サームプリアに住まう数多のモンスター達を、ワールド設定と合わせてざっくり解説していきます。
住人たち/モンスター
冒険するさなかで遭遇し、戦ったり、逃げ出したりするであろうモンスターについてです。
個々のデータは当然ルールに従い決めるのですが、その生態や食物連鎖内での役割、あるいは迷信などはサームプリアの世界観の一部ですので、解説しておきます。
動植物
概ね現実世界に生きる動物と、その奇異な姿や生態から我々が空想した「巨大な動物」、「動物のように動いてPC達を襲う植物」などです。
あるいはかつて存在し、今は絶滅してしまった種(恐竜など)や、想像から拡げられたそのバリエーションもここに含みます。
DDは自然の動物が弱すぎるように感じるのですが(他のゲームでも結構見られる傾向ですが)、まぁそれはそれでルールを弄るほどではないかと言う事でそのまま行こうと思います。
こうした種別のモンスターは基本的に魔法と無縁なのですが、その巨体を維持するため、あるいはその奇異な生態を支えるため、生得魔法を使っている場合があります。
あるいは生物自体ではなく、その生息環境自体に「魔法」が強く作用している場合もあります。
例えば、地上生物にとっては「少しふわふわする地上」だが水棲生物にとっては「水中」のように感じられる「半水空間」というものが古代遺跡等で見られる事があるのですが、そこに適応した「宙を泳ぐサメ」などです。
精霊と妖精
森羅万象を司る「物理法則」である精霊力に、人格を宿ったものが「精霊」です。
これはメンテや緊急措置用に神々が創り出したシステムであると考えられていますが、術者により召喚されたり、誤作動により自然発生したりして、PC達の前に立ち塞がる事があります。
恒常化した「例外処理」のため、あるいは他の何らかの理由で精霊が長く存在する内に生命として確立したのが「妖精」であると考えられています。
妖精には精霊と大差ないものから、動植物と大差ないほど世俗化したものまで様々な種がいます。
ゴブリンとオーガ
ゴブリンとオーガ(およびその亜種)は、世界中で見られ、様々な名で呼ばれています。
それほどありふれた存在でありながら、その反面で、ゴブリン・オーガの「勢力圏」というものは存在しません。
ゴブリン・オーガはどこにでも「湧き」、いくら根絶してもそれがやむ事はありません。
これは一部の賢者が唱えるだけなのですが、ゴブリンやオーガは「動物」ではなく、妖精や精霊、あるいはそうした存在が引き起こす「現象」であるという説があります。
突飛なため一般に受け入れられているとは言い難いのですが、その説を裏付けるように、彼らはどこにでも湧き、増殖はするものの繁殖する事はありません。
彼らが「現象」なのだとして、どのような役割/原理で生じるのかは分かっていません。
ただ彼らは一心に貪欲・邪悪で、常に飢えに突き動かされて弱い生物を襲い、略奪して、これを食らいます。
そんな敵ばかり作る生態の一方で彼らは総じて生き汚く見える側面も持ち合わせており、強い相手と見れば命乞いをし、これに服従する事すらあります。
こうした「生物っぽさ」は、彼らが「現象」であるという説に対し懐疑的・否定的な賢者も大勢います(むしろこちらが多数派です)。
※この設定は、「どこでも出せて気兼ねなくぶっ倒せる敵」を用意するため、という意図によるものです。
幻想生物とキメラ
ペガサスやユニコーン、あるいは正にキマイラのように、いわゆる「幻想生物」と呼ばれる種がいます。
これらはその生態に魔法が大きくかかわっており、サームプリアにおいても、普通の動植物と区別して認識されています。
幻想生物は神話時代に神々から特別な役目を与えるため創造され、あるいは魔法帝国時代に想像の御業を真似て生み出された、あるいはそうした事柄の過程等で偶然発生したものである、という定義です。
が、実のところ、そうした幻想生物と動植物の間に明確な線引きなどありません。
何故なら、サームプリアにおける「動植物」もまた、神々が特定の意図をもって創造した(あるいは何かの弾みで偶然生じた)ものでありますし、この世の生きとし生けるものはすべて魔法と無関係ではないからです。
幻想生物は、現実世界の我々から見て不自然極まりないものですが、種として確立しており、生態系の一部を成して繁殖を続けています。
一方で、種として確立できていないものを「キメラ」と呼びます。
(キマイラもキメラも同じ意味ですが、キマイラは「そういうモンスター」がいるので区別のためキメラという表現を用います。もちろんキマイラはキメラの一種です)
