'''一次変換''' <math>V=\mathbb{R}^n</math> 線形写像 <math>\phi:V \ni x \to u \in V</math> のこと。 あるいは <math>\phi \in \mathcal{L}(V,V)</math> と思っても良い。 '''表現行列''' Vに適当な基底を入れると,φに付随する'''表現行列A'''を得る。 表現行列は,Jacobi行列と見ることもできる。 <math>A = \frac{\partial u}{ \partial x}</math> ただし,Jacobi行列が定数になる写像はAffine変換である。 '''ベクトル図''' (線形に限らない)高次元空間への写像の表現方法として,空間の各点に対応する矢印をプロットしていく方法がある。 これは,Vの各点XにXを原点とするφ(V)の座標を入れ,あたかもV上にベクトルがあるように表現する方法である。 '''流線''' 曲線の各点xにおける速度(つまり接線の傾き)が Ax になるような曲線 ベクトル図を各点における速度場とみなしたときの流れに相当する。 次の初期値問題の解として与えられる積分曲線である。 <math>c(t) := (x_1(t),\cdots,x_n(t))^{\rm T}</math> <math>\begin{cases} \frac{d c(t)}{dt} = A c \\ c(0)=c_0 \end{cases}</math> == n=2 の研究 == 以下では <math>A= \begin{pmatrix} a & b \\ c & d\end{pmatrix}</math> とおく。 <math>対角化可能性</math> 詳細については''[[対角化と固有値問題]]''を参照。 固有多項式の判別式は以下で与えられる。 <math>D := (a-d)^2 + 4bc</math> '''1. D>0 のとき。''' 実の固有値が2個あるので,それぞれに1本ずつ固有ベクトルが計算できて, 異なる固有値に対する固有ベクトルは1次独立なので,自動的にVの基底になる。 従って'''基本的に'''流線には原点で交わる2本の直線が現れる。 ただし,'''固有値の1つが0のとき'''は縮退してしまって平行な直線が平面を埋め尽くす。 '''Ex. 典型的''' <math>\begin{pmatrix} 2 & 1 \\ 1 & 2\end{pmatrix}</math> 固有値 1,3 固有ベクトル (1,-1),(1,1) 固有ベクトルが作る直線 x+y=0, y=x '''Ex. 固有値の1つが0になる''' <math>\begin{pmatrix} 1 & 1 \\ 1 & 1\end{pmatrix}</math> 固有値 0,2 固有ベクトル (1,-1),(1,1) 固有ベクトルが作る直線 (x+y=0は出ない),(y=x) '''2. D=0 のとき。''' 固有値は1つしか出ない。 幾何学的重複度(固有空間の次元)が2なら対角化可能。 定理より,rank(A-λE)=0 となれば対角化可能。 ちょっと計算すると,対角化可能なのは A=λE に限ることが分かる。 '''Ex. 重解でしかも対角化可能''' <math>A = \begin{pmatrix} k & 0 \\ 0 & k\end{pmatrix}</math> 固有値 k(≠0) 固有ベクトル 『任意のベクトル』 流線は中心から伸びる任意の直線になる。つまり放射線状。 '''Ex. 重解で対角化できない''' <math>\begin{pmatrix} 3 & 1 \\ -1 & 1\end{pmatrix}</math> 固有値 2 固有ベクトル (1,-1) 固有ベクトルが作る直線 x+y=0 '''3. D<0 のとき。''' 固有値は(実数の範囲で)存在しない。 従って固有ベクトルを求めるわけにもいかない。 '''Ex. 固有値が存在しない。''' <math>\begin{pmatrix} 1 & 1 \\ -1 & 1\end{pmatrix}</math> 流線は中心から湧き出す渦巻きになる。直線は存在しない。