◆概要
《入り江の国 ミザロキア》
テラスティア大陸南方に位置するザビオラ湾の湾岸を囲むようにして建国された国家。国旗は三色の三日月が重なったもの。人口は1万2千人程度だが、ルーンフォークの大部分は備品扱いとして、人口に数えられない。
国教は始祖神ライフォス、賢神キルヒア、炎武帝グレンダール、月神シーンの四種。一部の邪教を除き、信仰の制約は特に設けていない。
潮風に強い特殊な製法で作られた煉瓦を用いて海底から聳え立つ塔“海上塔”を建てたり、沖合にまで続く石橋を作ったりと、建築技術も非常に高い。
内陸の鉱山から産出される豊富な鉱物とその加工品、特に水銀や真鍮、そして上記の煉瓦を貿易の要としている。また近年、内陸部の山岳地帯にて発見された“51号ジェネレーター”から製造されたルーンフォークを外人部隊の兵力として輸出し、莫大な利益を得ている。
それに反比例するかの様にして、騎士団に所属する従来の種族は士気が大幅に低下。不穏な軍部に影響されてか、国民達も何処か厭世的な雰囲気を漂わせている。特に沿岸都市カザビアでは治安の悪化が顕著に表れ、暴徒鎮圧の為に冒険者を頼る事も珍しくない。更には沿岸部と海上塔側での対立が表面化した事もあって、冒険者の仕事は増加の一途を辿っている。
ちなみに国民は全て番号登録制が敷かれているが、スラム街は管理が行き届いて居らず、その限りではない。
◆代表的な組織
ミザロキア国政管理局
冒険者達に依頼を出す為に編成された、外交組織。
冒険者補助教導委員会
冒険者達の請け負う依頼を少しでも成功させやすくする為に編成された、国家組織。
“オペレーター”と呼ばれる職員は冒険者達に同行し、助言や手助けを行なう。
但し、別料金を支払われない限りは必要以上の干渉をしてはならないというルールがある。
ミザロキア公国騎士団
建国当初からミザロキアに存在する騎士団で、憲兵も兼ねている。
群青色のインナーに鉄の鎧を着用しており、マフラーの色によって所属が異なる。
また指揮官クラスは右腕に腕章を着用し、そこに記された線の本数の多さがそのまま階級の高さを示す。
《マフラーの色一覧》
白:遊撃部隊
緑:陸上警備隊
茶:湾岸警備隊
青:海上警備隊
黄:国境警備隊
赤:蛮族掃討部隊
紫:公爵家直属部隊
黒:通商警備隊
ルーンフォーク兵団
ガラント・ラガンティ将軍によって結成された、騎士団の一部門。
一般兵は、2メートルという巨躯を持つルーンフォーク達で構成される。
真鍮製の鎧や兜を纏っている事から“ブラスレギオン”と呼ばれている。インナーは黒で、マフラーの色によって所属が異なる。
戦闘に特化して製造された為、会話は常に機械的な遣り取りのみ。
反応も極めて機械的で、日常会話は全く成立しない。
主な装備はマギスフィアと両手持ちの小銃で、接近される前に弾幕を張る戦い方が主流となる。
目標の為なら自らの命は惜しまない為、必要に応じて無茶な戦いも行なう。
生命活動を停止したルーンフォーク兵は蘇生され、再訓練を経て再び戦場へと投入される。
頭全体を覆うバケツ型の兜を装備している為に、顔は見えない。
(※此処まで知っていれば大抵どうにかなります。以下は完全に蛇足のフレーバー。興味があればどうぞ。但し「種族、技能の傾向」はRPの際に参考になるかもしれません)
◆歴史
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約600年前 … ミザロク家初代当主によって建国される。
約300年前 … 大破局と共に国民達は船に乗って海上へ逃亡。
約280年前 … 蛮族を海におびき出し、総攻撃を仕掛ける。
約250年前 … 戦争が終結し、国家再建。海上塔が幾つも建造される。
約100年前 … 種族間交流維持法が原因でエルフが反乱を起こす。国を二分する内乱が勃発。蛮族が手引きした説もある。
約80年前 … 内乱が落ち着いた頃合いに、魔術師ギルドの情報が流出。“魔術師狩り”が始まる。従来のエルフ対人間の戦いに、更に騎士団と魔術師ギルドの戦いも巻き込んだ事で内戦は激化。
約25年前 … 内乱に乗じた決闘にて、シガルツォ・ナボーチがミザロク公爵を倒した事で終戦となる。
約20年前 … 終戦後の混乱に乗じて蛮族達が侵攻。冒険者達と一丸になって撃退する。
約15年前 … ナボーチの腹心ガラント・ラガンティが51号ジェネレーターを発見。ルーンフォーク兵団を結成、輸出用のルーンフォークも生み出す。
