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〝黒衣の怪談〟

人気のない路地に、気を付けなさい

あなたの後ろの暗がりには、〝おそろしきもの〟が覗いているのだから


・場末の酒場――赤ら顔の酔っ払い

おー、ありゃあビックリしたぜえ。
ちょっと飲みすぎてなあ。休んでたらよぉ、突然声がしてな。

そりゃまあ、ちっこいガキだった!
趣味の悪ぃ真っ黒のローブを着ててな、キレーな声で話すんだ。

何を話したかって? いんやぁ……正直、覚えてねーンだ。
気が付いたら、見たこともねーボロ屋で寝てたよ。

すんげー不気味なガキだったってことしか、わかんねえなぁ……。

……まあ、どうでもいいじゃねえか、そんな事。
奢ってくれんだろ? もっと飲もうじゃねえか!


・警備隊詰め所――蒼白な顔をした女性

……小さな、男の子でした。
真っ黒なローブを着てて、黒い瞳の……。

今日は、早く家に帰りたくて……良くないとは思ったんですけど、普段とは違う道を、急いで歩いてたんです。

…………。

……え? あ、すみません……あの、大丈夫ですよね? ここ……?
あ、あの子が……すぐ近くで、覗いてるような……。

「お姉さん、そんなに急いで、どこにいくの?」
「……ねえ、僕は、何しに来たんだと思う?」

……その子、そう言って……大きな刃物を……。
…………。

ッ!? いや! そこに、そこに誰か居る!
……私、嘘なんか言ってない! 信じてください! 助けてよぉ!


・路地裏――通報現場に駆けつけた警備隊員

うわっ、こりゃひでーな……。
頭蓋骨は陥没、全身は切り傷と痣だらけ……。

……相当な恨みでも買ってたんだろうか。ここまでして殺すってのも……。
……ま、恨み買いそうな格好はしてるけど。

え? あ、そうですね。とりあえず搬送しましょう。
死因とか、詳細なところは解剖結果待ちですね。

しかし、やり切れないな……。
こんな人気のないところを通んなきゃ、こんな目に合わなかったかもしれないのに。

〝黒衣の怪談〟

人気のない路地には、黒いローブを着た少年の霊が住み着いている。
綺麗な顔と声で、通る人を呼び止めて、殺す。

もしも出会ったならば、彼の呼びかけを無視して、逃げるしかない。
そうすれば、もしかしたら、助かるかもしれない。

ただ、この少年の霊は、とても足が速いので、足を止めると殺されてしまう。

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最終更新:2012年04月25日 19:33