震える山~歩くような速さで~ ◆CMd1jz6iP2
私とアリスは、ようやく歌声の聞こえていた場所へとたどり着いた。
「なるほど、洞穴か。ここに隠れているのだな」
「その割に、歌っていたら意味ないわよね」
「そう言うな、心の闇を払うには歌は効果的なのだからな」
「ウン、ソレムリー」
琴姫の歌も、そういう力があったからな。
早速入ろうとすると、アリスに止められた。
「彦麿、ちょっと待って……」
「なぜだ、私が行って、心の闇をだな」
「だからよ、いいから待ってて」
むう、言い争っても仕方ないか。
「すみません、
ストーム1から言われてここに着た者です。信じていただけるのなら、入らせて頂けないでしょうか?」
返事が無い。
間違いなくここだと思ったのだが……違ったのか?
と、程なくして中から足音が聞こえてくる。
出てきたのは……怪しいコートの人物だった。
「ぬぅ!悪霊に取り付かれたのか!」
「アクリョータイサンレッツゴー」
「黙ってなさい!……ええと、いさじさんって方?」
「いえ、違います」
何、女性の声だと?
確かに背格好はそうだが、あやしい姿ゆえ、わからなかった。
「ストーム1って、おじいちゃんって人のことですよね。その人はどこに?」
「彼は雪山方面に困った人がいないか探しに。私たちは様子を見てきてくれと……」
「えっ!?」
何か驚いている。どうかしたのか?
「わ、わかりました。詳しい話を聞きたいので、中へどうぞ」
アリスもあっけに取られているようだが、どうやら良い方向へと進んだようだ。
なるほど、たしかに我らを信用してもらわねば、心の闇など払えぬ。
ここはアリスに任せて正解だったか。
だが、奥に進んで更に問題が発生してしまった。
中には、聞いていた以上の人数がいた。
その中の一人が、こちらと顔を合わせた瞬間に大声を上げるではないか。
「あ、朝倉さん!?」
「ハイナー」
なんと、朝倉の知り合いがいたようだ。
アリスと顔を合わせる。
アリスも、どうやら同じ考えに至ったようだ。
朝倉の体の秘密が解けるかもしれない。
雪山にストーム1という人が向かったという話を、詳しく聞こうと中に入ってもらった。
金髪の美少女に、はわーっと子供みたいな表情とは裏腹のプロポーションの美少女。
この二人はともかく、その後ろにいる黒服の男の人が、すごくうさんくさかった。
自分の格好も人のことが言えないのはわかっていたので、黙っていた。
そして、皆と対面した瞬間に、谷口さんが大声を上げたわけなんだけど……
何でも、はわわっとした女性は
朝倉涼子さん。
クラス委員長だったが、突然カナダに転校したという謎を持つ人らしい。
だが、当の彼女は
「ワスレモノハダメダヨー」とか、「バックアップー」とか、良くわからない言葉を口にするだけ。
「てめえら、いったい何しやがった!」
と谷口さんがアリスに掴みかかろうとするのを、朝倉さんに弾かれる。
魅音ちゃんが止めようとするが、谷口さんも収まらない。
「やめるんだ!」
そこで、やっぱり頼りになるのはいさじさんだった。
あまり体調も良くないの彼に頼ってばかりで、本当に心苦しい。
何とか落ち着いて、まずは雪山に向かったストーム1さんの話となった。
矢部野彦麿、
アリス・マーガトロイドと名乗った二人の話によると
やはり話に聞いた
YOKODUNAという相撲取りのような人は
福山さんを狙撃した人を殺して、そのままこのゲームに乗ってしまったという。
そして、ストーム1さんは雪山で遭難した人がいないか確かめに行ったらしい。