キメラは「守護」や「単機での攻撃」と言った特に尖った用途で生み出されたり、あるいは偶然生じたものです。
そのため、生物としてはアンバランスで、用途に応じて様々な他生物のパーツを掛け合わせたような姿をしているものが殆どです。
彼らは同種の親から生まれたのではなく、「最初/最後の一匹」であり、ほとんどの場合子孫を残しません。
(時折想定外に繁殖能力を持ってしまう場合もあります)
巨人とドラゴン
巨人、ドラゴンという種がいます。
彼らは幻想生物の一種として捉えられていますが、その成り立ちは他と若干異なると考えられています。
それは即ち、巨人・ドラゴンは被造物ではないという事です。
実際に見たものがいるわけではない(当事者がまだ存命の可能性はありますが、そんなものがいるかどうかは基本設定の範囲では言及しません)のですが、巨人とドラゴンは、原初の父母神の創造の過程で、あるいは父祖神が死んだ時に生じたと考えられています。
(真教や赫教の過激な者は「そんな事はない、巨人やドラゴンも神々の創造の御業により生まれたのだ」と主張しますが)
彼らは多様な種がいるようでいて、ストームジャイアントやゴールドドラゴン等というのは「個体の性質」にすぎず、巨人同士、ドラゴン同士ならば交配する事が出来るという話があります。
それどころか、巨人やドラゴンの血を継いだという英雄や怪物の伝説は各地にある事から、巨人やドラゴンは他種族と自由に交配する事が出来るという説もあります。
一方で「血を継ぐ」事で力の一部を有する、というのがほとんどであるため、本来の意味での「子」を成す事は出来ないとも言われています。
アンデッド
この世における生命は全て、「生命」と「死」という表裏一体の精霊力の作用に「魂」が加わって成り立っているとされていると説明しました。
この「死」の精霊力を誤作動させて「生命」の精霊力のように機能させ、死者を疑似的に生者のように振る舞わせる術があります。
そうして生じたものを「アンデッド」と呼びます。
アンデッドはどれほど生前の姿を維持していても、その在り様は全く別物、特に「死」の精霊力は「変化」出来ないため、成長したり、知見に応じて柔軟に考えたりする事が出来ません。
リッチやバンパイアのような高等アンデッドが生者から血や生命力を奪うのは、この「変化力の欠如」を一時的に補うためと考えられています。
高位のアンデッドなどは生前と変わらぬ姿を持ち、同じように振る舞って見せる事もありますが、アンデッドは決して生前の本人ではありません。
「変化」が無いためまともに意思疎通出来ませんし、「魂」も分散するところを無理やりつなぎとめている状態です。
アンデッドになった時点でそれはせいぜい「情報や知識を一部持っている」「姿かたちが似ている」だけの別物なのです。
(リッチなど高位のアンデッドはその妄執により成り遂げる/果てるので、妄執で凝り固まったその姿が生前と見分けがつかない、という事はあるかもしれません)
また、アンデッドを存在させるこの「誤作動」は、その地域の森羅万象において大きな負荷となります。
そのため、魔術や呪いにより人為的に変化させられるのでない限り、その地域に自然に存在し続けられるアンデッドの数には上限があります。
※この設定は、ゾンビパンデミックを気兼ねなく扱えるようにするためのものです。
自然の上限が決まっているので、ゾンビパンデミックは自然発生しません。
人為的に干渉される事でいくらでも発生しますし、干渉をなくせば自然に解消します。
デーモンとデビルとセレスチャル
デーモン、デビル、あるいはセレスチャルと呼ばれる者たちは、異世界に住まう「下位の神々」であると考えられています。
彼らは父祖神の死、神々の誕生の時に一緒に生まれたと言われ(本人たちもそう自称し)ています。
主要な神々ほどの力を持たないだけで、本質的に同じものなのだと。
一方で賢者達の一部は、そうであるなら、神々とデーモン/デビル/セレスチャルの間には明確な格差などないはずであるとも考えています。
下魔と呼ばれるような下等な存在から最高神までその権能を数値化して並べたら、線が引けるはずだと。
ですが実際には、「神」と「デーモン/デビル/セレスチャル」の間には明確な壁があります。例えば「神」は不死ですが、「デーモン/デビル/セレスチャル」は殺されて消滅した事例があります。「中間の存在」は確認されていません。
さて、デーモン/デビル/セレスチャルは本質的に同じものであると述べましたが、それぞれ区別するための相違はあります。
デーモン
デーモンは、自身独自の基準・価値観を持ち、独立した存在です。
多くは邪悪で自分勝手、粗暴で短慮的な傾向が見て取れますが、より狡猾で強大な力を持った個体が多いという特徴もあります。
