MBO
M & A の手法の一。企業の事業部門や子会社等の責任者や従業員が,事業の継続性を前提に本体企業から株式等を買い取り,経営権を得て独立する手法。企業の成長分野への資金集中や新会計基準の連結決算の導入から不採算部門の切り離しなどのために行われる。マネジメント-バイアウト。
サタデー・ナイト・スペシャル
= 標的企業の全株式に対して行われる一週間のTOB(キャッシュ・テンダー・オファー)。事前通告なしに株式市場の閉鎖した土曜日から始めることにより、標的企業の不意をつき、対策を講じる余裕を与えない作戦のこと。ウィリアムズ法の制定により現在ではメリットがなくなった。
ウィリアムズ・アクト
(Williams Act:ウィリアムズ法) 株式の公開買付けを規制するため、米国で1968年に制定された連邦法。公開買付けのオファーを受けた株主が充分な検討をすることができるように、公開買付けをしようとする者に関係資料をSECなどに提出させること、公開買付期間を最低20日とすることなどが定められている。これによりサタデー・ナイト・スペシャルなどの、不意打ちの乗っ取り計画は封じ込められた。さらに同法により、ある企業の株式を5%以上取得した場合に、SECへの報告が義務づけられた。この報告の猶予期間は10日間であった。しかし、この期間をさらに短縮する動きが出た。乗っ取り屋が秘かに安価で株式を買い占めることが、ますます難しくなってきている。
ピープル・ピル
現在の経営陣が退陣し、ビジネスを熟知しリーダーシップを発揮できる人間が企業にすべていなくなるようにする・つまり人材を削ぎ取って魅力を無くする。
プロクシー・ファイト
一般株主から委任状(プロクシー)を獲得するための争奪戦。委任状を多く獲得することで、株主総会でも重要事項の決定を勝ち取るために行われる。
株主総会の前に、株主には株式総会の召集通知が来ます。株主は、株主総
会に出席して、賛成か反対かの意思表示を行うこともできますが、同封さ
れている委任状によって意思表示をすることもできます。両社が過半数を
取れなかった場合には、この委任状を自分のほうに取り込むよう働きかけ
を行うわけです。米国では、これを「プロクシー・ファイト(委任状争奪
戦)」といってM&Aでは良く行われています。
一般の株主はどちらの陣営がいいのかってどうやって判断するの?
双方が株主に向けて、自陣営に委任状を渡したほうが株主にとって有利で
あることをPRすることになります。今回のM&Aでは、フジテレビもライブ
ドアも、ニッポン放送の企業価値向上について、株主に対し充分説明して
いないという批判がありますので、こうした形で両社が説明するのはいい
ことかもしれません。
眠れる美女
将来企業買収のターゲットになりそうな企業
敵対的買収
株式公開買付けを行う際には、対象企業の経営者の同意・協力を得て行う場合と、俗にいう乗っ取りのように経営者の反対を押し切って行う場合とがある。今回のライブドアの行為は敵対的買収にあたる。
TOB(Take Over Bid)
株式公開買付けのこと。ある会社の経営権の取得や支配権強化を目的に行われる株の買い集めで、一定期間内に、一定数量以上の株式を、通常は時価を上回る価格で買い付けることを公表して売り手を募る買い付けの申し込みのこと。今回は時価を下回る価格で買い付けたことから、「東京電力」に対して株主代表訴訟を起こす動きがある。
レバレッジドバイアウト
LBO(Leveraged Buyout)
自己資金は少なくても、金融支援(=買収をしようとする企業の資産や将来のキャッシュフローを担保として銀行借入れなどをおこなうこと)を受けることによって、企業を買収すること。
ティンパラシュート
ゴールデンパラシュートの従業員版。買収を仕掛けられた際に従業員に手当てを支給する雇用契約を予め締結しておくことで、企業買収の魅力を低下させようとするものです。
スタガード・ボート
取締役の改選任期を意図的にずらしておくことで、全取締役が一度に改選されることがないようにする期差任期制度のことをいいます。
ゴールデンパラシュート
企業買収を防衛する方策のひとつで、敵対的買収で経営陣が解雇された場合、巨額の退職金を支払う契約を結ぶこと。会社の価値を低下させるのが目的。
焦土作戦
〔スコーチド-アース(scorched earth)とも〕
(1)戦争で,目的の土地を完全に焼き払ってしまうこと。特に,敵に侵略された勢力が,撤退の際にその土地を焼き払ってしまうこと。土地の利用価値を低くするとともに,敵の戦意を喪失させ,再起を図る。
(2)転じて,企業が敵対的買収を仕掛けられた際,自社の優良資産(事業部門や子会社など)を売却することで企業価値をわざと低くし,買収を防ぐ手法のこと。
→クラウン-ジュエル
クラウンジュエル
企業の優良資産(事業部門や子会社など)のこと。また,企業が敵対的買収を仕掛けられた際,これらの優良資産を売却することで企業価値をわざと低くし,買収を防ぐ手法のこと。
〔王冠に付いている宝石の意。宝石を売り払うことによって,王冠の価値を減少させることから〕
ポイズンピル
毒薬条項。既存の株主に対して、時価を大幅に下回る価格で株式を引き受ける権利を付与しておく規定。敵対的な株式公開買い付けなどで一定の株式を買い占められたときに発動、買収者の議決権比率を下げる。
ホワイトナイト
〔白い騎士,白馬の騎士の意〕
企業などの救済者。特に,敵対的買収を仕掛けられた企業からの要請に従い,友好的買収を行う企業のこと。
パックマンディフェンス
敵対的買収を仕掛けられた企業が,これを防御する目的で,逆にその企業に対して買収を仕掛けること。
〔
ビデオ-
ゲーム「パック-マン」が由来。モンスターに追いかけられるパック-マンが,パワー-エサを食べた瞬間からモンスターに逆襲する様子から〕
海外からも? 防衛策は?