「みお、ほものひとがいるよ?」
「ホモー?」
「へ、変な言葉覚えないの!」
カ、
カービィくんの言う通り、その、言葉に出すのも恥ずかしいような危険人物が、そっちにはいると聞いている。
「でも、あれから随分経ったし、ずっとあそこにいるとは、おじさんは思わないねえ」
たしかに、ゲームに乗った人なら、その場を動かずにいるとは考えにくい。
ストーム1さんのことは心配だったが、追っても行き違いになる可能性の方が高いだろう。
「それに、この辺りで猿の化物を見た。おそらく悪霊どもが呼んだ魑魅魍魎だろう」
彦麿さんは、陰陽師をしているらしい。
心霊番組に出たときに見たが、ああいう番組のインチキの人とかより本物っぽい。
その分、もっと怪しいけど。
とにかく、危険な動物がいるなら、なおさらスパイダーマッ!さんを待った方がいい。
そして、話は朝倉さんの話題になる。
「それじゃあ、本当に涼子のことは何も知らないのね?」
「だから、お前らが言ってる事がデタラメだろうが! なんだよ、人間じゃないって!」
二人の話によると、朝倉さんは人間ではなく、人形やロボットの仲間らしい。
触ってみても、私より完璧な人間って感じがする。
「キヤスクサワルナー」
「絶対に裏があるぜ、騙されるなよ。朝倉さんをこんなにしたのは、こいつらに違いないぜ!」
「おぬし、そのように人のことを信じられぬとは……悪霊が憑いておるな!」
彦麿さんが、どーまんせーまん言ってるのを、アリスさんが止める。
「もういいわ。信じさせるにも、証拠も何もないもの。彦麿、行きましょう」
「ぬう!?だが、この者達の心の闇を……」
「そこのいさじって人がいれば平気でしょう。不協和音こそ、心に闇を生むわよ」
「たしかに、そうか……仕方が無いな」
そう言って、三人が立ち上がってしまう。
「ちょっと、待ってください。わざわざ来てくれたんですから、少し休んでいったほうがいいですよ」
いくらなんでも、このまま帰しては失礼だ。
「そうそう、情報交換とか、支給品の交換とか、色々してもいいんじゃないかな?」
魅音ちゃんも、そう言って引き止める。
「いけない、忘れてた。
いさじ、貴方の持っている人形を、良ければ頂きたいんだけど」
「人形? ……ああ、支給品のフィギュアかい? 構わないけど……」
いさじさんが、自分のディパックから人形を取り出す。
「おお、こりゃあ中々の造型だねー。見たことないキャラだけど、自作かな?」
魅音ちゃんが、やたら反応してる。そっちの人?
「うう……コミケの悪夢が蘇るよー」
逆に、つかさちゃんは震えだした。こっちの人だ。
「ふん、こんなお人形さんで遊んでいるようじゃ、女は落とせないぜ」
何かもう、谷口さんは駄目なのかもしれない。
「目が大きすぎる……呪われているのか!?」
彦麿さん!! そこに触れると危ない気がします!何か色々!
「ありがとう。あら、中々かわいい人形ね。それに、魔力の通りも良いみたい」
まりょく? 聞きなれない単語が出てきたな、と思うと……
アリスさんの周りを、人形がクルクル飛び出した。
「え……ええ!?」
「ガチャガチャギュー」
「ヨロシクー、コユビデギュー」
朝倉さんと戯れる人形。これって……
「これで、自己紹介としましょうか。
これが七色の魔法使い、アリス・マーカトロイドの力……人形を操る程度の能力よ」
魔法使い、そんな漫画の世界の単語を出されても、どう反応していいのかわからない。
「おいおい、ふざけるのもいい加減にしろよ。何が魔法……」
「やはり、そうなのか……」
いさじさん?
