至って平和な一日※但し機関員に限る

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至って平和な一日※但し機関員に限る - (2010/03/19 (金) 12:50:35) の編集履歴(バックアップ)


どうも、覚えてくれてる人は殆ど居ないと思うハララクスです。あ、メイド服はスルーの方向でどうか。
とりあえず自己紹介するなら、カノッサ機関』夜の国支部の議員、月輪 悠楽の私兵、という事になってます。
口調が違う、などという指摘が出来る記憶力の有る方、作文を日常会話のノリで書きますか?
まあ、これは少々違いますが、飽く迄も文章。ですから、普段の口調そのまま書く事はしません。
とりあえずは僕の視線から、怖いと評判のカノッサ機関について、語らせて貰います。




11:00、起床

寝坊しました、随分寝坊しました。
横を見ると御主人様は居ません、もう仕事を始めておられる様子です。
着替えながらパンを銜えて執務室に向かいます。時間の短縮です。早起きしろとか言わないでください。
大体にして夜の国は寒すぎるし、日が昇らないから時間の感覚が狂うんです。部屋が寒くて布団から出られないんです。
御主人様なんか始終冬眠したい冬眠したいとぼやいてます。あの人、蛇ですから。

「おお、やっと起きたか。そちらの書類は目を通した、処分しておけ」

話しが逸れました、御主人様が仕事をしておられます。
机の上に積まれた書類を眺めて、必要な物にはサインを判子をしていきます。
積まれた、とは言っても、夜の国支部は書類を余り使いません。
何故か?報告書を書くような人が殆ど居ないからです。
ですから、書類の大半は、夜の国の物資の流通について。日夜、輸送コストの削減と雇用の拡大に勤しんでおられます。
「金持ちが増えれば金が回る、金が回れば争いが起きる」、そんな事を仰っておられますが、おそらくは只の趣味です。
退屈凌ぎのシミュレーションゲーム、そんなつもりでやっているのでしょう。


12:00、昼食

此処まで、他に仕事をしている人は殆ど見かけません。
それもその筈、この支部所属のナンバーズは二人、番号無しの戦力は三人、御主人様の私兵は僕を含めて六人。
その全員が、職務の殆どが外で行う物、戦闘や因縁作り、情報収集などだからです。
昼間は妙に人が少なくて、建物が広いのが逆に寂しくもなります。平構成員?あんなの人数に入りません。入りませんとも、ええ。
ですが、今日は珍しく、昼食に戻って来た人が居ました。

『お腹空いた~、ご飯あるかしら?』

…厄介な人が戻って来ました。No.14、影でのあだ名は万能掃除機、ルクス・カガチさんです。
ええ、割と有能な人ですとも。ポヤーっとしてるように見えて、いつの間にか色んな情報を集めて来る人です。
最近では、機関に敵対する人間を一本化する任務を請け負って、あちらこちらと縦横無尽に動き回っています。
ですが、この時間帯においては、非常に厄介です。

嗚呼、早速。食事が出るのが遅いと駄々をこね始めました。インスタント物だってまだ出来上がりませんよ。
ほら、コックがフル回転で料理を作ってますから落ち着いて落ち着いて………あ、テーブルに齧り付いた。
こうなるともう止まりません。というより止めたくありません、噛みつかれそうですから。
せめて塩と胡椒でもかけたら………はい、冗談です。
縦横無尽の無尽蔵、誰が言ったやら。


14:00、職務の途中

一応、僕の任務は外で行う物なのですが、今日は支部の中でのお仕事です。
倉庫の物資の数量確認、不足している部分の仕入れの指示、なんで僕の様な子供にやらせているんでしょう?
理由は割と単純、副官さんが退職した上に、仕入れ担当が随分前に木っ端微塵に吹き飛んじゃったからです。
まあ、数えるのは平構成員任せ、数字が狂ってたら適当に一人刺し殺して、こいつの仕業ですと報告すれば良いんですけど。
あ、奥の方からなんか悲鳴が。幽霊がどうのこうの騒いでます。
何と無くどうでも良い者が居そうですが、行ってみましょう。

………えー、話しは変わりますが、御主人様は宝玉を持っておられます。
この世界に来る前、世界を飛び回るのに使用していたのが、『転移の宝玉』。
この世界の夜の国で入手したのが、『常夜の宝玉』。
前者は、何かの目的のために使って消滅したそうですが………後者が、それのお陰で覚醒したとかなんとか。
正直良く分かっていないんですが……宝玉二つ分の力を、一つの宝玉に押し込んだ?そういう事だそうで。
で、今所持している『常夜の宝玉』、これは、自我を持つ宝玉なんですね。
これが欲しいからというのも、夜の国を支部に選んだ理由なんだそうですが……

〔そこな子供、頁を押さえるが良い〕

宝玉さん、あなた何してるんですか。本を読むなら自室で読みなさい。
暗くて狭い所が好き?むしろこの国で明るい所が有るなら教えてくださいよ。
手の本数が足りないから何本か貸せってあなたは何処の魔人探偵ですか。
というか姿を一定にしてください紛らわしい。今日は何で巨大ナメクジ?せめて人にしなさい。


16:00、のんびり休憩

うちの支部はフリーダムです。仕事が終わったらのーんびり遊びます。
元副官さんや白神さんの趣味で、ゲーム機やPCは色々と置いてあります。
ですが、僕としてはどうしても気になって仕方が無い事があります。
この娯楽室、何故、畳?炬燵?蜜柑が完備?照明が蛍光灯と豆電球?
しかも、部屋の隅には布団が敷いてあります。もう殆ど白神さんの私室状態です。

《う~む………目は追いつくが手が追いつかぬ、のう………》

あなた、白刃や銃弾の飛び交う戦場で暴れまわってるでしょうが。時速数百キロで飛び回るでしょうが。
なのに何でその小さな画面の中で動くものに翻弄されるんですか。
そんな画面に張り付いてるとドライアイになりますよ。その前に炬燵からせめて半分は身体を出してください。
僕の足が入る所が無いじゃ有りませんか。あ、今地味に蹴ったでしょ?

