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最強の激昂
 
ぼくとひたぎちゃんは、とりあえず骨董アパートに到着した。
「ふむ。崩れないのが不思議なくらいのゴミのようなアパートね。」
ぼくの住居に対して凄い物言いだな。
「ていうかいい加減足が痛いわ。家があることだし、いい加減休ませてくれないかしら?」
ぼくだっていい加減疲れているんだよ。
そのままぼくとひたぎちゃんは階段を上り、とりあえずぼくの部屋へ向かうことにした。
そして、扉をあけ――子供の死体と、『哀川潤』という血文字を発見した。
 
哀川潤は歩む。
浪白公園で阿良々木暦を気絶させたのはいいが(全くよくない)、中々目覚めないので、とりあえずおぶって骨董アパートへ向かっていた。
「いーたんと合流すればいーたんに見張りを任せて眠れるんだがよー。あーも、眠ぃ。」
個人的には死活問題である。
「早く寝ねぇとまともに行動できねえからな。つーか、本当にあの女、どこの殺し名だよ。」
潤は未だに神原のことを根に持っていた。
それはさておき。
「いい加減に起きろやこの野郎!」
殴って起こそうかと思ったが、また殺しそうなので止めた。
やはり面倒見がいい。何だかんだ言っても。
 
零崎人識も骨董アパートを目指して歩む。
背中に背負った友は、今は昏睡状態だ。
まだ死んではいない。だから、人識は急ぐ。
「やっぱり俺らしくねーよな。傑作だぜ。あーあ。これ見たらあいつ、何て言うかなー。」
人識らしくなく、最高に人識らしい状態で、骨董アパートへ急ぐ。
 
ぼくが見張っているからひたぎちゃんは休んでて、と言うとひたぎちゃんは素直に寝入った。
まあ勿論死体のある部屋で寝入るわけにもいかず、一階の姫ちゃんが住んでいた部屋にあるベッドで眠っている。
で、ぼくは一階の外で、景色を眺めていた。
まだ世界は星が支配していた。
そんな中、闇の向こうから誰かが歩んでくる。
「誰だ………?」
目を凝らす。しかし一般人のぼくの視力は、小柄な影と、それがどうやら誰かをおぶっているらしいということしか認識できなかった。
まあいい。後少しで、ぼくにもその姿が見えてくるだろう。
その人影は、小走りになってぼくの方へ駆け寄ってきた。
そして、闇の中から浮かび上がるその影は――――
「零崎?参加していたのか?」
「よう欠陥製品。元気にしていたか?」
「ああ。それは勿――――――――――論………………………。」
ぼくが沈黙した理由は、相手が零崎だからでも、零崎が血濡れだったからでもなければ、その背中に友を背負っていたからでもない。
 
単に、友が血だらけだったからだ。
 
「と、友…………?お前まで、参加していたのか……………………………?」
いや、参加云々の問題じゃなくて…………もっと、大切なことが……………………。
「あ、いーちゃん。へへ……………やっほー……………………。」
息も絶え絶えの友が、やっとの思いで口を開く。
「やっほーじゃねえよ!何があったんだ!友!お前どうしてそんな怪我を負っているんだ!」
「別に、いーちゃんの…………所為じゃ…………ない…………………よ。」
「とりあえず、零崎。部屋へ運んでくれ。」
「ああ。」
ぼくたちはそのまま二階の、みいこさんの部屋へ。
「あん?お前の部屋じゃねーのか?」
「ぼくの部屋は死体が転がっててね。おい友!大丈夫か!」
「いー…………ちゃん……………………。今から、僕様ちゃんが言うことを………………よく聞いて……………潤……………ちゃんに………………………伝えて……………。」
「喋るな!いいから黙ってろ!今、手当て―――――――」
「この世界はね―――――――」
 
友が死んだら。
友が死んだら、自分は、どうなるのだろうと思った。
泣き叫ぶのか、狂うのか、後を追うのか。
想像できなかった。
しかし、夢にも思わなかった現実が、ここにはある。
そして、どうにも出来ず、ただ、立ちすくむぼくの姿も。
友が死んだら。
それは、ぼくにとって、終わりを意味する言葉だ。
はっきり言って、ぼくには、生きる意味が今、ない。
辛うじてあるとすれば、友の言葉を、ぼくの口から潤さんに伝えることだ。
友が、ぼくに頼んだ。
ぼくの頭では、友の言葉は理解できなかった。
しかし、潤さんなら、この状況を打開できるかもしれない。
それに、友の最期の言葉を、忘れるわけがなかった。
忘れられるわけが―――なかった。
一言一句、間違いなく、覚えている。
友は、ぼくに、最期の一言を告げ、事切れた。
『いーちゃん………………………。大好き。』
最期まで、そう言って。
そして、ぼくは―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
 
