ルールというよりは、すり合わせの必要を感じてこのトピックを立てました。
 GMが複数存在する以上、ランの報酬に関する相場は一つに安定しないでしょう。「このGMはこうだから」で済むといえば済むのですが、「報酬」というのは実は重要な伏線になっていたりしますので、可能であれば話し合っておけば色々プラスになるのではないかと。

 いっちょ、叩き台になる報酬のイメージを書いてみるので、シャドウトーク風にみんなで突っ込んでみるというのはどうでしょうヽ(´ー`)ノ

1.ランナーはどれくらい仕事をしているのか?

 現代社会でランナーに当たる人間があまり思いつかないのですが、ヤクザの鉄砲玉とか、私立探偵なんかが近いんでしょうか。ランナーは兵士でも警察でも、ましてやサラリーマンでもありませんから、毎日毎日決まった時間真面目に働いている訳ではないでしょう。
 日々忙しく働いていては依頼も受けにくいでしょうから、普段はブラブラと訓練や趣味に時間を費やし、いざ依頼が来ればランに出て行くという人間が大半のはずです。
 更に留意点として、シャドウランが「違法行為」という事を忘れるべきではありません。メガコーポを始めとしてシャドウランの「被害者」に、例え表立って「加害者」への制裁を求められない事情があるケースが多いとしても、ランナーがあまりに「目立つ」ならいらない敵を増やし、当局(たとえ市民ではなく企業を守る存在であっても)の目を引く事は避けられないでしょう。ランの規模にも寄りますが、ランナー自身ネオアナーキズムの殉教者になる事を望まないなら、何度か仕事をすれば「冷却期間」を置くのが自然と言えます。

 以上の事から、ランナーは大体、3ヶ月に1-5回ほどチームで仕事をすると考えられます。大体一ヶ月に1-2回、全く仕事をしない時もあるでしょうし、多ければ2-3回ランに駆り出される事もあるでしょう。
 これは勿論、「ある程度危険を伴う肉体労働」の事と考えて下さい。たとえばハッカーならば数人で組んで企業のデータストアから小銭になりそうな情報を頂いたり、というようなランをもっと頻繁に行なっているかもしれませんが、ここでは考えない事にします。

 一回のランはブリーフィング・移動も含めて、数時間から長くて数日。長期の護衛などならば数週間に渡って拘束されるかもしれません。
 これはランの種類によって大きく異なってくるので、次に譲る事にします。

2.シャドウランにはどんな種類があるのか?

 まず依頼人がランナーに期待する事によるのですが、大きく分けると「社会的理由でフリーランスを雇いたい」というケース、「ランナーくらいしか当てがないので雇いたい」というケースがあるでしょう。前者は確実に非合法で暴力的な行為(強奪、密輸、破壊など)ですが、後者はより穏便な行為(調査、護衛など)を期待する場合もあります。当然前者が非暴力的な依頼をする場合(逃げ出したプリンセスを探して連れて来てくれ!とか)もあるでしょうし、様々な要素が複雑に絡み合った依頼(奪われた新鋭サイバーウェアの開発データを調査し、強奪。それが不可能なら破壊してくれ!とか)もあるでしょう。
 以上のおおまかなケース毎に解説するなら

強奪:

 人や品物、情報などを強引に確保して依頼人に届けます。この手のランの拘束時間はせいぜい数時間ですが、待機時間なども含めると恐らく一日が潰れてしまうでしょう。当然ながら生命の危険を伴う仕事で、報酬も割高です。

密輸:

 非合法だったり、その移動を好ましくないと思う存在がいたりする人や品物を、密か(あるいは強引)に追跡の目を振り切って移動させるランです。
 拘束時間は移動距離に比例しますが、千葉県内なら数時間、長くて一日の拘束で済むはずです。相場は運ぶ品物により千差万別ですが、ランナーチームに頼むからにはある程度隠蔽が難しく、熾烈な追撃が予測されるブツでしょう。

破壊:

 人や品物、情報などを文字通り破壊して、役に立たないものに変えてしまう仕事です。「強奪が不可能なら破壊」という風に依頼される場合もあるでしょう。被害者からすれば似たようなものですので、強奪と似たような相場で依頼がきます。

調査:

 依頼主にとって必要な情報を集めて提供するランです。戦力云々よりも土地勘や人脈を当てに依頼されるランでしょうから、ランナー達の「武力」への報酬はあまり加味されません。この手の依頼は下手をすると依頼主も相場が分からないケースが多く、ビジネス上の力関係によっては報酬で大いに揉める可能性があります。
 基本的には期限を区切ってその拘束時間に応じた報酬を提示されます。短くランを成功させれば早く解放されるわけですから、その分時給は増えますし、期限ぎりぎりまでかかったなら時給は低くなってしまいます。
 もう一つのよくある契約形態として、やはり期限を区切って報酬を提示されるものの、期限内に成果が得られなければその時点で期限を延長し、その拘束時間に応じて再度追加の報酬を支払うというものがあります。この場合ランナーはダラダラと仕事をすれば報酬が増えますので、依頼主には調子のいい報告をしながら報酬のつり上げを図る場合があります。その為依頼主は嫌がるのですが、工数が読みにくいランでもあるので、このような形態を取らざるを得ない事が多いのです。

護衛:

 強奪や破壊の対極に当たるランです。当然ながら強奪・破壊の危険があるから依頼がくるのであって、報酬はそれら危険の評価と護衛期間に比例します。

それ以外のラン:

 報酬の約束がないのにランをしなければならないケースもあります。
 ランに失敗して依頼主を怒らせてしまった、とか、依頼主がいなくなって手元の品物を処分しなければならない、とか、様々な場合があるでしょう。このような場合にはPCの命が報酬である事も多いですし、そもそも相場を決められるようなものでもないでしょう。

3.で、俺達は一体いくら貰えるんだ?