「おそらく、彼女の言葉は嘘じゃないと思うよ。核鉄が存在した以上、そういった世界が存在するのかもしれない」
「核鉄って、私の心臓の代用品の……シルバースキンのことですよね?」
「心臓の、代用品? そんな物があるの?」
「え、なにそれ!? 春ちゃん、腕だけじゃなくて心臓も取れちゃったの?」
ちょっと、無用心な発言だったのか、事情を知らない皆に注目されてしまった。
「たしか、錬金術で創られた、賢者の石のような物、だったかな」
「いさじさん、なんで……そんなの知ってるの?」
たしかに、それは私も知りたかった。私の心臓の代わりに動いているこれは、何なのか?
「福山さんがね、あるアニメの主題歌を歌っていたんだ。そのアニメに出てくるアイテムこそ、その核鉄なんだ」
アニメ? 反応に困る……でも、何かの冗談でもないらしい。
「もちろん、アニメから飛び出てきたとは思わない。ただ、どこかの誰かが、まったく同じものを実際に作った。そう考えた方が真実味があるね」
「ちょ、ちょっと待ってよ。賢者の石くらい、物語で聞いたことあるけど、そんなの作れるわけないじゃん」
「ああ、そうだ。だが……もしかして、アリスちゃんの世界では、簡単に作れるんじゃないのかな?」
アリスさんの、世界?
「そういうこと……無理、とは言わない。まあ、知り合いに作れそうな図書館の日陰少女はいるわね」
「どういうこと、なんですか?」
「認めてしまえば簡単なことさ。俺たちは、皆違う世界の住人……
俺の世界に、あんなピエロの化物はいないし、魔法使いなんていない、核鉄も本当には存在しない」
たしかに……それなら、全てに説明がつく。
「つかさちゃんが、765プロのことを知らないのは……世界が違うから?」
「ちょ、ちょっと待ってよ。そんなおじさんが描いた同人誌みたいなことがあるわけないじゃん」
「描いてんのかよ! 東京ビッグサイトとか、あんな場所に集まって何が楽……」
「へ、なにそれ? コミケって言ったら晴海だよ?」
「魅音ちゃん、古いね。それってたしか、昭和の頃の話じゃないかい?」
「え、何? い、今って昭和58年だよね、何か間違ってる?」
「馬鹿な、今は平成の世だぞ!」
きっと、魅音ちゃんの世界では、間違いないのかもしれない。
「過去から来たとか冗談だろ……今は、2006年だぜ?」
谷口さん、貴方もです。
結局、谷口さんが最後まで反論していたけど、私たちは違う世界の人間なんだと理解した。
魅音さんは過去から来ただけではなく、住んでいる村も、市も、県も、知らない名前だった。
「隣の岐阜県はあるのに、鹿骨市も雛見沢村も他の世界には無いなんて、酷いなぁ」
ダム建設以前の問題かぁ、と魅音ちゃんはつぶやいていた。
「ぬうう、あの悪霊はどれほど邪悪な存在なのだ。必ず祓わねば……」
「まぁ、興味深い話ね。それなら、涼子の存在も理解できるもの」
「……俺の世界は、ごく一般的な科学力で、魔法なんてねーよ」
「なら宇宙人ね。地球まで航行できる星の生き物なら、科学というのも高いんでしょう?」
魔法使いって名乗る人から、宇宙人って言葉が出ると、何か違和感を感じる。
「あ、これも宇宙人の技術かな?」
小さな機械を見せる魅音ちゃん。それって……
「たしか……あい、なんとか? 幻想郷でも売ってたわね、骨董品店で」
「アイポッド、だったか? 僧侶が持ってたな。没収して捨てたが」
「iPodだろ?」「iPodか」「iPodですね」「iPodだね」
「……みお、僕はしらないよ」
「あ、ありがとねー、でも泣けてくるからやめてぇぇ」
場が和む。
私の失った腕の痛みも、感じないほどに、幸せな時だった。
会うことも無かった、福山さんは死んでしまったけど、私たちは生きている。
これからは、きっと良い事があると思ってしまう。
この幸せを打ち破る、放送が流れなければ……ずっと、こうだったはずなのに。
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巨大な鰐は、大きな雄たけびを上げた。
「すぱいだーまッ!散開するぞ!」
「ああ、わかってるッ!」
固まって行動しては、確実にあの尾で一気に薙ぎ払われる。
それにしても、なんて怪物だ。
いや、この怪物を生み出してしまったのは俺の判断ミスが原因。
ここで、こいつを倒さなければ!
