gdgdDX3の世界

ネ実TRPG的ダブルクロスのワールドのあり方


概要

 言ってしまえば、「オーヴァードだけが世界を回せるように他は垣根の外にする」という構図が窮屈に感じたので手を加えたステージです。

UGN、FH、ゼノス以外の組織について

 現実問題として、オーヴァード/非オーヴァードという次元軸を主眼に据えているのは、上記三つの組織(およびその派生/下位組織)ぐらいの物である。
 それ以外は旧来体制の枠のままで物事を考えており、オーヴァード/非オーヴァードというのは「よくある新しい種類の懸念」程度の意味合いしかない。
 食糧問題、エネルギー問題、環境問題、外交問題など様々な試練に直面している世界にとって、今更ウィルスが蔓延して超能力者が生えた程度の事など些事もいいところなのだ。
 (もっとも、大問題なのは確かである。一部のセンチメンタリストが訴えるほどではないが、現状の対応を改めなければ世界が大きな代償を支払う事になるのは間違いないだろう)

 オーヴァード個人で考えても、全てがUGNやFHの価値観に染まっている訳ではない。
 他者との隔絶自体はそれこそ個の概念が発生してからこの方、多くの人間が頭を悩ませてきた、至極ありふれた苦悩である。
 それに「オーヴァードである」という事はそれ自体がタレントであり、あらゆる組織が求める人材である(ある程度以上の体力がある組織でなければ、オーヴァードを抱えるリスクに対応出来ないが)。
 いわゆるチルドレンなどには理解しがたい事かもしれないが、レネゲイド問題自体この世界を計る指標の一つに過ぎないというのが一般の常識であり、また同時に真実である。オーヴァードも人間と同じように、国家・民族・企業・宗教といった物に対して忠誠を誓うのは普通の事なのだ。

 各国政府に取って、UGN・FHはいずれもタチの悪いカルト教団のような物である。
 いずれも独自の価値観を持つ超国家組織であり、強力過ぎる武力を有する。
 唯一の違いは、UGNの目的が「非オーヴァードの社会秩序を守る」事であり、FHのそれが「オーヴァードによる営利活動の互助と相互支援による権利の保護」である事だ。
 その為、多くの自由主義陣営国家は国家としてUGNと協力体制にあり、その敵であるFHとは敵対関係にある(もっとも、FHセルと政府高官が影で癒着しているというような事は珍しくない)。
 反面で全体主義国家においては、「オーヴァード個人の権利を保護する」UGNは日陰者となる。
 全体主義国家においては、オーヴァードは資源であり、それを独自のルールで利用しようとするFHとは対立するのが普通だ。事実、FHがFHとして存在するのは自由主義陣営国家がほとんどであり、例外は国家そのものが巨大なFHセルである場合である(領事館等の出張機関がFHのセルになっているケースもある)。

オーヴァードの法的扱い

 オーヴァードは多くの先進国において、病人として扱われている(基本的にいずれの社会においても公式には"いると実証されていない"物である為、その記述は示唆に留まり、ズバリ書かれている訳ではない)。
 これは20年前のレネゲイド・バースト以降急速に広まる発症者を守りたいUGNと、現実的なラインで社会を護りたい国家が出したギリギリの妥協点である。
 これによってオーヴァードは病人であるが故に人権を「保護」され、また同時に病人であるが故に一部の権利を「剥奪」される。

 興味深い事に、ジャームは病人に含まない。
 UGNの見解ではジャームはもう「救えない物」であり、国家の見解ではジャームは「社会の敵」であるからだ。
 もっとも、ゲームシステム上はともかく、オーヴァードとジャームの間には明確な区別はない(直感という名のご都合で、出てきたエネミーがジャームかどうか判別できる事はあっても)。

 ところで、レネゲイドビーイングはどうだろうか?
 これはオーヴァードより更に新しい概念であり、明確な判断基準が存在しない。多くの地域で彼らは生命ではなく「現象」である。
 その為、レネゲイドビーイングには一切の権利がなく、社会において有害であると判断されれば何ら咎められる事なく駆除できる。
 しかしながら、レネゲイドビーイングとは何か、という定義すら曖昧である為、(ゲーム上は)レネゲイドビーイングである物が(社会的には)人間あるいはオーヴァードとして認められてしまうケースも珍しくない。
 余談になるが、レネゲイドビーイングという名称は自然発生的に生まれた物で、命名者がはっきりしない。名称のおとなしさから、少なくとも(若々しいネーミングを好む)コードウェル氏の発案ではないようだ。