約7年前 … 騎士団の士気が低下。それに併せて各地で暴動が起こる。沿岸部と海上塔側での対立が表面化。
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◆固有の風習、法律など
“汝、己の信じる最適解を導くべく、己の持ちうる限りの知略を尽くすべし”
ミザロキアの掲げる標語。その後に“さすれば汝の信じる最適解は眼前に示されん”と続く。
自分が信じる限りで最善の結果を出したいなら、周りに置いてある物、そして状況を上手く利用しろという意味らしい。
なお『眼前に示されん』のフレーズは、自分が実際に見た物しか信じないという国民性にも由来する。
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君主制
各都市に領主が居り、ある程度の自治は認めている。
が、最終的な判断は君主であるナボーチ公爵に委ねられ、自治もあくまで形の上でしかない。
政教分離
特定の神を信仰する神官が政治に関われば必ず何らかの弊害が起きるとして、政教分離の政策がとられている。
とはいえ所詮は形式上のものであり、重要な政策を討議する場では神の名を出してはならない、という程度の認識である。
各神殿に存在していた異端審問官を活動不能に追い込むための策だとも云われている。
守りの剣
この国では守りの剣が一本しか無い為に蛮族による襲撃を受けやすく、自衛力を高める為に軍備拡大が行なわれた。
それでも決して充分とは云えず、冒険者の手を借りる事も少なくない。
冒険者の扱い
内陸の各都市に於いては各所に騎士団が駐留している為か、武器を携帯した冒険者を見てもそれほど警戒しない。
一般市民の多くは冒険者を“政府によって入国を許された者達”であると認識しており、信頼と親しみを持って接してくれる。
が、海上群塔ではその限りではなく、内陸の感覚で出歩いた冒険者が冷遇に対する不満を訴えるケースは後を絶たない。
神殿間互助制度
各神殿および教会は何らかの危機に瀕した場合、速やかに他の神殿へと報告する義務がある。
それにより武装神官や交渉官による保護が円滑に行なわれ、問題解決を効率化する。
種族間交流維持法
かつてこの国に存在した、稀代の悪法。
エルフは知性の高い長命種族という認識から、彼らの増長を抑え、ミザロク家の支配を強化するという目的で執行された。
内乱によってそれは消え去ったが、今でもこれを根に持つエルフは多い。
国家危機防止法
性質故に問題が起きそうな種族を予め排斥する為の法。内乱後に制定された。
特に、一部のグラスランナーは軽はずみな行動によって建築物を著しく損壊しかねない為、厳重に警戒している。
国内にてグラスランナーを見掛けた場合、警備隊がこれを捕縛、国外へと摘み出す。
復興記念祭
年に一度行なわれる、大規模な祭り。
国中から歌い手が集まり、演説会場を使って歌を披露する。
蘇生について
ルーンフォークに関してのみ、穢れが溜まらないので金さえ払えば無条件で蘇生できる。
死亡直前の一年分の記憶が飛ぶという弊害については、自身に日記を付けさせる事を対応策としている。
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◆種族、技能の傾向
あくまで国内での事情、一般市民達の見解である。世界を旅する冒険者達に於いては、この限りではない。
1.種族傾向
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1-1.人間
人間が統治しているだけあり、人間がこの国のヒエラルキーに於いて最も優位。
人口の割合も近年までは人間が凡そ半数を占めていた。可も無く不可も無い種族という自負があるのか、職業の幅も広い。
とはいえ一般市民、とりわけ若者達にはそこまでエルフやドワーフに対して差別意識がある訳ではない。
1-2.エルフ
次に多い種族。水に強い種族である事を生かして、海辺や海上塔で生活する者が多い。総じて知力も高い為か、事務系の仕事が大多数となる。
建国当初は種族間交流維持法なる稀代の悪法により百年間しか生かして貰えなかった。
今でも年配のエルフはそれを恨んでおり、シガルツォによる君主交代に関しては皆一様に「ようやく忌まわしき血が途絶えた」と零している。
1-3.ドワーフ、タビット、コボルド