「あははははは!!コロセ!コロセ!皆コロセ!」
怪物の上に跨る少年、否、少女の瞳に正気が感じられない。
助けるには、この化物を倒さなければならない。
大地を踏む削りながら、鰐の化物が直進してくる。
ストーム1が狙撃を加えるが、鰐は気にもしない。
二股の尾を、俺に向かって振るおうと突進してくる。
バンッ!
「ぐああああ!?」
鰐の目に、銃弾が当たり、尾の狙いが外れた。
それでも、恐ろしい風圧が俺の体を吹き飛ばす。
「すぱいだーまッ!」
「大丈夫だ!」
こうなれば、使ってみるか!
「武装錬金!!」
俺の手に握られる月牙。そして、精神を集中して、俺の意識をわける。
「なっ……!」
「「ダブルクロコダイルハンター!スパイダーマッ!」」
二人に増えた……これで勝負だ!
二人の俺が、鰐に突っ込む。
その、あまりにも巨大な口が、俺を飲み込もうと開く。
それをジャンプで回避し、口を踏みつける。
片方の俺は、少女を助けようとするが、そこを尾が狙い打つ。
「ぐああああ!!」
スーツが破れ、吹き飛んだ。なんとかもう一人の俺は避けられたが、なんて一撃だ。
尾を避けた俺、避けられなかった俺は、再び鰐に攻撃を加える。
だが、蹴りも月牙も対したダメージを与えられない。
ダメージを負った俺は、動きが鈍い。このままでは……
「行くのじゃ、
たいやき!」
ストーム1が、何かボールを投げると、中から変な魚が表れる。
「たいやき、体当たりじゃ!」
鯛のような魚が、鰐に飛び掛る。
バクン、と。
当然のように食べられた。
「あはははははははは!!!エサをありがとう!」
なんてことだ……だが
「たいやき、じたばたするんじゃ!」
鰐の腹に……魚の形が浮かんだ。
「グ……ぎゃアアアアア……いたい、痛いよおおおお!」
「
ゴマモン、しっかり!!」
ゲエッと鯛を吐き出す鰐。
鯛は流石に弱っている。
「戻るんじゃ、たいやき!」
鯉が、ボールに戻る。
「よくも……ゴマモン、行ける?」
「ああ……よくも、やってくれたなあ!!」
ストーム1に鰐が突っ込む。
刀を取り出したストーム1を、傷ついた方の俺が制する。
「俺に任せろ、思いついたことがある!」
傷ついた俺が走る。
大口を開けて走る、鰐の口へ飛び込んで……
無常にも、その口が下半身半分を噛み千切り、閉じた。
「馬鹿だな、同じ手が二度も……」
「通用しているんだよ、残念だがな」
鰐の腹から血が噴出し……月牙が見えた。
「ビャ!ギャゴゲエエエエエ!!イダイ、イダイイイイイ!!」
腹を、まだ息のある胃の中の俺が裂いていく。
そのまま、突き破って飛び出し……俺は息耐えて、消えた。
「ぐ……オ、オオオオオオ!?」
死の感覚が、俺に襲ってくる。
人生で一度しか体験しないそれを、死んでもいないのに経験してしまった。
体力的な疲れではなく、精神の疲れが、それだけで限界に達した。
「すぱいだーまッ!大丈夫か!?」
「え、ええ……もう、平気です」
鰐の化物を見つめる。
どす黒い血を吐きながら、悶え苦しんでいる。
「ゴマモン、駄目だ、死んだら駄目だ!!」
「ギアアアア!!イタイイダイイダイ!!」
少女は、涙を流しながら鰐に語りかける。
「糞ぉぉ!!許さない、許さない、許すもんかぁ!」
憤怒の形相で、俺を睨む少女。
「俺の責任だ、全ては俺の……」
「すぱいだーまッ、後悔は後でも出来る。今はあの少女を助けるぞ」
そう、だな。俺とストーム1は少女に駆け寄る。
「ウアアアアアア!!!」
「くっ、こいつまだ……ッ!」
瀕死の鰐は、どこにそんな力があるのか、尾を振るう。
「ゴマモン、逃げよう!ここは逃げて、回復してから……」
「それは無理な話だね?」
「え?」
―――なんだ?
