはいけないのだ。場慣れしている同僚には、デスクワークと並行させる者も居るが、この仕事に関しては、一時でも目を離すのは憚られる…小木はそう思っ...
  • MC vol.21/朔
    Last update 2008年03月15日 手紙  著者:櫻朔夜  東京に、大雪の降った夜でした。  テレビの天気予報を点け離しながら、中身を傷付けぬよう丁寧に、郵便で今し方届いたばかりの封筒の口をペーパーナイフで切り開いていく。一瞬、異境の香りが漂ったような気がした。そっと中身を取り出し、宝物の入った箱を開けるようなそんな心持ちで、雑に畳まれた便箋を開いて、視線を落とした。 『明美、元気か?―――』  彼、貴博が高校を卒業後に東京へ進学してから二度目の冬。いつもの切り出しから始まる、いつも通りの何回目かのやりとり。その切り出しを読んで少し、遠くへ目をやっていた私は、ベッドに投げ出していた脚を体に引き寄せるようにしながら膝を抱え込んで、いそいそと手紙の続きへと視線を戻した。 『また寒い冬が来てしまったよ。今年は雪も多いらしい。...
  • MC vol.20/朔
    Last update 2008年03月15日 小さき者の唄  著者:櫻 朔夜  この世は地獄です。  そう呼ぶに相応しい世界を、私は見てきました。裏も表も、この、小さな眼で。  ――――今日も私は、深夜の繁華街を裏路地から眺めています。人の波がうねり、喧騒とネオンが煩いモノクロの一端です。けれどそれの反対側を見やると、表の雑踏とは別の意味でざわつく、不穏な空気の末端を垣間見ることもできます。  私が寝城にしている路地は、そんな対極の空気が入り交じる境界でもあったようですが、昨日は使い走りだった若い男が、格上げと僅かな報酬の餌に釣られて、鉄砲玉となるようでした。私の路地に、思い詰めた様に佇んだ若者の視線は向かいの店に。そこから今にも星が出て来るのではないかと、脂汗に塗れ、歯をカタカタいわせながら何かを自分に言い聞かせていました。...
  • MC vol.26/朔
    Last update 2008年03月16日 約束  著者:櫻朔夜 「馬鹿。戦争に約束や義務があるか。だいいち逃げ場がない」  吐き捨てるように、隆之は言った。 「兄貴にはわかんねぇよ」  それから隆之は乱暴に音を立てながら階段を駆け上がり、自室へと消えて行った。  …『戦争』。その言葉の真意を測りかねたが、ここ最近の弟は変わった。そう思いながら智之はリビングへと向かった。同じ県立の高校へ通う、たった1歳違いの兄弟。両親は共働き、幼い頃から2人で過ごす時間が多かった。それだけに、使うものから遊び道具までほとんどがお互いの物であったし、考えている事でさえ表情を見ればすぐに解った。智之はただ、自分の後ろにくっついて離れない弟を、兄として、守り助けようと過ごしてきた。それが、智之の両親との約束であり義務であった。  その弟が、何かおかしい。智之はた...
  • MC vol.24/知
    Last update 2008年03月16日 道の世界  著者:知 「それでも、道は道……なんだよ?」  私は彼の歩いてきた道を見ながらそう言った。  その道は綺麗とはいえない。でも、例えどんな道であってもそれは自分自身で苦しみもがきながらも歩いてきた物であることには変わりはない。だから、受け入れなければ前には進めない……受け入れられないから、この世界に来てしまったんだけどね。 『暫く、一人にした方がいいかな』  彼の様子を見てそう判断した私は彼のいる場所から立ち去った。 「ふぅ……」  何もない真っ白な場所に戻ると私は大きく息を吐いた。  あの時から――私にまだ感情が残っていることに気が付いた時から、この世界も様変わりした。何もない真っ白な空間ではなくなった。私のいる場所を除いて。この何もない真っ白な空間が私の原点だから。私のい...
  • MC vol.26/知
    Last update 2008年03月16日 「科学」から「魔法」へ  著者:知 「どうした。自分のミイラを作っている夢でもみたか?」  不機嫌そうに起きてきた私に彼はそう苦笑いしながら言った言葉に 「……それ、洒落にならないからやめてよね……」  私はそうため息を吐きながら返した。  ……昨日、ゾンビやらスケルトンと呼ばれる物に遭遇したばかりだし……  ここ数年で世界は一変した。  ある事件を境にこれまでの『科学』の知識が役に立たない――通用しない世界に変わってしまった。まるで、この世界の法則が変わってしまったかのように……  代わりに現れたのが『魔法』と呼ばれるものだった。  誰が『魔法』と呼び始めたのかは定かではない。でも、小説の中の物でしかなかった『魔法』が今、この世界に実在している。 「はぁ……今回の旅も収穫なし、か……...