オーヴァード・ジャーム・レネゲイドビーイングの一般認識

 "コードウェルの帰還"事件以前の一般人が抱くオーヴァードの認識は、現実世界で言うところの「超能力者」や「幽霊」のようなものである。
 当然地域差はあるが、「いるかもしれない」「いないだろうけど、いたら面白い」「いないとは言い切れない」「娯楽の中なら好き」と言った具合である。
 それでも、警察や消防、医療関係など、特定の職種の人間を中心にまことしやかな噂は広がりつつあり、オカルト好きな人間を楽しませていた。

 この全体としての意識は"帰還"以降も変わらないと言えば変わらない。
 多くの人々は未だレネゲイドを身近な現実として認識していない。
 とはいえ、FHなどというたかが一組織が世界中の電波をジャックし、存在を知らしめた事によって、レネゲイドやオーヴァードと言った言葉は社会的により広く知られるようになった。
 それはまた同時に陳腐化したという事でもあり、コードウェルが啓蒙を目的として電波ジャックを行ったのだとすれば、それが陳腐化し危機意識がより薄れてしまった現状は皮肉だと言わざるを得ない。

 ちなみにレネゲイドビーイングであるが、大半の人間の認識は「何それ?」である。

歴史

 レネゲイド、オーヴァード、ジャームという言葉自体は非常に新しい。また、シンドロームの呼称も基本的には最近つけられた物である。
 いずれもアルフレッド・コードウェルが自身の論文中で使った単語であり、UGN・FHともに彼の提唱した呼称をそのまま用いている。

 とはいえ、オーヴァード自体は紀元前からいたというのが現在の定説である。
 ごくごく少数のオーヴァードが、同様に少数のジャームから社会を護るという構図自体ははるか太古からあったのだが、文明の進歩に応じてオーヴァードの優位性が弱まり、また科学による検証の遅れもあって、レネゲイドはオカルトの一種として片付けられるようになっていたのだ。

 この構図が変化したのが、20年前のレネゲイド・バーストに端を発するパンデミックである。
 オーヴァードの優位性が弱まったとは言え、個人として人間とオーヴァードの間には天地ほどの差があった。ひとえにオーヴァードの絶対数が少なすぎた為、オーヴァードが何かしたところで大勢に影響を与える事は出来なかったのだ。
 それがレネゲイド・バースト以降、オーヴァードの絶対数は爆発的に増加した。その結果、社会はオーヴァードをマイノリティとして無視出来なくなったのである。

スラングなど

 オーヴァード全般を指して揶揄的に用いられる単語に、怪物や異常な物という意味合いの「フリークス」がある。これは自嘲的にオーヴァード本人が使うこともあるが、基本的に非オーヴァードが差別的に用いる単語であり、公式の場などで使われる事はまずない。
 フリークスに対する言葉として、非オーヴァードを揶揄的に指す単語に、「グリークス」がある。これは字義通りにはギリシャ人であるが、「お行儀のいい人」「お高くとまった奴」「お坊ちゃんお嬢ちゃん」等という意味合いを持ち、オーヴァードが差別的な非オーヴァードに対して罵倒の意図で用いられる事が多い。

 更にオーヴァードを指す有名なスラングとして、裏切り者を意味する「ダブルクロス」がある。これは特にUGNなどに協力する、「オーヴァードでありながら非オーヴァードの側に立つ」者を糾弾する意図で使用される。

 グリークスよりも柔らかいニュアンスで非オーヴァードを指す言葉に「イノセント」「ピュアヒューマン」がある。前者は主に警察機構などで分類する際に用いられ、後者は主に学術系の文脈などで用いられる。

 以上のカタカナ語は全て、日本においてそのまま用いられており、漢字等が当てられる事は基本的にはない。文学的な意図で、超人、変人、変異人、怪物などという表現が用いられる事がある程度である。


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最終更新:2011年09月29日 03:25