「デーモン」がデーモン/デビル/セレスチャルという存在の基本という考え方があり、デビル/セレスチャルであっても総称としては「デーモン」と呼称されます。
セレスチャル
セレスチャルは、神々に仕える事を選んだデーモンで、それぞれ使える事を選んだ神々の元で群れ、組織を形成しています。
組織の権威の拠り所はその神ですが、高位のセレスチャルと交信する事に成功した賢者(ファウストみたいな存在ですかね)の話では、指揮系統のトップと言う訳ではないようです。
(神に勝手にお仕えして、その意向を忖度したつもりで勝手に行動しているようです)
彼らの性質は仕える神格により傾向が異なります(神格に影響を受けたというより、性に合うところに「就職」しているのでしょう)。
デビル
デビルは悪い意味で「高い理想」を持ち、それを拗らせ、「ボクの考えた理想の世界」を構築して不完全な世界を救う事を夢見ている連中です。
その理想は一部正しいのかもしれませんが、先鋭・独善に過ぎるため、基本的に彼らの思想は一人一派です。
もし彼らの理想がそれなりにまともだったら、神々によって掲げられ、彼らはそのセレスチャルになっていた事でしょう。
一方で彼らの理想は「社会」が前提となるため、デビル同士で群れ、その中で分裂・合流・内ゲバを繰り返しているのです。
デビルは傲慢かつ狡猾で、嘘つきですので、時に特定の神を騙る事がありますが、基本的にどの神にも属していません。
それはセレスチャルになります。そう誤解する者も多いのですが、邪神に仕えるものはデビルではなく、セレスチャルです。
デーモン/デビル/セレスチャルの生態
彼らは基本的に自分だけの小さな世界を持ち、そこに住んでいます。
その世界は「魔界」と呼ばれ、群れる事で大きくなります。
彼らは基本的に「魔界」から離れる事が出来ず、サームプリアに来て留まるためにはサームプリアの住人に召喚され、契約を結ぶ必要があります。
デーモン達はそれぞれの欲望に基づいて好き勝手に暮らしているので一概に言えませんが、セレスチャルは「一定の距離を保ちつつ、サームプリアが間違った方向に進まないように時に干渉する」事を理想とし、デビルは「隙あらば干渉し、間違った世界を正して君臨したい」と考えています。
彼らはいずれもこの世のものではないため、顕現する時の姿も、この世の理に縛られません。
多くの場合「与えたい印象」「依り代にした生物の形」「消しようがないその本性」と言った都合を組み合わせた姿を取るのがほとんどです。
稀に全く物理的に破綻したでたらめな、生理的嫌悪感を抱かせる生物的オブジェや、幾何学模様のような姿を取ったりする場合もあります。
デーモン/デビル/セレスチャルは、この世の生理的な要求に縛られません。
なので、食事をしなくても飢えません。より正しくは、存在を維持するために摂取する必要がある「何か」はあっても、「この世の食べ物」から栄養を得る必要がありません。
眠る必要もありません。これも正確には「疲れる事はあるし、休眠する事もある」が、「睡眠欲」に縛られる事がないという事です。
何かしらの理由で新たに存在が生まれる事はあっても、生殖行為も必要ありません。行ったその結果「落とし子」を生み出す事はあっても、全く同じ「我が子」が生まれる事はありません。
一方で、全くの楽しみ、あるいはその行為を観測したものに特定の印象を抱かせるため、あるいはまったく強迫観念的な衝動により、そうした行為を行う事はあります。
魔法生物
魔法の力で生まれ、生存している疑似生命体、あるいはゲーム的な都合で生物として扱われる魔法機械などを、魔法生物と呼びます。
この定義は難しく(同時に明確にする事に大した意味はなく)、賢者達の間でも使われる事がある分類でありながら、はっきりした線引きがありません。
「魔法の力で生まれた」ものであるなら、キメラやアンデッドは魔法生物になりますが、一般にそうした存在を魔法生物と呼ぶ事はありません。
「魔法の力で生存している」ものであるならもっと範囲は広がりますが、こちらも一般に魔法生物とは呼ばれません。
「(高位の呪文などで)魔法を解除されたら存在を維持できなくなる(=解除する事が可能)」という事なら、確かに一般に言われる魔法生物とかなり重なります。
ですが、デーモン/デビル/セレスチャルがこの世界に留まるのも魔法の力によるもので、解除されれば存在できなくなるものの、彼らもまた魔法生物とは呼ばれません。
一般にはゴーレムなど、「いかにも」なものだけが魔法生物と呼ばれています。
最終更新:2023年12月29日 01:17