今のは、誰の声だ?
「知っているだろう? だって、常識じゃあないか」
それは、あの鰐の真後ろに君臨していた。
たとえるならば、サナギ。
一体、どんな醜悪な存在が生まれるのか、想像もつかない、悪夢が生まれる手前の段階。
「それとも、知らなかったのか?」
その体からは、触手が伸びていて……
「魔王からは、逃げられない」
その触手が、鰐へと伸びた。
敵だと、そう思ったときは、もう遅かった。
触手が刺さる、ドスドスっという、鈍い音がした。
お腹が痛すぎて、もうその程度の痛みは感じないのか。
「……げ、ろ」
違う、違った。
「逃げ……ゴ、マ……」
その裸体が、赤く染まっていく。
正面から、背中を突き抜けて見える、数多の触手。
百舌のはやにえとは、こういう状態を言うのだろうか。
「まこ、と……?」
生きてるのが不思議だ。
だって、かがみはすぐに死んだのに。
同じことをしているのに、なぜ真は死なないのか。
そればかりか、どうして。
「逃げろ……ゴマモン!」
僕を、助けようとしているのか。
「せっかくのデータ吸収の邪魔を……許さん!!」
触手が抜けて、真の体が地面に落ちる。
赤い服を着ているかのように、真っ赤になった真は。それでも立ち上がる。
サナギは、否、クリサリモンが力を収束している。
「許……さない? それ、は……こっちの台詞だ」
真は、おいらの体を踏み台に、空に浮かぶクリサリモンへと飛ぶ。
「なんなんだよ……裸にされて仲間にも裏切られて……
それで、最後の仲間も守れず串刺しなんて、御免だ!!」
その時に舞った血は、まるで真が真紅のドレスを着ているようで……
「乙女の怒りを、思い知れぇぇ!」
何か奇妙なクリサリモンは、その力を解放する。
「ディバインバスター!!!」
真の渾身の飛び蹴りは意味を成さず、真は……文字通り蒸発した。
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その光景を、俺とストーム1は見ているしかなかった。
激しい光と熱が収まった後には、誰の姿も無かった。
「くっ……あれは、なんだったんだ?」
「……わからん。だが、わかっていることは……もう、終わったということじゃな」
俺たちは、俺は……何も出来なかった。
「英雄の代理人などと……俺は、こんな体たらくで……」
「自惚れるな、すぱいだーまッ! 全てを救える人間などはおらん! そうではないかの?」
「……すまなかった。そうだ、俺には……まだ、やることがある」
放送は流れた。もういさじ達は町へと向かっただろうか?
