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1.学園紹介

1-1.校庭
 学園では生徒・学生数、カリキュラムに合わせて校庭を使用。
 学問だけでなく運動にも力を入れているため、野球、サッカーなどの球技、陸上競技、屋外実験、体育系部活動など各種活動を行うことが可能である。
 学生であれば時間帯、内容の申請を行うことができ、学生以外でも審査と使用料を払うことで利用できる。
 体育祭の時に第一グラウンドで行われる地雷原リレーは名物となっており、一般参加も受け付けている。思い出作りに参加してみてはいかがだろうか?



 学園都市・TUKUBA外縁部。
 茶色い色彩の広大なグラウンド。白線の跡や掘り返された痕跡以外には、草木の一本も無い。
 そこに動く影がある。

 グラウンドに数人の人影。
 いや、それは人影と呼ぶにはあまりに大きい。
 十メートル近い身長を持ち、足を踏み出す一歩一歩が大地を揺らす。
 学園都市・TUKUBA外縁部――騎(バレル)演習場。
 そこに居るのは騎と呼ばれる人が作り出した鋼鉄の巨人。二足歩行をする大型兵器である。
 人は己が種族の姿を模した兵器と文字通り一心同体となることで巨人を操る。自らの肉体を形作る遺伝詞(ライブ)を騎に設えられた装置――書斎(スタディ)――で分解し、血をオイルに、骨をフレームに、肉を鋼鉄に換え、自分を騎と合わせ一つになる行為を記乗(ライトブリング)と言い、そして記乗して騎を駆る者を騎師(ストライカー)と呼ぶ。
 グラウンドを数倍した広さの荒野に複数の騎、つまり鋼鉄へと身を変じた騎師の姿があった。

「軽騎(ライトバレル)”黄金蜘蛛”の機構文書(システムメッセージ)」
 現在、模擬戦開始より700秒経過
 精燃槽残量96%
 機能オールグリーン。
 僚騎、全五騎のうち健在四。
 友軍、第二小隊軽騎”黄金蜘蛛”03大破判定です
 敵重騎(ヘビィバレル)”栄光”健在
 戦闘を続行します

「中林・英彦の記乗『軽騎”黄金蜘蛛”記憶槽への書き込み』」
 まいったなー。牽制の小競り合いだけでこっちの軽騎は撃墜判定か。
 まあ、樹詞剣腹にモロに食らったら撃墜だよな。うん、実剣だったら死ぬな。
 六対一。訂正、五対一とはいえ中騎(ミドルバレル)と軽騎の混成部隊じゃ重騎相手にはきついかな?
 ふむん。分析してみよう。
 あっちは退役したとはいえ元軍用でメンテもバッチリ。
 こっちのアドバンテージはあっちと違って神器(リズム)搭載型騎ってことぐらいか。
 でも出力とか推力がなー。
 こっちとしては軽さ、機動性、敏捷性を生かした立ち回りかね?
『――第一小隊隊長騎・中騎”三毛猫”より通信』
「中林、ぼさっとするなぁ! 数で勝ってるうちに畳み掛けるぞ!
 俺たち第一小隊が正面から、第二小隊が左回りで接近! 演習林に押し込む!」
「了解」
 やれやれ、分析と言う名の言実逃避は終わり。やれるだけやりますか。

 互いに間合いを取っていた影が一気にその距離を縮める。
 青い色に塗られた重騎”栄光”に橙色に塗装された三体の騎が迫る。
 第一小隊は、中騎”三毛猫”が先頭に立ち、両翼に軽騎”黄金蜘蛛”が二騎付き従う。
 その後方左側からは小隊騎を一騎欠いた第二小隊が、騎用の小銃で火線を張り重騎の行動範囲を制限する。演習用のペイント弾ではあるが直撃すれば、実弾と同じだけのダメージを受ける「設定」だ。
 結果、包み込むように迫る三騎にと火線に対し重騎”栄光”は距離をとる様に向かって右後方にバックステップで後退する。
 先行する三騎が壁となり、援護は射撃が止む。
 しかし後退した先には演習林。重騎はこれ以上後退できないことを知ってか、その場で騎演習用強化樹詞剣を構えた。

「中林・英彦の記乗『軽騎・黄金蜘蛛記憶槽への書き込み』」
 マジか、俺が先頭か。右側じゃなくて左に押し込むなら三番手だったのに。
 ええい、悩んでもしょうがないか。怪我だけはしませんように。

