ソユーズ(通信社)
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ソユーズ(
ロシア語:
Союз、「連合」の意)は、
北カフカスの
通信社。2011年5月7日に設立され、北カフカス国外での展開を担っている
[1][2][3]。前身は国内最大の民営メディアである
スヴォボダ傘下の通信社「
ドゥルジヤ(英語版)」。編集長はA.O.ストロイコフ
[4]。
北カフカス国内では唯一日本語版を有している。(2015年1月11日開設
[5])
概要
本局はクラスノダールにあり、支局を
ワシントン、
北京、
パリ、
デリー、
ロンドン、
モスクワなどに持つ
[4]。
ロシア語での24時間ラジオ放送以外に、外国読者向けに
日本語含む20カ国語のニュースサイトを有している。北カフカスのニュースをロシア語から各国言語に翻訳して伝えるほか、ソユーズ記者によるオリジナルコンテンツも配信している。政治的スタンスは基本的に
自由主義、
反露であり、報道内容もその方針に沿ったものとなっている
[6]。
2015年1月11日、日本語版ブログが開設された。ソユーズ編集部が大部分の記事を出稿しているが、日本人記者
[7]や専門家が記事の寄稿を行うこともある。
ラジオ・ソユーズ
ラジオ・ソユーズは、ソユーズの音声放送である。放送は、FM、
デジタルラジオ(
DAB/DAB+)、
HDラジオ(英語版)、携帯電話、インターネットによって行われている
[4]。ネットラジオの聴取は非常に容易である
[8]。
2022年現在、北カフカス以外でFM放送が行われているのは
アゼルバイジャン、
アメリカ、
ウクライナ、
カザフスタン、
ジョージア、
トルコ、
フランス、
エジプトの8カ国である。2022年3月20日までは
ロシアでも放送が行われていたが、同国政府が禁止令を正式に発効し採択されたため、放送は停止されている
[6]。
日本語ラジオ放送は2019年まで行われていたが、現在では事実上廃止されている。しかし日本語課そのものは現在も存続しているほか、音声コンテンツとしては、
サウンドクラウドにおいて、かつての「ドゥルジヤ」時代に放送された日本語ラジオ放送の番組の一部がアーカイブとして公開されている。
スキャンダル
フェイクニュースの拡散疑惑
元
北カフカス大統領の
デニス・クヴァーリンによると、自身が選出された
2019年の大統領選挙に対して
プロパガンダを駆使したと主張し、北カフカスの国内向け通信社
インテルファクス・セヴェロカフカス(INC)と共に名指しで非難している
[9]。
マスメディアから発信された情報の精査を行っている
アンドレイ・ショル財団(ロシア語版)によると、ソユーズは2019年から2022年の間、少なくとも19件の
フェイクニュースを報道したとされている
[10]。その中にはクヴァーリン=人民党政権とそのメンバーに対する誹謗中傷や、他国(とりわけロシア連邦との関係)に関する事実に基づかない情報が含まれていた。
国家機密の漏洩疑惑
北カフカス国家保安庁長官の
ラシド・テムレゾフ(ロシア語版)は、2023年2月2日にソユーズ通信が報じた情報について「国防上重要な超国家機密級の情報が含まれていた可能性がある」として、記事へのアクセス禁止措置を行ったと発表した。
WikiLeaksは問題の記事の復元を行い、その内容は「北カフカスと南オセチア間の国境で戦闘行為があった」というものであった
[11]。しかし同日にそのような戦闘行為は報告されておらず、フェイクニュースなのではないかという声もある
[12]。実際この報道の何が「機密情報」だったのかはまったく不明瞭である。
4chanのネットユーザーには記事の内容が機密情報の暗喩ではないか、など考察を行う者もいた[要出典]が、これらは
陰謀論と
都市伝説の域を出なかった。WikiLeaks自体、この復元情報を掲載したページを「いたずら行為の産物」として作成から数日後に削除している
[11]。
同記事を寄稿した記者は記事が削除されたのちも通信社に勤務していたが、機密情報の持ち出しを疑われ、結果的に解雇された
[12]。記事の掲載許可に関わった編集部数名も解雇、もしくは停職処分となったと伝えられている。同日、A.O.ストロイコフ編集長名義の謝罪文がウェブサイトに掲載された。
脚注
出典
1.
^"
Soyuz - news union organized by Svoboda: NCF’s new intl media to offer alternative standpoint".
スヴォボダ (2011年5月7日). 2015年12月9日閲覧。
2.
^ ヴィタリー・ニジンスキー (2011年5月9日). "
北カフカスの新メディア「ソユーズ」".
北カフカス国営通信. 2015年12月13日閲覧。
3.
^ Kris Madison (2011年5月11日). “"
How will the formation of a union affect a dictatorship?".
ワシントン・ポスト. 2015年12月30日閲覧。
4.
^"
日本の皆様へ".ソユーズ (2015年1月8日). 2015年12月30日閲覧。
5.
^"
日本が"連合"の輪に入る".ソユーズ (2015年1月11日). 2016年1月1日閲覧。
6.北川聡(2022年3月12日).
^"
在露日本人がみたリアル - 「ソヴィエト帝国」はどこへ向かうのか〈dot.〉".AERA dot. (アエラドット). 2022年4月10日閲覧。
7.
^ 宇佐司 - ソユーズ通信
8.
^"
live broadcast".
radiosoyuz.ria.nc. radiosoyuz.ria.nc. 2023年1月8日閲覧。
9.
^"
クヴァーリン大統領、メディア関係者との会合で一部のメディアを「プロパガンダ」と".
BBC (
英国放送協会). (2020年5月31日) 2021年7月10日閲覧。
10.
^"
憎悪の連鎖は止まるのか?癒えない独裁の傷に苦悩する東欧諸国".(
ハフポスト). (2020年6月2日) 2021年7月11日閲覧。
11.
^"
A non-existent battle is a 'state secret'? North Caucasians are perplexed.".
Beyond EU. (2023年2月7日) 2023年7月10日閲覧。
12.
^"
露隣国で奇妙な事件 存在しない機密情報をめぐって記者が解雇".
共同通信. (2023年6月30日) 2023年7月3日閲覧。
関連項目
- スヴォボダ
- インテルファクス・セヴェロカフカス
- デニス・クヴァーリン
外部リンク
最終更新:2023年08月23日 15:17