ドワーフは力の強さに反比例した知力平均値の低さから、長らく土木建築系か鍛冶屋、それから炭鉱夫や農夫くらいしか仕事が無かったが、
魔動機技術の発掘、解析が進んだ現在ではマギテック武器の研究に携わる者も増えてきた。
但し、人間やエルフに比べるとヒエラルキーは低く、労働者階級の様な扱いを受けている。
それを気にする者はあまり居ないが、エルフと同じ長命な種族でありながら種族間交流維持法を免れた為に、それを負い目に感じている節がある。
同様の理由でタビットやコボルドの扱いもそれに近いか或いは労働者階級内でも格下で、市民権を得ているとは云い難い。
特にコボルドの間では、犬種差別といった深刻な社会問題も囁かれている。
1-4.ルーンフォーク
ルーンフォークは51号ジェネレーターの発見により爆発的に数を伸ばすも、そのヒエラルキーは低く、奴隷同然の扱いを受けている。
それまで数少ないながらも国外から流入していたルーンフォークも持ち主が登録を行なう必要があったり、
また従来は野良で生活していたルーンフォークも新たに主人に仕える必要があったりするなど、扱いは道具そのもの。
国家の所有物として生産されたルーンフォーク兵達に至っては、人口の頭数にすら入らない。
但し、あくまで道具や奴隷として扱う範疇ではあるが、彼らに対して無闇に暴力を振るったり、暴言を吐いたりする事は禁じられている。
この国に於ける多くのルーンフォークが従順で優秀な奴隷として見られている以上、その大切な資源を無駄にすべきではないとされているからだ。
1-5.その他
ナイトメアは最早云う迄も無く、穢れを内包した忌むべき存在として迫害を受けている。
但し、海上塔や辺境の小さな村で細々と生活している者も少なくない。
リルドラケンは移民が僅かに在住している程度。
グラスランナーに至っては国家危機防止法によって入国そのものが禁じられているが、
幼いエルフや女性のドワーフと偽って不法入国する者が後を絶たない。
入国禁止の理由は総じて自由奔放な性格ゆえに、またそれに起因する大災害ゆえに、という事らしい。
無論こんな状況なので、フィーとシャドウは云う迄も無く、この国では見掛けない。
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2.戦士系技能の傾向
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2-1.ファイター
この国を代表する近接技能。前線で戦う兵士達で、これを習わぬ者はまず居ない。
2-2.グラップラー
基本的な体術、技は広められているが、高度なものは殆ど知られていない。
2-3.フェンサー
自衛用として広められている他、我流で習得する者も。
魔術師ギルドの壊滅により行き場を無くしたソーサラーが、世間の目を欺く為に兼業する。
2-4.シューター
建国当初は貧しい小国だったミザロキアに於いては、一本の矢でも無駄にするなという教えの下、軍隊でも百発百中を志してきた。
そういった歴史からか、この国の射手は極めて練度が高く、自衛のために射撃武器を持つ者も多い。
皮肉にも、それが原因で魔術師ギルドは壊滅に追い込まれる事となる。
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3.魔法使い系技能の傾向
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3-1.ソーサラー
真語魔法によってもたらされる様々な効果が生活の基盤を支えているにもかかわらず、
一般市民からもせいぜいが少し不気味な便利屋程度の認識しかない。つまり、恐れられてすらいない。
かつては此処にも魔術師ギルドが存在したが、技術を含めた様々な情報が内通者によって意図的に流出。
その結果として魔女狩りじみた騒ぎへと発展し、ギルドもろとも木っ端微塵にされた。
そういった経緯から、隣接する国々の魔術師ギルドもこの国には徹底して不干渉を貫いており、肩身の狭さから弱腰になる魔術師も多い。
恐れられる筈の魔術師が、只の便利屋に成り下がったのはこれらの複雑な要素に起因する。
3-2.コンジャラー
かつては他国の例に漏れず、穢れを招く存在として忌避されがちで、表立って名乗る者は極めて稀だった。
しかし、ルーンフォーク兵団が組織されて以来、その不遇の扱いは覆る事となった。ルーンフォークは復活に際して穢れが溜まらないという事実が知れ渡った現在では「修理屋」としてその評価が見直されつつある。
