――イミナ・ハルネア
前頭部のみが美しい白銀色という、特徴的な短い外ハネの黒髪を持つ、
清廉なる紅白の巫女装束を纏い、その上から白い衣を羽織った少女。
凛とした銀の瞳は、世の果てまでをも見据えているな儚さを持っていて、
背中でとても大きく結ばれた蝶々結びの飾りが、羽か尾のようにひらりと舞っている。
また、社の外に出る時は、必ず白い石のペンダントを下げている。
春霞の社(はるがすみのやしろ)の巫女さん。自称「春霞の巫女」。
一人称は我、二人称は汝(うぬ)。少し古めかしい、かつ、高飛車で傲慢そうな話し方をする。
掃除が面倒と言いつつも社の境内は常にとても綺麗に保たれており、石畳には小石一粒落ちていない。
更に着込んでいる巫女装束も新品のように白く清潔であり、案外綺麗好きなのかもしれない。
もの凄い守銭奴である。
とりあえず、神社の境内に踏み入ったが最後、間違いなく賽銭を要求されると思って良い。
「我が社に祀られし神は全てを見ておられる。善行はやがて手前に返ってくるものぞ。
さぁ、分かったなら賽銭を供えるが善い。多額であれば多額であるほど善いな」
を始めとして、賽銭要求パターンは様々である。どんな話題からでも賽銭を要求してみせる話術の持ち主。
言ってることは間違ってない気もするのだが、彼女が言うと全部台無しになった気がする。
多分、半ば強要してるのと多額を要求するのがアウト。
なお、「我が社にゼニを落とさん奴などどうでも良い。天罰なり神罰なり喰らうが良いわ」らしい。
さらに、どうやら御賽銭を自分のポケットマネーにしているような節がある。
「早ぅ我にゼニを落とすか此処から立ち去るか選ばぬか!」とか素で言っちゃうあたり、怖い。
参拝客に向かって「ケッ、金持ちは爆発するがよい」と小さく呟いたこともあるとかないとか。
余談だが、相手に文句を言う時は、割とよく「爆発するがよい」と言う。口癖?
ちょっと頭が弱いというか、詰めが甘いというか、自爆発言が多いというか、そんな節があるかもしれない。
加えてあまりの守銭奴っぷりから、ついた渾名が
アホ巫女とか
残念巫女。
ある意味、彼女の本質を捉えた渾名である気がする。
黙っていれば可愛い顔立ちをしているのに、このせいで全て台無しになっている。
そして、大平原である。何が、とは言わない。言えない。
曰く「巫女装束というのは、基本的に控えめに見えるように作られておるのだ」らしいが。
熱いお茶と饅頭の組み合わせが大好き。どことなくババくs[削除されました]
――お賽銭を集める理由
彼女がここまで守銭奴であるのには理由がある。
曰く、彼女と神社にとって最も大事なものは「御賽銭」ではなく「信仰」であり、
信仰を失った神と、それを祀る神社は存在意義を失うという。
神社の存在意義の消失は巫女の存在意義の消失であり、イミナはそれを懸念している。
近年、春霞の社の参拝客は減っているらしく、「信仰の力」も減退傾向にある。
イミナはその現状をなんとかして打ち破り、信仰を回復するために動いている。
必死なまでに賽銭を要求するのは、単純に神社の資金が乏しいからという理由もあるが、
どんな形であれ「神への捧げもの」は『その神への信仰の供物』に代わりなく、神力の回復につながるからだという。
また、「忘れ去られること」も信仰の消失と深く関わっているため、とにかく参拝客の印象に残ろうとしているためでもある。
印象に残り、そして再び足を運んでもらえるように努力している。毎日の掃除もその一環らしい。
事実、今まで社を訪れた人物は、それぞれが賽銭を要求されているにも関わらず、過半数が春霞の社を気に入ったようだ。
――能力?
能力か否かは定かではないが、「おフダ」を瞬時に「蒼い炎」に変えて空中に停滞させてみせた。
「サブカルチャーで取り上げられるような巫女と我を一緒にするでない」とはイミナの言だが、
この技はどう考えてもサブカルチャーで取り上げられるような巫女がよく使う技である。
ちなみに、炎はおフダに戻すことが可能。つまり、リサイクル可能である。
妙なところで現実的かつ実用的だったりする。
他にも、
ゼニ無しに対して、
「我が『式神』で『依代』をこさえてみるか?」と提案したことから、
式神に関する術も行使することが出来るようである。術だけは何処までもステレオタイプな巫女さん。
ただし彼女は、式神に関しては、あまり得意ではないと言っていた。
――交友関係?
「ほれ、芋羊羹もある。馴染みから貰い受けた最高級品だが、我は羊羹は好かんのだ」