経営内容や財務状況に魅力があるのに、株価が割安な企業は、買収の対象になりやすい。利ざやを稼ぐことだけを目的とする買収者ならば、目先の配当を増やすことを求めたり、買収で手に入れた企業の資産をすぐに売り払ったりすることも考えられる。
一方、株の持ち合い解消の流れの中で、これまで、長期に安定して株式を保有してくれる「安定株主」の代表格だった銀行などが、取引先の株式をどんどん手放している。経済産業省によると、安定株主比率は、1992年の46%から、2003年は24%に低下した。企業にとっては、買収の危険にさらされる可能性が増していることになる。
さらに、政府は、商法などの企業関連の法律をまとめた「会社法」の制定を目指して、今国会に法案を提出する。これが成立すると、2006年には、外国企業が事実上、株式交換で日本企業を傘下に収めることができる「三角合併」が解禁される。
外国企業A社が日本に100%子会社B社を設立し、日本企業C社を吸収合併して傘下に収める場合を例にとると、これまでの株式交換は、B社は原則として自社株を使ってC社株を買収する必要があったが、今後は、B社が保有するA社株式をC社の株主に割り当てることで合併できるようになる。
発行済み株式数に株価をかけた「株式時価総額」が日本企業より断然大きな外国企業が、簡単に日本企業を買収できるようになると指摘されている。
このため、法務省や経済産業省は、会社法に、企業が敵対的買収に対する防衛策を取りやすくする制度も盛り込む方向で検討している。とくに注目されているのが、「ポイズン・ピル(毒薬)」制度だ。買収者の持ち株比率が、あらかじめ定めた一定の割合をオーバーした時、一般株主だけに議決権のある新株を発行し、買収者の議決権比率を引き下げる仕組みだ。敵対的買収が盛んなアメリカでは、主要企業の6割が導入しているといわれている。
ただ、防衛策を過度に認めると、経営陣の暴走を止められなくなるなどのマイナス面も考えられる。防衛策の充実だけでなく、企業自身が業績を向上させて株価を上げ、配当を増やしたり、投資家向けの説明会(IR)を強化するなど、買収を受けづらい体質作りに努めることが不可欠といえそうだ。
基本
M&Aとは、英語のMerger(合併)とAcquisition(買収)の頭文字をとった略称だ。明確な定義はなく、合併や企業買収のほかに、業務提携や出資などを加えた企業の事業戦略を「M&A」と総称することもある。
野村証券のまとめでは、日本企業が関係したM&A件数は、1994年の618件から、2004年は3倍以上の2133件にまで増えている。
企業にとって、国際競争の激化で規模の拡大が不可欠になっている。さらに、事業拡大だけでなく、力を入れる必要がなくなった事業の切り離しなど事業再編に利用されるようになってきたこともM&A増加の理由だ。大手電機メーカーなどでは、不採算な事業部門を積極的に同業他社に売却する一方、自社の得意分野を拡大するM&Aを繰り広げている。
また、日産自動車を仏ルノーが傘下に収めるなど、国境をまたいだ大型M&Aも増加している。海外の企業買収の事例などから「乗っ取り」というイメージが強かったM&Aも、企業戦略の重要な柱と認識されはじめているようだ。
ただ一方で、最近では日本でも、買い集めた企業の株式を転売して利ざやを稼ぐマネーゲームの一環とも見えるようなM&Aが行われる例も出てきている。
TOBとか
日本での企業買収はこれまで、親会社が関連会社を100%子会社にするケースなど、「友好的買収」が一般的だった。最近の敵対的買収では結局成功しなかったものの、米国系投資ファンドが東証2部上場のユシロ化学工業、染色加工会社のソトーに対して行ったケースなどがある程度だ。
買収者の目標は、対象企業が発行している株式の過半数を取得して経営権を握るか、株主総会で特に重要な案件である合併、役員解任、営業譲渡などの特別決議を拒否できる3分の1超の株式取得を目指すことだ。
しかし、株式市場で、過半数や3分の1といった大量の株を少しずつ買い集めようとすると、買い進める間に株価が上昇し、買収費用がかさんでしまう場合が多い。このため、市場外で一気に購入した方が簡単だが、証券取引法では、上場企業が発行する株式の3分の1超を取得しようとする場合は、原則として、目的、価格、買う予定の株数、期間などを新聞公告などで公示するTOBを使うことを義務付けている。
一般の株主にこうした情報を伝えずに、市場外で大量の株式売買が行われると、一部の株主だけが有利な条件で取引できることになり、市場の信頼性が損なわれる恐れがあるためだ。
ニッポン放送株の取得では、ライブドアが、大量の株式をTOBではなく、市場内での「時間外取引」で買い付けたことに批判の声が上がっている。
時間外取引は、市場が開いていない早朝や昼休みなどに、一定の売買価格幅を決めて行う取引だ。もともとは、株式の持ち合い解消などで、大量の株式が1度に売り出されて株価が下落することなどを防ぐ狙いで、1998年に始まった。
しかし、今回のように敵対的M&Aの手段として使われるケースは想定されていなかった。金融庁は、今回のような使われ方が増えると市場の透明性を損ないかねないとして、実態調査に乗り出し、時間外取引を規制する証取法改正も検討している。
最終更新:2005年07月25日 21:01