北カフカスの国旗

北カフカスの国旗

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1998年以降の北カフカスの国旗(きたカフカスのこっき)は、青、深紅、緑の横三色旗である。それぞれの色の幅は、青と緑がそれぞれ4分の1、深紅が2分の1であり、深紅に面積は偏っている。

北カフカスの国旗

用途及び属性 市民・政府・軍隊陸上、市民・政府海上
縦横比 2:3
制定日 1998年7月30日
使用色 青、深紅、緑

由来

クバーニ人民共和国紋章

元々はクバン・コサック軍(黒海衆)の旗で、1919年2月23日にクバーニ人民共和国のラーダ(議会)がクバーニ人民共和国の国旗として制定した。本来の国旗は中央の深紅の面積が大きいものだったが、全ての色の面積が等しいものが公式に使われていたという記録も存在する。

1920年にクバーニ人民共和国が倒され、クバン・コサックが廃止されると、クバーニ人民共和国の「青・深紅・緑の三色旗」は廃止され、ソヴィエト連邦の「鎌と槌の赤旗」をモチーフにした旗が各州や各自治共和国(ASSR)に割り当てられた。

そして、1991年12月25日にソヴィエト連邦が崩壊し、1992年1月11日に北カフカス連邦が成立すると、「鎌と槌の赤旗」の国旗は廃止され、かつて北カフカスに存在した北カフカース首長国(1919年 - 1920年)の「月と星の緑旗」の国旗が復活し、この旗が北カフカス連邦の国旗に制定された。

ところが1998年2月にクーデターが起こり、北カフカス政治の中心がカフカス山脈沿いからクラスノダールのステップ地域に移ると、かつてカフカス山脈沿いに首都を置いていた北カフカース首長国の旗を使うのは不適切ではないかという議論がされ始めた。結果、1998年2月18日にクバーニ人民共和国の旧国旗から少し色味を変更したものを国旗とすることが決定された。同年7月30日の憲法改正と同時に発布された「連邦国旗・連邦国章法」により、国旗はクバーニ人民共和国と全く同一のものになった。

旗に使われたそれぞれの色や、その配置の意味合いは公には特にないものとされている。但し、様々な非公式な意味合いがある。そのうちの一つによると、深紅はザポロージャ・コサックと黒海コサック軍(ウクライナ系)を、青はドン・コサックとその子孫(ロシア系)を、緑はアディゲ人(もしくはアディゲ人含む全てのイスラームの山岳民族)を表している。[1] 北カフカス連邦第6代大統領ルスラン・マフメドフは、2018年の新年の演説で国旗の緑色について「連邦内の非スラヴ系住民全てを象徴している。」と発言した。

現在の旗

市民旗及び政府旗

政府旗

軍艦旗

変遷


19世紀まで

イマーム国の旗

チェルケシア(チェルケス国)の旗

カジクムフ・ハン国の旗

アヴァール・ハン国の旗

ロシア内戦期


クバーニ人民共和国の国旗

北カフカース山岳共和国の国旗

北カフカース首長国の国旗

ソ連時代

チェチェン自治州の州旗

チェチェン・イングーシ自治ソビエト社会主義共和国の国旗

北オセチア自治ソビエト社会主義共和国の国旗

独立初期

チェチェン・イチケリア共和国の国旗

主に1992年1月11日以前に使用された、親ソ派・親露派の旗

1998年までの国旗。北カフカース首長国の国旗と同一。

現代


1998年2月18日から同年7月30日まで暫定的に使用された国旗

連邦国旗改正会議で考案された国旗案の一つ

1998年7月30日からの国旗。クバーニ人民共和国の国旗と同一。

その他


オリンピック旗

アゼルバイジャン系住民の旗

北カフカスの地方旗

アヴァーリスタン共和国の国旗

アディゲ共和国の国旗

カバルダ・バルカル共和国の国旗

カラチャイ・チェルケス共和国の国旗

クラスノダール共和国の国旗

北オセチア・アラニヤ共和国の国旗

チェチェン・イチケリア共和国の国旗

イングーシ自治州の州旗

クバン自治州の州旗

クラスノダール連邦市の市旗

グロズヌイ連邦市の市旗


注釈

1. ^ Gabriella Elgenius (2007). Thomas Hylland Eriksen, ed. Flag, Nation and Symbolism in Europe and America. Richard Jenkins. Routledge. p. 39. ISBN 978-1-134-06696-4. Retrieved 30 November 2015.

関連項目

最終更新:2023年01月16日 18:07