量子化された調和振動子の計算

量子化された調和振動子の問題に関連してメモ

調和振動子の古典的な力学的エネルギー
 E = \frac{1}{2m}p^2 + \frac{k}{2}x^2 

これは次の2つに分解できる。即ち,E = T + V であって,
運動エネルギー T = (1/2m)p^2
位置エネルギー V = (k/2)x^2
正準量子化(以下ではエッチバーとしてhを用いる)
 x \to x 
 p \to -i \hbar \nabla 
 \therefore \mathcal{H} = - \frac{\hbar^2}{2m} \nabla^2 + \frac{k}{2}x^2 
※
ハミルトニアンは力学的エネルギーを与える演算子であり,
ハミルトニアンの固有方程式をシュレーディンガー方程式という。
Hの固有方程式(シュレーディンガー方程式)
 \mathcal{H} \psi = \mathcal{E} \psi 
1次元の調和振動子の問題では,適当な変数変換で以下に帰着できる。
 \psi '' - (\lambda-x^2) \psi = 0 
これを解くには以下のような常套手段をとる。
まず|ψ|→∞の極限を考えることにより,極限の方程式
 \psi '' + x^2 \psi = 0 
を得て,その解として \psi=A e^(x^2) + B e^(-x^2)を得るが,規格化条件からA=0が要請されて,結局ψ∝e^(-x^2)を得る。
これが元の方程式の解の極限となっていることを想定して,解の形を次のように仮定する。
 \psi = \phi e^{-x^2} <math>
</pre>
<pre>※
物理学者はe^(-x^2),統計学者はe^(-x^2/2)を用いる傾向がある。
</pre>
<pre>これを元の方程式に代入して,λを置換して次のエルミート方程式を得る。
<math> \phi '' - 2x \phi' + 2\alpha \phi = 0 
これはx=0で正則な変数係数常微分方程式であるから,以下のような級数解が存在する。
 \phi = \sum_{n=0}^\infty A_n x^n 
※
変数係数方程式
 y(x)^{(n)} + p(x)_{(n-1)}y(x)^{(n-1)} + ... + p(x)_1 y(x) + p(x)_0 = f(x) 
が正則であるとは,各kに対して,変数係数p(x)k が解析的であることをいう。
ここで f(x) が x=a で解析的であるとは,aの適当な近傍において,f(x)が級数展開できることをいう。即ち,
 f(x) = \sum_{n=0}^\infty c_n (x-a)^n 
φをエルミート方程式に代入して,A_n についての漸化式を得る。
  A_(n+2) = ( nの多項式 ) A_n
  A_0, A_1 は任意
ところが,φを無限級数とすると,φはe^(x^2)のオーダーとなってしまって,規格化条件を満たさない(ψ→0とならない)。
ψが収束するためには,φが有限次多項式となればよく,A_n の構造から,
  α:偶数 かつ A_1 = 0 あるいは
  α:奇数 かつ A_0 = 0
が必要十分条件になる。こうして得られる多項式をエルミート多項式という。
整数係数となるように A_0 または A_1 を調整すると,
 H_0 = 1, H_1 = 2x, H_2 = 4x^2-2, \cdots
となる。αの条件をEの条件に読み替えて,
  固有値 E_n = n + 1/2
  固有関数 ψ_n = H_n e^(-x^2)
  ただし,n≧0
を得る。(正規化は省略)
最終更新:2009年07月21日 19:07
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