「ストーム1、いさじ達が心配だ。俺は一度彼らのところに戻る」
「そうじゃな。今の化物がどこに行ったのかもわからん以上、その方がいいじゃろ」
「ストーム1はどうするんだ? 橋の先が禁止エリアのようだが」
この橋の先のB-1が禁止エリアになってしまう。
「地図を見るんじゃ。ちょうどB-2の橋の途中から陸に繋がっとる」
たしかに、これならば向こうに行けるだろう。
「行く前に、あの女の子を埋葬しないとな」
「雪山も埋葬も、ワシに任せろ。お主は、町まで皆を誘導してやってくれ」
俺はうなずき、ストーム1にテニスボールを渡す。
「これを受け取ってくれ、仲間の証だ。……待っているぞ、ストーム1」
「わかった。早く済ませて、ワシもあの子達と合流せんとな」
そして、俺たちは別れ、歩みを進める。
その時起こっていたことなど、俺たちは知る由も無く。
【B-2 山道手前/一日目・午後】
【
スパイダーマン@東映版スパイダーマン】
[状態]:肉体的、精神的疲労中度、鉄十字団を倒し終えていない状態。英雄の代理人。阿部に対する恐怖?(gthm的な意味で)
[装備]:サテライト30@武装錬金
[道具]:支給品一式、DIGIZO HYPER PSR(残り二十分程度)@現実、上海人形、花粉防止用マスク、テニスボール*2
[思考・状況]
1.いさじたちと合流して町へ。
2.あの邪悪な怪物に注意する。そして阿部に注意する。
3.英雄の遺志を継ぎ、可能な限り誰も死なせない。
4. YOKODUNAを探して、止める。
5.夕方に仲間と塔で待ち合わせ。
「しかし、酷い男じゃったな。まあ長い夢の中では、ああいうのもいたな」
あの消し飛んでしまった少女の服を集め、死んでいる少女と一緒に埋めることにする。
穴は掘らずとも、戦いでちょうどいい穴が出来ていた。
女の子の死体を抱き上げ……気付いてしまう。
「まさか……つかさちゃんの……!?」
先ほどの放送、あの阿部の凶行に気を取られ、深く考えていなかった。
柊かがみ。つかさちゃんの双子の姉の名が呼ばれていたのだ。
「しかし、すぱいだーまッも気付かんとはな……そうか」
ワシは、もうとっくに見えないすぱいだーまッの進んだ方角を見る。
「知らなかったんじゃな。つかさちゃんの苗字も、姉が参加していることも」
名簿を見ればわかること……すぐに気付くだろう。
だが、問題なのは、つかさちゃん。
福山に続き、姉まで失った彼女は……
【B-2 橋の手前/一日目・午後】
【ストーム1@おじいちゃんの地球防衛軍】
[状態]:健康
[装備]:ウィンチェスター M1895/Winchester M1895(狙撃銃、残弾0)@現実、予備弾丸20発
無限刃@るろうに剣心(フタエノキワミ アッー!)、トカレフTT-33(6/8)
[道具]:支給品一式、きしめん@Nursery Rhyme、たいやき(残りHP50%)@ポケモン金コイキングだけでクリアに挑戦
テニスボール
[思考・状況]
基本:異星人を撃退じゃあ。
1.つかさちゃんが心配。
2.雪山で遭難している人がいないか見に行く。
3.すぱいだーまっ!達と搭で合流する。
4.地球防衛軍として地球を守る
※阿部に対する恐怖は、ああいうのもいるかと、無くなりました。
※真の服、柊かがみの遺体は、B-2の草原地帯に埋められました。
※スパイダーマンは、つかさの姉の死に気がついていません。
名簿を見直せば、気付くでしょう。
こなたちゃん……かがみちゃん……ボクは、何も出来なかったよ
あの時、あのロボットに殺されていた方が幸せだったよ。
ごめんね、こんな考えばかりして。
こなたちゃん、かがみちゃん、ゴマモン、圭一、
ピカチュウ、ピッピ
ボクは、何も手に入れられなかったよ。
ゴマモンと、初めに出会えたのがボクだったら良かったのに。
ボクも、ボクだけの……あんな素敵な騎士が、欲しかったなぁ……
「何言ってんのよ。アンタがゴマモンの騎士だったじゃない」
あーもう、それが嫌だったのになあ……まぁ、それがボクらしいか。
それに、人としてはともかく、アイドルとしては中々だったと思いたいな。
狂ってなお、最期には王子様らしく、カッコ、つけられたんだから。
【菊地真@THE IDOLM@STER 死亡】
【残り43人】
最終更新:2010年03月18日 15:01