 先頭を行く軽騎”黄金蜘蛛”の駆動音が高まる。

 数知れぬ願い
 数知れぬ可能性
 我が手の中に定まらぬ未来
 我が心は見る無限の夢を
 我が前にある幾多の道
 されど道に標は無く

 騎と一体化した騎師の詞(ことば)が響き、搭載された神器が発動する。
 ――黄金蜘蛛・砕帝/棒術(ワンド)技能(テック)・重複発動・破砕打撃・成功(ヒット)!
 騎演習用の棒状神形具(デヴァイス)に神器の力を宿して軽騎が打ちかかる。演習向けに出力制限がされ殺傷能力は無いが、直撃を食らえば重騎とて無事では済まないダメージを受けたと「判定」される。
 ――栄光・剣術(ソード)技能・対抗発動・受け流し・成功!

 樹詞剣は砕帝の影響で砕け使い物にならなくなった。

 重騎は受け流すように樹詞剣で攻撃を受けたが、破壊判定を受けたため使用不能となる。
 軽騎は打ち下ろした神形具を重騎に向かって、下段から振り上げる。樹詞剣を破壊し威力が減衰するも効果が残った一撃。
 ――黄金蜘蛛・棒術技能・発動・連続打撃・失敗(アウト)!
 しかしその打撃は宙を切った。空を切った反動で”黄金蜘蛛”の上体がわずかにバランスを崩す。
 樹詞剣が破壊判定をされた瞬間、”栄光”は迷わず武器を手放し次の行動に移っていた。

「中林・英彦の記乗『軽騎・黄金蜘蛛記憶槽への書き込み』」
 俺を踏み台にしたぁ!?

 武器を手放した直後、”栄光”は跳躍し、”黄金蜘蛛”の追撃をかわした。そしてそのまま姿勢を崩した軽騎の肩を踏み台にして更なる跳躍。
 ”黄金蜘蛛”に続いていた”三毛猫”ともう一騎の”黄金蜘蛛”の頭上を”栄光”が通り過ぎる。
 ――栄光・重騎技能・発動(テイク)・背部推進器(スラスター)起動・成功!
  ――栄光・重騎/体術(ジムナ)技能・重複発動・推進飛行・成功!
 更に騎体背面に増設された推進器を展開、短距離飛行を行う。重力から一時的に解き放たれた重騎が狙うは、援護射撃を止め、遅れて近づいてくる二騎だった。
 二騎は慌てて対空攻撃を行うが、友軍の頭上という心理的死角から現れた為に満足に狙いをつけることもできない。
 結果、小銃の火線は空へと消える。
 ”栄光”はそのまま二騎の頭上も越え、着地と同時に反転。空中で抜剣していた予備の樹詞剣を構えたまま、背部推進器で加速して突撃。振り返る二騎を続けざまに打ち据えた。
 ――栄光・重騎/体術/脚術(サバット)技能・重複発動・加速突撃・成功!
  ――栄光・剣術技能・発動・なぎ払い・成功!
 ――三毛猫・回避(ダッジ)技能・対抗発動・緊急回避・失敗!
 ――黄金蜘蛛・回避技能・対抗発動・緊急回避・失敗!

 軽騎・黄金蜘蛛は戦闘不能になった。

 中騎はかろうじて撃破判定を免れたが、受けたダメージは重い。
 地面に沈む軽騎を尻目に重騎は続く攻撃を中騎に繰り出す。
 ――栄光・剣術技能・発動・峰うち・成功!
 ――三毛猫・棒術技能・対抗発動・武器防御・失敗!
 中騎”三毛猫”は、手に持った棒状神形具で攻撃を受けるも、絶対的な出力差でそのまま吹き飛ばされた。

 中騎”三毛猫”は戦闘不能になった。

 第二小隊を全滅させたことを確認すると、”栄光”はやっと追いついてきた三騎に向かって静かに樹詞剣を構えた。


取材用メモへの走り書き

 模擬戦は約三十七分、この二十三分後に終了。

 追記:そのうち十六分は一騎の軽騎が全力で逃げ回ったことが原因。
 ……しっかりしろよなー、英彦。


 

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最終更新:2009年05月26日 00:17