 ランナーの生活費は下流で2000、中流で5000です。もちろんそれ以外の生活をするランナーもいるでしょうが、大半はこのクラスの生活を営んでいるとここでは仮定しましょう。
 当然ながら、生活費ギリギリの報酬で続けていくにはシャドウランはあまりにも過酷です。プレイヤーも、ろくに装備の新調すら出来ないならつまらないでしょう(作成の時点で装備は完成しているって? そんな頭があるなら、作成の時点でランナーを卒業できるようにするべきだったな)。この辺りは感覚的になってしまうのですが、生活費の大体2倍くらいとすれば把握しやすく、かつ「シャドウランナーらしい」派手な稼ぎになるでしょうか?

 以上から、ランナーが一ヶ月に欲しい報酬額としては「生活費x2+経費」が目安でしょう。生活費はランナーの「格」によって決まると思うのですが、最初は「下流」を想定して構いません。

 ここで「経費」が曲者です。「経費」という奴は、人間によってまったく必要な金額が違うのです。例えばサムライならば弾代程度で済む金額ですが、交渉を担当する者ならば取り扱う交渉によってはかなり大きな金額を支払わねばならないでしょう。魔法使いやハッカーなど特殊な技術を持つランナーならば、精霊の束縛やランに必要なプログラムの購入(自分で組もうと思ってたのに!)に下手をすると数千単位で出費しなければならないかもしれません。
 仕事を頑張れば頑張るほど自分の報酬「だけ」が目減りするのではやってられないでしょうから、「経費」は別にプールし、最終的には「報酬総額-経費」を頭割りして配分するのが妥当でしょう。
 しかし注意して下さい。これが経費の問題をより複雑にしているのですが、それらの出費は「必要経費とは言えない」かもしれないのです。隣で奇声を上げながらフルオートを楽しんでいるオークがばらまく弾丸は、本当に必要なものですか? 魔法使いが大枚はたいて買い求めた素材で束縛した精霊は、単なる魔法使いの私兵になっていませんか? ハッカーのガキが駄々をこねて買ったデータ評価プログラムはハッカー自身が使いたいだけのおもちゃなんじゃないですか? おっと、見逃してはいけません。フェイスは交渉相手のギャングボスに、余分な交渉費を支払う代わりにキックバックを貰っていませんか? なんですって、バカ正直に経費を申告して、足が出た分は自腹を切っている? どうして貴方みたいに誠実な人がランナーなんかやっているんですか!
 経費の正当性は答えのない、頭の痛い問題です。しかしながらこれは、プレイヤー間の喧嘩に発展しないのであれば、幾分汚く立ち回って、キャラクター同士で時にはそれを話のネタに頭の体操をするのも悪くないでしょう。あまり目くじら立てずに不正を楽しんで下さい(ゲーム的な都合として、特に新円が必要なキャラクターの為に資産を集中運用させる口実にもなるでしょう)。くれぐれも言っておきますが、プレイヤー同士の喧嘩にならないように!

4.あー、その、なんだ。結局俺達はいくら貰えるんだ?

 なんかここまで書いて力尽きたので指針だけ書きます('A`)ノ

 ランナーが一ヶ月に請け負うランは1-2回程度、一ヶ月に欲しい報酬額は経費を差し引いて(生活費x2)程度、とするならば、1回のランで支払われる報酬は生活費の0.5-2倍が相場でしょう。経費は依頼内容によりますが、わかりやすく一人当たり1000とするなら、2000-5000新円が1回のランの相場という事になります(チーム全体には、チームを4人とおくなら8000-20000といったところです)。
 1新円を現代でいう100円ほどの価値とするなら、一回のビズで期待できる収入は経費込みで20万~50万円という事になります。社会的地位を抹消した、プロフェッショナルの自信を支えるだけの技術を持つ人間が、生命の危険があり、かつ殺人等の犯罪行為に手を染める金額としては安いでしょうか、高いでしょうか?
※ 当然ながらこれは「資金面に不安がなく、互いに平等なビジネスパートナーから請け負う場合」です。依頼主の状況や力関係によってはより安い報酬でランをしなければならないかもしれませんし、ランナー側が足元を見て報酬を吊り上げる場合もあるでしょう。

5.なあ、他にもこれなんか金にならないか?

 おっと、忘れるところでした。
 これはシナリオの内容次第であったりなかったりする要素なのですが、「シナリオ中手に入れた商品を売り捌く」事によって得られる収入もあります。
 銃器、車両、臓器、サイバーウェアなど、ランナーの財産となっている品物のうちいくつかはそのようにして別のランナーが故買屋に流した代物でしょう。これに関しては332p、307pを参照して下さい。2070年現在、大抵の「資産」は「登録」されています。これを売り捌くのですから、買い手には随分足元を見られてしまうでしょうが、それでも自分で所有しておくよりはお金にしてしまった方が安全です。
 とはいえあまりがめつくならないように注意しましょう。くれぐれも「死体漁り」なんて不名誉な二つ名で呼ばれる事がないように!

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最終更新:2007年08月20日 06:50