【玖渚友 死亡】
【残り 38名】
 
夜が明けるころ。
「よっす。やっぱここにいたか、いーたん。」
がば、と。
反射的に振り返る。
そこには、一人の男の子を背負った、赤い請負人が立っていた。
「潤さん……………。」
「やっぱりいたか、最強。」
「んあ?零崎くんじゃねーか。こんなばかげたイベントにお前が参加してるたぁ、驚きだな。」
男の子を床(畳)に寝かせて、胡坐をかく。
「潤さん…………………。」
「ん?何だ?」
「友が…………………………………………。」
「玖渚ちんがどうした?アイツも来てたのか?」
「…………………死にました。」
潤さんの表情が、空気が、固まる。
そのまま数分、沈黙が流れる。
「――――――――――――――何があった?」
それでも取り乱さないのは流石、人類最強といったところだ。
「ああ、俺が、玖渚と会って一緒に行動してたんだけどよ、そん時に、変な奴に襲われて、…………やられた。」
「潤さん、友は、最期に、これを、潤さんに伝えてと、言ってました。」
ぼくは、友の言葉を、潤さんに、一言一句間違わずに、伝える。
目を閉じて、ぼくの話を聞いていた潤さんは、ぼくの話が終わると、目を開く。
「零崎くん、玖渚ちんを殺したのは、誰だ?」
「左右田右門左衛門っていう、変な奴だよ。」
「特徴は?」
「不忍って書いてある変な仮面をつけてた。」
「そうか。」
潤さんはもう一度目を閉じて、そして、目を開く。
空気が、ざわりと、動く。
潤さんの周りの空気が、燃え上がる。
怒りに。
「いーたん、これは、あたしからの一生のお願いだ。」
「はい。」
「今、あたしに、『全力で友の敵を討ってくれ』と依頼してくれ。」
「でも、それは。」
「いいから!報酬はとらねぇから!早く!」
ぼくが、潤さんの思いに、逆らうことなんか出来るはずもなく。
「分かりました。潤さん、ぼくからもお願いします。全力で、友の敵を、討ってください。」
「ありがとう。」
その時、潤さんの頬を、一筋、何かが伝ったように見えた。
血の如く、燃え上がるように紅く、緋く、そして何よりも赤い――――――請負人は、姿を消した。
 
請負人がアパートから姿を消した、その直後。
正確には三秒後。
左右田右門左衛門は、新・真庭の里を捜索していた。
「『不見』」
中心に一人佇み、そう呟く。
「やはり簡単には見つからないな、鳳凰よ。しかし、なんとしても見つけて見せるぞ。私の任務を、遂行させてもらう。」
そして、次の場所へ移動しようとした、その刹那。
「ッ!」
ソレに気付いた右門左衛門は、瞬時に真庭の里の外周部まで避難する。
刹那。
先ほどまで右門左衛門が立っていた真庭の里の中心に、核弾頭でも打ち込んだかのような窪みが発生し、真庭の里の建物は、というか存在するもの全てが全て、根こそぎに、跡形もなく影も形もなく、消滅した。
そして、その中心に、赤い、紅い、緋い、一人の女が、立っていた。
「『不禁』驚きを禁じえないな。誰だ、貴様は?」
潤は、ゆらりと立ち上がる。
「あたしの名は哀川潤だ。お前が、玖渚ちんを殺したのか?」
「玖渚?あの青い小娘のことか。ああそうだ。私がこ―――――――」
最後まで言えなかった。
腹部に大砲でも打ち込まれたかの衝撃を感じ、背後にあった大木に叩きつけられた。
大木が折れなかったのが不思議なくらいの衝撃だった。
背中全域に致命傷を負い、腹部が消失していた。
「か……………………は……………………………?」
何が起こったのか認識できない。
そして目の前に、赤い女が、先ほどと変わらず立っていた。
「お……………………………前………………………………………………は……………………。」
「普段ならあたしは目一杯手加減してやる余裕があるんだけどよ、あたし今、最高にブチキレテルからよ、手加減無しだ。」
そして、潤は動く。
「死ね。」
周囲半径十キロが跡形もなく消し飛び、塵に回帰し、ただの荒野となった。
 
 
 
【左右田右門左衛門 死亡】
【残り 37名】
 
 
 
【一日目 早朝 骨董アパート】
 
 
【戯言遣い@戯言シリーズ】
 
[状態]頭部に軽症、頬に軽症、体の数箇所に打撲(行動にそれほどの影響なし)
 
[装備]バタフライナイフ@人間シリーズ(零崎人識が試用していたナイフの一つ)
王刀『鋸』@刀語シリーズ 手裏剣×@刀語シリーズ(手裏剣砲のやつ)
[道具]支給品一式、ランダム支給品(1~2)
[思考]
 
基本 友が死んだ……………。
 
1  友が死んだ……………。
 
2  友が死んだ……………。
 
3  友が死んだ……………。
 
4  友が死んだ……………。
 
5  友が死んだ……………。
 
 
【戦場ヶ原ひたぎ@物語シリーズ】
 
[状態]右手甲負傷(物がうまく掴めない程度)、右足首捻挫(単独での移動不可能)睡眠中
 
[装備]スタンガン@戯言シリーズ(哀川潤が使用していた物)
 
[道具]支給品一式(懐中電灯の乾電池を除く)、ランダム支給品(1~2)
 
[思考]
 
基本 阿良々木君と一緒に生きてここから出たい
 
1   zzz.........
 
 
※      二人とも王刀『鋸』がただの木刀だと思っています。
※      玖渚友死亡のため、いーちゃんは論理的思考が出来ません。
 
 
【阿良々木暦@物語シリーズ】
 
[状態]健康、睡眠中
 
[装備]なし
 
[道具]なし
 
[思考]
 
基本 戦場ヶ原と生き残る。人を殺したくない
 
 1  zzz.......
 
※神原駿河が殺し合いに乗ったことに気付いていません
 
※忍野忍の不在に気がついていません
 
【哀川潤@戯言シリーズ】
 
[状態]健康
 
[装備]なし
 
[思考]
 
基本 主催者をぶちのめす
 
 1  本気でキレた。もう完全にキレた。主催者殺す
 
 2  主催者を友の敵として認識
 
 
※身体能力の制限に気付いていません。というか制限なかったらMAP全域が消し飛んでいた可能性さえあります。
 
※友を殺された怒りで眠気が消し飛びました。
 
※主催者を友の敵として認識しているため、これより常時本気です。
 
 
 
 
※新・真庭の里の周囲、半径十キロメートルが甚大な被害を受けました。早朝時このエリアにいたプレイヤーは全滅している可能性があります。詳細は後の書き手さんに任せます。

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最終更新:2010年12月31日 19:10