  • AMC vol.2/朔
    Last update 2008年03月15日 偏愛  著者:櫻朔夜 「僕が君への欲望に身を焦がしていたことに、気づかなかったんだね?」香しい耳朶を甘噛みしながら囁く…  彼女を見掛けたのは、数日前の会社帰りだった。事故で不通になった電車を諦め、普段は通る事の無い繁華街をトボトボと歩いていた時、僕の目に飛び込んできたのが彼女だ。その無邪気な、けれど何故か魅了される独特の雰囲気に釘付けになってしまったのだ。彼女の居た一角に辿り着くまでの間に、わざとらしい卑猥な声を掛けてきた安っぽいキャッチの女など到底足許にも及ばない。彼女の立つ空間だけが、清浄で輝いているのが一目で分かった。  つい最近、理不尽で傷付くには有余る程の痛手を恋人に受けてフラれたばかり、不安定な精神状態だった。そのせいにはしたくないが、会社でも上司に怒られっぱなしだった僕に、彼女の微笑...
  • MC vol.28/朔
    Last update 2008年03月16日 夏の終わり  著者:櫻朔夜 「ダメだ!! あいつダメだ!! タバコのことしか考えてない! なんで操縦桿握らせんだよ!?」  性能の悪い伝達管から、後部座席に同乗しているヒステリックな猛(タケル)の声が聞こえた。それにつられて徹(テツ)は自機と同じく、四時方向で海上を低空飛行している敏雄(トシオ)の機体を操縦席から振り返った。  敏雄は分厚い皮の手袋によって動きの制限された左手で、必死に胸ポケット内の何かを探そうとしていた。徹には、その探しているものが、昨夜寮にて自分達の上官である、坂本伍長から手渡された安物のタバコであることは容易に想像できた。敏雄の後ろの席では、不安げな表情で栄二(エイジ)がキョロキョロとしている。彼らの搭乗する九九式高等練習機は、練習用としては優良とされる機体であったが、戦闘専用の零戦や隼とは比...
  • MC vol.25/知
    Last update 2008年03月16日 死神  著者:知 「そう……それがあなたの『死』なんだね」  何処からか声が聞こえてきて目が覚めた。  幻聴にしては声がはっきり聞こえてきたし、夢にしては声に現実味があった。しかし…… 『寝る前にちゃんと戸締りの確認はしたはずだ』  そう思いながら体を起こそうとするが 『くっ……金縛りか?』  体が全く動かなかった。それに声も出せない。 「まだ君の脳は起きていても、体は起きていないから動くことはできないよ」  又、声が聞こえてきた。どうやら、幻聴でも夢でもない事は確実のようだ。 『誰だ?』 「私に名前はないよ……でも、皆は私のことを『死神』って呼ぶね……女の子なのに『死神』なんて名前で呼ばないで欲しいなぁ……」  ……『死神』……根も葉もない噂...
  • MC vol.29/知
    Last update 2008年03月16日 永久に悠久に  著者:知 「人が変わっていくのは救いであって、自分が変わらない世界なんて、私はごめんこうむりたいわ」  彼女のその一言が強く印象に残った。  変わっていく事が救い。  何百年と変わっていない僕にとってその言葉が信じられなかったからだ。  姿形が変わることなく永遠の時を過ごす一族がいる。  決して歴史の表舞台には登場しない。しかし、様々な世界を旅し、歴史の導き手として世界に関わっている一族がいる。  僕もその一人だ。  でも、僕は……僕と双子の妹である悠(ゆう)は一族の中でも毛色が違う。  一族と言っても血族関係にある者は殆どいない。  夫婦である者たちもあまりいない。  契約を結び一族の一員となる……とのことだ。  僕と悠が毛色が違うと言った訳はそこにある。  一...
  • MC vol.29/朔
    Last update 2008年03月16日 サイレン  著者:櫻朔夜  人が変わっていくのは救いであって、自分が変わらない世界なんて、私はごめんこうむりたい。いつだってそう思ってる。それなのに何だろ、この異様な焦燥感。  私は、オーバーな身振り手振りで話す男と、行きつけのカフェにいた。そして、話しながらひっきりなしにキョロキョロとする、落ち着きのない私の彼―ショウをぼんやりと眺めていた。コーヒーカップに指をかけたまま、口を挟む余地すらないその一方的などうでもいい話を、無反応にやり過ごしながら。  ショウにとって、相手が相槌を打ってるとか、聞いているかどうかは問題じゃない。ただ、自分が『話している』事実だけで満足なのよね。その証拠にほら、私が今外を通り過ぎたちょっと好みの男を目で追いかけている事にすら気付いていない。  彼の前には、氷が溶けて茶色と無色...
  • MC vol.21/知
    Last update 2008年03月15日 徒花―アダバナ―  著者:知 (世間じゃない。あなたが、ゆるさないのでしょう?)  私の言葉に対して、私の中に入るもう一人の私がそう返してきた。 (そうね……でも、彼にそう言っても意味がないでしょ?)  私がそう返すと苦笑を浮かべながら消え去っていった。久しぶりに出てきたと思ったら……いいわ、先ずは彼の方ね。  ちらりと彼の様子を伺うと彫刻のように固まっている。いや、ショックのあまり動けないというのが正しいのかもしれない。 「私が言いたいのはそれだけ」  私はそう呟くと彼の前から去った。彼に背を向けた瞬間に呼び止めようという雰囲気を彼から感じた。だけど無視して歩き始めると彼から私を呼び止めようとする声は出なかった。 「それがあなたの弱さ……そして、あなたの魅力……でもあるのよね……」...