とりあえず対戦します。ゲームの熟練の速度で、子供に勝る者は居ません。
当然ながら僕が殆ど勝っちゃいます。手加減はしないのが礼儀です。
だけど、白神さんのこのごろの上達速度が怖いです。一体どれだけやりこんでいるのでしょう。
ですが、これだけは言えます。白神さんが僕に勝ち越す日、その日が、あの人の中で何かが死ぬ日だと。


18:00、自由時間は続く

<いやー今日も良い収録でしたアッハッハッハところで皆さん見てくれましたー?>

五月蠅いです。本当に五月蠅いです。帰ってくるなり五月蠅いです。
顔を見なくても、声を最後まで聞かなくても分かります。第一声で誰だか分かります。
最近色々と有名人になって楽しそうなNo.2、カリナトゥスさんです。
僕は知りませんが、前の前の世界でも、御主人様の部下をしてたそうです。でも、こちらの世界には先に来たとか。
何か実験で失敗して吹っ飛ばされたとかそんな事を言ってますが、誰も心配しなかったそうです。分かります。
今日は何やら、テレビジャックを楽しんできた様子。そう言えば、ニュースで騒がれてた様な気がしてきました。

あ、ちょっと待って下さい。その人は僕の部下だから持っていかないで。
あっちのあの人なら役に立たないから良いけど、その人は結構役に立つから駄目です。
…ふう、危ない危ない。もう少しで、部下を実験台にされる所でした。
強化実験は良いですけど、身内を使うのは止めて欲しいです。まあ、敵対勢力を下手に強化するのは良いかも知れませんけど。
お陰で、地下は実験に失敗した生き物で、動物園みたいな状態です。
お金は取れると思いますけど、多分人道がどうこうで叩かれて潰れるでしょう、公開したら。


19:00、夕食

割と多く集まったので、夕食ついでの会議だそうです。
夕食のついでです、会議のついででは有りません。其処を、間違えないように。
あんまり姿を見ないナイアちゃんが出てきています、僕と同じくらいの年齢です。
背が低いからと、ファミレスの子供用の椅子を使っている所が少々おかしいです。
ですけど、油断しちゃいけません。子供の我儘は怖いんです。
そう言えば、お父さんがどうこう言ってましたけど……お約束で考えるなら、もう死んじゃってるんじゃないでしょうか?
ま、それを言った所で余り意味も無い、黙っておきましょう。
運が良ければ、その予想も外れてるでしょうし。

[ねえねえ、今日面白い子拾ったの。飼って良い?良いでしょ?良いよね?]

これで何人目でしょう?……え?はい、そう言いました。何人目、と。
まあ、彼女の能力と、No.2の趣味が色々合わさった結果なんですが…
これは、その内…そうですね、あちらで語られるでしょう。
メタ発言には、ご容赦を。


『そうね…まだまだ敵対側が足りないですわ。かと言ってこちら側も、一人で動ける程の人材は少ないかと。
戦闘だけなら出来ますけど、作戦立案情報収集、全て出来る人材は余り多く有りません。
まずは、数。数さえ居れば、私達が動かせますもの』

<いやはや、哲学者の卵は非常に優秀、おまけに悪行働いてるという実感が得られ易い。
ですがねえ、ばら撒いてるだけじゃあ、何の役にも立たない。ばら撒く相手を選んで、初めてそれは効果を上げるんですから。
今暫くはばら撒きを中止、やり方を切り替えるのが得策かと。
なあに、私のこの捻くれた頭、幾らでもやりようは有りますってご心配無く>

《妾は、策謀の類は余り得意とはせぬが………道理で考えて行きつく所には行きつく。
百足に纏足する愚は冒さず、唐傘の足を圧し折る。この方針で良かろう、とな。
後は戦場じゃ。それさえ有れば、万の兵士も焼きつくして魅せよう、ぞ》

皆さん、自分に自信を持ちすぎです。かなーり大きな事を言います。
ですが、これで上手く行くのがうちの支部。何だかんだで、動いている集団は強いんです。
僕は余り表舞台に出る事は無いんですが、それでも、やる時はこれくらいの大口を叩くでしょう。

「提案は確かに聞いた、吾輩も暫くは熟考に移ろう。
吾輩の生有る限り、吾輩は無聊の慰めを求め続ける。」

御主人様のお言葉で、会議モドキは終わりです。実は、結局何も決定はしていません。
各人が、思うように。それで、この支部は上手く行っていますから。


「動け。世界を停滞させるな。人を停滞させるな。以上」


殆ど丸呑みの様にして食事を終え、御主人様がお部屋に戻っていきます。


この後は、特に書く様な事が有りません。お風呂に入って、寝るくらいのものです。
布団に入ると寒いとか、だからと言って御主人様にくっ付くと、たまーに蛇の姿になっててもっと寒いとか、どうでも良い事は有りますが……

兎に角、これがカノッサ機関夜の国支部の、至って平和な一日です。