大抵のコンジャラーはプリーストと並行して習得しており、清廉潔白である事を証明する為に国家認定試験を受ける。
3-3.プリースト
神官は一般的に人族が信仰する神であれば、何を信仰していようが関知されない。
有能なプリーストは指揮官として重用され、ウォーリーダーの技能との並行習得が推奨されている。
射撃の才能がある者らはクロスボウを手に、シューター技能との並行習得を行なう事も多い。
近頃は海上塔の崩落や廃棄物などに由来する深刻な水質汚染に悩まされており、水神ルーフェリアの神官を国外から招致する動きも見られる。
3-4.フェアリーテイマー
妖精の存在そのものに懐疑的なミザロキアに於いては、殆ど稀と云って良い。
国民の中にはそれを認知する者すら居らず、冒険者がうっかり口を滑らせた結果、侮蔑や憐憫の眼差しを受けたという報告もある。
元より、数多の妖精が嫌がって近寄らない、ささくれ立った国風や大都会という環境にも由来している事は否めない。
3-5.マギテック
ルーンフォーク兵団設立以来、国家規模での推奨技能となった。
マギテック協会ミザロキア支部は国を挙げての支援を受け、大陸有数の規模を誇る。
特に若年層の間では「ミザロキアと云えばマギテックだ」という風潮がある。
シューター技能とフェンサー技能を並行習得するのが今の旬。
対照的に、熟年層からは「腑抜け共の玩具」とやや懐疑的な評価を受けている。
3-6.デーモンルーラー
云う迄も無く、この国でも例外無しに鼻つまみ者。
表立って宣言しようものなら、即座に血の気の多い冒険者が詰め寄ってくる。
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4.その他技能の傾向
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4-1.スカウト
危機に備える事は尊い事だと、国家レベルで推奨されている。
特に、危険な足場での仕事が多い海上塔出身者はこれが必須。
同時習得している一般技能は高所作業員と肉体労働者、石工などが主となる。
4-2.レンジャー
スカウトに比べるとややマイナー。
この国を拠点とする冒険者達の間では知れ渡っているが、一般市民の大半はスカウトと混同している。
4-3.セージ
賢神キルヒアを国教の一つとしている為か、推奨技能に数えられる。
「敵を知る、国を知る、第三者を知る」という事への前向きな姿勢は評価されやすく、高名なセージは兵法家としても重宝される。
同時習得している一般技能は天気予報士、司書、通訳など。
占い師は僅かながら居るものの、迷信に翻弄された歴史を持つミザロキアに於ける占い師の地位は詐欺師にも近く、扱いが悪い。
4-4.エンハンサー
他の国に同じく、興味を持った者が情報を集めて習得する程度。
4-5.バード
ウォーリーダーに比べて、この国を出身とする冒険者達にはいまいち人気が無い。
代わりに、国外に留まって君主のナボーチ家に名を売ろうとする女性は、こぞってこの技能を習得したがる。
彼女らは年に一度の祭りで歌を競い合い、歌姫に選ばれた女性は名誉と財産を手にする事ができる。
これはナボーチ家が代々、高名な吟遊詩人の家系で、当主のシガルツォ・ナボーチも詩を愛する人である事に由来する。
その為、歌手や作曲家、踊り子や演奏家、果ては玉の輿を狙う娼婦といった職業の者が大多数を占める。
4-6.ライダー
騎士団の中でも、機動隊や遊撃部隊に該当する部隊が習得している。
マギテックと並行習得する事で魔動バイクを呼び出し、戦闘区域へ迅速に向かう事を可能としている為。
4-7.アルケミスト
かつてこの国にて錬金術師として名を馳せた、ジュリオストル伯爵によってこの国に広められた。
が、冒険者以外の認知度は極めて低く、せいぜいが水銀の加工技術をもたらした程度の認識しか無い。
またこの国出身の冒険者の間でも、ランニングコストが嵩みすぎる為に敬遠される傾向にある。
4-8.ウォーリーダー
推奨技能の一つ。
特にプリーストやセージを習得している神官が、騎士団の指揮を執る為に学ぶ事が多い。
逆に前線で戦う者らには不必要として、習得させない動きもある。
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関連項目一覧
最終更新:2014年02月08日 02:54