  • MC vol.2/松永 夏馬
    Last update 2007年10月07日 タイトルなし 著者:松永 夏馬  ふたたび目を上げると、いつのまに気づいたのか女はふりかえり、好奇心いっぱいの目で彼を観察していた  目を離した隙に、あの女がまた彼に厭らしい視線を送っている。ああいう女の行動は、言われなくてももうわかっている。彼はぱっと見かわいい顔をしてるから、年増女がよく寄ってくるの。アタシは少しムッとして、ブランコから飛び降りた。  高台にある公園のベンチに横になっていた彼は、視線を感じたのか首だけ起こして不機嫌そうに「何見てんだよ」と唸るように言ったのだが、女には彼の言葉は聞き取れなかったらしい。でもアタシにはわかった。たとえ聞えなくてもアタシにはわかる。彼の目が女に興味を持っていない。  しかし、鈍感なその女はにっこりと笑顔を湛えて彼に歩みよる。  アタシは彼の好みを...
  • MC vol.29/平良 原
    Last update 2008年03月16日 ガイノイド  著者:平良原 「人が変わっていくのは救いであって、自分が変わらない世界なんて、私はごめんこうむりたいわ」  私は彼の提案をそう言って突っぱねた。  彼の提案。  それは私のアンドロイドを作らせてくれないか、ということだった。  彼と知り合ったのは中学1年生の冬。  私が放課後、校舎の屋上で歌をうたっていたときに彼がひょっこりと屋上に現れたのがきっかけ。 「歌に引き寄せられてきた」  とは彼の弁。  冬の屋上は風が強く寒いため立ち寄ろうとする人は滅多にいない。  実際、私は雨や雪が降っていない日の放課後は毎日のように屋上に行っていたけど、冬の屋上に来たのは彼が初めてだった。  目線を逸らし頭を掻きながら照れくさそうに言ったその言葉がなければ、歌手としての今の私はいない。 ...
  • MC vol.21/真紅
    Last update 2008年03月15日 Butterfly  著者:真紅 彼の着氷はとても美しく― 手の細部にまで感情が乗っていました。 曲の最後。 僕の前で彼が両手を広げた姿は。 まるで・・・。 蝶が、羽根を広げたようでした。 でも彼は、悩んでいました。 自分の実力を。 自分の今の全てを。 僕は魅せられました。 彼のその中の「弱虫」に。 だからこそ、開放して上げたかった。 氷の上で、寒さに震える。 彼の「弱虫」という名の蛹から。 羽ばたけば、あれ程綺麗な姿なのに。 僕はただそれだけだったのです。 ソウ・・・タダソレダケ・・・。 僕は彼にナイフを渡しました。 鋭く、冷たく、血を待つように光るナイフを。 そして選ばせました。 いや、選ぶといっても選択肢は突き付けてません...
  • MC vol.2/カラス
    Last update 2007年10月07日 タイトルなし 著者:カラス 「どうですいい景色ですか?」  助手席に乗っている遠藤がこぼした。  フロントガラスを大粒の雨が殴りつけている。ひっきりなしに左右に踊るワイパー。延々と続く峠道。左右へと視線を走らせれば美しい山間の景色……が見えるはずだったのだが、それも今は適わない。今頃はきっと深緑で山々の草木たちが活気付く季節なのにもかかわらず。いや、正確に言うとすでに草木たちは活気付いている。ただ、悔しいかなこの豪雨がフィルターとなって我々の視界を遮っているのだ。  山の天気は変わりやすいとよく言うが、この土砂降りの雨は季節外れの台風がもたらしたもので今朝からずっとこの調子なのだ。先ほど崩れた天候に文句を言うのならまだしも、峠道に入る前から悪天候だったのだ。  それを彼は皮肉たっぷりに言ってのけているのだ...
  • MC vol.20/真紅
    Last update 2011年03月18日 恋の手紙  著者:真紅 私は、貴方が好きです。 以前から伝えたくても、伝えれなかったこの言葉。 今だから、貴方に伝えます。  --------------------------------------- 私には、好きな人がいる。 中学の時から、高校生になった今までずっと。 私は、小学校からガサツで恋なんて知らなかった。 でも彼と会った時・・・恋を知った。 世に言う「一目惚れ」ってヤツなんだろう。 傍に彼が来ると、心臓が高鳴る。 手に汗をかいて。 顔が真っ赤になって、熱くなる。 そして下を俯き、あなたから視線を逸らす。 「だよな~!!!!ハハハ!!!」 仲の良さそうな友達と一緒に歩く、貴方の笑い声。 私はその笑い声と一緒に、貴方が作った笑顔が好き。...
  • @wiki全体から「MC vol.22」で調べる

更新順にページ一覧表示 | 作成順にページ一覧表示 | ページ名順にページ一覧表示 | wiki内検索

人気記事ランキング
目安箱バナー